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スイスが戦闘機&SAM選定で国民投票へ!? [安全保障全般]

地方自治では直接民主主義があると聞いていましたが・・・

Swiss air3.jpg9月28日付Defense-Newsは、スイス政府が2020年を目途に、次期戦闘機と防空ミサイルシステムの選定に関しスイス独特の国民投票にかける方向にあると紹介しつつ、過去に国民投票で戦闘機機種選定が否決された過去がある事から、様々な手法が検討されていると報じています

スイスの政治制度がどのようになっているのか承知していませんが、国民投票に掛ける場合、「Air 2030」と呼ばれるスイス国防省作成の航空戦力に関する将来コンセプトと投資総額のみが国民投票の対象となり、具体的な機種の是非を問うつもりはないようです

つまりスイス政府は、大枠コンセプトと予算に関する国民の信任を得た場合、具体的な次期戦闘機と防空ミサイルシステムの選定については「白紙委任」を得られたものと判断して機種を選択するようです。

Swiss air4.jpg国民投票を行うスイスの政治風土は独立心の強いスイス独特のものですが、2014年には22機のSaab Gripen戦闘機購入を国民投票にかけて「否決」された苦い経験がありスイス政府は国民投票の是非も含めて今後広く意見を聞きながら意思決定の手法を選択するようです

9月28日付Defense-News記事によれば
●スイスは、約9000億円でFA-18とF-5戦闘機の後継機と地対空ミサイルシステムの導入を計画しており、「Air 2030」計画として承認を得たいと考えている。なお戦闘機後継が約6600億円規模と言われている

FA-18とF-5戦闘機の後継機候補には、F-35、Dassault Rafale、Saab Gripen E、F/A-18 Super Hornetが挙げられており、30~40機導入を前提とした提案要求を7月に発出してる
Swiss air.jpg地対空ミサイルシステムの候補としては、 米国製Patriot, 仏製Eurosam’s SAMP/T、そしてイスラエル製のDavid’s Slingが上がっており、9月24日に提案要求が各社に発出されている

●現時点では、「Air 2030」計画は主要な政党からの支持を得られそうな雰囲気だが、9月22日まで受け付けていたパブリックコメントには、締め切りが近づくにつれて批判的な意見が増加したことは気がかりである
●また議会内の批判派は、国民投票は批判的な意見が増える傾向にあり、「Air 2030」計画が否決される可能性が高く、そうなればスイス国防政策全体にとって大きな危機となると政府のやり方に批判的である

●更に政党によっては、国民投票を行わず、戦闘機と防空システムを分離して通常の政策と同様に議論して決定すべきとする意見もある
●スイス国防省報道官は、コンセプト案である「Air 2030」計画を国民投票にかけるのが目標であるが、国民投票で否決されるリスクが高くなれば方向を修正する可能性も否定せず、「ベストな解決法を追及するだろう」と話している
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Swiss air2.jpgどういう案件が国民投票を必要とする決まりになっているのか不明ですが、国民投票で予算を確保しておき、評判の良くないF-35を導入しようとの魂胆ではないでしょうか???

米国のF-35売り込み圧力をかわすなら、米国に恐らく批判的なスイス世論を利用し、他機種を候補に国民投票に掛ける作戦が考えられますが、あえて政府内のフリーハンドを確保するため、リスクのある国民投票を狙っているような気がしてなりません
全くの邪推ですが・・・

欧州の戦闘機検討など
「独戦闘機選定に米圧力?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-28
「独仏中心に欧州連合で第6世代機開発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-07-2
「トルコが抜けたら大変」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-24
「伊とイスラエルは」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-26
「世界各国で暗雲」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-26

「独潜水艦が全艦停止」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-22
「美人大臣の増強計画」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-12
「独と蘭が連合部隊創設へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-05

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あの国防省のヨーダにインタビュー [安全保障全般]

marshall2.jpg12日付Foreign Policy誌web版が、国防省のONA(Office of Net Assessment)室長を40年以上勤めて2015年に引退したAndrew Marshall氏(96歳)へのインタビュー記事を掲載し、この年齢になっても国防省の現状を憂いつつ、9月に予定する新財団設立への思いを語る御大のご様子を紹介しています

メディア等に登場することがめったになく、またこの時代にパソコンも使用せず、メールは秘書的な人を会して間接的に週数回確認するだけとの人物ですので、貴重な機会と考え、前半で「国防省のヨーダ」と呼ばれたカリスマ的人物のご経歴を改めてご紹介し、後半で短いインタビュー部分を取り上げます

政権の異なる9代の大統領の下で勤務し、多くの有能な弟子を輩出し、政界や学会にも心酔する者が多い伝説の人物については、伝記「The Last Warrior」(CSBAのクレピノビッチ理事長(当時)とワッツ同主任研究員の二人の共著)が出ていますが、安全保障を語るうえでの重要人物ですので改めて・・・

12日付Foreign Policy誌はA.Marshall氏について
Marshall.jpg1949年にRANDで分析官としての仕事をはじめ、核戦略研究などでその深い知見を時の大統領補佐官キッシンジャー氏に認められ、1973年に国防省に移籍。ONA(Office of Net Assessment)の室長を42年間勤めて2015年に引退した
ONAでは、長期的視点での脅威分析、War Game、それら研究のスポンサーとして活躍し、ソ連の崩壊や中国の勃興を予測し、技術の発展による軍事の変革を予期し、RMA(revolution in military affairs)として訴えた

特にソ連に対する分析で、CIAなど当時のソ連分析の主流の見方に反対し、ソ連のGDPが過剰に評価され、ソ連の軍事支出が過小に評価されていると主張してソ連崩壊を予言し、後にCIAに誤りを認めさたことは広く知られている
●このような功績から、また表に出ない性格から、国防省の陰のロックスターとか、国防省のヨーダと呼ばれるようになった。

●そのような同氏を快く思わないクリントン政権時のコーヘン国防長官が、1997年にONAを国防省から国防大学に組織移転させようとした事があったが、議会と学会の支援者がマスコミを巻き込んでこれを阻止し、巨大官僚機構の中での存在感の大きさを内外に示した

Marshall.jpgラムズフェルド国防長官の下でQDRの取りまとめを任され、同長官の意向も踏まえ中国の脅威対応を大きく盛り込んだ原案が2001年にはほぼ完成していたが、911事案で対テロに大きく舵を切ることになったが、これをMarshall氏は中国に背を向けて「横道に脱線した」と表現し、その後も対テロについてはほとんど取り組んでいない
●また、実現はしなかったが、2014年に中国との紛争で西側の指揮統制システムが中国の重要目標となると予期してWar Gameを計画しているが、サイバー戦を初めてするITに対しONAとして関心を示さず、個人的にも関心が無く、知識も洞察力も無いと親しい弟子も証言している

●一方、中国やロシアに関するMarshall氏警鐘や取り組みの必要性は、トランプ政権になって再認識されるようになり、国家防衛戦略NDSでも中国を「略奪的な経済で主変国を恫喝」と表現するまでに至っている
●脅威分析に関する「博学の聖人」と称賛するシンパがある中、その考え方が時代の変化に対応していないとの批判もあるMarshall氏であるが、その意見が96歳の今でも大きな注目を集める人物である

●なお、Marshall氏が去ったONAでは、より短期的な問題への対応策を考えるテーマが扱われているという・・・

A.Marshall氏の発言:今の国防省について
marshall3.jpg●国防省がうまくやっているとは言えない。まず第一に、中国の脅威に気づいて対応するのがあまりにも遅すぎる
米軍はあまりにも(対テロに)多忙になっている。このような横道への脱線はベトナム戦争時にもあった。その結果、マスコミは国民の目を、ソ連の巧妙な中央欧州への投資や謀略から背けさせることになった

