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米軍試験演習場を民間5G開発に提供する [米国防省高官]

脱ファーウェイのため国産メーカー育成へ
超超音速兵器より5Gが優先だ!

Griffin2.jpg13日、ハドソン研究所で講演した米国防省のMike Griffin技術開発担当次官は、ファーウェイでない国産5G技術育成のため優れた民間技術のジャンプスタートを促すため、米国防省の管理している演習試験エリアを提供する準備があると語りました

同次官は、これまで超超音速技術開発だった最優先課題は今や5Gになったと語りその重要性を訴えましたが、一方で国防省にはこの分野で最先端を切り開く能力はなく、民間企業による開拓を期待するしかないと正直に認め、将来の国家安全保障に不可欠な5G開発を支援したいと述べました

「offer its infrastructure as test areas」が具体的に国防省や米軍のどの施設やエリアを示すものなのか不明ですが、政府や地方自治体の強化など複雑な手続きが不要なことで開発をでき、またエリアを分割することで複数の企業が技術情報朗詠を恐れることなく試験を行える等の利点も強調しました

米国も必死だということですが、米中関係の今後が不安定な中、この呼びかけにどれだけの企業や研究機関が手を挙げるのか良くわかりませんが、とりあえず最優先事項だということですのでご紹介しておきます

13日付C4ISRNET記事によれば
5G-2.jpg●Griffin技術開発担当次官は、国防省が5G開発を牽引する能力がないことを率直に認め、「民間企業の通信技術開発が遥かに進んでいることを承知している」と述べ、「民間通信企業のしっぽのノミ」ぐらいにはなりたいと努力しているところだ表現した
●そして同次官は、「国家安全保障のために同技術を国防省は必要としており、競争の激しい環境の中で技術の種が望む方向に育ち発展するよう支援する」と語った

●更に「各種試験やプロトタイプ試行を我々の施設で実施でれば、(広大な敷地を)複数の競い合う企業で分割して使用することで秘密保全を図れる。また、国防省試験場は地方自治体や国の許可が必要ないので、企業の研究開発の迅速化に貢献できる」と利点を説明した
●そして改めて「あくまで5G研究開発は国防省がリードするのではなく、国防省は開発の成果の良き利用者となる事を楽しみにしている」と仕組みを説明した

Griffin3.jpg●同次官の下で現在は1名の補佐官が5Gを担当しているが、今後間もなく新たな組織を編成し、AIや超超音速兵器のような体制で対応すると同次官は述べた
●講演に対して記者団から、5Gがマイクロウェーブ兵器に対し脆弱な点を指摘された同次官は、指摘に同意しつつ、その問題点を見極めて対応を考えることが必要だと応えた

●最後に同次官はファーウェイを意識しつつ、重要な信頼できる通信を確保するためは、信頼できないネットワークやハードを使用できるか?、と述べ、国産5G技術開発の重要性と国防省として開発を支援する意志を打ち出した
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5Gの重要性を十分に理解していないのですが技術開発担当次官が超超音速兵器より重要と明言するのですから、その覚悟の程が伺えます

5G.jpg反面、国防省として支援できることは何でもやるとの悲壮感も感じられ、ファーウェイの技術力の高さを改めて感じさせます

不謹慎ながら、この必死さは、日本から輸出管理を強化され、必死で突っ張っている韓国のイメージとダブってしまいます。もちろん韓国ほど悲観的ではないでしょうが・・・

米中関係を考える記事
「米軍トップが中国脅威を強調」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-14-1
「米国防省と米軍2トップが陸軍出身へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-20
「中国がレアアース輸出規制へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-06
「CSBA対中国戦略レポート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-13
「2019年アジア安全保障会議」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-31-1
「2019年中国の軍事力レポート」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-06
「グーグルからAI技術流出」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-31-1

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2018年米軍の自殺者数が過去20年で最悪に [米国防省高官]

2019年も昨年を上回るペース
米空軍部隊は1日任務を中断して自殺防止対策日に

Suicide Prevention3.jpg7月末、米国防省の「Defense Suicide Prevention Office」が2001年から公表している米軍兵士の年間自殺者数統計レポートをまとめ昨年2018年の自殺者数が、過去最悪だった2012年の321名を超え、325名を記録する残念な事態となっていることを明らかにしました

米軍兵士の総数は、中東での対テロ作戦等からの撤収もあり、ここ5年間くらいは減少していますが、分母が減る中で自殺者数が過去最悪を記録する危機的な状況で、国防省も頭を痛めています

また今年2019年に入っても状況悪化の傾向が続き2019年第一四半期の自殺者数は既に90名と、昨年の同期間の81名を上回っており、単純計算すると年間360名との数字が重くのしかかっています

Goldfein1-1.jpg4軍別で見て見ると昨年は2017年より米空軍を除く全ての軍種で自殺者が増加しており、唯一減少した米空軍でも2019年に入って自殺者が急増しており、今年7月末時点で既に昨年1年間の数を超えるペースとなっているようで、このままのペースだとここ数年の3倍弱になる恐れが出ているようです

1日、そんな危機的な状況を前に、Goldfein空軍参謀総長とWright米空軍最先任上級軍曹が、全ての米空軍部隊が45日以内に丸一日通常業務を停止し、自殺予防を考える日にするよう指示を出し、自殺防止の再スタートを切る決意を全部隊に発しています

1日付military.com記事によれば
2018年の米軍兵士の自殺者数は、2001年統計公表以降の最高値を記録し325名となった。内訳は陸軍139名、海軍68名、海兵隊58名、空軍60名であり、総数で前年を40名も上回った。昨年との比較では、空軍のみが昨年の63名から若干減少し、他は増加している
●また今年2019年に入っても状況悪化の傾向が続き、2019年第一四半期の自殺者数は既に90名と、昨年同期間の81名を上回っている。

●2018年自殺者の内訳では、男性が95%、また白人兵士が81%を占め、海外派兵経験者は57%を占めている
Suicide Prevention2.jpg●自殺者の約半数は、メンタル面での問題を抱えていたことを部隊が把握していた兵士で、また自殺者の半数は、自殺する前90日以内に軍内の何らかの医療・メンタル・相談窓口等と接触を持っていた

●今年初め、関係する国防省高官は具体的な数値に言及はしなかったが、「自殺数の増減をより正確に把握するためには、兵士総数当たりの自殺者数把握がより重要だと考えるが、その統計値は破滅的で受け入れがたい傾向を示している」と言及していた
米国社会全体でも自殺数は増加しており、1999年との比較で33%も増加しており、10歳から34歳の死因の第2位が自殺となってる

●自殺者の比率を把握する兵士10万人当たりの自殺者数値は、2017年で21.9名で、2016年の21.5名と、一般社会の同年齢層の17.4名よりは高くなっている。ちなみに米軍関連で最も自殺率が高いのは州兵で、29.1名となっている

