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米空軍2トップ寄稿:北極圏と米空軍 [米空軍]

米空軍最初の大規模空輸と空爆作戦は北極圏だった

Arctic.jpg9日付Defense-Newsに、Wilson空軍長官とGoldfein空軍参謀総長が「Air power and the Arctic: The importance of projecting strength in the north」とのタイトルで寄稿し、北極圏での米空軍の活動の重要性を訴えています。

「冷戦終了時には、多くの人々は米本土北方国境の安全が確保されたと考えたであろうが、技術の発達を受け、敵対者はこの強固な国境を穴だらけにしようとしている・・・」との一文が示すように、敵対者から米国への最短距離の国境であり、また資源豊富な北極圏は新たなつばぜり合いの最前線となっています

恐らく関連予算が多く含まれているであろう2020年度予算案の2月公開を前に、その背景を説明し、関係者の理解を得ようとの狙いがあるものと邪推しておりますが、平易に米国と米軍にとっての北極圏領土の重要性を説明していますのでご紹介します

Air power and the Arctic:
The importance of projecting strength in the north

経緯と今の姿
Arctic rader.jpg●米空軍は半世紀以上にわたり北極海を飛行してきた。忘れられているが、米国が初めて大規模空輸や空爆を行ったのは、WW2時のアラスカに連なる島々への「Thousand-Mile War」である
●WW2で日本軍がアリューシャン列島を侵略する10年以上も前に、ミッチェル将軍は同列島での飛行場建設を議会に主張し、「アラスカを制する者は、世界を制する」と訴えた。当時でさえ北極圏は戦略的に重要で、ミッチェルの言葉はその重要性を裏付けている。たとえ最低限のインフラや、厳しい気象状況が軍の活動を制限していても

75年の時の経過を経て、北極圏の米国にとっての重要性は一層増している。北から接近する者に関しても、また米国の戦力投射の視点からしても、その重要性を誇張しすぎることはない
●同エリアにはカギとなるアセットが点在し、米空軍も、戦闘機や空中給油機基地から、北極圏を通過して向かってくるミサイルや航空機を監視するレーダーや宇宙監視システムを運用している
●一例として、2022年までには、北極圏で運用される戦闘機は、他のどの地域のアセットよりも最新型に更新される

時代の変化と他国の動き
FPS-115front.jpg冷戦終了時には、多くの人々は米本土北方国境の安全が確保されたと考え、凍結した広大な土地が米本土防衛に厚みを増してくれると見なしたであろうが、技術の発達を受け、敵対者はこの強固な国境を穴だらけにしようとしている
レアメタル、漁業資源、世界の1/5を占める石油天然ガス埋蔵量をはじめとする北極圏の豊富な天然資源は、米国だけでなく、多くの他国が注目している

ロシアはGDPの2割を生み出す北極圏の経済権益確保に乗り出しており、地域での軍事プレゼンス再構築に取り組んでいる。
中国は地域を「一帯一路」政策の一部と見なし、経済をテコに他の北極圏国家で経済プレゼンスを確立しつつある

米国と米軍の取り組み
Arctic Ace3.jpg●これらの変化に対応するため、昨年7月、当時のマティス国防長官が「米国は北極圏でのゲームに加わらねばならない:America’s got to up its game in the Arctic」と述た。
●米空軍は包括的な北極戦略を検討中で、新たなNDS目的を達成する能力を確保する必要がある。我々は他パワーの侵略を抑止し、我が権益を守る体制を整えねばならない

●米空軍は、北からのミサイルや爆撃機からの防衛のため、多くをカナダと協力運用している50以上のレーダーの近代化を進めている。また北部の基地は、北極圏にあらゆる場所に迅速に航空機を派遣する重要な基盤である
●米空軍は最近、グリーンランドの宇宙監視アセットを更新した。これは米国で最も北にある米国拠点である。更に、北極圏の厳しい環境での活動に備える国防省で最も古いサバイバル訓練施設やそり付き航空機の運用を維持している

●これらの任務継続には問題が避けられない。北極圏の厳しく予想困難な気象、短い施設建設可能シーズン、長い暗闇期間、更にオーロラや宇宙現象による通信障害など、多くの困難が横たわっている
●これらへの対処には同盟国やパートナー国との協力がより一層重要になる。カナダとの長い協力関係に加え、米空軍は他の北極圏関係国との関係強化を追及しており、特に演習を通じて、気象データ・通信・偵察データの共有や、作戦運用経験の交換することを考えている

Arctic ship.jpgWW2当時の北極圏作戦で派生した尊い犠牲者の記憶は、極地での厳しい環境における備え不足が招く危機を明確に物語っている。そして米議会を含めた多くの人々が、北極圏への注目の必要性を訴えている
●2019年国家授権法は国防省の北極圏戦略を更新し、その任務と役割を示している。世界の動きや事象は、我が国益を守るため、スマートに行動を開始すべき時であることを示している
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確かに、超々音速兵器にしても、弾道ミサイルにしても、北極海の氷減少に伴う覇権争い先鋭化にしても、北極圏へのアクセス確保するための航空基地を維持し、各種センサーを近代化して維持していくことが基礎をなすと言えましょう。

ミッチェル将軍の「アラスカを制する者は、世界を制する:Whoever holds Alaska will hold the world.」との言葉は、今後米空軍関係者がよく使うことになるのかもしれません。

他の分野に関してもこのような「寄稿」があるのか、北極圏がポイントなのか、今後に注目したいと思います

北極に関する話題
「グリーランドに中国企業」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-08-4
「北極航路ブームは幻想?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-13
「トランプ:空母削って砕氷艦?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-19
「米国砕氷船実質1隻の惨状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-16-1
「米軍北極部隊削減と米露の戦力差」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-02

北極圏:米国防省と米軍の動き
「米軍C-17が極地能力強化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-02
「北極海での通信とMUOS」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-25-1
「米国防省の北極戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-23-1
「米海軍が北極対応を検討中」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-20

ロシアの北極圏活動
「ロシアが北極圏の新しい軍基地公開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-30
「露軍が北極に部隊増強」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-04-1
「露が北極基地建設を加速」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-09
「ロシア軍が北方領土に地対艦ミサイル配備へ」 →http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-26

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不具合付きKC-46給油機受け入れ [米空軍]

不具合解消に3-4年は必要と
1機当たり30億円は不具合解消後に支払いとか

KC-46-2.jpg10日、KC-46A空中給油機の初号機が米空軍に引き渡され、カンサス州McConnell空軍基地に到着しました。当初計画では2016年初めに初号機が引き渡され、最初の18機納入が2017年末の予定でしたが、様々なトラブル発生の末に2年遅れとなり、18機目納入は2019年末になる見込みだそうです

納入された初号機は、今後米空軍が実施する「作戦運用試験」に入る予定ですが、前段階の「開発試験」で判明した5つの重大不具合が残ったままの納入という異例の納入となっています。
異例と言えばもう一つ、このような特殊なケースで納入を承認するはずの国防長官が同機製造ボーイング社の出身者であるため判断に関与できず、部下の調達担当次官がサインする「異例」のおまけつきです

KC-46-3.jpg冒頭でご紹介したように、5つの重大不具合解消には4-5年必要で、問題解消までは一部代金を支払わない(1機の機体価格の2割に当たる30億円後払い)との約束がなされる状態で、不具合機体で「作戦運用試験」ができるのかよ???・・・と突っ込みたくなりますが、既にボーイング社が自腹4000億円以上を開発費に持ち出している状況も踏まえ、「おとなの事情」で受け取りとなったものと邪推しております

米空軍の空中給油機は、現有のKC-10やKC-135の老朽化が著しく、その維持整備費高騰が大きな問題となっており、その辺りも「不具合には目をつぶる」判断になったものと邪推しております

11日付米空軍協会web記事によれば
公式の初号機受け入れセレモニーは1月末に計画されている
●初号機以外に、現在9機が米空軍による受入検査を受けており、(その中の)4機がオクラホマ州Altus空軍基地に配備される予定である