中国に関しては、我々は冷戦当時に対ソ連で行ったような分析を、今行っていなければならなかったと思う
●その分析というのは、10年以上をかけて特定の地域や脅威に関する第一級の分析結果が得られるようになった、対ロシアの分析のようなものである

A.Marshall氏の発言:9月設立の新財団について
今後10年間程度で米国が直面する戦略的な意思決定や選択に関し、考察や論文を書く人たちをより多く支援していきたい。
●まず最初にロシア脅威に関する分析プロジェクトを進める予定だが、現在、関係者に依頼して本分析に携わるに相応しい研究者たちを選定しており、それら候補者がどんな研究をしているか楽しみにしている
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Marshall2.jpgこのブログを始めた以降ではエアシーバトル構想をゲーツ国防長官に進言推奨し、ルトワック氏に「自滅する中国」(邦訳:奥山真司)の執筆を進めた事などを紹介してきましたが、国防省のみならず内外から安全保障関係者がその意見を聞きに訪れるという「伝説」の人物です

サイバーやITに関するお考えを是非伺いたいものです。でも、安易にツイッターなどSNSで発信していただくより、伝説の人物として、静かにご活躍頂きたいな・・・と何となく思います。

伝説の戦略家:A.マーシャル氏
「Andrew Marshall氏が引退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-10-18-1
「ハンブルグシナリオに学ぶ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-01-29
「Marshallとルトワック」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-17
「存亡の危機国防省ONA」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-10-16

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米空軍情報部長が再び中露の技術開発脅威を [安全保障全般]

Jamieson5.jpg5日、米空軍情報部長VeraLinn Jamieson空軍中将が軍事関連団体主催のパネル討議に陸海海兵隊の情報部長と共に登壇し中国とロシアの軍事技術開発投資をよく観察し、それぞれが米国や西側のどの部分で優位に立とうとしているかを見極める必要があると語りました。

同情報部長は、士官任官以降、一貫して情報畑を歩んできた生え抜きインテル幹部として中国とロシアの脅威に関して他の空軍幹部の追随を許さない知見を有し、これまでも多様な視点から中露の脅威を訴えてきています。

ISRアセットの将来計画説明でも、AIを中心に語る際も、また一般的な脅威認識を語るときも、部分的に語ることが多いのですが、つなぎ合わせると米軍の中露への脅威認識に迫れそうなので継続してフォローしています

本日もそんな断片の一つで、過去記事との重複も含まれますがすが、とりあえずご紹介しておきます。末尾の過去記事と共にご覧いただければ幸いです

6日付米空軍協会web記事よりJamieson情報部長は
Jamieson.jpg中国とロシアが(米国との)大国間競争に備えるために、どのような戦略的投資、技術革新、研究、テスト、開発、評価状況を行っているかに注目しモニターしておく必要がある
●我々がなぜ破壊力や即応体制の強化に取り組んでいるか考える際、中露が何に投資しているか、何をテストし評価しているか、どのような将来技術を重視して評価しているか・・・つまり、どの分野で米国との競争的優位を確保しようとしているかを見極める必要がある

中国についていえば長射程ミサイルの制度の飛躍的向上や備蓄量の増加、(周辺地域に緊張を高めている)南シナ海での地対空ミサイルの配備がその一端である
●また、中国の量子コンピューティングと通信(quantum communications and computing)への取り組みや、半導体やAI分野での戦略的投資も注目すべきである

ロシアについても忘れてはいけない。ロシアがAI戦略を明らかにし、またシリアをMig-31戦闘爆撃機から発射可能な超超音速ミサイル等の「実証実験場」として利用し、大国間紛争での優位分野を確保しようとしており、同様に地対地巡航ミサイル、航空機、指揮統制システムなどなどの実戦テストも行っている

Russia Hypersonic.jpg●またロシアは、核戦力、宇宙、長距離にも注力しているが、私の見たところ、ロシアは西側とどんな手法や分野で対峙するか、限られた資金や資源をどの分野に優先して配分するか、どの分野の即応態勢を重視するかを、自らに問い続けている
●国家安全保障戦略NSSが表現しているように、米国の繁栄と安全保障への脅威となるのは、「revisionist powers」との長期的復活と戦略的競争であり、中国とロシアが他国に対し、経済面、外交面、安保面の決定で拒否権を行使できるような覇権を可能とする世界形成を狙っている事である
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最近やたらと「国家安全保障戦略NSS」を引用したり、持ち出したりする米軍幹部の発言が増えているのですが、なぜでしょうか???

ホワイトハウス取りまとめの文書を引き合いに出すことで、トランプ大統領のご意向に沿った発言ですよ・・・とアピールしているのでしょうか???

trump5.jpgまぁ・・・最近話題のBob Woodwardの「Fear」によれば、現在のホワイトハウス内は、ライオンや虎やサメやサソリなどなど危険な動物を放し飼いにしている状態で、争いの「るつぼ」化しているようで、かつ、トランプ自身も自ら発表した方針を理解もしていないし覚えてもいない状態らしいですから、どれほど効果があるのか不明ですが、自己防御にはなるのでしょうか?

Jamieson空軍情報部長が語るシリーズ
「情報ISR将来計画を語る」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-04-3
「情報部長が中露のAI脅威を」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-28
「中国軍とロシア軍を語る」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-06

「RC-135シリーズがピンチ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-08-1
「ISR無人機の急増」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-21
「無人機要員の削減を」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-25

「同部長のご紹介記事」 →http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-02

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ドイツが国防費増強プランを打ち出すも・・・ [安全保障全般]

10年計画でGDP比を1.2から1.5へ・・・
連立与党内でも不協和音が既に・・・

G-Leyen.jpg5日付Defense-Newsは、ドイツ政府が米国から強く迫られている国防費増加要求に対応し攻防増強の10年計画を明らかにしたと報じ、5年後には国防費を現在のGDP比1.2%から1.5%まで引き上げる野心的なものだと表現しています。←写真左はドイツの女性国防大臣

米国からの強い圧力を受け、NATOは2014年の首脳会議で加盟国の国防費をGDP比2%にまで増加すべきとの目標を採択しましたが、冷戦終了後に東西統一経費捻出もあり極端な軍縮を行ったドイツは1%程度の国防費で他国から非難を浴びてきたところです

軍事メディアが「野心的な」と表現していますが、その意味するところは、首相や国防相など政権幹部の希望を言葉にしただけで、野党だけでなく連立政権を組む他政党からも「なんの裏付けもない」「希望リスト」と揶揄される有様で、その実現性に早くも暗雲が垂れ込めています

まず冷戦後のドイツ軍の状況
東西ドイツ統一で1990年には約80万人のドイツ軍を保有。しかし軍縮の流れで2010年までには約24万人体制(軍人18.5万人、文民5.6万人)にまで縮小
●更に2011年当時の政権は追加縮小を打ち出し、軍人6.5万人まで削減し、戦車や戦闘機を3割、攻撃ヘリは80機から40機へ削減する計画までまとめた。

G-Leyen2.jpg●しかし、その後の情勢変化や米国の要請(圧力)もあり、2016年には軍人と文民あわせて約1.8万人の増強計画を打ち出しました。
ただ少子化や人々の軍隊離れから、人集めは難航し、2014年には給料・諸手当の改善や勤務時間の融通性向上などを含む人材確保策を打ち出し、2015年には今後5年間は国防費5%増を約束するなどしているが、思うようには進んでいない

●また人員だけでなく、国防費を一度大幅に削減した付けは装備品維持に影を落とし、2017年10月には6隻保有の独国産潜水艦が全艦稼働不能となる情けない事態に

5日付Defense-News記事によれば独政府は
●Ursula von der Leyen国防相は、「capability profile」と呼ぶ10年計画で、包括的で大規模な軍備近代化コンセプトを提示した。
●計画によれば、中間の2024年には国防費のGDP比が1.5%に達し、年7.5兆円を超える規模となる。なお現在は約5.4兆円である