別の1日付military.com記事によれば米空軍では
Goldfein space.jpg●米空軍の2018年の自殺者数は60名と、2017年の63名から若干減少したが、2019年に入り急増しており、今年7月時点で既に78名が自殺しており、昨年同時期の48名より30名も多く、このままのペースだと年間150-160名を自殺で失う過去最悪となりそうである
●そこで米空軍は1日、Goldfein空軍参謀総長とWright米空軍最先任上級軍曹が、全ての米空軍部隊が45日以内に丸一日通常業務を停止し、自殺予防を考える日にするよう指示を出し、自殺防止の再スタートを切る決意を全部隊に向け発信した

参謀総長は各級指揮官にレターを出し、「いったい米空軍で何が起こっているのだ。希望を失った者に、希望を見出してもらおう」と呼びかけ、この微妙で難しい問題に対応するためには、個々の事象に応じた個人的なアプローチが欠かせないと訴えている
●そして「自殺は予兆を発する者が行うこともあるが、なんの前触れもなく発生することも多い」とその特徴に触れつつ、自殺予防を考える日を契機として、恒常業務を停止して行う「自殺予防を考える日を通じて、自身の問題として、より個人的な部分に寄り添うように取り組んでほしい」と訴えた

Wright3.jpgWright米空軍最先任上級軍曹はビデオ映像で下士官たちに対し、「我々は仲間を、敵と戦て失うよりも多く自殺で失っている」と語り開け、「米空軍が皆さんに自殺防止のために何をやりなさいと指示することはない。どのようになるかを示すこともない。皆さんの部隊で何が必要かは皆さんが一番分かっているだろう」、「自殺について考えることが一つの一番の答えだろう。良い選択肢を与えてあげてほしい。良い方向に導いてほしい」と訴えた
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なかなかシンプルに増加の要因を特定するのは難しいようですが、米国社会全体で自殺者数が増加していることは事実なようです。

まんぐーすの邪推ですが経済好調の米国社会にあって、またイラク・アフガン戦争による負傷兵の悲惨な状況が軍のイメージを低下させ募集が難しくなり、米軍に入隊する若者の質が低下し、入隊時点でメンタル面に問題を抱える者までリクルートしてしまっている現実があるような気がします。

Suicide Prevention.jpgもちろん、海外派兵を含む出張の期間の長期化(家族との接触低下)、予算不足からくる部隊活動の質と士気の低下、部隊の士気に関心がなさそうな最高指揮官(トランプ)、社会と軍隊の分離進行などなど、様々な背景があると思いますが、インプットの質がカギのような気がしますし、そうなると早急な改善は容易ではありません

それにしても、イラク戦争やその後の混乱期、またアフガンに本格介入し、部隊に負荷がかかっていた2000年代よりも自殺者が多いとは深刻です・・・

ちなみに、日本の全年齢層合計の2018年10万人当たりの自殺者数は、男性23.2人、女性10.1人でした。統計の存在する1900年以降で最悪は2003年で、自殺者総数34400人、10万人当たりで男性40.0人、女性14.5人です

米軍と自殺者問題
「2018年は自殺者数最悪ペース」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-09-1
「米空軍死者の一番は自殺」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-12-1
「米海軍の自殺を語る」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-20
「国防省の自殺防止会議」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-25
「陸軍も6年連続自殺増」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-14

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Esper新長官アジアへ中距離弾導入とSTARTの運命 [米国防省高官]

INF全廃条約破棄を受けアジアに数ヶ月でほしい
START条約に変わる拡大枠組みが必要!?

Esper.jpg2日、初めての外国訪問となる豪州との2+2会合に向かうMark Esper新国防長官は記者団、「ロシアが履行していない条約を維持しない」との姿勢でINF全廃条約から米国が撤退したことを受け、アジアに早期に中距離ミサイルを配備する方向だが、より高性能のミサイルの配備には時間が必要との見方を示しました。ただ配備予定国には触れず、今後の関係国との調整が必要だと語りました。

また、唯一残された核兵器管理の枠組みで2021年2月に条約の有効期限が来る2011年締結の米露間の戦略核兵器制限条約であるNew START条約について、トランプ大統領が「オバマ時代の悪いディールだ」と発言していることを受け、また中国を含めた枠組みの必要性を主張している点を配慮し、枠組み対象国や制限対象の兵器について拡大する方向で検討することを示唆した模様です

3日付Military.com記事によれば
●Esper新長官は機内で記者団に、トランプ政権が2日にINF全廃条約から離脱したことを受け、数ヶ月以内にアジアに中距離ミサイルを配備したいとの意向を示し、「遅かれ早かれ、我々は必要な能力を展開させたいと考えるのが普通だ。私は数ヶ月以内を望むが、その準備が正確にどの段階にあるか把握していない」と語った
Esper3.jpg●また、7月23日に議会承認を得て初めての外国訪問に向かう長官は、中距離ミサイルの具体的な配備先については、今後の同盟国等との協議によると述べるに止まった

米軍による中距離ミサイル配備に対する中国からの反発を懸念する記者からの質問に対し長官は、「中国が保有するミサイルの80%以上が中距離射程のものであることを考えれば、米国が同様のものを配備したいと考えることに中国として驚きはないだろう」と応えた
●そして、インド太平洋地域の広大なエリアを考えれば、米国による有効な注射艇兵器の配備は重要だとの考えを示した

●国防省関係筋によれば、今月中にも射程約1100km(620nm)の低高度飛翔タイプ巡航ミサイルの試験が予定され、18ヶ月以内に配備準備が整う見込みである
一方で、より長射程で射程1,860-2,490nm(3400-4500km)の弾道ミサイル開発には、5年以上必要だと見積もられている。上記の巡航ミサイルも弾道ミサイルも核弾頭は搭載しないものである

米露関係悪化でNew START条約はどうなる?
Esper4.jpgNew START条約は2011年2月5日に発行したもので、双方の戦略核弾頭上限を1550発とし、その運搬手段である戦略ミサイルや爆撃機配備数上限を700に制限する条約で、有効期限は10年間で、最大5年の延長を可能とし、条約の履行検証は米ロ両国政府による相互査察により行うこととなっている。
●ただ、この条約を両国の議会が批准した際、米議会は米ミサイル防衛システム(MD)の開発配備が同条約に規制されないとしたが、ロシア議会は、MD配備によりロシアの核が不利になり戦力バランスが不均衡になる場合は条約から脱退できるとの付帯条項を含めた

トランプ大統領は本条約を「オバマ時代の悪いディールだ」と呼び、中国も含めた米中露の3カ国で核兵器管理の合意を追及すべきだと発言している
●これらを踏まえ新長官は、米国は他の核保有国も協議の枠組みに加え、また条約の対称となる兵器の種類も拡大すべきだと語った。そしてNew STARTから新たな枠組みへの議論に展開しても、軍拡競争にはならないし、米国は欧州と太平洋地域を守るミサイル能力の展開が必要だと語った
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INF破棄後に、とりあえず射程1100km程度の地上発射型の巡航ミサイルを配備するとして、日本と台湾とフィリピンぐらいしかないと思いますが、どうなるんでしょうか? 