KC-46 Boom3.jpg●5つの重大不具合の3つは、初めて導入されるブーム操作員が使用するモニター画面関連で、照明の具合や太陽の角度によっては給油操作が困難な点と、ブームで相手機に機体表面をひっかき傷をつけても捜査員が気づかない問題で、ソフト改修によって対処する方向だとボーイングは説明している
●残り2つの不具合はブーム自体の問題で、ブームに余計な荷重がかかった際に捜査員に知らせる機能の問題、ブームが相手機にコンタクトする際に硬直していることを捜査員に知らせる機能である

●米空軍は追加の18機調達のため、関連機材やスペアパーツ等を含め約3100億円の契約を昨年9月に結んでいる
●なお米空軍とボーイング社は、最近「Phase II of flight certification」を終了し、次のフェーズのの試験を11機の機体で開始している
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KC-46 Boom.jpg不具合を抱えたままの初号機を受け取ることは米空軍として初めてではないようですが、部隊の本音を聞いてみたいものです・・・

そして米国以外で唯一KC-46を購入する航空自衛隊の皆さんのご意見も聞いてみたいものです・・・


米空軍の空中給油機ゴタゴタ
「7機種目の対象機を認定」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-08-3
「初号機納入が更に遅れ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-20
「10月納入直前に不具合2つ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-19
「10月に初号機納入を発表」→ https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-22
「開発が更に遅れ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-11-1

「ブームで相手にひっかき傷」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-02-1
「空中給油機の後継プランを見直しへ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-22
「KC-46ブーム強度解決?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-15

「納期守れないと認める」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-01
「Boom強度に問題発覚」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-03
「予定経費を大幅超過」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-21

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米空軍初:ムスリム兵士にあごひげ許可 [米空軍]

当該兵士は中東派遣を経てイスラム教に改宗
部隊内での嫌がらせを乗り越えたと米空軍が公表

Gaitan.jpg11月20日付Military.comは、2014年に米国防省が示した新たな指針に基づき、米空軍初のケースとしてある軍曹が「あごひげ」を禁止する規則の免除を認められ、上官からの理解を得て、周囲からの心無い言葉や嫌がらせにめげずに頑張っているとの米空軍発表を紹介しています

2014年に米国防省が示した新指針では、ターバン、頭のスカーフ、あごひげなどを禁止する規則に関し、誠実な信仰心の表明などと認められる場合は、禁止規定の免除を申請することができ、ケースバイケースの判断で認めるというもので、誠実な信仰の期間が4年以上との基準も示されているようです

ただし、誠実な信仰心からの規則免除申請であっても、制服の着用やヘルメット等の装具の着用に影響の出る場合や 業務や健康に影響が出る場合は申請を許可しない点も指針に明記されているようです

basic-training2.jpg当該軍曹は、加州トラビス空軍基地で緊急対応部隊のロードマスターとして勤務しており、今年8月に規則免除が認められたようですが、11月後半の現在までには様々な同僚等との軋轢があったようで、それらも含め、米空軍として多様性に配慮した対応をして同軍曹の権利を守っている・・・との米空軍発表となっています

この件では米陸軍が先行し、ケースバイケースで同様の規則免除をすでに出しているようですが、同性愛者といい、トランスジェンダーといい、宗教上の配慮といい、米軍の指揮官は大変です・・

20日付Military.com記事によれば
●第821緊急事態対処支援隊の空輸支援要員であるAbdul Rahman Gaitan軍曹は、カトリック教徒として生まれ育ったが、2011年にトルコに派遣された際にイスラム教に接して関心を持ち、その後ハワイへ転属したのちにイスラム教に改宗することを決心した
●ただ、今年8月1日にあごひげを認められ、徐々にひげを伸ばし始めた過程で、同軍曹は様々な嫌がらせを受けている

basic-training4.jpg●例えば、同軍曹がイスラム教徒であることを口にしながら追い払うような仕草をされたり、丁寧な言葉ながら他人の前で「君はISISに入ったのか?」とか「君はテロリストか?」尋ねられたり・・・といったことを同軍曹は何度も経験した
●しかし同軍曹は、そんなことがあるたびに同僚や上司が毅然として同軍曹を守ってくれたと語り、「そのような嫌がらせをお受けた事実は、稲妻のような速さで司令官に報告された」、またあるケースでは翌朝すぐに司令官室へ呼ばれ、司令官が同軍曹を見据えて「心配するな。私は君を守る」と毅然と話しかけてくれたと証言している

●米空軍参謀総長は就任前の上院軍事委員会での2016年の質疑で本件に関し、「これまで行われてきたように、このような申請は慎重に審査され、部隊の即応性や任務遂行に支障がない場合に限って許可される」と証言し、同時に現在の規則免除の範囲を拡大する計画はないと明言している
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urban warfare.jpgケースバイケースで判断するとは都合のよい表現ですが、各部隊の指揮官は大変です。

Gaitan軍曹の強い精神力にも恐れ入りますが、これをプレスリリースしている米空軍の皆さんのこれまでのご苦労と、今後予期されるご苦労にも頭が下がります

トランプ大統領との対面など実現すればもっと良いのに・・・と勝手なことを考える・・・・です

話は変わってジェンダー関連と米軍
「同性愛者の陸軍長官」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-01
「大統領、米軍でトランスジェンダー認めない発言」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-28-2
「同性愛者対応の変更に関するゲーツ国防長官メッセージ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-01

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米空軍2019年の大きな選択4つ [米空軍]

Wilson6.jpg27日付Defense-Newsが、2019年に米空軍が答えを用意しなければならない課題を4つ取り上げ、米空軍を取り巻く情勢を紹介しています

4つの問いとは、「F-15Xを購入するのか?」、「軽攻撃機の選定と調達規模は?」、「宇宙軍はどうなる、米空軍はどうする?」、「米空軍司令部は大きな組織改編をするのか?」の4つです

その前提には、米国防省の予算がどうなるのか? つまり、750か、733か、700 billionなのか?・・・との大きな問いもありますが、今回は米空軍内の諸課題を覗き見て、2019年を見る視点を養いたいと思います

問1 F-15Xを購入するのか?
F-15 upgrades.jpg●12月21日付のブルームバーグが、2020年度予算案に12機のF-15X購入予算約1400億円が計上されていると報道したが、真偽のほどは明らかではない
F-15Xは、米空軍保有のF-15C/Dを改良し、電子戦能力、新レーダー、新コックピット、AAM増量などを企図したもので、国防省首脳が老朽化が進む州軍所属F-15C/Dの後継として購入を判断したとも噂されている

一方で米空軍正規軍は強く第4世代機の追加購入に反対しており、9月にF-15Xについて問われたWilson空軍長官が、「現在、米空軍の4世代機と5世代機比率は8:2だが、これを5:5に早くって行きたい。5世代機は4世代機に違いをもたらす能力を持っている」と語り、F-35など5世代機購入を優先したい意向をしめしている
●このF-15X購入をどのように扱っていくのか、空軍参謀総長はどう扱っていくのかも含めて注目される

問2 軽攻撃機の選定と規模
●これまでのデモ飛行試験等を経て、データリンク等を備えた軽攻撃機候補として、AT-6(Textron)とA-29 Super Tucano(Embraer and Sierra Nevada Corp)が最終候補になっているが、米空軍は最終の提案要求書受付を2019年まで延期した
AT-6 2.jpg全体の予算枠や軽攻撃機の優先度を巡る議論が煮詰まっていないためだとも言われているが、関連軍需企業からは、本当に米空軍は軽攻撃機を導入する気があるのか疑問視する声もある

もう一つの問いは購入するとしたらどの規模で調達するのかである。当初は数百機単位との話もあったが、最近では特殊作戦コマンドで対テロ作戦のみに使用する機数として100機を切る程度との購入も漏れ聞こえてきている
仮に数百機単位であれば、中東だけでなく、欧州や米本土、更にアジアを含めた世界各所に配備される可能性もある

問3 宇宙軍創設に向け空軍宇宙活動がどう変化?
●先日、国防省としての宇宙軍原案がまとまり、空軍長官の下に米空軍と横並びで宇宙軍を創設する案が提示された。これは海軍長官の下に海軍と海兵隊が並列で置かれるのと同じで、宇宙軍が宇宙軍参謀総長と宇宙軍担当空軍次官によって導かれる案となっている
space aware2.jpg●しかし、現在米空軍隷下にある宇宙コマンドや宇宙ミサイルシステムセンター、また陸海軍の下にある宇宙作戦関連部門が、宇宙軍創設でどうなるのかは明らかでない