Merkel.jpg●国防相は、この計画実行で長年予算削減と装備や人員削減に苦しんできた独軍を、自国防衛と海外任務に十分対応可能な能力レベルに向かわせると説明した
●国防省配布の計画サマリーによれば、計画は2つの優先事項を設けている。一つは兵士の装備改善で、もう一つは独軍をサイバー時代に対応可能な速度を与えることである

●一方で、政権指導層以外はこの計画に懐疑的で、連立政権を組む社会民主党は財務省を出しているが、以前国防相が提出した必要な国防費増額を狙った予算案を拒絶した経緯がある
●今後、この計画を具現化する予算案が議会で審議されるが、早くも閣内の社会民主党は「希望リストに過ぎない」と必要な細部予算内訳を政府に要求しており、別の同党有力議員もこの計画が政府の「debt-neutral budgets」方針に反すると不快感を示し、議会に相談なく発表されたことを批判している
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trump7.jpgドイツをはじめ多くの欧州諸国は、多かれ少なかれ、国防能力は一度緩めてしまうと取り返すのが極めて難しいとの反面教師ですが、ドイツは欧州の中核国にして対ロシアの西側中軸国ですから、その変化に期待したいものです

しかし難しい政権運営と経済情勢の中、それほど画期的な展開が期待できるとも思えずドイツの戦闘機選定への米国の関与など変な噂が漂う米独関係の今後と合わせ、暗雲が忍び寄るドイツ情勢でした

ドイツ軍の苦悩関連
「独戦闘機選定に米圧力?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-28
「独仏中心に欧州連合で第6世代機開発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-07-2
「独潜水艦が全艦停止」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-22
「美人大臣の増強計画」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-12

「独と蘭が連合部隊創設へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-05
「今後5年間国防費6%増へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-21-1
「ドイツ軍の人材確保策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-11-09-1
「2011年時には大軍縮計画」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-30

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グリーンランドに中国企業進出狙いで情勢複雑化 [安全保障全般]

ちょっと複雑ながら、世界の縮図か・・・
   ↓     ↓     ↓
北極圏進出にグリーンランドを狙う中国
米国の重要軍事拠点グリーンランド
旧植民国デンマークと独立目指す自治領グリーンランドの対立
トランプが欧州に関税で欧州住民の米国離れ
欧州の米国離れを促す中国の情報戦

Greenland4.jpg7日付Defense-Newsが、Atlantic Council経費持ちのデンマーク取材記事を掲載しトランプ大統領の西側諸国への強硬な姿勢で同盟関係が揺らぐ中、中国がその隙間を見逃さず、経済的利益をちらつかせて影響力や勢力圏拡大を狙う事例を取り上げています

それにしても中国は巧みです。大戦略に基づき、長期視点でチャンスの到来を粘り強く待ち、好機と見るや確実に新たな足場を確保して前進する・・・が徹底されています。
恐ろしいですし、トランプが貿易分野で同盟国に難癖をつける次のターゲットは日本の様ですので、日本も「他山の石」として、グリーンランドの空港建設への中国企業進出事案をご覧ください

言葉で表現するとちょっと複雑になるので、冒頭の5項目でストーリーを予想・想像いただいた上で、お読み頂ければ・・・と思います。

北極圏進出を狙う中国
Greenland3.jpg●勢力圏の世界拡大を狙う中国は、欧州の経済危機で値下がりした鉱山やインフラや利権の獲得を着実に進めており、欧州の港の貨物スペースの10%を既に確保している。
2016年、かつて米軍基地だったグリーンランドの土地の入札に中国企業が参加する事例(デンマークが阻止した)も確認されており、関係国は短期的視点での経済的利益を求める地元社会と、長期的な安全保障懸念の間で難しい対応を迫られている

●今回グリーンランドが辺境地活性化のため3つの飛行場建設を構想(約600億円のプロジェクト)したところ、かつて世界銀行がブラックリストに入れた中国企業が名乗りを上げ、旧植民国デンマークや米国の懸念にもかかわらず、グリーンランド自治政府は最終候補5企業の中に中国企業を残すことに固執し、比較検討が行われている
グリーンランドは北極圏航路の開発の中で重要な拠点となりえ、また中国からの投資を受け入れることで、グリーンランドが中国政府の影響を受ける可能性も含め懸念が広がっている。

米国の重要軍事拠点グリーンランド
Greenland2.jpg●グリーンランドには、米軍のミサイル警報用レーダー基地や宇宙監視用レーダー、宇宙アセットの指揮統制施設、そしてこれら施設を支える3000m級の滑走路がある

●また港湾施設として、世界最北の水深の深い港を米軍が運用しており、まさしく北極圏活動の拠点としてグリーンランドは重要な位置づけにある


旧植民国デンマークと独立目指す自治領グリーンランドの対立
長くデンマークの植民地だったグリーンランドだが、1975年にグリーンランドに大きな自治権を認める法律が成立し、それ以降、グリーンランド内では独立を求める機運が高まっている
●大きな自治権獲得により、経済的な判断面でグリーンランドが権利を回復した後も、安全保障上の判断はデンマークが行う切り分けになっているが、経済と安全保障問題の切り分けはあいまいで、しばしばデンマークとの論争になっている

Greenland.jpg今回の中国企業参入に関しては、米国との関係を重視するデンマークは反対だが、経済的な面から中国企業に魅力を感じるグリーンランド自治政府との間に意見の相違があり、難しい問題となっている
デンマークは対立を表面化させることでグリーンランドの独立派を刺激したくなく、水面下で中国企業排除を要請している模様も、選定の最終段階の今になっても中国企業が含まれてる。ちなみに他の4企業はデンマーク2企業、オランダとカナダが各1企業である

トランプが欧州に関税で欧州住民の米国離れ
中国企業を排除するため、デンマークはグリーンランドに建設資金の援助を申し入れているとも伝えられているが、トランプ大統領が欧州に対する貿易関税で制裁措置に出る中、米国に味方するためにデンマークが税金を支出して動くべきなのか・・・との意見も出る事態に
●デンマークやグリーンランドに限らず、米国と欧州の関係が悪化する中、中国がその隙間を狙う余地が拡大している

欧州の米国離れを促す中国の情報戦
●グリーンランド議会では、10月末までに空港建設に関する法案の審議が数回計画されているが、デンマークの関係者は中国がグリーンランド内で、反デンマーク世論を形成するための情報戦(Chinese disinformation campaigns)を行うと予期しており警戒している
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記事本文にはより詳細な経緯や中国の北極圏や欧州への進出を紹介していますので、ご興味のある方はぜひ原文をあたってください。

trump5.jpg国際関係は微妙で繊細なバランスで成り立っており、変化は避けられないものの、トランプのような感情に任せたやり方では、中国やロシアの思うつぼです・・・

それにしても・・・周りを見渡せば、似たような事例が日本や極東やアジアでも多数見つかるのでは・・・これから起こりうるのでは・・・と心配になります。本当に心配です

中国の大戦略を考える記事
「英国防相:中国の戦略に学べ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-13
「中国の軍事力レポート2018」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-18

過去の「中国の軍事力」レポート関連記事
「2016年版」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-15
「2015年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-17
「2014年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-06
「2013年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-08
「2012年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-19
「2011年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-25-1

過去の「中国安全保障レポート」紹介記事
1回:中国全般→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-19
2回:中国海軍→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-17-1
3回:軍は党の統制下か?→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-23-1

4回:中国の危機管理→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-01
5回:非伝統的軍事分野→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-22
6回:PLA活動範囲拡大→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-09
7回:中台関係→サボって取り上げてません
8回:米中関係→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-03-2

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日本に提示:F-22機体にF-35システム搭載案 [安全保障全般]

F-22ベースの機体にF-35システムを搭載する提案!