Esper5.jpgイージス・アショアの配備だけで、オスプレイの配備だけで、防衛省はパンク状態のような気もしますが、明確な攻撃兵器である地上発射型の巡航ミサイル配備の調整など、現在の日本で可能でしょうか?

案外ここは、韓国が開発した射程800kmの「玄武-2C」ミサイルを持ち出し、それも脅威対象の一つとして日本国内に説明する方が、今の雰囲気には合うのかもしれません

豪州との2+2、陸軍士官学校の同級生コンビであるポンペイオ国務長官と頑張っていただきましょう!

「Esper長官の略歴
https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-20

ロシアの違反が発端:INF全廃条約の失効関連経緯
「トランプが条約離脱発表」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-20-1
「露は違反ミサイルを排除せよ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-06
「露を条約に戻すためには・・」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-20
「ハリス司令官がINF条約破棄要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-29
「露がINF破りミサイル欧州配備」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15

米国核兵器を巡る動向
「次期ICBMのRFP発出」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-18
「今後10年の核関連予算見積が23%増」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-26
「核兵器輸送がNo2任務」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-11-11
「ついにINF条約破棄へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-20-1
「露がINF破りミサイル欧州配備」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15
「サイバー時代の核管理」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-02
「リーク版:核態勢見直しNPR」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-13
「議会見積:今後30年で140兆円」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-02-1

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国防省がデジタル近代化戦略を発表 [米国防省高官]

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多方面カバーの「Digital modernization strategy」

Digital Strat.jpg15日、米国防省のCIO(Chief Information Officer)であるDana Deasy氏が会見し国防省が取り組む人工知能AIからサイバーやクラウドまでを広範にカバーする新戦略「Digital modernization strategy」を発表しました

約70ページのがっちりしたもので、ただでさえIT分野に弱いまんぐーすが読んで理解できるわけもないのですが、4つの重要分野である「Pentagon-wide data storage cloud」、「artificial intelligence」、「command, control, and communications」、「cybersecurity」を包括する戦略で、21世紀の戦いを支配しそうな分野でもありますので、表面を撫でる程度にご紹介いたします

短い記事の紹介で、具体的な中身が全く想像つかないかもしれませんが、「Digital modernization strategy」との言葉と、CIOであるDana Deasy氏の名前を覚えておいていただければ幸いです

15日付米空軍協会web記事によれば
Deasy2.jpg●上記4つの重要分野に狙いをつけた戦略であるが、数十個の目標の中には、統合AIセンターや対話ソフトセンターで進められている革新技術開発を促進し、国防省全体の情報関連機関の能力と効率性を向上させ、ネットワーク保全を高め、関連デジタル技術者を活性化する等が含まれている
●国防省は、膨大なデータ管理とネットワーク維持&保全の重要性を認識し、約5.5兆円のIT関連予算をより効果的に管理することを表明しているが、15日発表の同戦略は、国防省が4軍を取りまとめて進める全世界カバーの「クラウド」データシステムや、他のITサービスへの円滑な移行を狙ったものである

●同戦略は、「将来の国防省が使用するデジタル環境は、切れ目なく、機敏で、打たれ強く、透明性が高く、インフラやサービスが安全で保全されたサービスを提供し、国防省の情報優位を更に進め、任務パートナーとの情報共有がシンプルにできるようなものであるべき」と表現している
Deasy3.jpg●色々な観点で、本戦略は米空軍が現在取り組んでいるITやデジタル分野での取り組みと似た部分が多く、空中アセットで収集されたISR情報の分散共有や、国防省による電子戦指揮統制の拡大、更に革新技術のより迅速な取り込み等にも狙いを定めている

●現在、国防省や米軍内部ではあちこちで、AI、ビッグデータ分析、ブロックチェーン、量子コンピュータ、5Gネットワーク、インターネット等々が議論されているが、CIOであるDana Deasy氏は15日の発表会見で、将来飛躍的発展を遂げるであろうクラウドやC3ネットワーク分野などで成果を最大限活用することを狙っていると語った
●また関係者は、本戦略遂行に必要な人材を確保するため、人材採用担当官が民間企業と条件面で競争力を持てるよう、報酬面等で戦える条件提示ができるような取り組みを進めているとも説明した
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この戦略がどの様な背景や性格を持つものなのか把握していませんが、国防省内での熾烈な資源配分争いを統制する役割を果たすよう期待いたします

Deasy.jpg約1ページの短いサマリーがついていますが、色々な関連機関や諸課題への方向性を示したものだと記載されているような気がしますが、その深遠な意味を解釈する能力がありませんので、ご興味のある方は是非のぞいてみてください。

サイバーも電子戦も情報収集配分も、ネットワークの防御保全までをカバーする戦略です。読む価値があるのでしょう・・・(他人事のように語る)

同戦略の現物
https://media.defense.gov/2019/Jul/12/2002156622/-1/-1/1/DOD-DIGITAL-MODERNIZATION-STRATEGY-2019.PDF

関係あるかも記事
「米空軍がISRとサーバーEW統合へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-06-3
「初代サイバー司令官は日系」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-17
「大活躍整備員から転換サイバー戦士」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-26-3
「サイバー戦略がもたらすもの」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-11-02
「中露のAIでの野望を語る」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-28
「サイバー時代の核兵器管理」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-02
「人材集めの苦悩」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-31
「装備品のサイバー脆弱性に対処」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-02
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悲観的な軍需産業年次レポート2019 [米国防省高官]

1か月以上前の発表ですが
軍需産業基盤の弱体化が顕著

Industrial Base.jpg27日付Defense-Newsが、5月13日に国防省が発表した「Industrial Capabilitie報告書」の概要を取り上げ、2016年から増加している兵器調達で軍需産業全体は莫大な利益を上げているが、軍需部品のサプライヤー数は減少し、調達数の不安定さや上下動により緊要な部品等を提供する零細企業の倒産や撤退が見られると警鐘を鳴らしています

また企業買収や合併によって寡占や独占によって部品供給元が減少し、結果として製品の質低下や価格高騰に繋がったり、有事の増産に対応できない状態に陥るケースが増えていると指摘しています

先日ご紹介した米海軍の造船所や艦艇修理工場の例でもありましたが、従業員の高齢化も相当深刻なようで、高齢者の定年退職に伴う熟練作業者の不足も年々顕在化していると訴えています

「いずこも同じ・・・」な感は否めませんので、軍事力の基盤を支える土台の崩壊状況を米国を例に、分野別に確認しておきましょう。
上記のような共通問題以外の分野別の課題を中心に事例を交えてご紹介します

27日付Defense-News記事によれば(分野別にご紹介)

●航空機関連
Industrial Base2.jpg---生産が長期間に及び、生産数量が限られ、高い品質を求めて高価格となる特徴から多くの課題が生起しており、全ての大規模プロジェクトに共通している
---労働者の高齢化や寡占独占による弊害は下請け企業群にも広がっており、供給元の減少やシングルソース化はリスクが拡大している

