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日本がF-35開発パートナー国入り要請も米は拒否へ [亡国のF-35]

防衛省局長のレターを米軍事メディアが入手
日本はトルコの抜けた穴を狙うのか
パンドラの箱を開けたくない米国は断る方向

F-35 partner.jpg29日付Defense-Newsがトップ記事で、日本の防衛省整備計画局長が19日付レターで米国防省Lord兵たん担当次官に対し現在は単なるF-35購入国である日本が、F-35の今後の改修計画を定め、部品製造などを優先して担う「F-35パートナー国」に加わることが可能か、またその条件等を質問してきているとの記事を掲載し、日本からのレターの内容を詳細に報じています

また米国防省側の対応として、日本は米国に次ぐF-35の大量購入国であるが、2002年に締め切っている「パートナー国9か国」参加の門を特例で日本に開くようなことになれば、同じF-35購入国レベルである韓国やイスラエルもパートナー国入りを要求してくる可能性があることから、日本の問い合わせに「No」回答をする方向だと紹介しています

ただ専門家は、米国に次ぐ数の147機を購入し、かつ米英に続き垂直離着陸型F-35Bと空軍型F-35Aの2タイプを運用する重要な同盟国である日本には、パートナー国入りには「No」でも、何らかの特権を与える可能性も指摘しており、この辺りが落としどころなのかもしれません・・・(邪推です)

仮にパートナー国になれるとしても、他のパートナー国9か国が支払い済みの開発協力金を日本も求められるでしょうし、F-2後継機の国産を狙う防衛省の姿勢に横やりや影響が避けられないとの見方もあり、猛暑の中のぼんやり頭では目が回りそうですが、とりあえず論点満載の鈴木敦夫・防衛省整備計画局長からLord次官へのレターと関連議論をご紹介しておきます

29日付Defense-News記事によれば
F-35 partner4.jpg●Defense-Newsが入手した19日付鈴木局長のレターは、「日本はパートナー国になるオプションがあると信じているが、Lord局長は可能性があるとお考えか伺いたい」、「またパートナー国の責務と権利、また必要な経費負担、更にパートナー国になる条件や手続きや必要な時間についてご教授いただきたい」、「ご教授いただいた諸条件を検討し、パートナー国になるための手続きを進めるか最終判断をしたい」と要望している
●またレターは「パートナー国に加わることで、今後の開発や部品供給プロセスに参画することに加え、国民への説明責任を果たすための安全に関する情報を(迅速に)得るニーズに対応可能と考える」、「国防省F-35計画室への防衛省からの人員常駐派遣による情報へのアクセス確保」にもつながるとも記し、日本でのF-35墜落事故に際し、パートナー国に対するよりも情報提供が遅れた可能性を示唆している

●米国防省のF-35計画室を配下に持つEllen Lord兵たん担当技官は、29日の週に日本側関係者と面談する予定があり、本レターに関しても話題になるとみられているが、日本側にとって良い回答は得られないだろう
公式にはLord次官から回答がなされるが、実務を取り仕切るF-35計画室報道官は、2002年7月15日にパートナー国募集は締め切っており、オリジナルの投資国であるパートナー国9か国(Australia, Canada, Denmark, Italy, the Netherlands, Norway, Turkey, the United Kingdom and the United States)に変更はないと語り、2007年に9か国が署名した覚書でも、開発フェーズに参画したパートナー国のみが、製造、維持、近代化改修フェーズにも参画できると明確に規定している

F-35 partner2.jpg元F-35計画室勤務者は、トルコが露製S-400導入でパートナー国から除外され、トルコの部品製造分担契約が来年春には終了する中、147機も購入する日本がパートナー国入りを要望するのは自然な動きであり、過去の経緯を見直す良いタイミングだと語っている
●また航空専門家は、日本に三菱や川崎重工やスバル等が存在することを考えれば、部品供給を担っても大きなリスクはないとみている

●一方で状況を知る関係者は、ペンタゴンは日本に特例を与えることが「パンドラの箱」を開くこととなり、日本にライバル心を持つ韓国や、米国とのパイプが太いイスラエルが同様の要求を持ち出すこととなり、今後の機能向上や部品製造分担議論や複雑混迷になることを懸念している。なお現在の購入国はIsrael, South Korea, Belgium、日本で、これにFinlandや Singaporeが加わる可能性がある

●航空専門家のRichard Aboulafia氏は、日本が2013年から稼働させているF-35最終組み立て施設FACOを2022年度で閉じる決断をし、なおかつレターで「パートナー国が既に多大な経費分担をしている」事に触れ、パートナー国入りのための経費負担を覚悟している様子から、部品製造割り当て確保より、「Block 4」など将来のF-35能力向上に積極的に関与したい思いが強いのではないかと推測している
F-35 partner5.jpg●更に同氏は、日本がF-2の後継機として2030年代運用開始の国産機開発に着手しているが、F-35計画への参画により、F-2後継機開発に生かせる情報を得ようとしているのではないかと日本の狙いを推測している

元F-35計画室関係者は、「これは国防省がプレーする必要がある、極めて興味深い政治的フットボールだ。大きな政治的決断を迫るものとなる」とコメントしてくれたが、日本のパートナー国入りを認めることによる「パンドラの箱」オープンのリスクは負えないことから、米国防省に可能なのは、日本に購入機数に応じた何らかの特権を提供する程度で、他国(韓国やイスラエル)に壁を示すことだ
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日本が名古屋三菱のFACO(最終組み立て検査工場)の運用停止を決断したのは、名古屋のFACOで組み立てると、いろいろ追加経費が必要で、米国直輸入より価格アップになるからです。

従来の40機程度の購入であれば耐えられたが、追加で100機購入を判断したタイミングで国内FACOをあきらめたのはコスト増に耐えられないとの判断ですから、これをもって日本が部品製造に興味がないとは判断できないと思います

19日付のレターへの返事が、これだけ重い問題で今週のLord次官と日本関係者の会談で得られるのか不明ですが、日本が本当に「亡国のF-35」と心中する覚悟を固めたような雰囲気ですので、とりあえずフォローしておきます

細部は、鈴木敦夫・整備計画局長にお尋ねください。
それから、当日Defense-Newsのもう一つのトップ記事も日本関連で、「批判の中でも日本のイージス・アショアは引き下がらない」でした・・・。

F-35の関連記事260本
https://holyland.blog.so-net.ne.jp/archive/c2302846744-1

亡国のF-35記事いくつか
「米国はトルコをF-35計画から除外へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-17
「F-35能力向上で次世代戦闘機選定に名乗り」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-22
「米空軍F-35の維持費削減は極めて困難」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-03
「ALISは依然大きな障害」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-02

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初めて中国企業も推計:世界の軍需産業Top100 [安全保障全般]

米企業がTop3も、Top15に中国企業が6つも
米英共同チームが苦心の中国企業推計

100 Top.jpg22日付Defense-Newsが、2001年から毎年集計発表している「世界の軍需産業トップ100リスト」を公表し初めて中国企業を含めたランキングを作成して話題を集めています

西側企業の場合は、ロシア企業も含め、企業活動に関する情報開示が行われていますが、兵器製造に当たる中国企業の多くは巨大国営企業であることから情報開示が十分ではなく、その推計にDefense-Newsと英国IISS合同チームは苦労したようです。

厳密に西側企業と同レベルで収入(defense revenue)が把握されているかは疑問符もありますが、この点について合同チームは以下のように説明しています

J-31 2nd4.jpg●中国巨大国営企業の推計に当たっては、民生部門と軍需部門の売り上げを区別することが大きな課題だったが、各巨大国営企業の数百の下請け企業まで追跡し、各下請け企業が民需か軍需かを見極め、配分を推計した
●全体8位のChina North Industries Group Corporation Limited(Norinco)のみが民需と軍需を分けて情報開示していることから、上記手法をこのNorincoに適用して手法の正確性を検証したところ、Defense-Newsと英国IISS合同チームの手法で導いた数値と公開数値がほぼ一致することが確認でき、手法の確度を証明できたと考えている

リストからトップ15とその2018年軍需収入額は

1 ロッキード  5.5兆円
2 ボーイング  3.7兆円
3 ノースロップ・グラマン 2.7兆円
4 レイセオン  2.7兆円
5 Aviation Industry Corporation of China  2.6兆円

6 GD  2.6兆円
7 BAE システム 2.4兆円
8 China North Industries Group Corporation Limited  1.6兆円
9 エアバス 1.5兆円
10 China Aerospace Science and Industry Corporation 1.1兆円

11 China South Industries Group Corporation  1.1兆円
12 China Electronics Technology Group  1.1兆円
13 Leonardo (イタリア) 1.1兆円
14 China Shipbuilding Industry Corporation  1.05兆円
15 Almas-Antey (ロシア) 1.0兆円

トップ100のリストは
https://people.defensenews.com/top-100/ 

22日付Defense-Newsはトップ100リストを眺めて
China Aircraft Ind..jpg試算した中国の主要な巨大国営軍需産業の収入合計は約11兆円で、これを超える米国軍需産業合計に次ぐ第2位である。またこの額は欧州全域の軍需産業収入合計とほぼ同額である
●分析したIISS研究者によれば、中国企業は大きなプレーヤーだが、世界市場でどれほど大きいかはよく吟味する必要がある。世界の国々は米国製か中国製兵器選択を迫られることになるが、近い将来において現在米国製を使用している国で、中国製に乗り換えるたいと考えている国はない

中東諸国で中国製無人機を導入したとの事例はあるが、中国企業は(技術流失を恐れて)輸出を制限している
中国軍需企業の納入先の大半は中国軍向けで、輸出は大部分バングラデッシュ、アルジェリア、ミャンマー、パキスタンに限られ、パキスタン向けが輸出の36%を占めている。これは中国との共同開発戦闘機JF-17の生産によるものである

Luyang III 052D.jpgロシアや欧州の軍需産業は企業存続のため輸出する必要があるが、中国や米国企業は国内市場で生き残れる。また米国が世界各国に中国製兵器の導入規制を課しているため、中国企業は当面中国市場に焦点を絞らざるを得ない
●仮に中国企業の輸出による影響を懸念するとしたら、それはロシア企業だろう。ラテンアメリカやアフリカ諸国は予算が限られることから低コストの兵器を求めており、中露が市場を争う可能性がある

中国軍需企業の鍵となる弱点は3つある航空機エンジン、艦艇推進システム、戦闘コントロールシステムの3つである。これら分野でのテコ入れのため、国を挙げた開発センターを整備したり、外国企業と協力体制を構築したりしている