F-22Hawaii2.jpg8月30日付Defenseone記事が関係筋の話としてロッキード社が航空自衛隊や米空軍に対し、F-22の機体ベースにF-35のシステムや最新のステルス技術を搭載する案を提示していると報じています。

2017年夏ごろまで、米空軍内では次世代戦闘機をイメージするようなPCA(penetrating counter air)の検討が鳴り物入りで行われており、「2017年度が検討の山場だ!」との発言が米空軍幹部から聞かれましたが、2018年になってサッパリ話が出なくなり、代わりに2018年4月には「戦闘機ロードマップ」を秋に発表するとの話になっています

もちろん秋のロードマップはPCA検討を踏まえたものになると皆予想しているのですが、最近になってボーイングがF-15戦闘機の近代化改修版「F-15X」を米空軍に売り込んでいるとの報道があり、そして今回のロッキードによる「F-22とF-35ハイブリッド版」売り込みが報じられるなど、「戦闘機ロードマップ」に向けて様々な検討や思惑が交錯しているようです

F-15 upgrades4.jpg背景には中国やロシアが強力な防空網を整備し、ステルス機も安心できない環境が生まれつつあること、またF-16やF-15など第4世代機の老朽化が急速に進んで維持が困難かつ高コスト化しつつあることがあり、更に陸海空サイバー宇宙全てのアセットに近代化の要請がある中で、厳しい予算環境にあることなら多様なオプションを比較しつつ戦闘機ロードマップを検討する必要があると推察します

また30日付記事の特徴は、日本をまずターゲットに置いている点で、日本の国産機開発の動きに対抗する案としてぶつけている点も注目されます。まだまだ粗々の案の様ですが、米空軍内も単純にPCAでまとめられい臭いし、日本も巻き込む動きの様ですので、断片的ですがご紹介しておきます

8月30日付Defenseone記事によれば
Deptula AFA.jpgロッキード社が静かに、F-35の最新システム改良型を搭載するF-22の新タイプを米空軍に提案しているとの情報を関係筋から得た。これは中国やロシアに対抗する手段を検討している国防関係者へのオプションの一つとして提示されている
ミッチェル研究所のDeptula航空宇宙研究部長(退役空軍中将)は、「F-22とF-35のハイブリッド版で、新型機を設計開発するより、はるかに迅速に実現できる提案だ」と表現している

またこのハイブリッド案と同様の案が日本に提案されており、「F-35システムと最新のステルスコーティング等を組み合わせたものだ」と関係筋は語っている
●提案に際しロッキードは、「日本が国産機を開発しようとしても、所詮現在あるF-22を超えるものは出来ないのだから、より現実的な案としてハイブリッド版もオプションとして提案している」と売り込んでいる模様

F-22-wake.jpg●Deptula部長は、戦闘機体系の将来を考えるとき、(F-35に加えて)、第4世代機のバージョンアップ型を導入するのか、高価で開発リスクのある最新機を考えるのかは継続して議論されてるが、F-22のアップグレード版はより段階的な進化版として検討に値する案だと主張している
ボーイング社がこれに先立ち、F-15改良版の「F-15X」案を提示しているが、より多くの弾薬と電子戦装備を搭載し、ステルス機ほどではないにしろ有効性を高めたオプションを提示しているのもこの流れと推測される

●またDeptula部長は、「航空力学やエンジンやステルス等の面で、F-22をはるかに超える革新的な技術が出ているわけではない現実」をよく踏まえて考えるべきだとも語っている
●他のオプションとして、F-16やF-22やF-35に、エネルギー兵器や電子戦攻撃装置等を搭載する検討もロッキードは行っている模様で、関係筋は「米軍の次世代制空機には多様なオプションがある」と語っている

ロッキードは米海軍にもF-35C改良の提案を早くも行っており、エンジンの燃費や推力向上などが提案に含まれている模様
F-35 luke AFB.jpg●またロッキードは米空軍にF-35調達ペースを上げるように提案している。現状購入ペースでは、2030年時点でも5世代機と4世代機の機数が共に1000機づつで、中国やロシアに対応するにはリスクがると訴えているようだ

●Deptula部長はこの点に関し、現在1機100億円のF-35価格がどの程度下がるかが一つのポイントだと語っている
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今週は戦闘機の話題が多くなるのですが、他に話題がないから戦闘機関連報道が多いのでしょうか???

記者の皆さんもまだ、夏休み気分な抜けない感じなのでしょうか・・・

米空軍の次世代制空機検討PCA
「秋には戦闘機ロードマップ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-22
「PCA検討状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-12
「次期制空機検討は2017年が山!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-12
「次世代制空機PCAの検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08

「CSBAの将来制空機レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-15-2
「NG社の第6世代機論点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-17
「F-35にアムラーム追加搭載検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-28

「ボーイングがF-15X宣伝中」
https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-24-1
タグ:F-22 F-35
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ミサイル防衛見直しMDRはまだなのか? [安全保障全般]

Markey.jpg21日、米上院議員がマティス国防長官に書簡を送付し、ますます複雑になる多様なミサイル脅威と関連する新たな技術への投資を判断するためにも、取りまとめが遅れに遅れているミサイル防衛見直し(MDR:Missile Defense Review)作成を急ぐよう要求しました。

元々MDRは、トランプ政権の国家安全保障戦略NSSや国家防衛戦略NDSが発表されたことを受け、2017年末までには取りまとめると国防省が述べていたものであり、8か月発表が遅れているものです

そもそもMDRは従来BMDR(弾道ミサイル防衛見直し)と呼ばれていたものですが、弾道ミサイルだけでなく、最近は高度な巡航ミサイルや超超音速兵器の開発が進んで大きな脅威となってきたため、弾道ミサイル防衛に限定せず、広くミサイル対処を考えようと「ballistic」との限定用語を取り除くことにすると今年3月に国防省が明らかにしていました。

GBI-KV.jpg当初はその概念拡大も一つの理由に発表を先延ばししていたのですが、5月13日に国防省報道官が「数週間後に発表する」、「国防長官が最終確認中」と発言した後、何の音沙汰もなく、今日に至っているものです。

北朝鮮騒ぎを取り上げるまでもなく、中国やロシア、更にイランなどに急速に拡散するミサイル技術とその脅威(イエメンからサウジにミサイルが撃ち込まれる時代です!)を受け、また前述の巡航や超超音速Mの開発拡散も受け、トランプ政権の軍事政策の大きな宿題の一つがMDRと言われて久しく、多くの国防省や米軍幹部が、「その課題についてはMDRの中で検討しているので今はコメントできない」等の問題先送りに利用してきたのがMDRです

最近では、宇宙にMD用のアセットをとの主張も強まっており、ますます予算厳しき中で取りまとめが困難になりつつあるのは関係者周知の事実ですが、あまりにも「音沙汰無し」なので、Edward Markey 上院議員(D-Mass.)もしびれを切らしたというところでしょう

24日付米空軍協会web記事によれば
Aegis FMS.jpg●Markey上院議員はレターの中で、敵対的な国がミサイル能力を強化して進化を見せる中、米国もミサイル防衛への投資が急増しており、更に新たに注目すべき技術革新があり、また宇宙ドメインで優位性が重要になりつつあると情勢を分析している
そしてこのような時代にこそ国防省はミサイル防衛を取り巻く情勢と基本的考え方を整理したMDR(ミサイル防衛見直し)を早急に取りまとめるべきだと上院議員はレターで訴えている

space-based 2.jpg●更に同上院議員は、最近国防省関係者から米国ミサイル防衛政策を大幅に変更することもやぶさかではなく、宇宙配備のアセットでのミサイル防衛用迎撃システムに前向きともとれる発言が出ていることからも、考え方を早期にまとめてほしいと主張している
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米国内での最近のミサイル防衛関連の議論の流れは以下の記事で退役陸軍中将が表現しているように思います
「米ミサイル防衛の目指す道」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-12  

space-based.jpg
ミサイル技術の進歩拡散の中、圧倒的に攻撃側優位な方向に更に傾いており、どこまでミサイル迎撃に投資すべきかは、極めて難しい課題です。