政治の世界では、来年ねじれ状態になる議会の対応が注目される。そもそも宇宙軍創設は昨年上院で否決されており、来年は下院で民主党が多数を占める事でも予断を許さない状況になる。

問4 米空軍司令部の組織再編はどの規模か
12月初めに、10年以上空軍省の国際関係担当次官を務めてきたHeidi Grant女史が、自身所属組織の役割が空軍司令部のA-5に移管されると語り、併せて空軍省と空軍司令部の組織再編があるとの発言をしている
●この組織再編については他の高官や関係者からの情報がほとんどなく、Grant女史も2019年1月に組織改編に関する意思決定があると述べるにとどまり、その程度が注目されている
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他にも、誰が宇宙軍を担当する空軍次官(undersecretary of the Air Force for the Space Force)に就くのか・・・も重要な話です。

それ以前にも米空軍には、F-35の維持整備費削減に目途は立つのか、KC-46A空中給油機の重大不具合はいつ解決されるのか(初号機納入はいつか)、操縦者流出を止められるか等々、山ほど課題がありますので、トランプ政権下でどうするか??? 大変です

米空軍カテゴリー記事580本
https://holyland.blog.so-net.ne.jp/archive/c2300801463-1

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5世代機のためRed Flag演習エリア拡大を検討 [米空軍]

アラスカ版でなく、Nellis版の話です
味方にも5世代機の能力は秘匿したい模様

Pleus2.jpg7日付米空軍協会webサイトは、米空軍戦闘コマンドACCの計画部長Scott Pleus少将が米空軍作戦機演習の最高峰であるネリス空軍基地を拠点とした「Red Flag演習」の演習エリアが小さすぎて第5世代機などの訓練環境に不十分なので、今後の焦点となる本格紛争に備え、種々の変更が必要になると述べたと紹介しています

もちろんScott Pleus計画部長が中国沿岸部の防空システムについて言及した訳ではありませんが中国沿岸のS-400高性能地対空ミサイルの射程は数百キロであり、またこれに対抗する米空軍のE-3やF-22やF-35がデータリンクを最大限に活用して射程1000㎞のJASSM-ERのスタンドオフ攻撃を訓練しようとすれば、相当広範囲で訓練エリアを確保することが必要となります

Pleus.jpg1000㎞というのは中国大陸と第一列島線の距離感覚で、これではネリス空軍基地周辺の広大な「うらやましい」訓練空域(地上も含む)も、「too small and too limited」となってしまいます

具体的にどのように演習エリアを確保するのか細部には言及していませんが、ネリス基地を敵味方役部隊両方が利用する現状から、複数の基地に分かれて発進したり、シミュレータを大量に導入することにも言及しており、ライブとシムを融合した形なのかもしれません

でも本来Red Flag演習は、ベトナム戦争等の教訓から、実戦を数回経験すると操縦者の被撃墜や事故率が低下するとのデータから訓練で可能な限り実戦に近い環境を作為しようとの目的で開始されたものなので、シミュレーションがどれだけこの「心理的プレッシャー」を再現できるのか疑問ではあります

7日付米空軍協会web記事によれば
F-22Hawaii3.jpg●7日 Pleus少将は、現状のRed Flag演習の状況設定や空域設定があまりにも小さく制限を受けていると評価し、オーバーホールの必要があると語った
●現在の空域も「15,000 square miles」規模の国宝級エリアだが、今日の対空脅威や兵器能力を考えると「too small and too limited」だと述べた

●将来の同演習には、現在のネリス基地を中心とした程度ではなく、ネバダ州全体レベルの規模が必要だ。
敵味方役の全ての航空機が、脅威であるはずのS-400の射程内にあるネリス空軍基地から、仲良く離陸する形は実戦ではありえない

将来のRed Flagはネリス基地だけに留まらない。例えばE-3は敵の脅威圏から離れた空域で運用することから、ユタ州やノースダコタ州から離陸することが考えられる
F-35 fix.jpg●また敵の防空システムのレーダーなど電波発射源の配置は、より現実に即して、ネバダ州でなく加州の「China Lake」あたりにしてF-22やF-35に現実的な脅威環境を提示する必要がある

●これら要変更事項は実際に飛行する少数機への対応を上げたもので、更に新たな航空機が加われば、より多くのシミュレータを導入する必要がある
第5世代機のことを考えれば、戦闘空域で戦闘状態に至るまで、戦闘空域内を飛行させたくない。他の演習参加者にその機体の能力を知らせたくない(I don’t want to fly in open air” until they have to be flown in open air in combat) 同少将は具体的な機種については言及しなかった
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最後の5世代機に関する部分の訳に自信がありませんが、第5世代機の能力というものは、それほどなのでしょう・・・基地基盤が確保でき、空域に到達できれば・・・

Pleus3.jpgそれと、関連過去記事で取り上げているように、5世代機同士や4世代機とのリアルタイム情報共有には依然として課題ありと認識しているのですが、この点はどうなっているのでしょうか

それにしても、加州の「China Lake」との具体的地名を引用する必要性があったのか・・・ジョークでしょうか?

なお、Pleus計画部長が語っているのは、ネバダ州のネリス空軍基地を中心に行われるレッドフラッグ演習で、航空自衛隊が参加しているアラスカで実施のRed Flag-Alaskaとは異なります

Red Flag演習の関連記事
「RF演習に5世代機3種が登場」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-02
「仮設敵機も民間委託」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-09-1
「米空軍が初のNCCT活用」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-25
「F-35A参加の成果」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15-1

「指揮官が初の宇宙幹部」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-19
「Red-Flagの限界とVR演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-28-1
「最近のRed Flagと予算不足」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-07
「米軍被害対処部隊を追い出す」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-28-1

世代間や機種間リンクの記事
「Nグラマンもリンクに名乗り」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-24
「Red-FlagでF-22リンク問題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-02
「世代間リンクに対策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-10
「世代間リンクが鍵」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-18-1

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KC-46から給油を受けられる7機種目を承認 [米空軍]

KC-46A2.jpg遅れに遅れている初号機納入が、10月末までの期限も再び守れないと明らかになったのが10月17日で、その後は「年内には」との希望的観測をボーイング社担当副社長が述べたのみで音沙汰の無い米空軍の最優先事業の一つKC-46A空中給油機ですが、同機から給油を受けられる機体の承認試験も遅れているようです

初号機の納入が遅れている大きな原因とされる5つの重大不具合(FAAからのsupplemental type certificateが遅れているとの説明もある)が解決されたとの知らせがない中で、なぜ受け側航空機の承認が出来るのか不思議ですが、まず5大不具合を簡単に復習しておきます

KC-46 Boom3.jpg●ブーム操作等が給油時に使用する初導入のカメラとモニターシステム使用時、ある条件下では照明の受け側航空機がよく見えない等の不具合があり、ソフト改良対策を実施中
●映像装置の不具合で受けて航空機にひっかき傷を生じさせる事象が頻発している。上記映像装置の改良で対応予定
ドローグの機械的ロックシステムの不具合。給油中に外れることがある。これに対してもボーイングはソフト対策で対応予定

●給油のため相手と接続中に、給油装置操作員が意図せず誤って給油ブームに負荷をかけ、相手機を押さえつけることになっても、警告が出ない問題
●もう一つは、受け側機が給油機に接近する段階で、給油ブームがあまりにも固着している(too stiff)という問題

以上の最重大レベル「category-1不具合」の解決が見えない中ですが、受け側航空機承認の第2弾「 Phase II」の最後の航空機であるF-15Eが承認試験を終了したようなのでご紹介しておきます

4日付米空軍協会web記事によれば
KC-46-2.jpg●3日、ボーイング社は Phase II最後の航空機として、F-15Eが受け側航空機の承認飛行試験を終了したと発表した
●このF-15Eを含め、にこれまで同承認を受けたのは、A-10, B-52, C-17, F-16, F/A-18, とKC-135の7機種である