Liaoning-Dalian.jpg中国大規模企業の合併も政府が主導して進めている。米国では、軍需産業の合併は競争機会の喪失や開発コスト増大の元凶とみられることが多いが、中国は政府監督による統制があり、シナジー効果やイノベーション促進、重複部門の効率化などを期待する見方が多い。
●かねてから噂の「China State Shipbuilding Corporation」と「China Shipbuilding Industry Corporation」の合併が成立すれば、本リストの9位に相当する巨大造船企業が誕生することになる。中国海軍は、今年前半だけで11隻の戦闘艦艇を就航させるが、当面旺盛な艦艇建造を効率化する狙いがあるようである
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Defense-Newsと英国IISSの合同チームとは柔軟な組み合わせです。米軍事メディアと英シンクタンクが協力し、このような基礎的なデータ集計を行い、分析を提供するとは大したものです

この辺りが安全保障研究における伝統の重み、懐の深さ、基礎研究を怠らない足腰の強さなのでしょう。

トップ100リストは、2000年のデータ分析結果まで遡ってご覧いただけますので、色々な視点で眺めて見てはいかがでしょうか。

トップ100のリストは
https://people.defensenews.com/top-100/ 

米国軍需産業の分析レポート
「2019年版 米国防省軍需産業レポート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-28
「2018年版レポート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-26-1

艦艇の修理や兵たんの課題
「米艦艇建造や修理人材ピンチ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-24
「空母定期修理が間に合わない」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-09
「優秀な横須賀修理施設」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-05
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激震!次期ICBM選定からボーイング怒りの撤退 [米空軍]

現有ミニットマンⅢ製造企業が不満一杯決別レター
16日に提案要求書が出た直後に

Caret Boeing.jpg23日、ボーイング社の軍事部門CEOであるLeanne Caret(ボーイング全体の副社長)女史が米空軍に対し、16日に米空軍から発出されたばかりのGBSD(次期ICBM)提案要求書RFPが不公平な内容だと書簡で訴え、ボーイングとノースロップ・グラマンの2社のみが対象の機種選定から撤退すると怒りを爆発させました

先日ご紹介したように、次期ICBMであるGBSD(Ground Based Strategic Deterrent) は2017年8月に候補企業を2社に絞り込み(ロッキードがこの時点で脱落)、2社にそれぞれに約370億円を提供して基礎研究をやらせ、2018年後半から提案要求書RFPの内容を両企業の意見も聞きながら検討してきたものです

GBSD3.jpg米空軍協会機関紙が入手したボーイングから空軍への書簡は、提案要求書の内容が一方の企業に有利になりすぎていると懸念を伝えてきたのに改善されておらず、このような不公平な形での機種選定に多大な労力を投入するのは無駄だ、と訴えているようです

米空軍や国防省としては、2社が争って競争原理が働くことを欲しているのですが、一方で2社共同提案もOKするとの狭い業界の複雑な内部事情を示唆するような姿勢でもあり、ボーイング側も真に撤退を決断したものか、これを機会に提案要求書を有利に書き換えさせようとしているのか疑わしいところで、魑魅魍魎(ちみもうりょう)の住む米軍需産業界の底知れぬ世界を垣間見る気分です

25日付米空軍協会web記事によれば
●米空軍協会が入手した23日付のボーイングから米空軍への書簡には、「GBSDの設計製造開発フェーズの計画は、2社の提案が公平に競争できる環境を提供していない>」、「(昨年からの企業意見聴取を踏まえた)修正RFPも、完全に公平でオープンな競争の条件を満たしていない」との言葉が並び、現有ミニットマンⅢ製造企業であるボーイングはGBSDに提案しないと記されている
Caret Boeing3.jpg●ボーイングは、競争相手であるノースロップ・グラマンが米国に2社しか存在しないロケットエンジン製造企業(Aerojet RocketdyneとOrbital ATK)のうち、Orbital ATKを2017年9月に買収したことで公正な競争環境が損なわれたと当時から訴えていた。

●ちなみに、Orbital ATKがノースロップに買収される前は、ボーイングとノースロップ・グラマンは両方とも、2つのロケットエンジン企業両方と取引を行っていた

ボーイング軍事部門CEOのLeanne Caret女史は、「政府機関にこの不公平の是正を訴えてきたが、企業間の競争を妨げ、スタート時点からコスト・資源・システム融合の面等で不公平にノースロップ側に有利な状況改善に、何ら対策が打たれていない」と訴えている
●また同CEOは、買収されたノースロップ配下の企業が、ボーイングにも同等に固体燃料ロケットエンジンを確実に提供するか政府機関が確認する必要があるが、米国政府のいかなる機関にもそのような動きが見られないと指摘している

GBSD2.jpg米空軍は2社が共同で提案することも認めているが、ボーイング側は「ノースロップ側が最初から持つアドバンテージへの対応がとられない限り、単独提案であれ、共同提案であれ、ノースロップ側に不公正に有利なことに変わりはない」、「既に始まっている競争の中で、これから5か月で共同開発を提案するのは非現実的だ」と突っぱねている
●そして、(米空軍から提供された約370億円の基礎研究費の成果を含む)ボーイングのミサイル技術は、他の分野への応用を検討する、としている

●国防省はGBSD開発の経費管理を厳格にするため、モデリングやシミュレーション技術を駆使して対応する予定だが、米議会のGBSD賛成派でも2社からは詳細な情報提供を求める声を上げているほか、反対派にはミニットマンⅢ延命を求める声やICBM自体の存在再検討を求める声がある
米空軍報道官は、現時点では選定は継続状態にあると述べ、ボーイングの撤退決定についてはコメントしなかった

専門家は米空軍は難しい選択を迫られていると述べ、ボーイングを再び選定に参加させるために提案要求書の修正をしてGBSD計画全体を遅らせるリスクをとるか、ノースロップ単独で進めて競争欠如によるコスト上昇のリスクを負うかの選択だと説明した
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Caret Boeing2.jpgボーイングの軍事分野CEOであるLeanne Caret女史は1966年生まれの53歳。父親もボーイング社員で、カンサス州立大学卒業後からボーイング一筋で、ボーイング軍事宇宙分野の売り上げ約30兆円をけん引する人物です

KC-46Aの開発トラブルが続き、完成機内部の隙間から放置された工具や部品が多数見つかり、5000億円近くの経費超過を出しつつも、フォーチュン誌とブルームバーグが発表する「Most Powerful Women50」等に選ばれるなど、剛腕ビジネスウーマンとして名を馳せている方です

負けてもタダでは終わらないということなのか、長期間にわたる安定したドル箱ICBM契約を何としても勝ち取るための泥沼戦略なのか、今後も生暖かく見守りたいと思います

ICBM後継に関する記事
「提案要求書RFP発出」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-18
「次期ICBM(GBSD)企業選定」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-27-1
「初のオーバーホールICBM基地」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-15
「ICBM経費見積もりで相違」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-26
「移動式ICBMは高価で除外」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-16
「米空軍ICBMの寿命」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-16
「米国核兵器の状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-25-1

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飯塚恵子著「ドキュメント誘導工作」を読む [ちょっとお得な話]

SNS使用の世論操作からサイバー戦までを包含
豊富な事例と専門家へのインタビューで平易に解説
非常に示唆に富む日本に欠けた視点を提供

iiduka.jpg6月10日に中公新書ラクレから出版された、読売新聞の飯塚恵子さん(欧州駐在編集委員)による「ドキュメント誘導工作」を読んでおります。

米国で大規模な捜査が行われた2016年大統領選挙や英国のEU離脱国民投票へのロシアの関与と、その背景にある心理学とビックデータ解析を活用したSNSを通じた新手の大衆心理操作技術を皮切りとして、様々なタイプの「influence operation::誘導工作」事例をサイバー戦やAI技術を絡めて取り上げ、関係者への豊富なインタビューも交えて紹介した新書です

著者の飯塚さんは、早くから政治部記者として外務省や防衛庁や沖縄を担当し、フレッチャースクールやブルッキングス研究所で修士課程や研究員生活を経験した安全保障に明るい人材で、政治部デスク、アメリカ総局長、国際部長など新聞の要職を歴任した読売新聞の大黒柱的存在で、2017年からロンドンで現職についておられます

約300ページからなる新書ですが、そこに描かれている最新の「誘導工作」情勢は、のほほんと日本で暮らすまんぐーすには「震撼もの」で、終了したばかりの参院選や韓国への3品目輸出管理強化を発端とする各種報道やネット情報の動きを見ながら、空恐ろしいものを感じている今日この頃です

iiduka6.jpgさすがに新聞記者の筆によるだけあって、ITやSNSやサイバー研究者の説明にありがちな、難しい専門用語や略号の乱発による難解さはほとんどなく、専門知識がない一般読者を意識した丁寧な構成となっており、事例や専門家へのインタビューをうまく組み合わせて飽きさせない工夫や配慮が感じられる書籍となっています

一方で、下の目次からご想像頂けるように、内容は豊富で新書サイズからあふれ出そうな印象です。それも2014年のロシアによるクリミア併合以降の事象が中心で、春に調査報告書が出たばかりの2016年米大統領選挙関連の事例など、日本で知られていない報じられない事項ばかりで、直ぐに「おなかがいっぱい」になる内容の濃さです

目次から内容を想像頂きたいのですが・・・
第1章 英国の国民投票、米大統領選挙で起きたこと
第2章 誘導工作とは何か
第3章 ロシアの脅威
第4章 反撃に出た西側社会
第5章 中国の脅威
第6章 狙われる日本
第7章 次の試練 欧州議会選

以下では、本書の第1~2章の中から、幾つかの個所をピックアップし、皆様のご参考に供します

iiduka3.jpg2019年2月18日、英国のEU離脱国民投票における情報操作や世論誘導が行われたか等を調査した英下院の報告書が発表されたが、この報告書が憂鬱なのは、民主主義に対するこの種の攻撃の特効薬が、当面見つかりそうもない、ということが報告書からじわじわ伝わってくるからだ
●なおこの最終報告には、2018年8月の中間報告書へのアクセスについて、6割が海外からの閲覧アクセスだったが、その半数がロシアだったことが興味深いと記されている