米国防省内でも、MDRにどのような内容を盛り込むかについて、激論が交わされているのかもしれません。強力な推進者が戦略担当次官補に就任したということですが・・・

関連の記事
「米ミサイル防衛の目指す道」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-12
「MD協力推進者が戦略担当次官補に」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-07-1
「BMDRはMDRに変更し春発表」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-24-1

「超超音速ミサイルに防御無し」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-21-1
「2倍のICBM防衛ミサイルが必要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-18-1 
「宇宙配備のミサイル防衛センサーが必要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-31 
「露の巡航ミサイルへの防御無し」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-06

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英国防相:いまこそ大戦略が必要な時 [安全保障全般]

中国を見習え
戦略議論がなされない現状に危機感

williamson.jpg7日、米国を訪問中のGavin Williamson英国防相がワシントンDCのAtlantic Councilで講演し、聴衆からの大戦略の必要性や重要性に関する質問に答え、回答が難しい質問だが素晴らしい質問だとし、NATOや西側諸国の首脳や関係者間で行われている議論が、あまりに日々や目の前の事象にとらわれすぎており、もっと時間をかけて大戦略(grand strategy)を議論すべき時だと訴えました

特に同国防相は大戦略の面で中国が優れていると評価し、「彼らは大戦略を持ち、将来に対する計画を持っている。我々もそういう形にもっていかなくてはならない」と表現し、トランプ政権と欧州諸国やNATO諸国との最近の乖離傾向にまでは言及していませんが、その課題を示唆しています

williamson3.jpg同時に英国防相は、中国が国際社会の中で、その規範やルールを乱すのでなく、その中で繁栄する事が中国のためであることを理解させるように導くことが重要で、中国の大戦略をそのように導くことが大切だと語りました

まだ42歳の若々しいWilliamson英国防相で、一般的な議論をしたまでかもしれませんが、大戦略の必要性は強調しても強調したりないことだと思いますので、これを機会にご紹介させていただきます

9日付Defense-News記事によれば
●英国防相はワシントンDCのシンクタンクで、西側諸国はより大きな視点で考えることを始めるべきで、NATOや西側首脳の会談で、昼間の会議の時間に日々の細かなことばかり議論し、夕食会ぐらいになってやっと大きな話題になってる現状を逆転させて良いのではないかと語った
williamson2.jpg●そして、現状の西側社会では、ロシアや中国の脅威に対応する長期的な取り組みや計画が不十分であると間接的に警告した

●同国防相は会場からの質問に答え、「ご質問のあった大戦略に関し、NATO加盟国間、西側主要国間、我が同盟国等の間では十分な話ができていない」と述べ、「我々はそのような話し合いを行わねばならない。なぜなら、もしそのような議論を行わず、将来計画を持たなければ、我々は将来事態に十分備えることができないからだ」と語った
●更に「これが西側の弱点であり、何とかしなければならない。そして早急にかつ迅速に対応しなければならない課題である」とも表現した

大国との競争や紛争は、トランプ政権が国家防衛戦略で、ロシアと中国を基準として米国の成否を測る基準と表現してから、避けて通れない話題となっている。
williamson4.jpg●一方で識者の間では、大戦略実行の観点からすると、米中ロの3か国の中で中国が最も優れていると評価されており数十年にわたる方向性を示し、全政府機関を挙げてその遂行を追及する姿勢が認められている

●しかし対中国の戦略に関して同国防相は、中国と対峙するだけでなく、中国を取り込み協同する方向性の戦略を推奨している
●「我々は、中国が世界の部隊で重要で価値があり肯定的な役割を果たすための方策を考えなければならない。恐らくこれは中国側も望んでいることで、そのような役割を果たしたいと考えていると思う。なので我々の大戦略の一部は、中国が世界の中で役割を果たすよう仕向けることである」と語った
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49分30秒くらいから関連する質問と回答


中国を国際秩序に取り組むことが容易ではないことは十分認識しつつも、大戦略の元、硬軟の策を組み立てることで、弱点もある中国に方向転換を図らせようとの考え方は重要です。

英国防相は質疑の別の部分で、抑止がまず第一番に重要なことを語っていますが、中国を組み込むことで不測の事態拡大を抑止する必要性も念頭にあるのでしょう

各国が協調すれば、できることはまだたくさんあるはずです!

思いつきで関連の記事
「NATOの将来に保証なし」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-23-1
「露を条約に戻すためには・・」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-20
「ウクライナの次はセルビア」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-10-2
「独潜水艦が全艦運行不能に」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-22

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米空軍情報部長が露中のAI野望を語る [安全保障全般]

AIが将来を決すると認識し、中露は共に、AIで世界制覇を

Jamieson3.jpg26日、米空軍情報部長であるVeraLinn Jamieson中将が空軍協会朝食会で講演し、中国とロシアが軍事技術革新やAI(人工知能)の軍事分野への応用を重要課題ととらえている様子を、「中国は膨大な資金を。ロシアは大きな野望を」 と表現して説明し、危機感を訴えました

Jamieson中将は初めての女性空軍情報部長であるだけでなく、まんぐーすが知る限りずっとくパイロットが占めてきた同ポストに、情報将校としてキャリアを積んできた人材が(恐らく)初めて就任した初めてのケースとして注目される人物です

2016年11月から本ポストについており、今年1月4日にも空軍協会で作戦部長と共に講演し、中国軍とロシア軍の最新分析を語っており、「ロシア軍はシリアでの活動に、交代でロシア空軍操縦者を派遣して実戦経験を積ませている。既に操縦者の85%がシリアで実戦を経験した」と興味深い統計を披露しています

そんな情報通のJamieson中将(年齢からすると、恐らく本年中に退役になると推測)が、AI分野へ中露の取り組みを語っていますのでご紹介します

Jamieson中将は26日の空軍協会朝食会で
artificial intel3.jpg中国は計算速度で世界1位と2位のスーパーコンピュータを保有し、軍民が協力して研究に取り組む「人工知能都市」を複数設けている
●また中国は、次世代の人工知能や軍需産業を育成するアクションプランを発表しており、更に2030年までにこれら技術分野で世界のリーダーになることを目標にすると宣言し、17兆円もの資金投入も打ち出している

●この投資額を分野別に追ってみると、米空軍情報部の推計では、2017年に中国が人工知能分野に投入した資金は1.4兆円で、2020年までにはこれが8兆円近くにまで膨れ上がる
●このような膨大な資金力が、中国をして人工知能分野における壮大な挑戦(true moonshot)を可能にしている。そして中国は世界支配を達成するため、スーパーコンピュータ、人工知能技術の中核、そして世界的な才能を確保し、世界最大の技術アセット大国になることを目指している


Jamieson.jpgロシアも、プーチン大統領が声明を発表しているように、人工知能を制する者が世界を制すると認識してる
●またより明確に、ロシアの国営メディアは、ロシアが米国を打ち破るためには、人工知能がカギとなると報道している

●ロシア政府の関連閣僚や科学アカデミーは、人工知能開発強化のための10項目からなるプランを最近発表し、その中には、学会と産業界の橋渡しをする「国家人工知能センター」の設置が含まれてる
●このセンター設置は、米国が最近発表した「United States Joint Artificial Intelligence Center」を真似たものだとロシア側関係者自身が認めているものだ

●ロシアはビックデータと人工知能コンソーシアム構築を目指しており、軍事作戦に人口知能が与える影響を見極めるための人工知能ウォーゲームを行っている
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artificial intel.jpg中国が資金にものを言わせ、人材と最新機材を備えた研究環境を用意し、人工知能で世界を支配すると言えば、米国も太刀打ちできないと思います。中国内が混乱しない限りは・・・