---例えば、海兵隊の輸送機を支える鋳物企業の倒産で代替部品が見つけられず、機体の製造修理があ遅れる事態となっている
---ソフトウェア技術者の確保も大きな問題となっており、今後の航空アセットがますますソフト依存度を高める中、能力の高い同技術者確保が喫緊の課題となっている

●地上システム
Industrial base2.jpg---地上システムの新規開発が激減し、現有システムの段階的改修や近代化が主流となっていることから、前線の要望事項を戦闘車両の設計に落とし込み、生産工程にまで結びつけるシステムデザインを経験したことのない技術者が一つの世代を形成しており、将来の新規装備開発要求に対応できるか懸念される

---存続が懸念される、各種自走砲や野砲、迫撃砲などの砲身を製造する企業を、国防省や陸軍がまとめて一つの組織体として運営する検討が必要
---これら複数の企業はたった一つの生産ラインしか保有しておらず、仮に海外からの大きな需要が入ったりした場合、米国の需要に対応することが難しくなる恐れがある

●艦艇建造と修理
---この分野の最大の懸念は、多くの部品や装置を単一の企業が支えている点である。能力不足、競争の欠如、労働者の技量不足と低下が、需要の不安定により悪化の一途にある Industrial Base5.jpg---4企業が7つの海軍用造船所すべてを管理している寡占体制や、高圧ケーブル、バルブ、推進部分の部材提供など独占が進んで競争がなくなっている分野が多く問題である

---労働力の高齢化や技量の問題も深刻である。米労働省の推計によれば、2026年までに本分野の労働力は6-17%減少する予測となっており、船体構造材の成形、溶接、鋳造分野は特に深刻な打撃を受け、米海軍の長期計画を支えられないだろう

●弾薬製造分野
---昨年の本レポートで大きな懸念と指摘されたのが弾薬分野だが、今年も問題の範囲と大きさに変化はない。弾薬の原材料確保と単独製造元への不安、株下請け企業の現状の不透明さ、新規設計や製造能力の喪失、有事増産能力や計画能力の不足、製造及び試験装置の老朽化など全てが深刻である

---例えば国防省製造用ミサイルに使用される起爆システムや最終誘導装置では、重要部品を製造する企業が買収合併された後に工場を閉鎖に追い込まれたが、その後2年経過するまでその事実を国防省として把握できず、部品が6か月分しか確保できなかった事例が報告されている
---別の例で、固体燃料ロケットに必要な2種類の化学物質が確保不能になり、代替品を急きょ探し回ることになった事例もある

●CBR防御装備関連
Industrial base3.jpg---CBR兵器から身を守る防護マスク、防護呼吸器、ワクチンを製造する企業の劣化が激しく、救済法(Defense Production Act Title III)に基づき公的資金を投入して体制維持を図る必要が生じるだろう
---例として、国防装備にしか使用されない「ASZM‑TEDA1吸着カーボン」は、72種類のCBR除去システムのフィルターに使用されているが、製造する企業は独占企業であり、その品質や価格を適切と判断しにくい状態にあり、製造装置も需要に応じられない状態にある。これも救済法で製造ラインを近代化する必要がある

●宇宙用システム分野
---急速に課題となる宇宙ドメインであるが、宇宙アセットに必要な構造材や炭素繊維、放射線耐性のある電子部品、放射線試験、衛星用部品組み立ての分野で零細な産業基盤が問題となっている
---また、宇宙で使用する太陽光発電パネル企業も、不十分なビジネス規模から研究開発費をねん出できず、政府の支援を必要としている。「traveling-wave tube:進行派菅」や「精密ジャイロスコープ」の鍵となる部品製造企業も存続が懸念されている

●電子部品分野
---この分野は中国製部品が世界市場を席巻し始めており、「printed circuit board」等で危機感が高まっている。米国産の生産量が2000年当時の1兆円規模から、2015年には7割減の3000億円規模に激減し、世界市場の半分を中国産が占めるようになっている
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Industrial Base3.jpg信頼する Aaron Mehta副編集長の解説記事ですが、長い報告書を短い紹介記事にしているため各分野の事情や専門用語を理解してまんぐーすには解釈や補足説明が難しく、的外れな訳や説明になっている可能性大です

なんとなく、全体の雰囲気を感じて頂ければ・・・・と思います

業界全体で「莫大な利益:massive profits」をあげていながら、重要なパーツを担う企業が困窮しているという、どこかで聞いたような構図です。寡占や独占は水が濁るんですねぇ・・・

昨年の同レポート
「米軍需産業の課題」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-26-1

艦艇の修理や兵たんの課題
「米艦艇建造や修理人材ピンチ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-24
「空母定期修理が間に合わない」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-09
「優秀な横須賀修理施設」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-05
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米国防省と米軍2トップが陸軍出身へ [米国防省高官]

オハンロンら専門家は良い人選で良いペアだと評価
イラン革命防衛隊がMQ-4C撃墜を発表する中で
21日には新臨時長官が職務開始態勢に
ポンペイオ国務長官と陸軍士官学校同期とか

Esper Army2.jpg18日付Military.comは、約10年前の家庭内暴力事案の件で臨時国防長官職を降り、国防長官へのノミネートも辞退したShanahan氏の後任臨時長官に指名されたMark Esper陸軍長官や、9月から統合参謀本部議長に就任予定のMark Milley陸軍参謀総長を取り上げ、マティス&ダンフォードの海兵隊ペアから、陸軍ペアに米国防省2トップが引き継がれる方向について、良い選択だと評価しています

Shanahan4.jpgShanahan氏の急な辞任についてはボルトン&ポンペイオの強引や対外手法についていけないからとのうわさも絶えませんが、報道によれば、2010年と11年に、Shanahan氏が当時の妻を殴ってけがさせた件や、当時17歳の息子がバットで当時の母(Shanahan氏の妻)を殴り骨折させ、妻がエアガンで応酬して息子が刑務所行きとの壮絶な家庭状況が国防長官への承認審査過程で明らかになり、家族を巻き込みたくないとShanahan氏が辞退したと言われています

話題は戻って専門家によれば、新臨時長官のMark Esper陸軍長官は陸軍士官学校卒業で実戦経験も豊富な素晴らしい人物で、新たな統合参謀本部議長との関係も極めてよく、決して米陸軍をえこひいきするようなことがない人物で、議会承認にも、実務上も、優れた選択だとの総評です

整理すると以下の玉突き人事で、陸軍の4名は超関係良好とか
McCarthy陸軍次官→Esper陸軍長官→Shanahan臨時国防長官
McConvill陸軍副参謀総長→Milley陸軍参謀長→Dunford統参議長(秋)

18日付Military.com記事によれば
Esper Army.jpg臨時国防長官になるEsper氏は、1986年陸軍士官学校卒(推定55歳)で湾岸戦争に101空挺師団士官として参加しており、2017年に陸軍長官就任以前は、レイセオン社で諸外国政府担当副社長を務めていた
●Esper氏は陸軍長官として2020年予算案をまとめる際、米陸軍近代化のために約3兆円をねん出するため、186個もの既存事業を廃止または削減したが、この陸軍省内審議の議論の際の態度や発言が多くの称賛を集め、結果として提出した予算案の方向性が米陸軍の評価を高めたことでもEsper長官の名前が広く知られるようになった