心理学者は、人の人格を5つの特性、誠実性、外向性、協調性、神経症傾向、開放性から推定できると突き止めていたが、研究のための膨大なデータをどう集めるかが課題だった。しかしケンブリッジ大の学生がFacebook用の性格診断アプリを作成したところ、予想に反して数百万規模のデータが集まってしまい、様々なFacebook上の行動とその人の特性に関する分析が可能になった
●この学生の学部の教員がこの話を聞きつけ、米大統領選挙や英EU離脱国民投票で世論誘導をリードした、CA(ケンブリッジ・アナリティカ)に情報を横流しし、FacebookはCAに8700万人分の利用者データを売ったなおこの教官はロシアの大学を通じ、ロシア政府から研究助成金を受け取っていた

iiduka5.jpg8700万名もの個人に関するビックデータにロシアがアクセスし、米大統領選挙や英EU離脱国民投票に際し、世論誘導や攪乱に悪用したのではないかとの疑惑がある。CAは会社として既に解散したが、務めていた技術者は似たような別の企業に移り、何事もなかったように活動している

●2017年まで英国の政府通信本部GCHQの長官を務め、1万人以上を率いて情報収集を行っていたハニンガムは、「今、私たちにかけているのは、地政学や戦略と、サイバーやIT分野の両方に詳しい人材なんです」とRUSIでの講演で訴えた

●「誘導工作」の2つのタイプ。一つは中長期的な時間軸の世界で、世論操作や選挙介入を起こすタイプ。もう一つは瞬間的な事象で、ハッキングやウイルス感染等で、インフラに障害を与えたり、イベントを混乱させたりするタイプである

●誘導工作を含むハイブリット攻撃への対策の第一歩は、自らの社会の「脆弱ポイント」を把握することで、例えば、地理的な近さ、政治・経済・宗教・文化などを巡る対立や論争、SNS依存による世論の分極化、エネルギーなど資源の外国への依存などが、脆弱ポイントになる

iiduka4.jpg中国はロシアより、更に幅広く、組織的、長期的視野でやっているように見える。「一帯一路」構想など典型である。しかし現時点では、中国がビックデータをもとに、どの様に国際的影響力を行使しようとしているのか、西側でははっきり理解できていないのではないか

対策が進んでいる国はどこか? 英国はかなり進んでいる。各省庁の連携が緊密だ。官僚に対する教育も充実している。一方、ドイツやフランスは始めたばかりだ。対策面では、ロシアと対峙している東欧の国の方がかなり充実している

以上はあくまでも、第1~2章のほんの一部です・・
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飯塚恵子さんとは、10年ぐらい前に初対面で立ち話程度のお話ししたことがありますが、自分のことではなく、行動を共にされていた部下をよろしくお願いします・・・とお話をされていたことが印象的な方でした

そりゃそうですよね・・・そうでないと男社会の新聞社で、政治部デスク、アメリカ総局長、国際部長なんか勤まりませんよ

まんぐーすも現在読書中ですが、「ドキュメント誘導工作」(中公新書ラクレ 820円税別)と、飯塚恵子さんをお勧めいたします



飯塚さん関与と邪推する読売「日本への提言」シリーズ
「ルトワックが日本に中韓関係を助言」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-17
「CSBAがエアシーバトル最新状況を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-15
「ヨシハラ教授:日本もA2AD戦略を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-19

書籍のご紹介記事
「究極のインテリジェンス教科書」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-22
「将官OBが政治と軍事の関係を」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-19
「司馬遼太郎で学ぶ日本軍事の弱点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-01
「イスラエル起業大国の秘密」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-20
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米軍が医療関係者を約14%削減へ [Joint・統合参謀本部]

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軍医を削減すると、治療機会が増えて技量が向上するとか
看護師、医療技術者、メディック等を含めての削減です

medical soldier.jpg今年1月と7月10日付Military.com記事によれば、この夏の2020年度予算案審議で米議会が認めれば、米軍は2021年度から数年かけ現在米軍に約13万人いる医療関係者(以下では軍医等という(歯医者、看護師、医療技術者、メディック等を含む)の約14%に相当する18000名を削減し、一部は民間医師に置き換えられるものの、多くの人員枠は前線の戦闘職やその支援職域に再配分されそうです

大胆です! 医師免許を持った軍医さん等ですから、民間での職探しはハードルが高くないとは思いますが特定の職域を狙い撃ちにし、14%もの削減を断行するとは軍医たち等がよく了解して案をまとめたものです

medical soldier3.jpg今、例えば米空軍では、一部の軍牧師や音楽隊員等の特殊な職種を除き、一律にどの職種でも昇任の速度や比率が同じ程度ですが、必要で負担の多い、又は有能な人材確保が困難な職域の昇任速度を速めたり、昇任比率を高めたりする大きな改革を検討しているということですが、国防省全体の大きな人材確保の変革の一つなのかもしれません

でもこれだけの削減をすれば、「医療の質の低下」問題が大きく取り上げられそうですが、「軍医等数を削減すれば、一人当たりの診療や手術機会が増加し、医療の質が向上する」との理論が堂々と展開されており、基礎データを踏まえての論理展開なんでしょうが、日本のお役所からは決して出てこない説明ぶりにびっくりです

議会の審議も、やるかやらないかの議論ではなく、どの様にどの程度削減するかに論点があるようですから、この夏の決着に注目しつつ、今年1月10日の記事と7月10日の記事からご紹介します

今年1月10日付記事によれば・・・
●(今年1月当時の)検討状況に詳しいある高官によれば、17000名と言われている軍医等削減の軍種別数は、陸軍が7300名、海軍(海兵隊含む)が5300、空軍が5300名である。
もちろん反対意見もあり、匿名の軍医は「もし軍の医療の質を下げ、医療体制を荒廃させる目的なら、この軍医等削減は正しい方法だと思う」と述べ、米軍士官協会の医療担当の退役大佐は、特に若い軍人家族がお世話になる産婦人科や小児科への影響が懸念されており、議会での決着に注目していると訴えている

medical soldier4.jpg●一方で本削減計画を担当する高官は、各軍種とやり取りして実態を確認すると、現在の医療ニーズに必要な軍医等数より多いポストが配分されており、戦場で必要のない技量がスタッフが保有されていると分析している
●また別の視点として、「軍医等数を調整することで軍医一人当たりの診療負荷を適切レベルにし、医師の技量を向上させることで医療の質を向上させる」とも同高官は表現している

●別の国防省の高官は、軍医削減の背景理由に同意したが、具体的な削減人数等については言及を避けた。ただ過去1年間の削減検討について、統合参謀本部やDHA(Defense Health Agency)、国防省のコスト分析室等が協力して実施したと説明し、米軍医療改革の一つに過ぎないとも表現した
そもそもこの削減を含む改革は議会が2017年に検討を命じたもので、軍医を民間医師に置き換える方策検討も議会からの検討提案に入っている。ただし、大規模に軍医を民間医師に置き換える予算の裏付けはなく、効率的で効果的な改革が求められている

●軍医等削減に関係する担当スタッフは、「特定のサービスを提供する人の数が減少したとしても、ケアの低下を招くものではない」、「医療の世界では、手順を踏んた回数が多いほど、その手順に関する腕は高くなる、が真である」と明確に述べた
●しかし、イラクやアフガンでの戦いが下火になりつつある今は可能でも、新たな戦いや現戦いの再燃により、軍医等の需要は容易に爆発するとも考えられ、そんな場合は国内医療機関と前線の両方を支える余裕はなくなると危惧する高官もいる

7月9日にDHAの担当少将は
medical soldier2.jpg●(米軍軍医等の約14%弱に当たる18000名ともいわれる)削減の細部については、申し上げる段階にはない。米議会で審議頂いている2020年度予算案が決定されたとき、はじめてその結果により決まるものだ
どの医療機関のどのポストが削減されるかは、それぞれの施設の置かれた状況により異なり、「軍病院ネットワークからの支援が受けられるか? 軍医を削減したポストに文民医師を採用する必要があるか? などなど、何がベストな対応かを評価している

●ただ、削減対象となっている軍医等ポストの1/4は現在空席となっているポストである。また医療機関を利用する軍人や家族には、何が問題で、どの様にしてほしいかを積極的に訴えてほしいとお話ししている。DHA担当者がおり、軍医療機関を如何に効率化するかを考えていく
2017年に米議会から指示されている、この人員削減を含む軍医療機関の統合や統合化に関する進捗状況レポートを、今年の夏に提出することになっている。
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何ともコメントが難しいのですが、特定の職域に対し、これだけの改革を断行できる組織の力には感心します。

若手の軍医に中には、早く軍医勤務からトンずらして、一般社会の医師としてのんびりやりたい、又は技量を磨きたいと考えている人が多いかもしれません。

是非、米軍内の一般職域の兵士のコメントを聞いてみたいものです

人事施策に関する記事
「嘉手納整備員は若手ばかり」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-03
「整備員3400名が不足」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-11-1
「米空軍機の稼働率が異常低下」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-02

「再雇用枠を大幅拡大」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-25
「下士官パイロットの役割拡大は」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-19-3
「F-35操縦者養成部隊の苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-12-3

「死因一番は自殺」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-12-1
「海兵隊司令官:生活を見直せ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-08
「空軍士官学校の性犯罪対処室が捜査対象」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-04 

「人事改革第2弾」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-10
「追加策:体外受精支援まで」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-29
「全職種を女性に開放発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-05
「企業等との連携や魅力化策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-19
「施策への思いを長官が語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-25

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国防省がデジタル近代化戦略を発表 [米国防省高官]

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多方面カバーの「Digital modernization strategy」

Digital Strat.jpg15日、米国防省のCIO(Chief Information Officer)であるDana Deasy氏が会見し国防省が取り組む人工知能AIからサイバーやクラウドまでを広範にカバーする新戦略「Digital modernization strategy」を発表しました

約70ページのがっちりしたもので、ただでさえIT分野に弱いまんぐーすが読んで理解できるわけもないのですが、4つの重要分野である「Pentagon-wide data storage cloud」、「artificial intelligence」、「command, control, and communications」、「cybersecurity」を包括する戦略で、21世紀の戦いを支配しそうな分野でもありますので、表面を撫でる程度にご紹介いたします

短い記事の紹介で、具体的な中身が全く想像つかないかもしれませんが、「Digital modernization strategy」との言葉と、CIOであるDana Deasy氏の名前を覚えておいていただければ幸いです

15日付米空軍協会web記事によれば
Deasy2.jpg●上記4つの重要分野に狙いをつけた戦略であるが、数十個の目標の中には、統合AIセンターや対話ソフトセンターで進められている革新技術開発を促進し、国防省全体の情報関連機関の能力と効率性を向上させ、ネットワーク保全を高め、関連デジタル技術者を活性化する等が含まれている
●国防省は、膨大なデータ管理とネットワーク維持&保全の重要性を認識し、約5.5兆円のIT関連予算をより効果的に管理することを表明しているが、15日発表の同戦略は、国防省が4軍を取りまとめて進める全世界カバーの「クラウド」データシステムや、他のITサービスへの円滑な移行を狙ったものである