●ボーイングの担当副社長は、「これにより、来年実施予定の Initial Operational Test and Evaluation試験」の準備が整ったと語り、これまでに3700飛行時間で400万ポンドの給油が行われたと成果を強調した
●一方で、2019年に開始される予定の機体承認の第3段階「Phase III」の11機種に、どの機種が含まれるのかは明らかにされなかった

●また、KC-46Aが対象にする航空機の中で最も機数が多くなる予定のF-35については、恐らく2020年になるであろう「Phase IV」まで含まれない点は確認された
●F-35が第3段階「Phase III」の11機種に含まれない理由について同社は、KC-46もF-35も開発段階が終了していないため、2つの機種のマッチングについては双方が良い状態になるまで承認試験実施を決定しないと述べた
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F-15E.jpgF-15Eは承認しましたが、日本が使用しているF-15Jに近い米空軍のF-15Cが何時承認試験に入るのか気になるところです

それにしても、KC-46は優等生だと思っていたのですが・・・・残念です

成熟技術だと考えていた給油ブームあたりにトラブルが集中していることからすると、成熟部分だからと最新技術で置き換えようとしたらマッチしなかった・・・という最新技術の過信があったのかもしれません

米空軍の空中給油機ゴタゴタ
「初号機納入が更に遅れ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-20
「10月納入直前に不具合2つ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-19
「10月に初号機納入を発表」→ https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-22
「開発が更に遅れ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-11-1

「ブームで相手にひっかき傷」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-02-1
「空中給油機の後継プランを見直しへ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-22
「KC-46ブーム強度解決?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-15

「納期守れないと認める」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-01
「Boom強度に問題発覚」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-03
「予定経費を大幅超過」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-21

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来年1月電子戦検討の結果報告を [米空軍]

ここ数年でやっと気づいたEWでの劣勢
シリアが地上で最も激烈な電子戦場

Electronic Warfare.jpg10日、米空軍副参謀総長のStephen Wilson大将がインタビューに答え、米空軍が国防省への提言を目的に1年間かけて検討してきた電子戦(EW: electronics warfare)体制整備構想を、来年1月の兵器戦術会議(WEPTAC)で披露する予定だと明らかにしました

この検討を行っているのは、米空軍全体の将来構想を検討するECCT(Enterprise Capability Collaboration Team)の電子戦チームの様ですので、国防省から委託を受けているわけではないようですが、将来を見据えて米空軍単独では戦えないことから、国防省レベルでなすべきことの案出を目的としているのでしょう

何回かご紹介したように、米軍は対テロ作戦に没頭している間に電子戦分野が疎かになり、今やロシアや中国はその米軍の弱点を突く強力な電子戦体制を構築していると強烈な危機感を抱いています

その一つの契機は、ロシアの浸潤を受けたウクライナ支援に米軍が乗り出した2014年ころにさかのぼります。

EC-130H3.jpgロシアが繰り出す無人機操縦信号妨害や通信妨害などハイブリッドな電子戦能力に「米軍は露軍の1/10も出来ない」と圧倒され、それに対峙するウクライナ軍の基本が徹底された対応ぶりにも驚嘆し、ウクライナ軍に教えるどころか学ぶ出来点が多いと衝撃を受けた報告がペンタゴンに届きます

それに輪をかけたのがシリアでの戦いです
現地の電子戦状況を語った米軍大将が今年4月、「今現在、米軍はシリアで、地球上で最も攻撃的な敵からの電子戦環境に置かれている。敵は日々、我々を試すように米軍の通信を中断させ、AC-130を無効化している」と例を挙げてその激しさと危機感を訴えているところです

そんな危機感から始まった米空軍ECCT電子戦チームの検討について、事柄の性格上、具体的な内容は少ないですが、ご紹介しておきます。

10日付Military.com記事によれば
Wilson.jpg●副参謀総長はMilitary.comのインタビューに答え、どこでどのように電子戦攻撃が電磁スペクトラム上で表面化するか、そのような敵を如何に拒否するかを明らかにするのが検討の目的であると述べた
●また、「スペクトラムのどの部分が狙われ、その攻撃がいつどこであろうとそのデータを確保することが必要だ」と訴えた

●そしてECCT電子戦検討チームは国防省に対し、電子戦に関するロードマップ提示することを狙っており、具体的には、誰が何を担当するか、どのような計画で行うか、その計画の時程や進め方はどうなるかの3つの視点でまとめられる
●Wilson大将は本検討開始の背景にも触れ、「米国防省は電子戦の重要性から目を背けてきたのだ。そしてここ2-3年でやっとその重要性を明確に再認識することになったのだ」と振り返った

EA-18G-pod.jpg●同大将は電子戦を担当する高官が新たに配置されるかを明確に述べなかったが、「全ての軍腫が電子戦の重要性に気づいた今、誰が担当し、どのようなスケジュールで進めるかがそのうち明らかになるだろう」と表現した
●検討に当たっては、シンクタンク研究者、関連企業、統合参謀本部関係者、ベンチャー関係者等から広く意見や情報を得ることに努めたと副参謀総長は付け加えた

●そして電子スペクトラム保全の重要性に改めて触れ、サイバーも宇宙も、全てのドメインがネットワークやGPSや衛星等に依存しており、全てが電磁スペクトラムに依存しているのだと述べ、スペクトラムを支配するものが勝利を収めると強調した
●更に、ドクトリンも、教育訓練も、作戦運用も、全てが電磁スペクトラムの支配を念頭に置いて組み立てられなければならないとも表現した
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EW2.jpgロシア軍は、できるだけ多くの兵士に実戦を経験させ、保有するあらゆる兵器を試すため、部隊をローテーションしてシリアに派遣しているようで、電子戦分野においてもシリアを「実験場」としているのでしょう。

そこでの経験が米軍に生かされることを願いますが、一方でロシア軍も米軍の反応から次なる手を考える材料を得ているのでしょう・・・・

そんな水面下の戦いが平時の戦いですが、如何に個々の兵士の体に染みつけるかがカギのような気がします・・・

いつの間にか大差のEW
「東欧中東戦線でのロシア軍電子戦を概観」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-09-1
「ウクライナの教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-08
「露軍の電子戦に驚く米軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-03-1
「ウクライナで学ぶ米陸軍」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-02

被害状況下への備えを訴える
「妨害に強い衛星通信「波形」探求」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-12
「海兵隊司令官:被害に備えよ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-16
「米海軍将軍:妨害対処を徹底する」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-21
「空軍OBも被害対処を重視」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-23-1
「被害状況下で訓練を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-10-23

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次期制空機PCA価格はF-35の3倍!? [米空軍]

議会側からの「良く考えろ!」との先制パンチか、最後通牒か?
航空機投資の半分を戦闘機が占めて良いのか?
今の戦闘機の姿とPCAは異なるようですが・・・

PCA 2030.jpg米議会予算室(CBO:Congressional Budget Office)が、公的な機関としては初めて、2020年代後半には登場が予期されている次世代制空機PCA(Penetrating Counter Air)の価格予想を見積もり、F-35価格の3倍以上となる1機330億円との数字を明らかにしました

PCAについては2016年に米空軍が「Air Superiority 2030 flight plan」で考え方を打ち出し、その後空軍幹部が概念的に語った「戦闘機との呼び方は相応しくない」、「6世代機との名称も適さない」「1機種の後継機ではなくfamily of systemsで対応」、「ネットワークで戦う」「最新センサー融合」「サイバーや宇宙やEWを重視」「航続距離や搭載量アップを重視」「爆撃機開発のような」「革新的推進力システムや自立化追及」「ステルスコーティングは全体には求めないかも」(末尾の関連過去記事を参考に)・・・と伝えられていますが、細部は不明です

PCA要求性能固めの山は2017年~2018年とも言われ、2019年度予算が550億円、今後も2020年度は1600億円、2022年には3300億円の開発予算が予定されているプロジェクトですが、米空軍幹部の発言も2017年夏を最後に最近ほとんどなく、2018年春にACC司令官が「秋には戦闘機ロードマップ」を公表予定と発言したものの、冬になっても音沙汰無しの状況です