●またEsper陸軍長官とMilley陸軍参謀総長は非常に良好な関係で仕事をしており、性格面でも「ケミストリーが合う」間柄で、陸軍次官や陸軍副参謀総長も含めた4名間でも、完全に米陸軍の課題や将来方向について考え方を共有し、議会証言や記者会見でも、役割をきちんと分担して極めて自然に無駄なく対応がなされていた
Milley5.jpg陸軍の長官と参謀総長が、そのまま国防長官と統参議長にスライドする極めて稀な人事となることについて、海空軍等の視点から「偏り」を懸念する声が聞こえてきそうだが、Esper氏もMilley大将も「公平・公正」を形にしたような人物であり、この点を気にする人は見当たらない

●Esper氏の後任で陸軍長官に就任するMcCarthy陸軍次官は、2017年のEsper氏就任直前の80日間、臨時の陸軍長官を務めた経験のある元米陸軍レンジャー部隊士官でアフガン展開の経験がある
次官就任直前はロッキード社でF-35計画に関与しており、次官就任後は米陸軍近代化戦略を主導する立場で2028年までの中期計画を内外に説明して推進した人物として知られている

McCarthy.jpg陸軍長官と国防長官周辺関係者は、職務引継ぎプラン作成と調整に奔走しており、6月21日には新しい臨時国防長官が職務を開始できそうな勢いである
臨時国防長官になるEsper氏が、正式な国防長官にも推挙されるかは現時点で不確定だが、ブルッキングス研究所のオハンロン氏は「良い選択だ」と語り、CSISの国際問題担当の上席顧問であるMark Cancian氏も「ワシントンDC中の人が陸軍内での仕事ぶりを評価している」と表現している
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Shanahan氏にはお気の毒な状況ですが、ボルトン&ポンペイオ陣営との対立とかが背景にないことを祈ります

新しいEsper臨時長官が、かつて重役だったレイセオン関連の業務に関与できない可能性があるのか気になるところですが、イラン問題や中国関係が難しいタイミングでも、スムーズに対応できそうな癖のない実務家だとの評価に、ひとまず安心しました。

空軍長官が交代し、海軍と海兵隊の軍人トップも交代のタイミングですから、円滑な移行を願います

米陸軍関連の記事
「射程1000nmの砲開発」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-26-1
「3軍長官が士官学校問題議論」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-10
「RIMPACで日米陸軍が訓練」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-21
「再びハリス司令官が陸軍に要請」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-16
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国防省監察官が指摘:太平洋軍の演習場不十分 [米国防省高官]

先に紹介した太平洋軍司令官の議会要望と一致

Inspector General3.jpg4月25日付米空軍協会web記事が、米国防省監察官による米太平洋軍に対する監察結果を報じ、同軍担当エリア内の演習場施設や装備が貧弱で、訓練を著しく阻害していることから、国家防衛戦略で対中国を重視する国防省として、早急に対策を採るべきだとの指摘を取り上げています

今、最も脅威に対する準備を迫られている太平洋軍ですが、Davidson太平洋軍司令官が先日議会に提出した「予算を認められていない重要事項一覧」 レターでも訴えていた演習環境整備を、国防省監察官からも同じタイミングで問題提起されたということです。

同軍担当エリアの演習環境が、「WW2当時から全く進歩していない」状況で、新たなアセットを導入してもその能力を使いこなす訓練を出来ない状況にあるとの指摘であり、内部外部からの同時指摘でその問題の重大性を感じ取っていただきたいと思いますし、自衛隊と米軍が狭いエリアを共同使用している日本も、何らかの対応を迫られる可能性があると認識すべきでしょう

4月25日付米空軍協会web記事によれば
F-16KoreaWalk2.jpg国防省監察官(Inspector General)が最近の報告書で、太平洋地域の演習場は特に最新鋭機パイロットの訓練を著しく制約しており、早急に改善する必要があると指摘した
●同監察官は、日本、韓国、ハワイ、アラスカ、ネバダ州、アリゾナ州の演習場をレビューし、演習場や演習空域がWW2や冷戦当時の任務対応の状態からそのままで、太平洋軍に配備されているアセットの即応態勢を維持し鍛える容量も能力も不足していると指摘した

例えば米空軍アセットや同盟国も交えた訓練で頻繁に使用されるアラスカの演習場・演習空域は、現状に即した電子戦システムがなく、パイロットに十分な訓練環境を提供することができない
●また、このアラスカの演習場・演習空域は、それを運営する明確な指揮管理枠組みがない問題も背景にあると指摘している。更に日本や韓国の演習環境は、ホスト国軍との共同使用で使用が制限される状態にある

alaska training range.jpg●このため太平洋軍航空機操縦者は国家防衛戦力が求めるような戦いの訓練ができず、求められる地域の作戦や作戦目的の達成に不可欠な準備が出来ない状態にある
監察官報告書は国防省に対し、各軍種の演習場管理改修計画を再確認し、それが実行可能性のある適切なものなのか国防省全体で確認すべきと指摘している。また更に国防省に対し、最新航空機などに配慮し、訓練環境の地域ギャップを埋めるため、全世界の米軍部隊を見渡しての対策を促している

●すでに太平洋空軍司令官は、実動とVRを効果的に組み合わせた演習環境整備の必要性を主張しており、アラスカ演習空域に新たな訓練装備を導入する方向で検討を行ってると昨年9月に語り、「全てを実環境で模擬して訓練することは困難であり、VR導入が訓練レベルアップに重要だ」と語ってる
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Inspector General2.jpg太平洋軍エリアは、特に西太平洋で作戦拠点となる場所が少ないうえに小さく、米本土からの距離も遠いため各種兵站輸送にも時間が必要で、おまけに多くが中国の各種ミサイル射程内に所在するという弱点を抱えており、中国のA2ADの前に成すすべ無しが現実です

そんな「泣きっ面」に演習訓練環境の不備まで指摘されては気持ちも萎えてしまいますが、ここは米国からの外圧で、電子戦も射撃訓練も自由にできる演習場・演習空域が日本で確保されることを期待いたしましょう

太平洋軍司令官が米議会に請願
ミサイル防衛体制強化や米陸軍クロスドメイン火力の増強を訴えると同時に、演習場の整備支援を要望
https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-29

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如何にShanahan氏はトランプに仕えているか [米国防省高官]

他に成り手がないとの声も聞かれますが・・・

Shahahan.jpg9日、ホワイトハウス報道官は、今年1月1日から空席となっている国防長官の候補に、現在の臨時長官(同じく1月1日から)で前副長官であるPatrick Shanahan氏をトランプ大統領が推挙したと発表しました。

これまで国防長官の空席最長期間は2か月間で、今回はそれをはるかに上回る5か月目に入っていますが、当初は「生意気」とか「軍需産業出身できな臭い」とか「対外政策の素人」とかで評判の良くなかった同氏も、これまでの臨時長官としての仕事ぶりで安定感を見せ、強い支持ではないものの、議会承認は問題なかろうとの雰囲気の様です