ロシアも中国ほどではないにしろ、民主主義の手続きや人権等に縛られない環境にものを言わせ、プーチンが資源と投入すれば、特定分野で米国を圧倒することになるのでしょう・・・

トランプ騒ぎで西側の足並みが乱れているうちに、あと5年もすれば、世界の軍事力関係が変わっているかもしれませんねぇ・・・

初の女性情報部長Jamieson中将
「中国軍とロシア軍を語る」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-06
「同部長のご紹介記事」 →http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-02

VeraLinn Jamieson米空軍情報部長の経歴
http://www.af.mil/AboutUs/Biographies/Display/tabid/225/Article/108431/brigadier-general-veralinn-dash-jamieson.aspx

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2018年半期で既に昨年の武器輸出額越え [安全保障全般]

単純じゃないようですが、トランプ大統領さまさまか?
でも、貿易戦争で先行きに不安も

Hooper.jpg18日、米国防省国防協力庁DSCAのCharles Hooper長官(中将)は英国のファーンボロウ航空ショーで2018年上半期の武器輸出額が既に2017年全体額を突破したと発表し、トランプ政権が武器輸出を国家安全保障促進剤ととらえ、外交施策推進にも良いと判断して積極推進する姿勢を強調しました

そしてこの具体的政策として国務省が「Conventional Arms Transfer Policy」(CAT Policy)を同週に公表し、武器輸出の許可を判断する際、経済安全保障の視点を判断基準に加え、「政府の審査プロセスを改善する大きな第一歩」と専門家が評価する体制づくりに踏み出しました

F-35 luke AFB2.jpgこのCAT Policyに対しては米商工会議所軍需産業部門(DAEC)からも大歓迎とのメッセージが出されるなど、米国政府と産業界側は明るい未来を打ち出しています。

ただ、このような米政府や米企業の契機のよい発言の一方で、同航空ショーの会場の様子を伝えるDefense-News記者は、米国と欧州、また米国と中国間の貿易摩擦・戦争の影が会場全体にあり、不安と様子見の雰囲気が漂っているとも伝えており、自分で自分の足を引っ張るトランプ体制の影響を感じさせます

20日付Defense-News記事によれば
Webster.jpg●国務省発表のCAT Policyに対して米商工会議所軍需産業部門(DAEC)のKeith Webster会長は、「DAECは国務省のCAT Policy発表を歓迎する」との声明を出し、更にDAECが政府に提言している30項目の要望事項を紹介して更なる政府の改革実現を要望した
●同会長はCAT Policyに続く政策において更に、「手続きの迅速化、製品プロモーションの強化、認可審査の際の経済的要素の重視」などがより考慮されることを望むと述べている
●一方で武器輸出が世界各地の紛争に油を注ぐと懸念する団体は、「武器輸出認可のプロセスにより高い透明性を確保し、流通に対するモニターを強化する必要性」を訴えている

19日付Defense-News記事によれば
●米国防省国防協力庁DSCAのCharles Hooper長官は、「軍事装備品輸出は国家安全保障に資するものであり、外交政策にも資する。そして我が国の経済安全保障にも資するものである」とCAT Policyの意義を語り、輸出増の成果を強調した
Hooper2.jpg●そして同長官は、「同盟国等からのCAT Policyへの反応は極めて肯定的で、具体的な変化や改善に関する問い合わせがあり、米国製軍事装備を利用したいとの希望が示されている」と語った

●確かに2018年年度前半の輸出額$46.9 billion(5兆円強) は相当な数字で、2017年度全体で$41.9 billion、16年度$33.6 billion、15年度$47 billion、14年度$34.2 billionと比べても傑出した数字である
●しかし今年前半の数字は前政権時の契約の占める割合も多く、長期にわたる軍需装備品の契約納入期間を考えれば、トランプ政権の手柄だけとは言えない点に留意すべきである

●また同航空ショーの会場では将来に向けての不安感が随所で聞かれ、会場全般には「wait-and-see mode」が漂っているように感じられた。
特に欧州と米国との関係悪化、中国との貿易戦争の影響を懸念する声が多く聞かれ、特に航空機やヘリの中国輸出がどう影響受けるのかを気にする声が多かった。
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Trump tel.jpgトランプ政権の閣僚や側近も、昨今のトランプ経済政策に対する疑問に答えられず、大統領発言やツイートにフォロー出来ていないようですが、武器輸出も同様の様です。

しかし、軍備管理団体の懸念ではありませんが、大量に出回る兵器が、世界の紛争を促進することのないように祈るばかりです。米国内では銃の乱射事件が後を絶ちませんが、世界へ拡散はご勘弁願います

武器輸出関連の記事
「4月にも武器輸出新政策か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-18-1
「無人機輸出方針は期待外れ?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-21-3
「無人機輸出規制の見直し開始」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-04

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F-16人気復活で生産ラインを移設再開へ [安全保障全般]

まだ第4世代機の需要は確実にあります
バカ高い5世代機よりも・・

F-16 Block 70 2.jpg18日付米空軍協会web記事は、ロッキード社関係者が、「F-16V Block 70」を新たに購入決定した国が今年に入り2か国も現れたことを、「着目すべき驚くべきF-16への需要復活」との表現で語っていることを紹介しています

F-35命で売り込みに必死なロッキード社関係者ならしょうがないのかもしれませんが、F-35のように維持整備まで企業に牛耳られ、マニュアルから全て英語でとっつきにくい高価な機体に比べ、それぞれの国が操れる感がある値ごろなF-16に根強い人気があるのは当然でしょう

特に新たにF-16V Block 70購入を決定したスロバキアやバーレーンのような小国の場合、身の丈に合ったアセットとして多用途戦闘機F-16は魅力ある選択肢でしょう。
ロッキード社に置かれては、しっかりF-16シリーズを作り続けられることの大切さを確認していただきたいところです

18日付米空軍協会web記事によれば
F-16 Block 70.jpg●ファーンボロー航空ショーでロッキード社のF-16営業責任者Randy Howard氏は、最近購入を決定したスロバキアのように、世界中でF-16への「着目すべき驚くべき需要復活:remarkable and notable resurgence」が見られると語った

● Howard氏はF-16への需要復活の一因として、能力向上したレーダー、ミッションコンピュータなどの最新の技術導入があると説明した
●また同氏は、第5世代戦闘機であるF-35やF-22から得た教訓を投入できるロッキード社の能力も強調し、例えば耐用飛行時間を旧タイプの8000時間から12000時間に伸ばすことに成功したと胸を張った

●当該F-16の生産ラインについて同氏は、従来F-16を製造していたテキサス州Fort Worthの工場がF-35用ラインに転換されていることから、F-16ラインをサウスカロライナ州Greenvilleに移設する作業を行っていると語った
F-16 Block 70 4.jpgF-16新生産ラインは今後6~8か月で完成して生産を開始し、これに合わせてロッキード社は、部品や関係物資の調達拠点をサウスカロライナに移設すると説明した

スロバキアとバーレーン以外にも、例えばインドがF-16に関心を寄せており、インド側との話し合いの中で現地生産の話が出ているとも同氏は語った
●現時点で、F-16は世界25か国で合計約3000機が運用されており、今後新たに200機をロッキード社は製造することになるだろうと述べ、そのために2030年頃まで生産ラインを維持することになるとも語った。ただしインドとの契約が成立すれば、更に生産期間を延長すると述べた
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F-16 Block 70 3.jpg大国インドでさえも欲しくなる最新型F-16ですから、F-35計画が亡国の道を歩むにしたがって、その需要は更に拡大するものと考えられます。

でも狡猾なロッキードのことですから、日本や欧州主要国にはF-35しか売らないのかもしれません・・・。でも興味ありますねぇ・・・この「F-16V Block 70」には・・

F-16関連の記事
「サンダバードF-16も延命改修&後継機種はF-35?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-26-1
「米軍F-16延命へ:F-15C退役に弾み?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-13
「米空軍がF-15と16の延命検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-25
「F-16の延命措置300機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-08-31-1