PCA 20302.jpg中国やロシアへの情報流出を恐れ、新兵器開発に関する発言は最近抑制されているようですが、同時に、遅延と経費超過で悪名の高いF-35計画への酷評や、国防予算の厳しい現状(トランプ大統領の曖昧な態度も)から、余程各方面に納得される構想を出さないと耐えられない現実から、性能とコストのトレードオフ検討も含め、米空軍も慎重に進めているのだと推察いたします

また状況を複雑にする要因として、ほとんど同時に進み2019年には要求性能を固めようとしているらしい米海軍のFA-18後継機検討があります。こちらも次期SSBNや空母の価格高騰から「無い袖は振れない状態」ながら、FA-18酷使による稼働率低下や維持費高騰問題は待ったなし状態です。

加えて議会などから、なるべ空軍PCA共通化できる部分は共有してコスト削減をとか、情報を共有して開発コストとリスクの低減をとか当然言われ、多次元パズルの様相を呈し、基本的に海空軍は形だけ協力でお茶を濁すつもりの様ですが、海軍次期艦載戦闘機も音沙汰無し状態が2年ほど続いています

そんな中、初のPCA価格見積もりを出した議会予算室CBOのお話を伺いましょう

14日付Defense-News記事によれば
●CBOの見積もりは、米空軍がPCAをF-15C/DやF-22の後継として414機製造するとの前提で、2030年代に部隊配備されるとの空軍計画もとに行われた

PCA-X.jpgPCAは中露等の濃密で高性能な対空防御網を相手に想定し、F-22クラスより大きな航続距離と兵器搭載量、更に優れたステルス性とセンサー能力を目指しており、その要求レベルの高さからコストを抑えることは極めて難しいとCBOは指摘している
●これは、B-2爆撃機やF-22戦闘機が高価になりすぎ、当初計画通りの機数を製造できなかった過去の歴史や、F-35開発の遅れや価格高騰からも言えることであるとCBOは説明している

●仮にPCA計画を進めれば、仮に国防省が何らかの経費平準化施策を打ったとしても、米空軍の航空機への投資は現在レベルより多くなり、2020年代で15 billion、30年代で23 billion(ピークは2033年の26)、40年代で15 billionと高いレベルで推移する。そしてこれら航空機投資の半分を占めるのが戦闘機やPCAとなる
●米空軍はB-21爆撃機やKC-46空中給油機計画を同時に進め、核兵器の近代化も差し迫った課題である。更に、次期練習機T-Xや超超音速兵器や強靭なC2システム構築 や電子戦能力のてこ入れもあと送りが限界である

CBOは経費抑制策にも言及しているが、 どれも完全なものはなく課題を秘めており、飛行隊数を現在の312個から386個へ増強することなど到底困難に思える。
●経費抑制策の一つとしてCBOは、PCAやF-35納入ペースや時期を遅らせ、F-16やF-15を延命することを検討しているが、部品枯渇や部品調達価格高騰は避けられず、維持できる機数は削減せざるを得ない

PCA 20304.jpg●逆に第4世代機を早期に引退させ、維持経費を削減して新型機導入を促進する考え方もあるが、これでは新型機購入経費が膨らんで経費的に耐えがたい。折衷案のPCAやF-35計画を遅らせ、第4世代機の一部を早期退役させる策もありうる
●また米空軍が検討している軽攻撃機導入で、高価で維持費もかさむ本格戦闘機関連の負担を軽減する方法もあるが、トータルの戦闘力低下につながる。どの選択肢も問題を抱えている
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PCA価格330億円の根拠は明確ではありませんが、現在の戦闘機より大型になることが想定されることから、それ相応の見積もり計算があるのでしょう

それにしても米空軍の戦闘機命派もしぶといですねぇ・・・・。こんな事だから、宇宙分野を空軍から切り離して予算の優先度を上げろなどと議会や大統領から言われるんです・・・・

それにしても、秋に発表になるはずの戦闘機ロードマップはどうなったんでしょうか??? 

それから日本の国産戦闘機とか言っているものとの発想の違いは、どこから来るんでしょうか?

米空軍の次世代制空機検討PCA
「秋に戦闘機ロードマップを」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-22
「PCA検討状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-12
「次期制空機検討は2017年が山!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-12
「次世代制空機PCAの検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08

「CSBAの将来制空機レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-15-2
「NG社の第6世代機論点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-17
「F-35にアムラーム追加搭載検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-28

独と仏で共同開発へ
「仏独中心に次世代戦闘機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-07-2

既に発表された爆撃機計画
「Bomber Vector」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-17-2

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米空軍もグレーゾーンとChaos対処の重要性を語る [米空軍]

Kelly.jpg5日、米空軍作戦部長のMark Kelly中将が米空軍協会ミッチェル研究所で講演し中露の「short of war」や「グレーゾーン」段階での巧みな振る舞いに対応し、米国もアプローチの見直しが必要だと語りました。

また一方でグレーゾーンから明確な紛争状態に至った場合、今後の紛争は経験したことのない混迷の中で行われることが予期されることから、意思決定にするレベルの情報入手と意思決定伝達のC2能力が極めて重要になると語りました

中国の南シナ海での振る舞いやロシアのクリミア半島での動きを指して、「グレーゾーン対処」の重要性を指摘するのは9月5日の米海軍トップリチャードソン大将と同じアプローチで、(今頃になって)米軍内にもその重要性が浸透してきたようです

今後の戦いの厳しさや混沌(chaos)については、統合参謀本部のCIOも前日4日に、ABMS導入の重要性を訴える立場から説明していますので、若干視点は異なりますが併せてご紹介しておきます

5日付米空軍協会web記事によれば
Kelly3.jpg同等レベルに「近い」相手との競争から、「同等レベル」の相手との争いに備える必要性が生じており、米空軍は訓練、機動展開、戦闘のすべてで対応を再考しなければならなくなっている
●そしてその際、C2能力の維持と、厳しい情報収集環境にあっても意思決定に資する状況把握ができる能力が極めて重要になる

●近年、情報分野は他に比して最大の拡大分野にあり、特に電磁スペクトラムは以上最高に混雑し競争が激しくなるだろう。我々はその中で、級数的な混迷と質の高い情報収集に努めなければならない
●またこのような中露との競争への対応要領を、相手が「short of war」や「グレーゾーン」で増々アグレッシブになる中で、米国は再考しなければならない

●このような脅威に対処するため、米国はより迅速に準備期間無しに対応できなければならず、また本格紛争に発展した際は、現在の単一ドメインC2モデルから、相手が追随できないようなドメイン間を埋めるC2に発展できなければならない
空軍の作戦センターは海軍や陸軍の作戦センターと結ばれていなくてはならず、縦割り体制は排除しなければならない

●また全てのC2ノードが敵の脅威にさらされると認識のもと強靭で無ければならず、被害発生時は相互に補完できなければならない。相手は米軍がどれほどC2に依存しているか把握しているのだから

4日付記事:脆弱なJSTARSがなくてもネットワークで
Shwedo.jpg4日、米統合参謀本部のCIO(chief information officer)であるBradford Shwedo空軍中将が、AFCEA(軍用通信電子協会)で講演し、1991年の湾岸戦争で活躍したJSTARSのような脆弱なアセットは将来の脅威下では期待できないため、複数の情報ソースをネットワークで結んで運用するABMS(Advanced Battlefield Management System)で残存性を高めると語りました

●同中将は、「米空軍の情報組織である第25空軍のように、NSAなど他の情報機関と継続的にevil chat roomsでコミュニケーションを取るアプローチを想定している」と説明し、また「子供たちがネットを通じて世界中の相手とゲームを楽しんでいるように」リアルタイムのネットワークで目標情報を識別追尾したいと表現した

●そして、「例えば悪者が無人機カメラによる光学偵察を恐れて偽装網で覆った隠れ家に逃げ込むかもしれないが、全てのドメインの偵察から逃げられるとは限らない。電磁波信号や他の手法からのデータを融合していれば、悪者の発見率や致死率はより高くなるだろう」と説明した
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Schriever Wargame4.jpg「short of war」や「グレーゾーン」の重要性を語る部分と、被害状況下の混迷環境を乗り切るC2や状況把握能力の必要性を訴える部分の関係がよくわからないのですが、従来から危機感のある中露との本格紛争に向けた備えの必要性に、グレーゾーンへの備えの必要性が新たに積みあがったと解釈しておきましょう