●同戦略は、「将来の国防省が使用するデジタル環境は、切れ目なく、機敏で、打たれ強く、透明性が高く、インフラやサービスが安全で保全されたサービスを提供し、国防省の情報優位を更に進め、任務パートナーとの情報共有がシンプルにできるようなものであるべき」と表現している
Deasy3.jpg●色々な観点で、本戦略は米空軍が現在取り組んでいるITやデジタル分野での取り組みと似た部分が多く、空中アセットで収集されたISR情報の分散共有や、国防省による電子戦指揮統制の拡大、更に革新技術のより迅速な取り込み等にも狙いを定めている

●現在、国防省や米軍内部ではあちこちで、AI、ビッグデータ分析、ブロックチェーン、量子コンピュータ、5Gネットワーク、インターネット等々が議論されているが、CIOであるDana Deasy氏は15日の発表会見で、将来飛躍的発展を遂げるであろうクラウドやC3ネットワーク分野などで成果を最大限活用することを狙っていると語った
●また関係者は、本戦略遂行に必要な人材を確保するため、人材採用担当官が民間企業と条件面で競争力を持てるよう、報酬面等で戦える条件提示ができるような取り組みを進めているとも説明した
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この戦略がどの様な背景や性格を持つものなのか把握していませんが、国防省内での熾烈な資源配分争いを統制する役割を果たすよう期待いたします

Deasy.jpg約1ページの短いサマリーがついていますが、色々な関連機関や諸課題への方向性を示したものだと記載されているような気がしますが、その深遠な意味を解釈する能力がありませんので、ご興味のある方は是非のぞいてみてください。

サイバーも電子戦も情報収集配分も、ネットワークの防御保全までをカバーする戦略です。読む価値があるのでしょう・・・(他人事のように語る)

同戦略の現物
https://media.defense.gov/2019/Jul/12/2002156622/-1/-1/1/DOD-DIGITAL-MODERNIZATION-STRATEGY-2019.PDF

関係あるかも記事
「米空軍がISRとサーバーEW統合へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-06-3
「初代サイバー司令官は日系」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-17
「大活躍整備員から転換サイバー戦士」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-26-3
「サイバー戦略がもたらすもの」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-11-02
「中露のAIでの野望を語る」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-28
「サイバー時代の核兵器管理」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-02
「人材集めの苦悩」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-31
「装備品のサイバー脆弱性に対処」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-02
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米空軍が次期ICBM(GBSD)の提案要求発出 [米空軍]

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2020年末に担当企業を決定
2020年代中頃に部隊配備目指して

Minuteman III 4.jpg16日、米空軍はボーイングとノースロップ・グラマン社に対しMinuteman IIIの後継ICBMとなるGBSD(Ground Based Strategic Deterrent) の設計・開発・配備(EMD:engineering, manufacturing and development)に関する提案要求を発出しました

次期ICBMの企業選定については、2017年8月に候補企業を上記2社に絞り込み(ロッキードが落選)、2社にはそれぞれ約370億円を提供して、設計や開発リスク低減のための提案準備検討を行わせていたところでした

GBSDに対する具体的な要求事項は全く不明で、CEPの大幅向上が含まれるとのうわさはありますが、性能とコストのバランスを追求するとの今どきの選定方針が目立つ形となっていますが、提案要求を受けいつまでに2社が提案を提出するか不明ながら、2020年の第四四半期には担当企業を決定する予定となっているようです。

現在の核抑止の一角を担っているMinuteman IIIは、1960年代に配備され、50年以上の運用期間中に最低限のアップグレードや延命措置を受けただけで今も使用されており、Ellen Lord調達担当次官もこれ以上の延命余地なしと断言して最優先事業扱いしているところです

17日付Defense-News記事によれば
GBSD3.jpg●17日、米空軍核兵器センター司令官で戦略兵器プログラムの担当将官のShaun Morris空軍少将は、GBSDの最初の第5ロットの設計・開発・配備(EMD)提案要求書を発出したと発表し、脅威環境や技術的変化の激しい中、これら課題に適応して対処可能なものを目指していると説明した
●提案要求で求めている性能については非公開として言及しなかったが、同少将は「提案全体を包括して優れている方を採用する」と表現し、コストと能力の両方のバランスを評価することを強調した

●今回の選定は第5ロットまでの提案の評価だが、GBSD全体の経費規模は10~11兆円と言われてきた。ただ、国防省のコスト評価局の最新の見積もり結果は公開されていない
GBSD2.jpg●GBSD担当の大佐は、「我が部署のメンバーは、全ての要求事項のコスト分析をシミュレーションやモデリング技術を用いて行って適切な要求値設定を行い、今後の設計、開発、配備段階の審査や監督においても、予定通りの進行を確保する」と事業管理への決意を語った

●米空軍Global Strike CommandのTimothy Ray司令官は4月に、GBSDは配備開始当初にミサイル格納サイロの改修やインフラ整備費のため1発当たりの経費が大きくなるが、2社の競争提案により、トータルコストは大幅に引き下げられるだろうと期待を示していた
●また維持整備経費についても、最近の様々な国防省全体での削減検討の成果を生かし、ライフサイクルコスト削減につなげたいと語っている
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勉強不足でGBSDへの要求事項について語れませんがICBMの試験や評価は非常に大変らしいです

GBSD4.jpg3年前の記事では「匿名の国防省高官は、GBSDの試験&評価プロセス、つまり次期ICBMの試験評価は史上最大で、F-35以上になる可能性があると語った」、「またICBM試験の難しさは、着陸回収できないことにあると表現し、海面に着弾させて破壊されてしまうからだとも述べた。そのため実試験までには、膨大で精力的なシミュレーションやモデリング分析が必要になると語った」とあり、単にロケット技術があるだけではICBM完成に繋がらない難しさがあるようです

そんな点から、開発経費面で慎重な構えを取っているGBSDの途中経過でした・・・

ICBM後継に関する記事
「次期ICBM(GBSD)企業選定」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-27-1
「初のオーバーホールICBM基地」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-15
「ICBM経費見積もりで相違」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-26
「移動式ICBMは高価で除外」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-16
「米空軍ICBMの寿命」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-16
「米国核兵器の状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-25-1

21世紀の抑止概念を目指す
「3本柱はほんとに必要か?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-22
「米戦略軍も新たな抑止議論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-11
「21世紀の抑止と第3の相殺戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-03
「相殺戦略特集イベント」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-29-1
「期限を過ぎてもサイバー戦略発表なし」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-25
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代打の次期米海軍トップ候補が決定 [Joint・統合参謀本部]

大将に適任者がおらず、中将から選出する異例の事態
3月に統合参謀本部の参謀長になったばかりの人材を抜擢

Gilday.jpg17日、米議会上院が次の米海軍トップ候補としてトランプ大統領から現在統合参謀本部の幕僚長(The Director of the Joint Staff)を務めるMichael Gilday海軍中将の推薦があったと発表しました

次の米海軍トップには、 米海軍人No2の米海軍副作戦部長であったWilliam Moran海軍大将が8月1日から就任することに決定していましたが、セクハラ行為でクビになった広報渉外担当の元部下から、引き続き職務上のアドバイスを受けていた事が発覚し、7月7日に急遽退役することを発表したところでした

大きな期待を集めていたMoran海軍大将の突然の辞任・退役により米海軍人事は大混乱陥り、本来なら別の大将の中から米海軍トップを選出するはずが適当な候補者が見当たらず、又はひいき目に見て他の要職にある大将クラスを簡単に移動させられず、中将の中から選ぶことになりました

Gilday2.jpg新候補Michael Gilday海軍中将も大将になるルートと目されている統合参謀本部の幕僚長ポストについていることから、決して悪い人物ではないはずですが、防衛大学29期相当で大将への昇任は早くても2020年予定だった人材ですから、大将ポスト1つで退役レベルの処遇が予定されていたレベルの人物であることも事実です

米海軍は高官の辞任や(強制)退役が続いています2016年にはシンガポールの港湾作業会社元締めから「ワイロ」や便宜供与を受け取った疑惑で、第5艦隊司令官など複数の幹部が退役に追い込まれ、2017年には駆逐艦マッケインやフィッツジェラルドの衝突事故太平洋海軍司令官や第7艦隊司令官ら多数の幹部が退役に追い込まれ、太平洋軍司令官候補を失った記憶も生々しく、悪い流れを断ちこりたいところです。

18日付Defense-News記事や公式経歴によれば
米海軍人トップの米海軍作戦部長(CNO)候補に代打で指名されたMichael Gilday海軍中将は、米上院に承認されれば、大将に昇任してCNOポストに就くことになるが、3月に現在勤務している統合参謀本部の幕僚長(The Director of the Joint Staff)に着任したばかりであり、人事の混乱ぶりがうかがえる
Gilday4.jpg●同中将は、米海軍水兵の息子として誕生し、1985年に米海軍士官学校を卒業した人物である(現役合格なら年齢56-57歳)。ハーバードのケネディースクールと米国防大学から修士号を取得している

水上艦艇士官としてのキャリアを歩み、複数の駆逐艦勤務の後、2隻の駆逐艦艦長や駆逐艦隊司令官として空母レーガン戦闘群の海上戦闘指揮官も経験
准将以上での現場勤務としては、空母アイゼンハワー戦闘軍司令官、米海軍サイバーコマンド司令官、第10艦隊司令官を務めている。また統合職では将官として、NATO海軍幕僚長、米サイバーコマンド作戦部長、統合参謀本部作戦部長を努めている

米海軍内部やその他の職歴には、米海軍司令部人事局スタッフ、米海軍副作戦部長スタッフ、統合参謀本部議長の上級補佐官、大統領米海軍担当補佐官の経験がある
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太平洋艦隊や第7艦隊など、アジア太平洋と直接かかわりがある艦艇や部隊名が聞こえてきませんので、日本やハワイ勤務経験がありそうな気がしませんが、大統領や統合参謀本部議長の補佐官勤務を通じ、広い視野を養っておられそうなので、期待いたしましょう

Gilday3.jpgまぁしかし、先輩の大将が多数勤務している中で、突然CNOに指名されるとは、さぞかし重圧を感じておられることでしょう。355隻体制に向け、明るい材料は皆無ですが、頑張っていただきましょう

