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中国の危機管理は?:防研の「中国安全保障レポート2013」 [中国要人・軍事]

China-2013.jpg2月1日防衛省の防衛研究所が、毎年1回発表(2011年5月が初回)で第4回目となる「中国安全保障レポート2013」を公開しました。全文防衛研究所のwebサイトで確認でき、英語版と中国語版も同時発表の頑張りを見せています
第2回目からテーマを絞って分析するアプローチをとり、過去2回は「中国海軍」や「軍は党の統制下か?」をテーマにしてきましたが、4回目の今回は「中国の危機管理」を主題に分析を行っています。

中国関連報道や各種見解の発表が相次ぐ中で、「研究者の個人的見解」との前提ながら、これだけまとまったレポートを発表した関係者の「ご努力」に敬意を表しつつ、中国の春節休暇期間で、日本も土曜日である2月1日を公表日に選んだ関係者の「ご心労」にお見舞い申し上げます
さわりの部分を「つまみ食い」でご紹介

レポートの構成
●中国の外交・安保面での危機管理意思決定メカニズムを概観し、統一された意思決定が強く意識されていることを確認
●中国内の危機管理研究を踏まえ、思考過程と概念を検討
●上記を踏まえ、中国の危機発生防止と危機対応への姿勢に注目し、米中関係を事例に分析

前提となる認識
Kaikan66.jpg中国の危機対応は矛盾に満ちて、バラバラとの見方がある。例えば、南シナ海で執行機関が挑発的行動を取る一方で、外交部門が「良好な国際環境」を強調する等がこれに当たる。中央の指導者が十分に統制できていないとの見方である
他方、本レポートでは、中国は強硬と穏健な姿勢を巧みに使い分けており、それによって利益の最大化を図っているとの見方が実像に近いとの解釈を元に分析を行っている。つまり党中央の統制は効いており、矛盾するような要素も、中央の意図をかなり反映していると見る

レポートの示された「個人的」見解
China.jpg●党、軍、政府以外に、国有企業や地方政府や世論等もアクターになる多元化へ。しかし、政治局常務委員会による集権的な政策決定に変化なし
●ただ同委員会は集団指導体制であり、危機に際し迅速な意思決定を阻害する場合もある。PLAは決定の主体ではないが、情報提供や政策提言を通じ影響力
●習近平国家主席は、安全保障政策の指導体制の制度化を通じて、習主席の権力基盤を強化する
●昨年11月に新設の「国家安全委員会」は国家安全保障戦略を策定し、統一指導と政策調整の制度化を行うと推定

●昨年の海上保安機関の統合については、組織形態や権限関係は複雑で不透明な点が多いが、党中央指導部で海洋問題の重要性が認識されている
●中国は周辺海域での諸外国軍事活動対処を、軍でなく海上法執行機関にやらせることを決定。法執行機関との運用面での対応基準作りが課題
●一方、各機関の機能が一元化され、周辺諸国と中国との間で摩擦回避のための交渉が円滑に進む可能性がある

SouthChinaSea2.jpg●中国危機管理の特徴は3つ、「原則性と柔軟性の同時追及」、「正当性と主導性の追及」、「総合性と政治の優位」
●中国は基本的に危機管理において、主権や領土にかかわる問題には強硬な態度をとるものの、中国の立場が守られる限りは柔軟な行動をとる
●危機の責任は相手にあるとの姿勢で体面を保ちつつ、行動は積極的。軍事、外交、経済等の多様な手段を巧みに使い分ける傾向

2001年の米中軍用機衝突事案では、米に非があるとの原則を堅持の一方で、実際の対応で柔軟性も発揮これがモデルと想定されている
●しかし発生初期段階では、指導者間の意思疎通や各部門でのアクセスは確保できず。緊急時の連絡メカニズム確保が課題
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KJ-2000.jpg囲みコラムで取り上げた「中国シンクタンク」の分類や共産党幹部がシンクタンク等の専門家から学ぶ「集団学習」に関する紹介や、統合に向かう海上の法執行機関について紹介した図なども含まれています。

全部を読み通したわけではないの恐縮ですが、2001年の軍用機衝突事案を現在の危機管理を考える「ベース」にすることが出来るのか疑問です。
同衝突事案から10数年が経過し、中国の軍事力が飛躍的に向上した一方で、米軍がイラク・アフガンの影響もあり大きな変化が無いことを踏まえれば、中国が当時より強気な姿勢で出てくることは十分考えられます。

台湾周辺に派遣された米空母を2隻に沈黙せざるを得なかった当時の中国とは、実力面でも、思考過程面でも、大きく異なるような気がしますが・・・

また防衛研究所は2012年版の同レポートでも「軍は共産党の統制下にある」との見方を強調していますが、間違いとは言わないまでも、西側の文民統制レベルとは異なる点はもう少し強調されるべきかと思います。
最新のミサイルや艦艇や航空機を運用させるには「危ういレベル」の軍事組織であるように思うのですが・・

過去の「中国安全保障レポート」紹介記事
1回目:中国全般→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-19
2回目:中国海軍→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-17-1
3回目:軍は党の統制下か?→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-23-1

「中国」カテゴリー記事75本
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/archive/c2300801487-1

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