そして2つの異なったレベルの争いに対し、シームレスで対応できなければならないとの主張と理解しておきましょう

「米海軍トップ:グレーゾーンに備えよ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-11

被害状況下への備えを訴える
「妨害に強い衛星通信」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-12
「海兵隊司令官:被害に備えよ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-16
「米海軍将軍:妨害対処を徹底する」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-21
「空軍OBも被害対処を重視」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-23-1
「被害状況下で訓練を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-10-23
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戦闘機稼働率8割への課題 [米空軍]

部品が足りない・・・半分しか・・
整備員の長時間勤務は当分・・・
別件:PGM不足は解消された

Kelly3.jpg5日、米空軍作戦部長のMark Kelly中将が米空軍協会ミッチェル研究所で講演し、今年9月17日付のメモでマティス国防長官が指示した「2019年9月末(2019年度末)までに、F-16,F-22、F-35及びFA-18の稼働率を8割以上に」への取り組み状況について語りました

この指示が出た際、一部の専門家からは、稼働率は使用可能機数と保有機数の比率だから、故障の多い老朽化機体を破棄して計算上の稼働率を上げるぐらいしか手段はない・・・との「裏技・奥の手」案も出ていましたが、Kelly中将からは「裏技」に関する話はなかったようです

ちなみに対象4機種の2017年稼働率は・・・
・ F-16C 786機 70%
・ FA-18 546機 約半分
・ F-22  187機 49%
・ F-35A 119機 54%

Kelly作戦部長の話は結局のところ、「米空軍としては、資源配分も行い一生懸命、全力で取り組んでいる」、「整備員は滅私奉公の精神で、1日12時間勤務もいとわずに頑張っている」と言いつつ、部品が不足し、ステルス機は手間がかかり、整備員の熟練には時間が必要・・・との内容で、見通しは明るくないとの印象です。

6日付米空軍協会web記事によれば
Kelly.jpg●マティス国防長官からの指示である2019年9月までの期限に向け、米空軍は必要な資源投入を行っている。既に整備員の不足解消には目途が立っている。
●一方で機体を運用可能にするための部品確保が難しい状態で、現状では必要数の半分の部品確保しかできていない。また、ステルス機のステルスコーティングの取り扱いに時間を要し、整備が長時間に及んでいる

●「懸念事項は部品供給体制だ」、「部品供給体制に投資しているが、必要な部品の半分程度しか確保できないのが現状である」と説明した
●また、ステルス機のF-22やF-35は、整備で機体内部の作業を行う際、機体表面のステルスコーティングを「切り貼り」する必要があり、整備時間が長くなって稼働率を悪化させている。「通常6-7時間を機体表面の処理のために要している」と語り、稼働率アップの難しさを強調した

F-16に関しては、既に相当改善できており、目標の81%に近いレベルにきている。しかしステルス機については多くの整備所用を抱えていると認めた
maintainers2.jpg整備員不足については、数の面では対応ができつつあるが、新しい整備員の技量向上には時間が必要であり、現時点では整備員数の増加が整備時間短縮に直接結びついておらず時間が必要

逆に、新しい整備員の現場での教育や監督にマンアワーととられ、短期的には負担となっている。1日12時間勤務のような状態がまだ続いている
私の過去32年間の空軍勤務では長時間勤務が当たり前だったが、この状態が来年には改善されるとは言えない状態だ。整備員たちの滅私奉公(service before self)精神に依存しているのが現状だと認識している

中東作戦での精密誘導兵器不足
GBU-28.jpg対ISIS作戦の活発化や関連同盟国等の弾薬不足に対応し、2015年頃から精密誘導兵器PGMの不足が深刻な状況で、地域戦闘コマンド司令官にはPGMの使用を抑制してもらっていたが、何とか改善ができてきた
●2017年から、関連軍需産業の協力を得てPGM生産量増強に取り組んできたが、前線への供給増や備蓄増に結び付くようになってきた

パイロット不足について
●パイロットの流出防止のため、付加業務の軽減や海外派遣期間の調整、更には勤務延長ボーナス額の増により勤務延長を申し出るパイロットの比率が5年ぶりに回復傾向になった
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F-35 sunset.jpg主要戦闘機の稼働率8割以上の目標は、国防費5%カットの中で、優先度がどのようになるのか興味深いところです。将来への投資を取るか、今の態勢維持に注力するか・・・難しい永遠の課題です

Kelly作戦部長は触れませんでしたが、来年5月発行のAirForce Magazine恒例の米空軍主要装備品一覧表で、ひっそりとF-22やF-35初期型の稼働率が低い機体の機数分が削減されているかもしれませんね・・・

稼働率関連の記事
「戦闘機の稼働率を1年で8割に戻せ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-11
「2Bソフト機は稼働率4割台」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-10-1
「2/3が飛行不能FA-18の惨状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-07
「世界中のF-35稼働率は5割」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-03-3
「F-35の3F機の稼働状況」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-22
「維持費をF-16並みにしたい」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-01-1

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南シナ海で中国機反応沈静化:PACAF司令官 [米空軍]

米中ディールに向けた環境をアピールか?
それとも中国が機を見ているのか?

Brown2.jpg11月26日、7月に太平洋空軍司令官に着任したCharles Brown大将がワシントンDCで記者会見に臨み米軍と中国軍が接する最前線である南シナ海上空での最近の様子について語り、付近を飛行する米軍機に対する中国機の反応が依然と比較して減少し、おとなしくなっていると語りました

17日には上司であるDavidson太平洋軍司令官が、南シナ海人工島への中国軍地対空ミサイルSAMの急速な増強配備に危機感を訴えたところでしたが、「脅威=能力+意図」の式で南シナ海の中国軍を捉えるならば、能力は引き続き急増だが、意図の点では沈静化ともとれる見方をBrown大将は披露しています

折しも、激しい報復合戦が続く米中貿易摩擦を巡り、落としどころを探るような気配を感じるとの論評を見聞きすることが多くなってきた昨今ですので、一番敏感な最前線に立つともいえる太平洋空軍司令官のBrown大将が、邪推すればシグナルを発しているような気もしますのでご紹介しておきます

26日付Military.com記事によれば
Brown.JPG●ペンタゴンで記者団に情勢ブリーフィングを行ったBrown司令官は、南シナ海上空での緊張感は依然高いが、南シナ海上空を飛行する米軍機に対する中国軍機によるリアクション回数や危険な行動は最近減っていると語った

●また、米軍の偵察機や哨戒機に対する反応はあるが、B-52爆撃機の様な爆撃機に対する要撃行動はほとんどないし、あっても過剰に危険を感じさせる飛行を最近中国軍機は行っていないと付け加えた
●更に、要撃行動は「今は散発的で、我々が飛行すれば、必ず要撃行動を受けるといった以前とのようなことはない」とも付け加えた

Davidson3.jpg●17日にDavidson太平洋軍司令官が講演で、「南シナ海の人工島は、3年前までは砂の万里の長城だったが、今ではSAMによる万里の長城だ」と表現し、人工島に急速に配備が進む中国軍SAMの急増ぶりに警戒感を示したところだが、

●このSAM急増についてBrown司令官も触れたが、併せてSAMによる「挑発的な行動やロックオン行動は最近確認されていない」と明確に述べた
●併せて前職の中央軍空軍司令官の経験を踏まえ、米空軍操縦者はSAMに狙われた際の対処に精通しているとも語りつつ、「シリアにロシア軍が展開している高性能SAMから、多国籍軍航空機に対し使用される意図が感じられないが、南シナ海に配備された中国軍SAMも同じである」とも表現した

●ただしBrown司令官は、「仮に緊張感が急に高まれば、我々は自己防御する権利を有している」とも付け加えた
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相手の軍の行動をここまで細かく記者団に語る必要性は軍事的には無いと思うので中国の姿勢を米国も感じてるよのシグナルかなぁ・・・と感じた次第です。