何せ、他の海軍大将を複数飛び越し、中将からいきなりCNOに就任するのは1970年以来の約50年ぶりらしいですから・・・

米海軍のGilday中将公式バイオ
https://www.navy.mil/navydata/bios/navybio.asp?bioID=605

米海軍CNO関連記事
「Moran大将突然の辞任」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-09
「文書:将来の米海軍発表」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-18

「曖昧なA2ADも使用禁止」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-04
「呼称CBARSは好きでない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-17
「同大将の初海外は日本」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-25
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映画トップガンの続編「Top Gun: Maverick」予告編 [ちょっとお得な話]

33年前より、今の方がカッコいいかも・・

Cruise Top Gun.jpg18日、トム・クルーズ主演映画『トップガン』(1986)の続編となる、『トップガン:マーヴェリック(原題:Top Gun: Maverick)』の米国版予告編とポスタービジュアルが公開されました。
今回「マーベリック」は、後輩パイロットを育てる大佐として登場です

当初の公開予定は今年の7月12日でしたが、なぜか1年延期の2020年6月26日公開(米国)になった続編。

Cruise Top Gun3.jpg1986年に「トップガン」が公開されて大ヒットを記録した際は、米海軍への入隊希望者や米海軍パイロット志願者が激増したことから、パイロット不足に悩む米空軍や国防省が何やら募集広報に絡めるため何かを企んでいるとか噂も飛び交っているとか(邪推です)

また前回のF-14トムキャットに換り、今回はFA-18が主役として登場しますが、F-35を何としても売り込みたい国防省や米軍が、映画の中にF-35を後付けで登場させようと画策しているとの噂も聞こえてきます(邪推です)

大佐のマーベリックに対し、上官が尋ねる
30年以上働き、勲章を受け、表彰もされた。過去40年間、3機もの敵機を落とす男は一人しかいなかった。しかし、君は昇進できていない。引退もしない。最大限の努力によって、死をも拒んでいる。少なくとも星2つ、少将になっているべき男だが、今でも君はここにいる。大佐、どうしてだ?

トム・クルーズ演じるマーヴェリックは答える
人生の謎ですよ

予告編(2分12秒)は・・・


イベントで主役のトム・クルーズは・・
●「34年前、サンディエゴで『トップガン』を作り、道の向かいにあるレストランで撮影をしました。サンディエゴは『トップガン』にとって特別な場所なんです。昨年の夏、続編もこの場所で撮りました」とコメントし、
●また「つねに“続編はいつ作るんですか?”と尋ねられてきましたが、みなさんは辛抱して待ってくださいました。作品をお届けする大きな責任を感じています」と語っている

Cruise Top Gun2.jpg予告編は、1986年公開の「トップガン」の雰囲気そのままですトム・クルーズだって全く年齢を感じさせませんし、当時と同じ新米パイロット役でも十分通じそうな雰囲気です。

予告編最後のやり取りもかっこよすぎます

上官はマーヴェリックに
「終わりは必ず来る、君の本質は破滅へ突き進んでいるんだ」と口にする

マーベリックは
「そうかもしれません。だけど、それは今日じゃない」

FA-18関連の記事
「追加で110機購入!?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-29-1
「2016年予算FA-18追加もめ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-23
「機体疲労深刻:FA-18」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-07
「なぜ追加でF-18が必要?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-15

米空軍パイロット不足関連
「操縦者不足緩和?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-12
「操縦者養成3割増に向けて」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-21-1
「下士官パイロットは考えず→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-19-3
「F-35操縦者養成部隊の苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-12-3
「下士官パイロット任務拡大?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-22
「仮想敵機部隊も民間委託へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-09-1
「さらに深刻化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-10
「世も末:幕僚勤務無し管理検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-20

F-35C関連の記事
「米海軍F-35CがIOC宣言」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-02-2
「米海軍F-35CがIOCに向け最終段階」→ https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-18
「米海軍F-35のIOCは最低半年遅れ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-01-2
「道遠しNIFC-CAの状況」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-26
「F-35CとFA-18性能比較指示」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-29
「F-35Cの着陸精度が素晴らしい」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-22
「FA-18とEA-18Gにも」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-09
「35歳FA-18の将来方向」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-15

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次の米軍トップが中国脅威を議会で強調 [Joint・統合参謀本部]

今後50-100年は中国が一番の問題だ

Milley5.jpg11日、次の統合参謀本部議長候補であるMark Milley陸軍参謀総長が、上院軍事委員会の承認を得るためのヒアリングに臨み、中国脅威への対応を一番の課題として取り組むことが今後100年の米軍に課せられた課題だと強調しました

自身の韓国やハワイでの勤務経験も踏まえ同盟国等との協力関係が重要だとも主張し、国家防衛戦略NDSに沿った対応を語っています。それにしても、先日ご紹介した南米コマンド司令官の証言でもそうでしたが、中国脅威が米国安全保障の「真ん中」であることを改めて感じさせます

核兵器の3本柱維持と近代化の必要性を訴え、宇宙軍創設が無駄で重複のある官僚機構創設だとの非難にも公式見解で対応する落ち着いた対応で、プリンストン大学1980年卒業(政治学)とコロンビア大学大学院(国際関係修士)の知性を感じさせる受け答えだったようです

11日付米空軍協会web記事によれば
Milley.jpg4月上旬にトランプ大統領から指名されているMilley大将は、「今後50-100年間を見据えても、中国が米国安全保障が一番の課題になるだろう」と語り、中国が太平洋に向けて急速に影響力を強めていることに警鐘を鳴らした
●また同大将は、「100年後の2119年に歴史家が過去を振り返って21世紀の歴史をまとめようとしたら、そのメインテーマは米中関係になるだろう。私は中心が米中の軍事拡張競争でないことを願うが・・・」とも表現した

●上記の発言が示すように、Milley大将を迎えた軍事委員会は中国問題で埋め尽くされた。中国は米国を圧倒する資金投入で、全ての軍事ドメインで爆発的な拡張を続けており、同大将が事前提出した書面でも、中国の電子戦、サイバー戦、宇宙、核兵器分野での懸念が、米国を対応策に駆り立てていると説明されている
●同大将は米軍の対応について、米太平洋軍の戦力が航空機2000機や艦艇200隻、更にそれらを支える37万人の兵士で構成され非常に協力で能力が高いと表現し、抑止と有事の際の対応に万全を期してると述べた

Milley4.jpg●また自身の韓国とハワイでの勤務経験も踏まえ、極めて強固な同盟国等のネットワークに言及し、これらの国々が中国に対する懸念を共有し、南シナ海周辺国をはじめ、訪問先では皆が攻撃的な中国の動きを恐怖だと訴えていると語った
中国は世界中に、軍事訓練や教育、軍事技術提供や施設建設で言い寄り、更には5Gネットワークインフラの提供までも持ち出して関係を迫っている。南米コマンド司令官もお話ししたように、「世界の国々は、米国の各地域での継続的なプレゼンスとパートナー関係を望み、安全保障の保証人としての存在を希望している」とも表現した

●同大将はまた、核兵器3本柱の重要性にも触れ、「米国の防衛には、信頼でき、安全で、戦略的対処が可能な核兵器体系が不可欠だ」と述べ、ミニットマンⅢ後継ICBMや低出力核弾頭の開発などへの理解を求めた
●更に宇宙軍の新設について、宇宙での作戦に専念する人々の集団が必要だと述べ、宇宙軍の存在は宇宙での活動を補完し、決して無駄や重複を生むものではないと説明した

同大将をご紹介
●ボストン近郊の出身で1980年プリンストン大学出身。熱烈なMLBレッドソックスのファン。歩兵部隊士官としてキャリアをスタートするも特殊部隊指揮官を務めた経験もあり、パナマ侵攻、ボスニア紛争、イラク戦争で現場指揮をとっている
Milley2.jpg●最近では米陸軍戦闘コマンド司令官、アフガン駐留米軍の副司令官、第82空挺師団長、第5特殊作戦群司令官などを経験し、2015年8月に一般には「サプライズ」と言われながら陸軍参謀総長に就任した

誰にでも率直な意見を述べることで知られ、2017年に下院軍事委員会で予算決定が議会で遅れている状況を正面から非難し、議会を「professional malpractice:悪習慣のプロ集団」と揶揄して驚かせた
統合参謀本部では作戦幕僚として勤務経験があり、また国防省では国防長官の軍事補佐官のポストも経験している

太平洋軍隷下では、韓国駐留の第2歩兵師団部隊の指揮官(恐らく大隊長)やハワイの第25歩兵師団勤務を経験している。プリンストン大学1980年(政治学)とコロンビア大学大学院(国際関係修士)を卒業し、米海軍大学指揮幕僚コースでも学んでいる
●統合職では、アフガン展開のISAF副司令官、統合参謀本部J3作戦幕僚、国防長官軍事補佐官などを経験し、海外勤務はエジプトのMFO、パナマ、ハイチ、ボスニア、イラク、アフガン3度、ソマリア、コロンビアなど、陸軍のほぼすべての海外作戦に参加している
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Hyten.jpg国防長官が代理続きだったり、米海軍人トップ人事が直前で流れたり、統合本部副議長候補Hyten空軍大将のセクハラ疑惑が持ち上がったり・・・と、米軍を巡る人事がフラフラな中ですので、10月から登板が予期されるMilley大将には頑張っていただきたいと思います

また国防長官と国務長官が陸軍士官学校出身で、安全保障にかかわる上層部で一般大学出身が貴重な存在になりますので、プリンストン大学出身のMilley大将には、この点でも存在感を示していただきたいと思います

Mark Milley陸軍大将の公式経歴
https://dod.defense.gov/About/Biographies/Biography-View/article/614392/general-mark-a-milley/

Milley大将関連の記事
「米国防省と米軍2トップが陸軍出身へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-20
「陸軍トップが米軍トップに」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-08
「次の米軍人トップは空軍から?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-21
「ダンフォード噂の記事」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-02
「デンプシー大将の課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-13

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トランプ政権はトルコをF-35計画から除外 [安全保障全般]

トランプ大統領「トルコにはF-35を売らないと伝えた」
トルコ企業の部品供給契約は2020年初めまで
米国に550~700億円の追加経費発生

S-400 Turkey.jpg16日、定例閣議の前にトランプ大統領は記者団に、「トルコにF-35を売却するオプションはなくなった」と語り12日にトルコ政府がS-400受け入れ開始を発表して以来、初めて米国政府としての姿勢を明らかにしました

