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CSBA:大量同時ミサイル攻撃対処を考察 [Joint・統合参謀本部]

CSBA-SALVO.jpg20日、CSBAが将来想定される敵からの大量同時ミサイル攻撃対処を考察する「Winning the Salvo Competition: Rebalancing America’s Air and Missile Defenses」とのレポート発表会見を行い、著者であるお馴染みの上級研究員Mark Gunzinger氏とBryan Clark氏が、問題認識等を語りました

Clark氏の「No silver bullet:快刀乱麻の対処法など無い」との言葉や、「system of systems:多様なシステムの組み合わせ」アプローチが必要との発言が示すように、また予算が厳しい中、あまり画期的な提言を期待すべき問題でもありませんが、安全保障上の基礎知識として概要の概要程度をフォロー致します

同CSBAレポートの問題認識
(CSBA紹介webページによれば)
過去15年間、米国防省は約2.5兆円もの投資をして弾道・巡航ミサイル等対処施策を行ってきたが、同時大量発射される誘導兵器対処能力は十分な状態にはない

CSBA-salvo2.jpg●この現状は、米国防省がイランや北朝鮮から発射される少数の同時発射弾道ミサイルや対艦誘導ミサイル攻撃を想定し、長らく高価な長射程地対空迎撃ミサイルに力を注いできたからである。
●また、米軍が精密誘導兵器を備えた敵と戦った経験が無いことも、(危機感の欠如を生み、)この様な状態にある原因の一つであろう

●しかし将来紛争においては、米軍事施設の限定的な防御態勢を大きく上回るような、大量同時の敵発射(陸海空発射)の誘導兵器を予期する必要がある
●本レポートは、米国や同盟国の精密誘導兵器対処能力を改善させるための「取り組みの議論」を含んでいる。
●また分析では、精密誘導攻撃能力を保有側とこれを防御する側の力関係を吟味し、防空&ミサイル防衛の運用コンセプトと能力構築の方向性を探る

23日付米空軍協会web記事によれば
CSBA-SALVO4.jpg●Gunzinger氏は「米軍は、敵が海外展開先を含む米軍基地を攻撃出来ないとの前提にとりつかれている」、「しかしそんな前提は誤りである」と警鐘を鳴らした
●著者達は本レポートで、ミサイルの大量同時攻撃に対しても、少しでも優位な立場に立つための提言を行っている

●例えば、米軍は戦力投射用の戦力を、敵のミサイル攻撃範囲外に分散して配置し、攻撃範囲内に置く場合は「cluster basing:多数の代替基地群」を構成する。敵が全てを攻撃できないぐらいに、我を分散したり代替基地を設けたりする
●また、敵が大量同時攻撃を発動する前に敵の攻撃能力を粉砕する攻撃を実施する準備をし、併せて防空&ミサイル防衛能力の強化を図る

あらゆるシステムの総動員が不可欠
●Clark氏は「system of systems:多様なシステムの組み合わせ」アプローチが必要だと述べ、加えて「No silver bullet:快刀乱麻の対処法など無い」とも現状の厳しさを訴えた
●同時大量発射の精密誘導兵器に対処するには、「kinetic防御装備」と「非kinetic防御装備」に加え、「戦闘管理の指揮統制システム」への整備が必要だと説明した

CSBA-salvo3.jpg●またClark氏は、国防省内にある「長射程迎撃ミサイル」や「BMD」への戦略的な「偏見:bias」、厳しい予算状況、更には不明確な責任分担が、大量同時ミサイル攻撃に備えるための変革に立ちはだかっていると問題認識を述べた

●また同氏は、海空軍アセットの生存性追求には多額の投資がなされているが、前線基地の生存性強化には必要な投資が向いていないと指摘した
●更に、迎撃ミサイルへの投資は近年増加していたが、興味深いことに現時点では低下傾向にある(と、既存の軍種の枠組みでは十分な理解と支援が得られないことを指摘した)
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各軍種の予算枠争いが激しくなると、航空機や艦艇や装甲車両など「支流派」の装備が優先され、「新参者」である防空&ミサイル防衛予算は推進力を失います。

何が脅威で、どのような対処が必要かではなく、各軍種が理屈をこねて、組織防衛や職域防衛を優先させるためです。Clark氏が「不明確な責任分担」と指摘していますが、誰も関わりたくないと「3歩下がって高みの見物」状態になっているのでしょう。

「概要の概要」でご紹介すると味気ないですが、ちらちら見ると、最新技術や考え方の提言が随所に有り、結構刺激を受けそうなレポートです
この研究レポートは米国防省への提言ですが、ミサイルの大量同時攻撃の最前線にあるのが日本ですから、日本に突きつけられた課題として捕らえるべきです!!!

BMD予算の悲哀
「アウェイ感漂うBMD予算」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-22

関連の記事
「CSBAが提言:弱者の戦法を」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2014-12-27
「陸自OBが陸自で航空優勢と」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-12
「ヨシハラ教授:日本版A2ADを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-18

「中国は全面戦争を招く日本攻撃をしない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-06
「慶応神保氏:台湾の劣勢戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-25
「森本元防衛大臣の防衛構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-09-05

両著者の共著レポート
「電子戦EWの革新は縦割り排除から」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-03

Clark研究員レポート等
「疲弊する米海軍艦艇部隊へ対策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-22
「PGM対処とその活用」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-24
「米の潜水艦優位が危機に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-13
「米海軍情報レポートに意見」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-27

Gunzinger研究員のレポート
「精密誘導兵器をどう扱う」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-24
「ビーム兵器に優先投資せよ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-20
「根本軍改革を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-21

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