本日は信頼するDefense-NewsのAaron Mehta副編集長監修の関連記事から、 Shanahan氏の国防政策への姿勢やトランプ大統領との接し方などについてご紹介します

9日付Defense-News記事によれば
Shanahan2.jpg●現在56歳である Shanahan氏は、数十年に渡りボーイング社で勤務したのち、2017年4月から国防副長官に就任し、Mattis国防長官の下で国防省内の改革の仕切りや国内政策を担ってきた

●今回の長官への推挙は、同氏がボーイング社関連の装備品導入に臨時長官として関与したのではとの疑惑に関し、国防省監察官が「シロ」判定した数日後の9日に行われた
民主党側が大統領選挙を見据えた戦略で、この推挙に異論をはさむ余地がないわけではないが、上院軍事委員会も「熱狂的ではない」ものの、承認に大きな反対はないものとみられる

Shanahan氏は臨時長官就任当初から、Mattis長官の路線を引き継ぐと明言しており、特に国家防衛戦略NDSが示す、対テロから本格紛争への備えへの移行を強く主張し、国防省の高官も Shanahan氏の長官就任で大きな変化はないと語っている
Shanahan4.jpg●そして Shanahan氏が特に明確にしているのは、何にもまして、第一優先が対中国である点である。国防省高官は「毎日毎週、中国を忘れるな、NDSが中国を重視していることを忘れるな」と Shanahan氏が強調していると語っている

●一方、 Shanahan氏を支持する人でも、彼が対外政策のエキスパートでないことを認めている。国防長官の主要業務は諸外国とかかわることでもあるが、従来の国防長官に比して、内政に焦点が当たるのは避けられないとみられている
●例えば、トランプ大統領肝いりの「宇宙軍創設」に積極的に関与していくだろう。臨時長官としての現在も、国防省改革や宇宙軍創設について語るときは、より話しやすそうにしていた

●立ち向かうべき国防上の課題はMattis長官時代と変わることはほとんどないが、ホワイトハウスとの関係や接し方については、Mattis長官とは異なったものになろう
Shanahan6.jpgMattis長官時代には、トランスジェンダー兵士の扱い、メキシコ国境の壁や警備問題、韓国との軍事演習中止など、大統領が迅速な実行を求める問題があったが、持ち帰って検討すると返答し、Mattis長官らが如何に対応するかの協議をしていること自体が大統領の反感を買っていたことをShanahan氏は学んでいる

●そこでShanahan臨時長官は、まず大統領に「YES」と答え、大統領の意図を理解したものとして持ち帰り、後に具体的な遂行オプションや臨時長官の代替案などを大統領に報告するスタイルを取っている。
●言い換えれば、「了解しましたボス。我々は指示を実行します」とまず対応し、しかし後に「より良い、ベストな方法を考えてきました」と切り替えして持ち出す方式である
●具体的にこの手法が功を奏したと言われているのは、大統領がシリア撤退を持ち出した際の国防省の対応と、アフガン対応に関する大統領との調整の場面である

●メディアとの関係では、Shanahan氏はMattis長官と同様に、積極的にメディアやカメラを活用しようとのタイプではないが、Shanahan氏はカメラの前でのブリーフィングを報道陣とは約束しており、新しいメディア担当官を指名している
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Shanahan5.jpg実際に上院軍事委員会で、承認が順調に進むかは保障できません。Aaron Mehta副編集長を信じたいところですが・・・

少なくとも2月の段階では上院軍事委員長のJim Inhofe議員(共和党)が記者団に、臨時長官にはマティス氏のような「謙虚さ」が欠けていると述べ、更に、臨時長官はあくまで臨時であり、国防省全体の業務をかじ取りする力を供えていないのだから、政権は正規の国防長官を任命することになると明言していました。

また共和党有力上院議員のLindsey Graham氏は、臨時長官からの中東情勢ブリーフィングを受けた後、「臨時長官は私の信頼を失った」と関係者に語り、臨時長官に対しても直接「敵対勢力として行動せざるをえない」と言い放っています・・・。どうなることやら

関連の記事
「臨時長官への不満高まる」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-23
「有力次期長官候補が辞任」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-09
「臨時長官はB社関連決定できず」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-01-1
「辛辣な承認審議」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-29
「副長官候補にボーイング重役」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-17
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2019年版「中国の軍事力」レポート会見 [米国防省高官]

全体の体裁は2018年版を引き継いでいます
担当次官補の発表会見でご紹介します

2019ChinaReport.png2日、米国防省が議会報告を義務付けられている報告書「中国の軍事力」を発表し、3日、Randall Schriverインド・アジア太平洋担当次官補が会見を開きましたので、会見の冒頭説明部分をtrannscriptからご紹介します

正確には、議会に報告する「非公開版」から公開可能な部分をまとめた「公開版」が発表されたということです。
昨年は冒頭のサマリー部分が2ページでしたが、今年は5ページに拡大され、より中身を見てもらいたいとの意気込みを感じますが、昨年から始まった政治、経済、文化面からのアプローチも含めた包括的な説明から入る丁寧(?)で、軍事オタクを煙に巻くような構成となっています

台湾が主目的である点は変わらないものの、中国軍事力近代化の目的は「高列度紛争に短期間で勝利:winning of short-duration, high-intensity regional conflicts」であるとの表現は、サマリーからは抜けたままです。

「一帯一路」や「中国2025」構想で、大きな戦略アプローチをとる中国については、軍事的な視点だけではだめだよ・・・とのメッセージなのかもしれません。
そんなことも考えつつ、担当技官補の会見冒頭説明発言をご紹介します

3日のtrannscriptによれば
Schriver.jpg中国は継続して米国の軍的優位を侵食し、影響力を獲得維持しようとしており、2049年までに世界レベルの軍事大国になることを目指して、膨大な資源を投入して能力と量の拡大に努めている
●幾つか軍事近代化の目立つ分野を取り上げると、まず対地及び対艦能力を持ち、西太平洋からインド洋を射程に収める、核兵器も搭載可能なDF-26中距離弾道ミサイルの増強が挙げられる

空母は遼寧に続き、国産第1番空母が2019年には前線艦隊に配属され、2番艦の建造も2018年に開始された
●また空母エスコート役を担う「Renhai級」ミサイル巡洋艦4隻が2017-18年に就航し、更に数艦が建造中である。本クラスの巡洋艦は長射程対艦巡航ミサイルを装備し、今年前線部隊に配備される見込みである
空軍では、第5世代機と考えられるJ-20が昨年10月の航空ショーでデモ飛行を披露した

Liaoning-Dalian.jpg●増備面だけでなく、中国は2018年に軍の訓練と評価に関する新た指針を示し、実戦的な統合訓練を全てのドメインを包括する方式で実施するよう強調し、強力な軍事的大国との紛争に備えるよう求めている
●また引き続き、軍民融合イニシアティブの元、民間分野が軍需分野に参入する動機付けを与えるよう中国指導層は取り組んでいる