トランプ大統領は本件に関し、オバマ政権時代にトルコに米国製地対空ミサイルシステム・パトリオットを売らなかったことで、トルコはS-400をロシアから購入せざるを得なくなったと最近主張していましたがトルコが自国軍需産業への技術情報開示を要求したことで話がまとまらなかったのが真実で、トランプ流の「強弁」の一種と理解しておきましょう

S-400とF-35の件はさておき、米トルコ同盟は引き続き重要だ・・・がトランプ大統領のスタンスのようで、対イランも見据えてこれ以上事を荒立てない雰囲気ですが、外交安全保障関係者のトルコへの不信感を払しょくすることは難しく、今後の両国関係は予断を許さないものなのでしょう

16日付Military.com記事によれば
Trump9.jpg16日トランプ大統領は、「大変難しい状況だ」と述べつつ、トルコにF-35を売却するオプションはなくなったと語り、トルコがS-400受け入れ開始後、初めて米国政府として本件への態度を明らかにした
●また大統領は、「トルコに対しては、我々が推薦するものとは異なるミサイルシステムを買わざるを得なくなったことを受け、米国はトルコにF-35を売らない」と伝えたところだと語った

●更に大統領は、「色々な側面から議論され、色々と試みたが、大変残念だが、このような結果を見ることになる。トルコ側は購入したいだろうが、私はトルコの行為を弁護することはできない」と述べ、一方で「エルドワン大統領とは依然として良い関係を維持している」とも語った

国防長官就任の承認を得るため上院軍事委員会に出席したエスパー前陸軍長官(前臨時国防長官)は、トルコによるS-400購入決断は誤った選択だと語った。この発言は、トルコがS-400を受領開始した後の、国防省関係者としての初めての言及だった

F-35 Front.jpg前の国防省F-35計画室長Chris Bogdan退役中将は電話取材に対し、F-35関連の情報を保全するため、S-400とF-35の同国内での運用はあり得ない選択肢だと述べ、同氏が室長を務めていた2012年~17年までの間、外交や政治など、あらゆる手段を交えてS-400導入をやめさせようとしたと振り返り、今回の結果を残念だと表現した
●またBogdan退役中将は、F-35計画パートナー国が途中で抜けることについては、このような大規模な計画では避けられないことだと語り、カナダが政権交代でF-35導入に慎重な姿勢に変化しつつある点に言及した

トルコはF-35パートナー国として、937種類の部品製造にかかわっており、サプライチェーンの再編過程で部品コスト上昇や需要を満たせない可能性があるが、Lord米国防省調達担当次官は、トルコ軍需産業との部品供給契約を終了する予定の2020年初めまでには、米国をサプライヤーを中心に徐々に代替企業に仕事を引き継いでもらうと語っていた

17日調達担当次官はコストについて
●17日、Ellen Lord調達担当次官は、2020年3月までにトルコから部品等製造を米国等の企業に移管するために、550~700億円の経費が発生すると述べた
●またトルコ軍需産業がF-35計画から除外されることにより、トルコ軍需産業は約1兆円のビジネス機会を失うことになるとも述べた
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トルコは次の戦闘機をどうするんでしょうか? F-35がダメであれば、FA-18だって容易ではないでしょうし、欧州のタイフーンやグリペンだって慎重になるでしょう。

Turkey USA.jpgロシアから買うんでしょうか? エルドワン大統領の強引なやり方に、トルコ空軍幹部もさぞかしイライラしている事でしょう・・・

最初にも述べたように、対イランも見据えて、トランプ大統領はこれ以上事を荒立てない雰囲気ですが、米国の外交安全保障関係者のトルコへの不信感を払しょくすることは難しく、今後の両国関係は予断を許さないものなのでしょう

米トルコ関係
「S-400がトルコに到着」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-14
「米がトルコに最後通牒」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-09
「6月第1週に決断か」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-23
「トルコが米国内不統一を指摘」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-06-2

「もしトルコが抜けたら?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-21
「来年10月S-400がトルコ配備」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-27-1
「マティス長官がトルコF-35を擁護」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-24

「6月に1番機がトルコに」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-15
「露製武器購入を見逃して」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-28-1
「連接しないとの言い訳?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-30

カナダ首相がF-35から「足抜け」を狙う
「やり直し機種選定開始」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-11-03
「カナダが中古の豪州FA-18購入へ!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-10
「米加の航空機貿易戦争に英が参戦」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-16-1
「第2弾:米カナダ防衛貿易戦争」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-04
「痛快:カナダがF-35購入5年延期」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-23
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南米コマンド司令官が中国浸透の脅威を語る [中国要人・軍事]

中国は消防車が放水するように資金を投入
中国は地域国の順法精神や民主主義の弱体化を追求

Faller.jpg9日、米軍の南米コマンド司令官であるCraig Faller海軍大将が、上院軍事委員会の新興脅威小委員会で証言し中国の南米への進出と影響力強化は前例のない勢いで、米国は対応するため政府全体が協力して取り組まなければならないと強調しました

同司令官が南米諸国の国防相や軍司令官より聞き取った中国の具体的なアプローチは「えげつなく」、キャッシュで数十億円を積み上げるようなやり方で、地道な米国の教育支援や人脈の粋性、軍事共同訓練の蓄積などが消し飛ぶほどの破壊力ですから、 Faller司令官の証言は悲鳴に近い印象を受けるもので、事態の深刻さを伺わせます

同司令官は、ロシアやイランの関与も議論の対象であるが、中国の問題が圧倒的に南米コマンドエリアでの課題の大半を占めていると言い切り、米国から中国への乗り換えを中国が促しているとも表現しています

南米でこれくらいですから、アジアや中国周辺国に対しては、更にドギツイ工作が表裏一体で遂行されているのかと想像いたします

9日付Defense-News記事によれば
parade.jpg●同司令官は、中国の影響力は南米地域で増加の一方であり、南米各国に入り込み、米国から中国への乗り換えを促すことを追求し、米国の同盟国やパートナー国の順法精神や民主主義を弱体化させようとしていると訴えた
●地球の果てからやってくる悪意ある影響力に対抗する上での米国の強みは、関与とプレゼンス、情報交換、教育訓練の提供や、共同作業を通じた軍人同士のプロ意識から来る強力なパートナーシップ関係であると。(苦しい)説明を行った

ロシアやイランも米国に問題を投げかける相手ではあるが、中国問題への対応が南米コマンドの議論を事実上支配している。そして基本的に中国は、「地域一番の投資家であり、かつ金貸しであることを目指している」と述べ、その様子を「米国防省よりも巨大な消防ホースで、金を水のように放水している」と表現した
●そして中国の具体的目標を、「2025年までに南米地域との貿易額を50兆円に拡大し、一帯一路構想に賛同する地域の19か国に少なくとも15兆円の貸し付けを行い、経済面での重みで地域の政治に影響力を行使しようとしている」と同司令官は証言した

southern command.jpg●実際に同司令官が地域のとある国の国防トップから聞いた話として、同国は米国から安全保障関連で1億7000万円の支援を受けているが、中国は現金で25億円を提供したらしい。そしてその国防トップは、(中国の)ITシステムを購入したわけではないと懸命にしていたが、まさか兵士の戦闘服をその資金で購入したとも考えられないと語った
●同司令官は「南米コマンドはこのような環境で競争しているのだ」、「我々は量では対抗できないから、質と機敏な対応で勝負するしかない」とも表現している

米国の提供できるものとしては米軍の軍学校で学び、長年の関係を通じて構築された人脈が支える国防省と地域軍との関係が代表的な例で、例えばエルサルバドルの国防相と参謀総長は、共に若き時代に米軍の軍事施設で学んだ経験者である
Faller2.jpg●「率直に言って、中国とロシアは、米国のシステム的なアプローチに対抗することは困難だが、彼らは挑んできている。私が訪問する国の各所で、既に中国人も来て、無料の教育訓練や旅行の提供で誘ってくる、との話を耳にしている」が、同時に地域のパートナーからは「我々は中国軍とは訓練したくはないし、米国との関係を続けたい」とのメッセージを受け取っているとも語った

物的な南米エリアでの強化策として同司令官は、まずISR能力の強化が地域との関係強化に役立とと述べ、特にベネズエラ情勢についての情報は米本国だけでなく、ベネズエラ周辺国からの要望が非常に強いと説明した
●更に、本格的な能力を持った米海軍アセットの増強が有効だと述べ、沿岸戦闘艦LCSの能力が必要で、10月に米海軍がLCSを派遣する計画を立案中であることを歓迎すると述べた
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南米諸国が「一帯一路」に19か国も参画しているとは驚きです。 

China-Dancer.jpgしかし、現金で25億円の提供を申し出られたら、コッソリ中国と口裏を合わせ、1割の2億5000万円を懐に入れて・・・なんてことを人間なら考えます。2割かもしれませんが・・・

南米の国の高官が中国を訪問したら、ヘーゲル国防長官が中国で接待を受けた際の左の写真のような、美人がズラリ整列して大歓迎なんでしょうねぇ・・・。それ以上かもしれませんが

南米関連の記事
「熱帯のトランプにエール」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-20
「中南米麻薬対策に大型爆撃機」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-18
「南米と中米でもロシアが反米活動」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-13
「中露が南米に油を注ぐ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-01-02

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議会審議を前に宇宙軍の拙速創設反対論 [サイバーと宇宙]

米空軍協会機関紙の編集長が反対論を展開

Space Force.jpg6月号の米空軍協会機関「AirForce Magazine」の巻頭言で、Tobias Naegele編集長が今後数か月行われる議会での予算審議を前に、改めてトランプ大統領が進める「宇宙軍創設」が如何に問題をはらんでいるかを論じています

この米空軍協会機関「AirForce Magazine」は米空軍やそのOB・OGが主要な読者で、関連軍需産業や米空軍がたっぷり協力して編集している月刊誌ですから、米空軍の意向に反する主張を展開するはずの無い性格のものです。

要するに、最高指揮官である大統領が決めたことだから正面切って反対はできないが、米空軍人の多くはこう考えているとの主張を展開していると考えてよいと思います

今後の米国内の「宇宙軍創設」に関する法手続きに詳しくありませんが、憲法レベルの法改正が今後必要であると認識しており、まだまだ波乱がありそうな予感もしますので、同編集長のざっくりとした反対論を改めてご紹介しておきます