第4世代機関連の記事
「コッソリF-15C電子戦能力向上を中止」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-03
「秋には戦闘機ロードマップ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-22
「F-15Cの早期退役やむなし?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-22
「米空軍がF-16延命へ:F-15C退役に弾み?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-13
「衝撃:制空用F-15全廃検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-23

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ロッキードPAC-3MSE受注増でウハウハ [安全保障全般]

需要急増で生産能力2倍に、そして更に・・
生産効率アップで単価低下につながるか

PAC-3 MSE2.jpg11日付Defense-Newsが、各種ミサイル脅威の拡散を受け、導入国が急速に増加しつつあるロッキードマーチン製のPAC-3ミサイルシステムについて、導入国増加だけではなく、弾薬備蓄を積み増す国も増えたことから、最新の「PAC-3 MSE」の生産能力を2倍にしつつあり、近い将来更に能力拡大を図る方向だと報じています

数あるPAC-3システム導入国の中で、初代PAC-3ミサイルを購入を続けているのは1か国のみ(国名不明)で、日本も含め他の全てのPAC-3導入国は「MSE」に移行しているとのことで、増産投資が容易な状況にあるようです

PAC-3 MSEはPAC-3に比し
PAC-3 MSE4.jpg弾道ミサイル、巡航ミサイル、航空機などの脅威に対処する能力を高めている
●弾体の直径を太くし推力を増やし、射程距離がPAC-3に比べ50%増の約30 km+に。
●また、弾体中ほどにある翼の幅を小さく、後部のフィン(操舵翼)を大型にして機動性を高め、同時に折畳み式にしてPAC-3キャニスター(発射筒)に収める
●ミサイル直径が太いので、キャニスターにはPAC-3は4発だったが、MSEは3発のみ格納

11日付Defense-News記事によれば
●ロッキードは、米陸軍や同盟国等からのPAC-3 MSEの需要急増に答えるため、数年で生産能力を2倍以上に拡張する計画である
●米陸軍は使用が続くミサイルの穴埋め補給だけでなく、ミサイル備蓄量増加計画を打ち出しており、これによりミサイル発注が急増する

PAC-3 MSE3.jpg●米軍は2018年から2022年の中期計画では、毎年95発の購入予定だったが、最近になって2018年と2019年に各240発を購入し、2020年以降も160発を毎年購入する方向に変更した

●海外顧客も急増しており、今年だけでも3か国(ポーランド、ルーマニア、スウェーデン)がパトリオットシステムの導入を決定し、初期導入ミサイルが受注を押し上げている
●この3か国用だけでも、ロッキードは576発のPAC-3MSEを製造することになる。内訳は、ポーランド208発、ルーマニア168発、スウェーデン200発である

●ロッキードのIAMD営業部長は、「PAC-3 MSEへの関心が非常に高まり、生産能力2倍増に向け取り組んでおり、それは年間500発の生産能力を意味する」取り組んで現状を語りつつも、
●更に「一方で更なる需要増の気配があり、対応が難しくなる可能性がある。そこで米国政府と共に、どのあたりまで製造能力増強を進めるか検討している」と語った

●また同部長は、今年中に更に少なうとももう1国がパトリオットシステム導入を判断することになると述べ、これにより更なるPAC-3 MSE増産が発生する可能性がある
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PAC-3 Saudi.jpg日本はPAC-3 MSE導入国として、他の購入国と連携し、増産効果による単価低減をロッキードに強く要求すべきです

絶対に・・・

CSISにより米軍IAMDへの提言レポート
https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-27-2

米海軍NIFC-CAと関連装備
「日本もNIFC-CAに参加?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-11
「Baseline 9 :イージス艦の進歩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-09
「米海軍のNIFC-CAとは」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-26

「kill chainからkill webへ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-15
「SM-6でBMD対処に成功」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-05
「NIFC-CAとSM-6連携」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-27
「NIFC-CAで空軍と協力」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-23

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化学生物兵器を無効化するX線爆弾開発!? [安全保障全般]

開発の第2段階へ入った模様

b weapon2.jpg6月14日付Dailymail電子版が、少なくとも2015年から企業と開発契約を結んで米国防省が進めている生物化学兵器を無効化する「X-ray bomb」開発について報じ、第2弾の開発フェーズ契約が2017年に締結され、2018年7月から2年間の契約活動が開始されるとのことです

記事は兵器を「X-ray bomb」と表現する一方で、「Directed Energy Weapon」の一つとも紹介しており、そのような性格の兵器の模様です。
事柄の性格から情報の管理が厳しいようで、細部は不明ですが、具体的な担当企業名も紹介されていますので、とりあえず取り上げておきます

6月14日付Dailymail電子版によれば
X-ray bomb.jpg米国防省は当該開発契約を、エレクトロニクス専門家集団である「Hyperion Technology Group」と結んでおり、少なくとも2015年から研究開発が開始されている
●研究開発では、保管施設や容器を破損することなく、爆発的なX線放射で生物化学兵器を無効化する兵器を、現存する兵器の弾頭に搭載することを目指している

●2015年に公になった「High Power X-ray Munition to Attack and Defeat Weapons of Mass Destruction」とのタイトルの文書で本プロジェクトが明らかになったが、大部分は非公開である
約1600万円の契約で行われた第1弾研究開発は、第2弾開発につながる基礎設計を確認するもので、小さな規模のX線兵器で生物化学兵器への効果をデモするもの・・・と文書で表現されている

b weapon3.jpg2017年に契約された1.2億円の第2弾研究開発契約では、「エネルギー兵器として活用できる完全に兵器レベルのX線を静的な一連の試験で可能とする」ことを目的としており、今年7月から2年間の予定で進められる模様
第2弾契約に関する文書では、「これまでの兵器は、友軍や一般市民に紛れて反乱分子が存在するような近接戦闘で要求を満たすことができなかった」との表現があり、そのような環境でも使用できるレベルのX線兵器が求められている模様である

米陸軍大学の専門家は、このような兵器情報がテロリストに渡ることが懸念だと述べるとともに、対策として対象物に照射されたときに焼却効果を発揮するようにX線爆弾は設計されるだろうと語っている
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何やら謎に包まれた兵器ですが、近接戦闘で周辺の民間人への影響がない兵器とは夢のような話です。

X-ray bomb2.jpgでも、2016年にはX線Gunを開発し、照射後、時間が経過したのちに人が死ぬような兵器開発を試みた罪で逮捕された男がいるようです。恐ろしきはX線です

全く理論的には異なるのでしょうが、核兵器を無効化できるようなエネルギー兵器というか、兵器ができれば、それはそれはインパクト大でしょうね・・・

エネルギー兵器関連記事
「エネルギー兵器の国際協力」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-27
「エネルギー兵器とMD」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-12
「レーザーは米海軍が先行」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-24

「無人機に弾道ミサイル追尾レーザー」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-17-1
「私は楽観主義だ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-23
「レーザーにはまだ長い道が」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-18
「AC-130に20年までにレーザー兵器を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-06

国防省高官がレーザーに慎重姿勢
「国防次官がレーザー兵器に冷水」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-12
「米空軍大将も慎重」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-24

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韓国国産戦闘機KF-Xデザイン画公開 [安全保障全般]

なんと欧州製の空対空ミサイル搭載の図です!

