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あの国防省のヨーダにインタビュー [安全保障全般]

marshall2.jpg12日付Foreign Policy誌web版が、国防省のONA(Office of Net Assessment)室長を40年以上勤めて2015年に引退したAndrew Marshall氏(96歳)へのインタビュー記事を掲載し、この年齢になっても国防省の現状を憂いつつ、9月に予定する新財団設立への思いを語る御大のご様子を紹介しています

メディア等に登場することがめったになく、またこの時代にパソコンも使用せず、メールは秘書的な人を会して間接的に週数回確認するだけとの人物ですので、貴重な機会と考え、前半で「国防省のヨーダ」と呼ばれたカリスマ的人物のご経歴を改めてご紹介し、後半で短いインタビュー部分を取り上げます

政権の異なる9代の大統領の下で勤務し、多くの有能な弟子を輩出し、政界や学会にも心酔する者が多い伝説の人物については、伝記「The Last Warrior」(CSBAのクレピノビッチ理事長(当時)とワッツ同主任研究員の二人の共著)が出ていますが、安全保障を語るうえでの重要人物ですので改めて・・・

12日付Foreign Policy誌はA.Marshall氏について
Marshall.jpg1949年にRANDで分析官としての仕事をはじめ、核戦略研究などでその深い知見を時の大統領補佐官キッシンジャー氏に認められ、1973年に国防省に移籍。ONA(Office of Net Assessment)の室長を42年間勤めて2015年に引退した
ONAでは、長期的視点での脅威分析、War Game、それら研究のスポンサーとして活躍し、ソ連の崩壊や中国の勃興を予測し、技術の発展による軍事の変革を予期し、RMA(revolution in military affairs)として訴えた

特にソ連に対する分析で、CIAなど当時のソ連分析の主流の見方に反対し、ソ連のGDPが過剰に評価され、ソ連の軍事支出が過小に評価されていると主張してソ連崩壊を予言し、後にCIAに誤りを認めさたことは広く知られている
●このような功績から、また表に出ない性格から、国防省の陰のロックスターとか、国防省のヨーダと呼ばれるようになった。

●そのような同氏を快く思わないクリントン政権時のコーヘン国防長官が、1997年にONAを国防省から国防大学に組織移転させようとした事があったが、議会と学会の支援者がマスコミを巻き込んでこれを阻止し、巨大官僚機構の中での存在感の大きさを内外に示した

Marshall.jpgラムズフェルド国防長官の下でQDRの取りまとめを任され、同長官の意向も踏まえ中国の脅威対応を大きく盛り込んだ原案が2001年にはほぼ完成していたが、911事案で対テロに大きく舵を切ることになったが、これをMarshall氏は中国に背を向けて「横道に脱線した」と表現し、その後も対テロについてはほとんど取り組んでいない
●また、実現はしなかったが、2014年に中国との紛争で西側の指揮統制システムが中国の重要目標となると予期してWar Gameを計画しているが、サイバー戦を初めてするITに対しONAとして関心を示さず、個人的にも関心が無く、知識も洞察力も無いと親しい弟子も証言している

●一方、中国やロシアに関するMarshall氏警鐘や取り組みの必要性は、トランプ政権になって再認識されるようになり、国家防衛戦略NDSでも中国を「略奪的な経済で主変国を恫喝」と表現するまでに至っている
●脅威分析に関する「博学の聖人」と称賛するシンパがある中、その考え方が時代の変化に対応していないとの批判もあるMarshall氏であるが、その意見が96歳の今でも大きな注目を集める人物である

●なお、Marshall氏が去ったONAでは、より短期的な問題への対応策を考えるテーマが扱われているという・・・

A.Marshall氏の発言:今の国防省について
marshall3.jpg●国防省がうまくやっているとは言えない。まず第一に、中国の脅威に気づいて対応するのがあまりにも遅すぎる
米軍はあまりにも(対テロに)多忙になっている。このような横道への脱線はベトナム戦争時にもあった。その結果、マスコミは国民の目を、ソ連の巧妙な中央欧州への投資や謀略から背けさせることになった

中国に関しては、我々は冷戦当時に対ソ連で行ったような分析を、今行っていなければならなかったと思う
●その分析というのは、10年以上をかけて特定の地域や脅威に関する第一級の分析結果が得られるようになった、対ロシアの分析のようなものである

A.Marshall氏の発言:9月設立の新財団について
今後10年間程度で米国が直面する戦略的な意思決定や選択に関し、考察や論文を書く人たちをより多く支援していきたい。
●まず最初にロシア脅威に関する分析プロジェクトを進める予定だが、現在、関係者に依頼して本分析に携わるに相応しい研究者たちを選定しており、それら候補者がどんな研究をしているか楽しみにしている
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Marshall2.jpgこのブログを始めた以降ではエアシーバトル構想をゲーツ国防長官に進言推奨し、ルトワック氏に「自滅する中国」(邦訳:奥山真司)の執筆を進めた事などを紹介してきましたが、国防省のみならず内外から安全保障関係者がその意見を聞きに訪れるという「伝説」の人物です

サイバーやITに関するお考えを是非伺いたいものです。でも、安易にツイッターなどSNSで発信していただくより、伝説の人物として、静かにご活躍頂きたいな・・・と何となく思います。

伝説の戦略家:A.マーシャル氏
「Andrew Marshall氏が引退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-10-18-1
「ハンブルグシナリオに学ぶ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-01-29
「Marshallとルトワック」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-17
「存亡の危機国防省ONA」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-10-16

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