6月号「AirForce Magazine」の巻頭言によれば
Space Force2.jpg過去25年ほどの米軍の作戦運用を見てきた者ならば、米軍が宇宙に依存していることに疑問を挟むものはいないだろう。そして中国やロシアは、米国の無防備な宇宙アセットを米軍の弱点だと見ていることだろう。北朝鮮やイランもそうだろう
宇宙軍独立に賛成の者は、このような宇宙の重要性にかんがみ、また中国やロシアが2015年に宇宙重視の国防組織改革を行ったことなどを持ち出して、宇宙に特化した軍の創設を訴えている

宇宙軍独立に反対するものは、空軍からの分離により、これまで養ってきたシナジー効果を失い、軍種間対立に油を注ぎ、新たな能力獲得用の限られた資源を分断し、官僚機構を積み上げる事になる独立に反対している
●そして政府が考えた宇宙軍構想が、現在でも60もの下部政府機関に細分化されている縦割りに何ら改善をもたらさないことや、現在米空軍内で宇宙を担当しいる者をそのまま横移動させるだけで、新たなアセットのインプットが実質ない中で、看板だけ架け替えるような改編が何の意味をも持たない事を反対派は訴えている

米空軍創設の歴史を振り返るべき
Space Force3.jpg新たな軍腫創設の歴史を「米空軍誕生の歴史」から考えてみよう、WW1時に出現した航空戦力について、米陸軍航空隊の人々はWW2までの間に深く研究し、様々な議論を重ねながら戦略・戦術構想に落とし込んでいった。そしてWW2の実際の戦場において試し、新たな技術を投入し、戦いながら革新を追求し、新たな軍構想を固めていった
それが1947年の米空軍創設につながったのである。このような広範な基礎検討や実戦の経験の積み上げを経て、米空軍創設時に、その動きに反対する動きはほとんどなかったのである

●翻って、現在の宇宙軍創設案はどうだろうか? 米軍は現在、宇宙に兵器を保有していないし、いつどのように戦いかの戦略やドクトリンさえも固めていない。米軍の宇宙アセットは有用だが、独立軍のアセットと呼べるレベルにもない
統合参謀本部の戦略計画部長であるDavid W. Allvin空軍中将は、統合作戦の中で宇宙やサイバー能力を生かし、この特徴を反映させる任務を帯びているが、今だ道半ばであり、「我々は全てを融合して全ドメイン体制で臨まなければならないし、サイバーや宇宙はその緊要な要素である」と統合の重要性を述べている

しかし宇宙はサイバーより長い歴史があるが、今でもサイバーより未成熟で、なおかつ最近になって宇宙アセットの脆弱性が急激にクローズアップされることになっている中で、宇宙において何を守るのか? 何を攻撃すればよいのかさえ固まっていない
●このような検討には時間が必要なのだ。新たな軍を創設してから、これらコンセプトをほぼ無から構築し、同時に軍としての活動を並行して行っていくことになるが、この点を米議会はよく念頭に置いて、また米陸軍から空軍を創設した経緯や時間をもう一度振り返り、慎重に本件を審議してほしい

段階的に慎重に進むべきではないか
Space Force4.jpg米議会は、まず米空軍内に「Space Corps」又は「Space Force」を創設し、戦略やドクトリン、更に必要な手段を準備し、陸軍や海軍やNRO等から人材を段階的に受け入れ、徐々に国家安全保障の計画や政策立案に組み込んでいく事が適当ではないか

経費面でも問題が多い。米議会予算室CBOの試算によれば、宇宙軍創設による新たな司令部組織等の新設で、年間900億円から1400億円国防省予算が増加し、別に初期費用として1200~3500億円が必要となると見積もっている。上で示した我々の段階的案なら、これら経費を圧縮できる
このような重要なことを拙速に急ぐからいけないのだ私の意見は極めて常識的なものだと思う。政権側が持ち出し案件であるが、議会が議論する時が来た。慎重にリスクの少ない道を、将来の選択肢にも配慮して進むべき
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「宇宙軍創設」に正面切って反対はせず、時間をかけて段階的にと主張することで、宇宙軍創設のモメンタムを削ぐことを狙う作戦でしょうか? 「いったん白紙に戻して、一から議論しなおそう」は、日本の野党の典型的なアプローチの様で気になりますが、トランプ大統領が宇宙軍創設の必要性を誰から吹き込まれたのか? どれほどの信念があるのか疑問も多いので、ご紹介しておきます

Trump cyber.jpg一方で米空軍は戦闘機や爆撃機ばかりに投資するから宇宙アセットに資金がきちんと配分されないとか、戦闘機パイロットが支配している組織だから宇宙への適切な資源配分は期待できない・・・等の疑問に、米空軍側は答える必要があります

資源配分について何も編集長が言及していないのは、「今現在もしっかり公平にやっているから問題視する必要はない」との信念からかもしれませんが・・・

米空軍と宇宙
「宇宙軍で考えるべきこと」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-18
「宇宙攻撃能力を示せ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-11
「宇宙飛行士女性が次期長官?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-22
「大統領が宇宙軍創設を訴え」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-21

宇宙軍を巡る動向
「宇宙軍宣言に国防省内は冷ややか」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-21
「国防副長官が火消しに」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-29
「トランプの宇宙軍発言に真っ青」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-17
「下院が独立法案承認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-14-1
「下院が宇宙軍独立案を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-22-1
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トルコにロシア製S-400の第一弾ついに到着 [安全保障全般]

ついにルビコン川を渡ってしまったのか
気になるトランプ発言の行く先は?

S-400 Turkey.jpgついに11日夕刻、トルコにロシア製の高性能地対空ミサイルS-400地対空ミサイルの第一弾が到着し今後数週間で段階的に残りの関連部品や整備試験機材等が到着するようです。

米国時間12日朝にトルコ政府が同ミサイルの到着を発表も、米国防省は本件の会見を当初同日午前1145に設定も、後に2時間半遅らせるとしたまま会見は未だに開催されず・・・。

米国は国として6月6日付で当時のShanahan臨時国防長官がトルコ国防相へレターを出し、S-400のトルコ搬入が行われれば、F-35共同開発国で同機を100機購入予定のトルコを、F-35計画から排除し、既に完成している4機の機体も引き渡さないし、米国内でF-35の操縦や機体整備の訓練を受けているトルコ軍兵士を国外退去させると最後通牒しています

S-400-launch.jpgShanahan臨時長官は同レターに先立ち、トルコ国防相と同書簡の内容について5月末に電話で話し、イスラム教の国として唯一のNATO加盟国であり、米軍の地域拠点であるインジュリック空軍基地を擁するトルコと米国の関係は、いよいよ正念場に差し掛かっていましたが、一線を越えてしまった感があります

6月6日付の最後通牒の直接のきっかけは、トルコがS-400の操作要領等を学ばせるため、トルコ軍の操作員や整備員をロシアに派遣したことが最近明らかになったための様ですが、西側最新兵戦闘機であるF-35を、ロシア製最新鋭SAMと同居させることで機密が漏洩すると、トルコ側には数年前からあらゆるチャネルを用いて警告してきたにも関わらず、反米のエルドワン大統領は一歩も引かない姿勢でS-400導入を進めてきました

6月7日に会見した米国防省のEllen Lord担当次官は、S-400の代替として、米議会の許可も得てパトリオットシステムをトルコに輸出する準備も整っているとトルコ側に呼び掛けていますが、トルコ側はこれまで、米側とNATO加盟国からのこのような要請に対し、「S-400導入は既に決定済で契約済の案件だ」として全く聞く耳を持たない様子です

Turkey USA3.jpgしかしです、トランプ大統領がG20開催直前のTVインタビューで、オバマ政権時代にS-400の代替になりうるパトリオットシステムのトルコへの売却を許可しなかったから、トルコはS-400を購入せざるを得なくなったのだと、トルコのエルドワン大統領の弁解を丁寧に説明しており、この発言の意味するところが気になります

だからトランプ大統領は、国防省や米軍が訴えてきたF-35の機密漏洩の懸念を無視し、100機のF-35売却による儲けを優先し、F-35計画への継続参加を認めると言うのか、F-35計画から除外をするが、重要な米国とトルコの同盟関係は重要だからこれまでと変化ないというのか・・・気になるところですし、米側の反応を見守りたいところです・・・

米トルコ関係
「米がトルコに最後通牒」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-09
「6月第1週に決断か」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-23
「トルコが米国内不統一を指摘」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-06-2

「もしトルコが抜けたら?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-21
「来年10月S-400がトルコ配備」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-27-1
マティス長官がトルコF-35を擁護」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-24

「6月に1番機がトルコに」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-15
「露製武器購入を見逃して」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-28-1
「連接しないとの言い訳?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-30

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悲観的な軍需産業年次レポート2019 [米国防省高官]

1か月以上前の発表ですが
軍需産業基盤の弱体化が顕著

Industrial Base.jpg27日付Defense-Newsが、5月13日に国防省が発表した「Industrial Capabilitie報告書」の概要を取り上げ、2016年から増加している兵器調達で軍需産業全体は莫大な利益を上げているが、軍需部品のサプライヤー数は減少し、調達数の不安定さや上下動により緊要な部品等を提供する零細企業の倒産や撤退が見られると警鐘を鳴らしています

また企業買収や合併によって寡占や独占によって部品供給元が減少し、結果として製品の質低下や価格高騰に繋がったり、有事の増産に対応できない状態に陥るケースが増えていると指摘しています

先日ご紹介した米海軍の造船所や艦艇修理工場の例でもありましたが、従業員の高齢化も相当深刻なようで、高齢者の定年退職に伴う熟練作業者の不足も年々顕在化していると訴えています

「いずこも同じ・・・」な感は否めませんので、軍事力の基盤を支える土台の崩壊状況を米国を例に、分野別に確認しておきましょう。
上記のような共通問題以外の分野別の課題を中心に事例を交えてご紹介します

27日付Defense-News記事によれば(分野別にご紹介)

●航空機関連
Industrial Base2.jpg---生産が長期間に及び、生産数量が限られ、高い品質を求めて高価格となる特徴から多くの課題が生起しており、全ての大規模プロジェクトに共通している
---労働者の高齢化や寡占独占による弊害は下請け企業群にも広がっており、供給元の減少やシングルソース化はリスクが拡大している

---例えば、海兵隊の輸送機を支える鋳物企業の倒産で代替部品が見つけられず、機体の製造修理があ遅れる事態となっている
---ソフトウェア技術者の確保も大きな問題となっており、今後の航空アセットがますますソフト依存度を高める中、能力の高い同技術者確保が喫緊の課題となっている