Brown3.jpg考えすぎの可能性もたっぷりありますが、東シナ海の状況も航空自衛隊からでも伺いたいものです。

Charles Brown大将が太平洋空軍司令官に推挙された際は、アジア太平洋経験がほとんどないとか、中東べったりの経歴で大丈夫かとか、大変失礼なご紹介をしてしまいましたが、中東と比較しての状況説明とか大変ありがたいので、どんどんお願いしたいです

Brown司令官関連の記事
「Brown司令官初海外は日本横田総隊」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-14
「Brown大将の経歴などご紹介」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-19

太平洋軍関連の記事
「ハリス大将の後任は」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-14-1
「現太平洋空軍司令官の危機感」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-10-1
「史上初の空軍幹部か!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-21-1
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米空軍三沢F-16の整備部隊がでたらめで墜落事故 [米空軍]

2018年2月の墜落事故原因はでたらめ整備
無秩序、整備基準や品質管理不徹底、組織活動の欠如・・・

F-16 AF.jpg20日付米空軍協会web記事は、2018年2月に発生した米空軍三沢基地所属F-16のエンジン火災と燃料タンクの小川湖投下事故に関する調査報告(19日公表)を取り上げ、6年ほど前から当該F-16整備部隊が「無秩序、整備基準の不徹底、部品の不十分な品質管理、組織的活動の欠如、狂気の手順」などの言葉で表現できる状態だったことが原因だと報じています

そして記事は、2012年7月に北太平洋で発生した同部隊F-16墜落事故に関しても、機体の残骸がほとんど回収できていたいことから断定することは避けつつも、不適切な環境で保管されていた機体部品が原因だったのではないかと強く示唆しています

今年2月の事故に関する調査に対し、2015年に着任した上級軍曹がその際の状況を証言し、「部隊は混乱し、組織の体をなしていなかった」と述べたとも報じられており、今現在の状況がとっても気になります。

嘉手納の米空軍F-15部隊の整備員が、米本土の整備部隊と比較して技術未熟な若手比率が高く、嘉手納での連続勤務期間が短いとの実態をご紹介したこともありましたが、なんだか心配になってきました

20日付米空軍協会web記事によれば
F-16 小川湖.jpg2018年2月20日、通常訓練のため三沢基地を飛び立ったF-16は、離陸直後にエンジン火災に見舞われ、基地近傍の小川湖に燃料満載の外部燃料タンクを投下して機体を軽くしたのち、すぐさま三沢基地に緊急着陸した・(ちなみに、燃料タンクの回収や湖の油回収は全て自衛隊がやらされた
●事故調査調査官は、同機の操縦者の判断について「正確で適切なものであり、短時間に集中して実施されている」と評価したが、「整備部隊の状況は操縦者の様ではなかった」と語った。

●19日公開の事故調査報告書は、事故機のエンジンには、2012年に実施された機体延命措置改修以降は使用されなくなった旧式の部品が誤って搭載されており、当該部品が飛行中に破損してエンジン火災を引き起こしたと結論付けた
●また定期的なエンジン整備や点検が行われていたはずであるが、この誤った部品の使用を発見することが出来なかったとも報告書は記している

●事故調査官が当該部隊の整備員から聞き取り調査を行ったところ、整備基準や手順の徹底がいい加減で、部品管理手続きも不適切、整備現場部隊は組織的活動が出来ておらず、他航空機との部品共食い手順も守られていない等々の事実が次々に明らかになった
F-16 小川湖2.jpg2015年に着任した上級軍曹がその際の状況を証言し、「部隊は無秩序で、組織の体をなしていなかった」と語ったとの記録も見られる

●更に報告書は「整備現場部隊は基準を無視した手順をつなぎ合わせて業務を行っており、彼ら自身の狂気の手法を編み出していた」、「2012年の改修後の整備手順基準を十分徹底しなかったために、旧式の誤った部品を発注してエンジンに装着したことで火災を発生させた」と記している
●ちなみに、このような同整備部隊の混乱(disarray)を改善するため、同部隊には約5000万円の予算が投入された

2012年2月の墜落事故にも・・・
●三沢基地所属F-16は、2012年7月に三沢から750nm離れた太平洋上で墜落(パイロットは救出された)したが、その原因は燃料供給バルブが指示していないのに閉じたことが原因だと報告されている
●同墜落機体のほとんどが海没したままで、細部の原因は不明なままだが、当該バルブ部品を管理していた三沢部隊が規則で定められている腐食防止施設を保有せず、当該部品を不適切な状態で2年間以上も保管していたことが、バルブの意図せぬ閉鎖を防げなかった可能性があるとみられている
●更に当該機を担当していたロッキード社の技術者も、技量不十分だと判明している
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F-16D ground.jpg米空軍の整備員不足、軍需産業基盤の弱体化など、様々な側面から米軍の足元が揺らいでいることを取り上げてきましたが、これだけ身近に問題を突き付けられるとちょっと怖いですねぇ・・・

米軍全体で航空機の事故が激増している現実もありますし・・・。そんな中で予算がカットされると・・・・

整備員不足や軍需産業基盤への懸念
「表面上は今年中に解消整備員不足」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-24
「米国防省:軍需産業課題レポート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-26-1
「嘉手納整備員は若手ばかり」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-03
「整備員3400名が不足」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-11-1
「米空軍機の稼働率が異常低下」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-02

来年度予算カット宣言
「トランプが次年度予算5%カット指示」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-20-2
「国防副長官も認める」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-27

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米空軍が早くも386個飛行隊への大増強諦め [米空軍]

この時期に米軍幹部であることにお悔やみ申し上げます・・

Wilson-24AF.jpg14日、米空軍副参謀総長のStephen Wilson大将が、米空軍協会主催の朝食会で講演し空軍長官が9月中旬にぶち上げたばかりの総飛行隊数を25%増やす(386個飛行隊にする)目標をトーンダウンさせ、「必ずしも綿密な分析によるものではない」、「変更がありうる数字だ」、「議会からどのくらい戦力が必要か問われたから」と言い訳しつつ、386個飛行隊との数字を「確固としたものではない」と語りました

Wilson大将を責めるつもりは毛頭ありませんが、空軍長官が9月中旬にぶち上げた後、10月9日にはマティス国防長官が「2019年9月末までに、F-16とF-22とF-35の稼働率を8割にせよ」と指示し、稼働率の低い古い機体を捨てる案が語られるに至り、空軍長官の提案は宙に浮きました

Trump Coast-G2.jpg更に10月16日、今度はトランプ大統領が次年度予算を予定より5%カットする(追加で今後5年間はカットしたレベルで維持だとも判明)と命じ、米政府内の意思疎通や事前調整が全くないことが白日の下にさらされ、更に言えば国家安全保障戦略NSSや国家防衛戦略NDSで中露の脅威への対応をぶち上げたはずなのに、早くも大きな国家戦略を放棄したような様相を呈しています

懸命に弁明する空軍副参謀総長は
空軍長官が9月中旬に表明した「The Force We Need」との386個飛行隊体制を求める報告は、議会からも求められてNDSを満たすための必要戦力をはじき出したものであり、必ずしも詳細な分析に基づくものではない
●また、「The Force We Need」が新たな作戦コンセプトを語るものではない。現状の戦力と国家戦略が想定する事態に必要な戦力差をざっくり見積もったものである

Wilson3.jpg●米空軍は新たな作戦コンセプト作りに取り組んでおり、この結果次第では386個にも影響を与える。(記事内の解説→戦闘機飛行隊数だけを取り上げても、現状55飛行隊が、少し前は70個目標であったが、9月には62個に引き下げられており、1年余りの間に大きな揺れが見られる)
我々は常に継続的にすべてのプラットフォームと兵器に関する見直しを行うのだ。386個は現状ではベストな数字だが、これは5年以内に実現するようなものではない。絶えず見直しを行う性格のものである