サイバーによる窃盗も本報告書の重要なポイントである。本分野に重点投資がなされ諸外国の軍事技術へ中国人がアクセスすることを促進している。2018年には特に航空技術や対潜水艦技術への注力を確認している
●また、海外における軍事拠点設置を追及しており、2018年には中東や東南アジア、西太平洋地域にアクセスポイントや拠点を模索する動きを確認している

●以上のような大きな動戦略的に支えるため、中国指導者は外交力や経済力をてこに、総合力で中国を偉大な国としてインド・アジア太平洋地域に存在させようとしている
●「中国製造2015:Made in 2025」で中国は引き続き、外国企業等が中国の製造能力向上に利するように働きかけており、これには軍事分野も含まれている。また「一帯一路」構想では関連国を巻き込む姿勢を打ち出している
●「中国製造2015」や「一帯一路」に対する各国の警戒が高まったことで、中国指導者は若干アプローチをソフトに見せかける姿勢を示しているが、根本的な狙いは変化していない

DF-26.jpg●本報告書では特別なセクションを設けて、中国「influence operations:影響力作戦」を取り上げ、米国や諸外国のメディア、文化、ビジネス、学会、政策関係者にアプローチする中国の動きに警戒を示している
2018年に中国共産党軍事委員会が、国内治安を担当する人民武装警察を配下に置いた事は注目に値する。そして国内のイスラム教徒を強制収容所送りにしていることにも懸念を持っている

中国の地域諸国との紛争に関する姿勢に変化は見られず、引き続き規範に基づくルールを無視する動きを続け、利害追及のため摩擦を恐れない姿勢を貫いている。グレーゾーンで目的を達成しようとしている
●中国は2015年に習近平が南沙諸島を軍事基地化しないと約束したにも関わらず、2018年、南沙諸島に対艦巡航ミサイル、長射程地対空ミサイル、電子妨害装備を配備している

J-20groundgrew.jpg●中国は経済的手段においても、他国を弱体化させ、自身の利害を追及しており、例えば、豪州やパラオに対する貿易や旅行者を制限し、影響力を行使しようとしている
台湾に関しても、旅行者を制限し、投資を抑える等で硬軟取り混ぜた手法により独立阻止に向けた動きを継続している。昨年はブルキナ・ファッソとエル・サルバドルが台湾との国交を断ち、中国と国交を樹立した
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本報告書に関する報道では、中国の空中発射及び潜水艦発射核ミサイル開発に関して「あいまい過ぎる」とのコメントが出ています。完成しているのか、実配備されているのか・・・

また特別セクションとして「北極圏での活動」も取り上げています

米国防省は相手国に利するような情報公開はしない方針を最近徹底しており、各種レビュー文書も公開版と非公開版と分けられています。いつの間にか中国優位の西太平洋軍事環境を当然の音として受け入れている自分が悲しいです・

136ページの現物へのアクセスは以下より
https://media.defense.gov/2019/May/02/2002127082/-1/-1/1/2019_CHINA_MILITARY_POWER_REPORT.pdf

米国防省「中国の軍事力」レポート関連記事
「2018年版」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-18
「2016年版」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-15
「2015年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-17
「2014年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-06
「2013年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-08
「2012年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-19
「2011年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-25-1

防研の「中国安全保障レポート」紹介記事
1回:中国全般→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-19
2回:中国海軍→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-17-1
3回:軍は党の統制下か?→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-23-1
4回:中国の危機管理→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-01
5回:非伝統的軍事分野→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-22
6回:PLA活動範囲拡大→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-09
7回:中台関係→サボって取り上げてません
8回:米中関係→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-03-2

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調達担当者を守り、挑戦させる文化を [米国防省高官]

調達改革との言葉の煙幕にだまされるな
調達の迅速化とコスト削減には、担当者に権限を与え、かつ失敗のリスクから守ってやる仕組みが必要だ

Roper.jpg12日、米空軍協会のミッチェル研究所で講演したWill Roper次官補は、真の調達改革は調達意思決定系統チャート図を修正して達成されるものでは決してなく、調達の現場をよく知る経験豊富な担当官に「top cover:組織としての保護」を与え、多少のリスクを冒しても迅速に調達を進められる環境を与えることだと訴えました

そして、最新技術が民生分野から生まれてだれでも利用可能な時代には、調達のスピードこそが重要であり、コストの低下は自然と後からついてくるものだとも語りました

「top cover」の意味と、具体的に調達担当官にどんな権限を与えるのか、リスクをどこまで受け入れるのか等の細部は不明ながら、豊富な経験とアイディアを持つ担当官に、ある程度自由にやらせようとの主張で、重要な教訓が得られた場合には、失敗でもを表彰する制度も既に開始したと紹介されています

税金を使う役人の世界で、また特定の企業しか関与していない軍需産業の世界で、調達担当官の自由度を高める事は、業者との癒着や不正を生む可能性をはらんでいるわけですが、それを防止する仕組みが可能であれば傾聴に値する調達刷新につながるかもしれませんので、細部は不明ながら紹介しておきます

12日付米空軍協会web記事によれば
Roper55.jpg●Roper次官補は、世間で一般に言われている「国防調達改革」との言葉が「red herring:問題解決から目をそらすための誤魔化し」だと断罪し、調達の迅速化とコスト削減のためには、経験と能力を持つ調達担当官を守る「top cover」を与えて、彼らが守られていると信じられる環境を与え、リスクを恐れずに行動させることが必要だと語った
●また、調達に関する規則改正も議論されているが、この「top cover」さえがあれば、迅速にリーズナブルな調達を調達担当官は今でも可能なのだと訴え、議会だって迅速な調達を望んでいると説明した

●更に、調達関連の法律や規則改正で、調達の流れのチャート図を改正して改革が達成できると考えるのは大きな間違いであり、そんな改革は機能しないと言い切った
●そして、調達スピードの重要性を強調し、軍事が最新技術を独占していた冷戦期と異なり、民生技術がリードする現代においては、最新技術を導入するスピートが勝負を決めると力説した

●例えば、ある航空機を1500機30年使用する時代ではもはやなく、150機程度を10年で更新していくイメージだと語り、これによって30年間特定企業が事業を独占することもなくなり、新規参入企業にもチャンスが増え、競争原理も働き調達コストの削減につながると説明した。 ●最後にRoper氏は、調達にかかわっている担当官ほどリスクと戦いつつ業務をしている者はいないのだから、その上司がリスクを支える体制を明確にすることで彼らの士気は高まり、彼らの知識と経験が最大限に発揮されるのだと訴えた

Roper.jpg●Roper次官補は維持整備経費の大きさにも触れ、調達経費の7割が維持整備経費だと述べ、また大きな装備品調達にばかり注目が集まるが、調達予算の9割が小口の維持整備用の調達で占められていると語った
●そして、多額の費用が掛かる計画外整備を防止するためのAIによる予防整備の管理や、3Dプリンターによる少数パーツの調達が多額の維持整備費削減につながる可能性にも触れた
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語られている用語や法律名に知識がないため、雰囲気を紹介するような「意訳」でご紹介しましたので、細部についてはご自身でご確認ください