●地上システム
Industrial base2.jpg---地上システムの新規開発が激減し、現有システムの段階的改修や近代化が主流となっていることから、前線の要望事項を戦闘車両の設計に落とし込み、生産工程にまで結びつけるシステムデザインを経験したことのない技術者が一つの世代を形成しており、将来の新規装備開発要求に対応できるか懸念される

---存続が懸念される、各種自走砲や野砲、迫撃砲などの砲身を製造する企業を、国防省や陸軍がまとめて一つの組織体として運営する検討が必要
---これら複数の企業はたった一つの生産ラインしか保有しておらず、仮に海外からの大きな需要が入ったりした場合、米国の需要に対応することが難しくなる恐れがある

●艦艇建造と修理
---この分野の最大の懸念は、多くの部品や装置を単一の企業が支えている点である。能力不足、競争の欠如、労働者の技量不足と低下が、需要の不安定により悪化の一途にある Industrial Base5.jpg---4企業が7つの海軍用造船所すべてを管理している寡占体制や、高圧ケーブル、バルブ、推進部分の部材提供など独占が進んで競争がなくなっている分野が多く問題である

---労働力の高齢化や技量の問題も深刻である。米労働省の推計によれば、2026年までに本分野の労働力は6-17%減少する予測となっており、船体構造材の成形、溶接、鋳造分野は特に深刻な打撃を受け、米海軍の長期計画を支えられないだろう

●弾薬製造分野
---昨年の本レポートで大きな懸念と指摘されたのが弾薬分野だが、今年も問題の範囲と大きさに変化はない。弾薬の原材料確保と単独製造元への不安、株下請け企業の現状の不透明さ、新規設計や製造能力の喪失、有事増産能力や計画能力の不足、製造及び試験装置の老朽化など全てが深刻である

---例えば国防省製造用ミサイルに使用される起爆システムや最終誘導装置では、重要部品を製造する企業が買収合併された後に工場を閉鎖に追い込まれたが、その後2年経過するまでその事実を国防省として把握できず、部品が6か月分しか確保できなかった事例が報告されている
---別の例で、固体燃料ロケットに必要な2種類の化学物質が確保不能になり、代替品を急きょ探し回ることになった事例もある

●CBR防御装備関連
Industrial base3.jpg---CBR兵器から身を守る防護マスク、防護呼吸器、ワクチンを製造する企業の劣化が激しく、救済法(Defense Production Act Title III)に基づき公的資金を投入して体制維持を図る必要が生じるだろう
---例として、国防装備にしか使用されない「ASZM‑TEDA1吸着カーボン」は、72種類のCBR除去システムのフィルターに使用されているが、製造する企業は独占企業であり、その品質や価格を適切と判断しにくい状態にあり、製造装置も需要に応じられない状態にある。これも救済法で製造ラインを近代化する必要がある

●宇宙用システム分野
---急速に課題となる宇宙ドメインであるが、宇宙アセットに必要な構造材や炭素繊維、放射線耐性のある電子部品、放射線試験、衛星用部品組み立ての分野で零細な産業基盤が問題となっている
---また、宇宙で使用する太陽光発電パネル企業も、不十分なビジネス規模から研究開発費をねん出できず、政府の支援を必要としている。「traveling-wave tube:進行派菅」や「精密ジャイロスコープ」の鍵となる部品製造企業も存続が懸念されている

●電子部品分野
---この分野は中国製部品が世界市場を席巻し始めており、「printed circuit board」等で危機感が高まっている。米国産の生産量が2000年当時の1兆円規模から、2015年には7割減の3000億円規模に激減し、世界市場の半分を中国産が占めるようになっている
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Industrial Base3.jpg信頼する Aaron Mehta副編集長の解説記事ですが、長い報告書を短い紹介記事にしているため各分野の事情や専門用語を理解してまんぐーすには解釈や補足説明が難しく、的外れな訳や説明になっている可能性大です

なんとなく、全体の雰囲気を感じて頂ければ・・・・と思います

業界全体で「莫大な利益:massive profits」をあげていながら、重要なパーツを担う企業が困窮しているという、どこかで聞いたような構図です。寡占や独占は水が濁るんですねぇ・・・

昨年の同レポート
「米軍需産業の課題」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-26-1

艦艇の修理や兵たんの課題
「米艦艇建造や修理人材ピンチ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-24
「空母定期修理が間に合わない」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-09
「優秀な横須賀修理施設」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-05
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欧州3か国と米国F-35が訓練でMADLアピール [亡国のF-35]

同時に4か国のF-35が飛行したわけではありません
2か国づつが南イタリアや地中海などで

3日付Defense-Newsは、3日、イタリア南部のイタリア空軍基地(Amendola)に配属されている8機のイタリア空軍F-35が、同基地に展開した米軍と英軍のF-35とともに飛行訓練を行い、共通のデータリンクMADLでスムーズな情報共有が行われたと紹介しています。

F-35 Itaria.jpgイタリア空軍は同国内に8機と米国内に訓練用で2機のF-35Aを保有していますが、キプロス島に英本国から展開中だった6機の英海空軍共有F-35Bの一部の4機と、そしてドイツの空軍基地に米本国から展開中だった12機の米空軍F-35の一部の4機とともに、訓練する機会を得た様です

整理すると、それぞれキプロスとドイツの基地で海外訓練中の英軍と米軍のF-35部隊が、イタリアまでさらに足を延ばしてイタリア空軍機と訓練したものです。

更にややこしくなりますがキプロスに展開中の6機の英海空軍共有F-35Bは、6月中旬にシリア上空警戒任務飛行で初実戦を経験したのですが、任務の合間を縫って、イスラエル空軍F-35やドイツ展開中の米空軍F-35とも既に、2か国共同訓練を行ったようです

F-35 Israel4.jpgF-35であれば、A型でもB型でも、飛び上がってしまえばシステムは同じで、MADL(Multifunction Advanced Data Link)を通じて瞬時に目標情報や戦域情報を共有できた」と参加した各国パイロットは語っており、また共に訓練したイタリア空軍Eurofightersとは「Link-16」を通じて情報共有し、相互運用性が確認できたとも証言しています

ポーランドやデンマークなどがF-35購入に傾く中、F-35の相互運用性をアピールするための「巧みに仕組まれた」2か国訓練集中実施と思われますが、情報共有が円滑に行われたことは結構なことです

3か国のF-35が終結したイタリア軍基地での訓練の様子と、同盟国間のネットワークの重要性を強調した欧州米空軍幹部の発言(6月末)もご紹介しておきます

3日付Defense-Newsは3か国F-35訓練について
F-35 Gilmore.jpg●3日午前中、Amendola空軍基地を離陸した2機のイタリア空軍F-35Aは、初めて2機の英海空軍共有F-35Bと共同訓練を行った
●共同訓練を行ったイタリア空軍部隊の飛行隊長は、「英軍指揮官と前日に訓練打ち合わせを行ったが、わずか10分間ほどの会話で、旧型機では不可能だった訓練の打ち合わせが可能だった」と語った

●Amendola空軍基地司令官の大佐は、グローバルな兵站支援体制を目指すF-35にとって、他国のF-35基地に展開して運用することは自然なことだと語っている。一方で、多くの問題が指摘されている自動兵站支援システムALISについて訓練関係者は、「日々改善されている」と表現するにとどまった

F-35B-2.jpgイタリア空軍F-35部隊は、既に6月に米空軍F-35部隊と地中海上空で共同訓練を経験済みで、英空軍機との訓練にもその経験が生きたようである
英空軍側の指揮官も、「離陸してほんの数分で、共通の目標情報をデータリンクで共有でき、他の情報共有も極めて容易に可能だった」と、MADLを用いた意思疎通の容易性を強調していた

●同日午後には、4機のイタリア空軍F-35と4機の米空軍F-35が共同訓練を行った。午後の参加機はイタリア空軍KC-767空中給油機と給油訓練も行い、イタリア空軍Eurofightersと「Link-16」を使用した情報共有も行った

定期的な移動訓練を超え、常設のネットワークを
Basham.jpg●6月末、パリ航空ショーの会場で欧州米空軍副司令官Steven Basham中将は、ロシアのクリミア半島併合後に開始された米空軍戦力のローテーション派遣は、同盟国との関係強化や練度向上に貢献しているが、国家防衛戦略NDSが目指す態勢確立には、更なる進化が必要だと語った
●そして同中将は、空軍参謀総長の「将来の戦いはネットワークの戦いでもある」との言葉を引いて、常設のネットワーク構築に向けた取り組みの重要性を強調した

●「欧州からアフリカにかけ、全てのレベルの指揮統制を支えるネットワークやデータリンク網を構築できるだろうか?」と自問した同中将は、「演習間だけの一時的なものではなく、日常的な活動で使用できる同盟国等を結んだネットワーク構築のロードマップが求められている」と語った
●また同中将は「演習間だけネットワークを構築し、普段は使用できずに使用法を忘れ、また演習時に思い出すような限定的な使用の繰り返しではダメだ。普段から使用して完熟しておく必要がある」とも述べた

JRE.jpg●そして、「Arctic Challenge」演習で使用したJRE(Jay-ree:Joint Range Extension)は、見通し線範囲を超えた遠距離コミニュケーションを可能にするもので、受信した情報をリンクを通じて特定の戦域に送り、更にそこから別のリンクで異なるエリアに転送する技術だが、「このような技術はextremely, extremely valuableだ」と力説した
●一方で、昨年10月の演習「Trident Juncture」(1991年以来最大規模)で、ノルウェー軍がロシアからと思われるGPS妨害を受けた事例に言及しつつ、「ネットワークは妨害にさらされることを念頭に置き、ネットワーク構築時から代替案を考え、同盟国等と共に準備と訓練しておくべきだ」とも強調した
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複数の記事を無理やり一つに詰め込んだので話題が飛んでしまいましたが、まずF-35売り込みのため、相互運用性能力をアピールするため、米英伊イスラエルがF-35同士の訓練を集中的にやってMALDが活躍した(ALISには苦労させられているが・・)との話と、

ネットワークは同盟国との協力で戦う上で重要だが、相手が必ず行う妨害への備えも忘れてはならないとのお話でした。最近、GPS妨害の話がよく話題になりますねぇ・・・。

おまけで
6月21日までの2週間で、米英日韓タイから約3000名が参加した「 Red Flag-Alaska 19-2」が行われ、F-16とF-2、KC-135、C-130、UH-60、HH-60、A-10、MQ-9が参加し、681505ポンドの実弾を投下したそうです。こちらは頑張っても「Link-16」レベルですね・・・

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「空軍トップがネットワーク重視」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-13
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