KF-X1.jpg29日、韓国の国防調達庁DAPAが、初期設計段階PDR(preliminary design review)を終え、次のCDR(critical design review)に進むことになった国産の次期戦闘機KF-Xのイメージ図を公開しました。

KF-Xは韓国が導入を決めたF-35と共に、ハイ・ローミックスで韓国空軍の中核をなすことを目指す装備で、F-4やF-5戦闘機の後継として約120機の導入を見積もっており、運用開始時期については明確ではありませんが、2020年代半ばには、現在の専横機430機体制が老朽化から半分になる可能性もある事から、そんなに余裕はありません

このKF-Xは、F-35導入選定のどんでん返しゴタゴタの影響を受け、2014年頃から大混迷の中で始まり、2016年1月に正式スタートしたことになっておりますが、とりあえず現状について、米国ともめている様子も含めてご紹介しておきます

29日付Defense-News記事によれば
KF-X2.jpg●DAPAのJung Kwang-sun長官は29日、「3日間にわたるPDRで全ての要求事項が満たされていることを確認したので、次のCDRに向けて事業を進める」と発表し、想像図を公開した
●そして2019年9月までに詳細な設計をまとめると今後の予定について説明した

●公開されたデザイン画はC-109とのコードネームで機体を呼称し、風洞試験や流体力学分析を経て完成したものだと説明された。
●デザイン画が米国製でなく欧州製の中距離ミサイル「Meteor」4発を胴体下に、翼端のパイロンランチャーに短距離ミサイル「IRIS-T」2発を搭載していることに関し専門家は、DAPAは本当はAIM-120やAIM-9を搭載した絵にしたかったが、輸入ライセンスを取得できていないことからそうなったと解説している

●匿名のDAPA関係者も、欧州製空対空ミサイルは米国製よりも高価で、また米国製の方がシステム融合しやすいため、米国との交渉が進めば米国製の方向に進むと述べている
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KF-X.jpgこのKF-Xはもともと、米国からF-15 Silent Eagleを輸入する見返りとして、米国ボーイング社からの技術移転や支援を受けることを当てにした国産開発機です。それが突然ロッキードのF-35に大どんでん返しで、ロッキードが技術支援を拒んでいる(F-16と競合する等の理由で)代物です。

2013年年初はF-35ではなくF-15 Silent Eagleを60機導入で手続きが進んでいましたが、2013年3月に時のヘーゲル国防長官らが直接F-35売り込みに乗り出し、最終決定会議の前日に大どんでん返しで9月24日にF-15は採用しないと決定され、再選定を経て40機のF-35に無理やり変更された黒歴史です

KF-X費用負担の面でも、ロッキードに2割負担せよとの高飛車な要求交渉を行っている韓国DAPAですが、欧州製ミサイル搭載の図の件もあり、この北朝鮮情勢と南北融和大統領のなか、どう進むんでしょう・・・。

KF-X関連の記事
「米が韓への技術提供拒否」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-28
「KF-X計画公式発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-01-1
「韓国KF-Xは2個エンジン」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-07-22
「F-35がらみでKF-X支援要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-31

韓国とF-35関連記事
「韓国F-35とKF-Xのゴタゴタ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-04
「韓国F-35とKF-X」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-25
「韓国がF-35に最終決定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-22-1
「急転直下:F-35を選定か?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-10-19

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中国無しRIMPAC開始でマルチドメイン化へ [安全保障全般]

米指揮官「中国の行動はRIMPACの全目的に反する」

Aquilino-RIMPAC.jpg6月28日、約1か月にわたる世界最大の海洋演習RIMPAC2018の開始イベントが開催され、同演習を主宰する米国を代表してJohn Aquilino太平洋海軍司令官が、冒頭の言葉や「中国不在でもほとんど変わりはない」と語るとともに、演習のマルチドメイン化を進めると表明しました

「環太平洋海洋演習」との名前を冠する演習ですが、欧州の英、仏、独、蘭、イスラエル、そしてインドを含む25か国が参加し、46隻の艦艇、5隻の潜水艦、200機の航空機、そしてマルチドメイン化を象徴する18か国の地上部隊を含む、約25000名が参加する訓練です

ちなみに前回RIMPAC2016に、中国は艦艇5隻と1200名の兵士を参加させていたそうですが、参加国交流立食レセプションでお行儀悪く食べ物だけを汚く食い散らかして交流を図らず「冷たい視線」を浴びたり、艦艇相互訪問時に海上自衛隊参加者だけを拒否したりと負の話題豊富でしたが、今回の参加国は演習本来の中身に集中していただきたいものです

29日付Military.com記事によれば
RIMPAC2018.jpg●真珠湾を望む米海軍施設内で行われたイベントでAquilino太平洋海軍司令官は、「本演習全体が、平和、安定、安全、そしてインド太平洋地域における自由で開かれた活動に資する協力関係を狙いとするものだ」と述べた
●そして「中国の行為は、RIMPACの全ての目的に反するものである」とまで述べ、同演習に招待しなかった国を非難した

●この司令官による発言の背景には、(アジア安全保障会議等での)マティス国防長官の発言、「中国は数年前には南シナ海に兵器等を配備しないと公言していたのに、最近は堂々と軍事要塞化を継続している」との非難に沿ったものである
●演習全体への影響について同司令官は、「中国が参加する可能性があった演習科目は、中国不在でもほとんど影響なく実施される。思いを同じくする参加国の存在により、所望の成果が期待できる」と表現した

●参加国は、アルファベット順に、Australia, Brunei, Canada, Chile, Colombia, France, Germany, India, Indonesia, Israel, Japan, Malaysia, Mexico, Netherlands, New Zealand, Peru, South Korea, Philippines, Sri Lanka, Singapore, Thailand, Tonga, Vietnam, the United Kingdom, and the U.S.の25か国である
●演習指揮官を務める米海軍第3艦隊司令官John Alexander中将は、「参加国全てが海洋国家である。参加国全てが貿易によって繁栄しており、その貿易の大半はインド太平洋を通過している」とRIMPACの重要性を語った

RIMPAC 20164.jpg●同中将は今回の演習の新たな取り組みとして、マルチドメイン化を進めていること、つまり実弾射撃を伴う部門に、陸軍の「Multi-Domain Task Force」が海軍発射の対艦ミサイルを迎撃したり、空軍機が長射程対艦ミサイル訓練を行う点を挙げた
●そして「RIMPACでは初の試みで、次回RIMPAC2020年には更にマルチドメイン化を拡大する」、「本演習は海洋演習だが、地上部隊が海洋ドメインを支援するのだ」と語った

●他の特徴として、南シナ海沿岸国で中国と対峙するフィリピンが初めて2隻の艦艇とともに参加する。フリゲート艦と着上陸艦の2隻である
●また、海軍規模が小さい(総戦力フリゲート8隻、潜水艦4隻、着上陸部隊や沿岸警備艇部隊等)チリが、演習間に連合部隊の指揮官ポストを務める計画になっている

●チリ参加部隊の指揮官であるPablo Niemann中佐は、我が国にとって12回目の参加となる今回のRIMPACでより高い責任を果たしたいと語り、チリ海軍創立200周年の今年を記念する演習にしたいとの意気込みを示した
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RIMPAC 20166.jpg参加しない中国のことなどコメントする必要もないと思うのですが、会えて言及しているのは「政治的メッセージ」というか、言及するように米国としての指示があるのでしょう。

マルチドメイン化を進めるとなれば、中国やロシアなどいない方が正解です。そういえば、以前オブザーバー参加時に、情報収集艦を連れてきて大ヒンシュクを買ったロシアはどうなっているのでしょうか?

地上部隊とマルチドメイン
「米空軍はS-400対処を陸軍に依頼」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-29
「海兵隊輸送艦からロケット弾」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-28-1
「再度陸軍に南シナ海で活躍期待」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-16
「ハリス大将がcross-domainを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-05
「ハリス大将も南シナ海で陸軍に期待」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-06
「射程300kmの対艦ミサイルを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-29-1

RIMPAC2018関連
「RIMPACに中国招待せず」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-24
「アジア安全保障会議2018」[→]http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-26-2

前回2016年RIMPAC関連の記事
「RIMPACで日本に嫌がらせ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-27
「RIMPAC中国招待を巡るあれこれ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-29
「露の情報収集艦が出現」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-07

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