●マティス国防長官から求められている2019年度末(2019年9月末)までに、F-16とF-22とF-35の稼働率を8割にする指示に関しては、整備員不足を埋める努力を行い、予算配分も検討している。資源のシフトを検討しているのだ
●米空軍は議会によって許されることになった調達の柔軟性を十分に活用し、調達の迅速化に取り組み、鈍重で官僚的で問題の多い規則に縛られたリスク回避の現状改善に挑んでいる
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Pence2.jpg世の中では「ペンス副大統領演説」が新冷戦の幕開けだ・・・と言われていますが、なんの予算的裏付けもない空虚な演説となる気がしていますし、間もなく米中間で「ディール」が行われるような雰囲気が漂っています

苦しい弁明を迫られている米空軍副参謀総長Stephen Wilson大将の立場に思いを致し、混乱を極めている米国防政策と米軍予算の状況のご紹介を試みました

ドタバタ国防政策の典型例
「空軍長官386個飛行隊ぶち上げ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-19-1
「国防長官主要戦闘機に8割稼働率指示」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-11
「国防副長官がカットは今後5年と」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-27
「トランプが閣議で次年度予算5%カット指示」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-20-2

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米空軍3回目のハッカーによる脆弱性探査 [米空軍]

Hack the Air Force.jpg2016年4月に当時のカーター国防長官の肝いりで始まったホワイトハッカーを活用したITシステムの脆弱性探しイベントですが、これが各軍種にも広がり、7日から始まった米空軍による3回目の「Hack the Air Force 3.0」は、191か国から参加者を募るこれまで最大の規模になるようです

これまでのイベントを振り返ると
●国防省の「Hack the Pentagon」
---2016年4月 約1か月間 250名が参加し130のバグ発見(費用1700万円)
---2017年2月 約1か月間 精鋭80名が参加 3年契約で4.3億円
初めは公開ネットワークが対象だったが、少しづつ国防省内ネットワークにも対象拡大

●米空軍の「Hack the Air Force」
---2017年8月 米英加豪NZのみから募集
---2017年12月 米英加豪NZに加え、NATO諸国とスウェーデン
---2018年11月 191か国に募集拡大 

7日付米空軍協会web記事によれば
Hack the Air Force2.jpg●7日に始まった「Hack the Air Force 3.0」は11日まで実施され、191か国から参加者を募る国防省史上で最大規模の取り組みとなる
●今回のハッキングの対象となるのは、国防省から米空軍に提供されたソフト(vulnerabilities with Defense Department applications that have been recently migrated to a USAF-owned cloud)で、発見された「バグ」の重大性に応じて報奨金がハッカーに支払われる

昨年行われた同イベントでは、合計約1100万円の報奨金が支払われ、報奨金1件当たりの最高額は約140万円であった。この額は国防省内で行われたすべての同種イベントの中で最高額である
米空軍のCIOで同イベントを監督するWanda Jones-Heath女史は、「このイベントは、米空軍ネットワークに内在する重大な脆弱性を改善しようとする意志を示すものである」と表現している

米空軍は、国防省レベルの「Hack the Pentagon」を運営する「HackerOne」との企業と連携している
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Hack the Air Force3.jpg参加者の募集や選定、ホワイトハッカーによる悪意あるハッキングの防止、ハッキング対象システムの選定など、イベントの運営には技術的にややこしいコツやノウハウが必要な気がしますが、もう一つ重要なのは、発見された脆弱性を直ちに修復することだそうです

そのために米空軍は特別修復チームを待機させ、イベント終了までにすべての脆弱性への対処を終了していることをめざしとの事。サイバーの世界はスピード勝負らしいです

日本でもなんとかならないでしょうか・・・これ。

民間ハッカーにチェックを依頼
「第2回米空軍をハッカーがチェック」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-23
「発展版Hack the Pentagon」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-16
「第1弾Hack the ・・成果発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-20-1

「米サイバー戦略がもたらすもの」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-11-02
「サイバー軍司令官が課題を」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-04
「サイバー人材の苦悩:米海兵隊」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-31

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輸送コマンドの優先事項に核戦力空輸が [米空軍]

空輸任務部隊の2番目の優先事項とは

Miller2.jpg5日頃、就任して間もない米空軍輸送コマンドの女性司令官Maryanne Miller大将が、空輸給油機協会のシンポジウムで講演し、司令官として重視する6つの優先事項(six priorities)を示しました。

即応態勢維持や中露との戦いを想定した「contested environments」への対応など、司令官として当然と考えられる事項が並ぶ中、まんぐーすが注目したのが「Sustaining an effective nuclear response」 とのタイトルの項目で、更にこの項目が6つの中の2番目に位置づけられたことにも驚かされました。

C-17 US-Au.jpgこれまで、長々とダラダラと「東京の郊外より・・・」を続け、米空軍輸送コマンドについても何度も取り上げ、核戦力維持や運用部隊の問題についても触れてきたつもりですが、空輸部隊と核戦力の関係について考えたこともありませんでした

核兵器だってモノですから、爆撃機やミサイルに搭載され移動するだけでなく、空輸部隊が運搬することも当然あるはずですが、核を持たざる国で生まれ育ち、核戦力を保有して運用やその維持を考えた事もない人間の哀しさで、まんぐーすはそんな当然のことも考えたこともありませんでした

Maryanne Miller司令官は当然のことながら、「Sustaining an effective nuclear response」を詳しく説明したわけではなく、持たざる国の傍観者にはその中身を知る由もないのですが、とりあえず6つの優先事項をご紹介し、想像をたくましくしていただきましょう

7日付米空軍協会web記事によれば
Miller1.jpg●5日、米空軍輸送コマンドは、Maryanne Miller司令官が空輸給油機協会のシンポジウムで講演して明らかにした、司令官として重視する6つの優先事項(six priorities)を整理して公表した
●「米空軍と戦闘コマンドのパワープロジェクションを支援し、輸送力を担う組織をRapid Global Mobility能力の進展にむけ刷新する」との指針の元、以下の6つを優先事項として掲げている

●1. Readiness
---大国間の競争時代に入った今、この争いで競い、抑止し、勝利することに備えるため、組織活動全般の即応体制維持を第一優先とする。
●2. "Sustaining an effective nuclear response"
---想定される対峙国を抑止し、同盟国等に抑止力を確信させるためには、米空軍輸送コマンドの「aerial refueling and nuclear airlift」任務を着実に遂行し、有効な核対応力を維持する必要がある。

C-130J.jpg●3. Mobility operations in contested environments
---将来の戦いにおける基準となるのが「厳しい環境下における輸送任務遂行」である。輸送コマンドの生存性向上が不可欠。宇宙やサイバー空間をはじめとする競争激化により、特に指揮統制の近代化が急務である
●4. Force development
---所属する兵士が最大の資源であり、その才能を最大化して組織力に生かす手法を編み出さねばならない

●5. "Modernization and recapitalization efforts"
---統合戦力の破壊力と優越を維持するため、能力のアップグレードを適時進める。KC-46空中給油機導入が好例で、老朽化が進む給油機部隊をよみがえらせる
●6. Innovation
---バージングループ創設者のRichard Branson氏を迎え、イノベーショのアイディアを競う「Phoenix Spark Tank competition」 を行い、コマンド内の革新的提案活動を活性化させたい。最終選考に残った提案については必ず実行に移すことを約束する
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なぜ、2番目と5番目だけに「” ”」が付いているのかは不明です

ドゴール.jpg核兵器が米ソ間で開発保有され始めた時代、当時フランス大統領であったドゴールが言いました。「核兵器の時代を迎えた今、もしこれを保有しなければ、我々は軍事に関し無知になる」と喝破し、核武装の道へ迷いなく進み始めました。

日本は核兵器を保有しない道を選択しているのですから、「軍事の無知」にならないようにしっかり核兵器を勉強しなければならないのですが、それが容易ではない単純な事実を改めて思い知らされたということをご報告させて頂きます。

9月4日に就任されたばかりのMiller司令官のご経歴などについては、関連記事の一番上の記事をご覧ください

米軍輸送関連の記事
「輸送コマンドに女性司令官誕生」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-12 
「宇宙に物資の事前集積案」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-05
「禁じ手:幕僚無し操縦者募集へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-28-1
「民間輸送力依存に危機感」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-03
「給油機後継プラン見直し」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-22
「今後20年の操縦者不足は深刻」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-29

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