国防関連調達は、不正や癒着との戦いの歴史ですから、また今の法律や規則は、不正や問題が発覚する度に上積みされてきたものですので、「top cover」の提供やリスクを恐れない行動が、変な結果を招かないことを祈ります

ゲーツ長官(当時)が言ってました、「ロシアのセルジュコフ国防相と完全に意見が一致したのは、装備品開発におけるスケジュール遅延と価格高騰の常態化の問題である」と。古今東西の課題ですので、意欲的なRoper氏の手腕に期待したいと思います・・・

調達改革の関連
「議会軍事委員会でも問題視」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-14
「各軍種の調達担当幹部が改革要望」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-08
「調達価格削減戦略」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-01-19

「技術優位確保offset strategy」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-06-1
「Better Buying Power 2.0」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-14
「第1弾:ゲーツの取得改革指針」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-15-1

ロバート・ゲーツ語録100選
https://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19
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今度は国防省高官:軍需産業政策のためF-15Xと [米国防省高官]

国防副長官の関与に疑惑が及ぶ中
戦闘機メーカーを複数残すためとの証言が
F16でなくF-15になった背景を

F-15X.jpg22日付各種軍事メディアは、F-15X導入に関してボーイング幹部出身のShanahanr臨時国防長官の関与疑惑が国防監察官の調査対象になるとの衝撃報道の中F-15X購入決定に関与した匿名の国防省高官が、F-35製造のロッキード社製に戦闘機製造が一極化することを避けるため、同じ4世代機でもロッキード製のF-16ではなく、ボーイング製のF-15Xを選んだと記者団に語ったと報じています

もちろんこれまで空軍長官や空軍参謀総長、更には統合参謀本部議長の発言までご紹介してF-15X導入決定の背景をご紹介してきたように、維持経費高くて機体寿命が短いF-35だけでは「必要な戦闘機数」が確保できないとの、予算枠の理由があります

F-15 upgrades3.jpgまた強固に防御された空域に突入するためステルス性を必要とするF-35に搭載可能な兵器量が限定される中、第4世代機に長射程巡航ミサイルや多数のミサイルを搭載し、当面の間は5世代機と4世代機をミックスして活用しようとの構想において、多量の兵器搭載が可能なF-15Xが選ばれたとの説明も「そのまま」生きています

しかしそれらの理由に加えロッキードマーチン社だけに戦闘機を独占させて良いのか・・・との軍需産業政策を巡る議論が、マティス前国防長官などの国防省関係者の間で行われ、総合的に「米空軍の計画になかった」F-15X導入が決定されたと匿名の高官が語ったということです

更に当該高官は、Shanahan臨時国防長官はF-15X導入の決定に全く関与していないとも語ったようです。

20数年ぶりに、米空軍が旧型機の新造型を購入するということで、様々な関係者の思惑が入り交じり、様々な発言が乱れ飛ぶ戦闘機選びですが、そんなこの世界の様子を描写する一環として、生暖かく見守りたいと思います

22日付Military.com記事によれば
F-15EX.jpg●22日、国防省のCAPE「Cost Assessment and Program Evaluation」室の高官は、健全で強固な軍需産業基盤を維持するため、ロッキードマーチン製のF-16ではなく、ボーイング社が製造するF-15Xに決定したと語った
●そして「考慮要素の一つが、軍需産業企業の多様性を確保するためである」、「多様な国防軍需産業を維持することが、国防省の利害と一致する。より多くの多様性があれば、より競争が促進され、価格面で良い方向に向かう」と語った。

●また当該高官は、当時のマティス国防長官が突破型機とスタンドオフ型をミックスすることを指示し、F-35が突破した後、スタンドオフ型のF-15EXなどが後に続くイメージを選んだとも述べた
●ただし、マティス長官は具体的な機種には言及しなかったとも同高官は付け加えた

●この高官の発言は、F-15X選定にボーイング幹部出身であるShanahan臨時国防長官の関与疑惑を国防監察官が調査開始するとの報道の直後に行われ、当該高官は臨時国防長官はF-15X選定に関与していないと述べ、国防省のCAPEが本件を持ち出したと説明した

●同高官は「我々は単に、兵器を投射できるある程度の機数が必要なのだ。この任務は第4世代機でより費用対効果良く実施可能なのだ」、「第5世代機は高価で、規模の視点から各世代機をミックスして任務に対応しようと考えたのだ」と述べた
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F-15 upgrades4.jpg国防省関係者も、F-15Xの導入がこれだけ話題になろうとは考えなかったのではないでしょうか・・・

米空軍内部だけでなく、米空軍の戦闘機族OBをはじめとする外野からも、「誰が決めたんだ?」の犯人探しが始まり、「その場の空気」で決まったことが今になって掘り返されている状況でしょうか・・・

それでも日本にとっては、F-35の維持費が4世代機の2倍以上で、機体寿命が半分程度だと広く知られるようになったことで良かったのではないでしょうか・・・

関連の記事
「統参議長がF-15EX購入を語る」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-16-2
「F-15EXは空軍の選択ではない」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-02
「参謀総長F-15Xを強く示唆」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-31-1
「空自MSIP機も能力向上改修へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-01
「ボーイングがF-15X宣伝中」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-24-1

「コッソリF-15C電子戦能力向上を中止」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-03
「F-15Cの早期退役やむなし?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-22
「米空軍がF-16延命へ:F-15C退役に弾み?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-13
「衝撃:制空用F-15全廃検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-23

タグ:F-15X F-15EX
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Shanahan臨時国防長官の後任は女性? [米国防省高官]

議会との関係が急速に悪化する臨時長官
一時は解任も噂されたこの女性の下馬評アップ

Shanahan6.jpg22日付Military.comは、マティス前国防長官に代わって1月1日から臨時国防長官を務めているPatrick Shanahan氏と議会との関係が急速に悪化していることを受け、Wilson空軍長官を後任者として推す声が報道や発言が相次いでいると報じています。

ただしShanahan臨時長官の仕事ぶりを讃え、当面このまま臨時長官を務めさせるか、または正規の国防長官に就任させる可能性も示唆し始めているトランプ大統領やホワイトハウスの姿勢とは異なった情報であり、情勢は微妙です

そもそもマティス前長官は、昨年12月に自ら辞任を表明する前から、就任2年となる今年2月に退任する予定だった言われており、多くの後任候補者が政権内部で検討されていた模様です。

しかし突然のシリアからの米軍撤退表明後任候補者が次々と「トランプ大統領には付いていけない」と辞退したことから、Shanahan副長官が臨時長官に急きょ繰り上がったと言われています

ですから、トランプ政権はShanahan臨時長官で当面乗り切るしかないのが現実かと思いますが、この臨時長官と議会の関係が急速に悪化しています

例えば・・・
Shanahan5.jpg12日に上院軍事委員長のJim Inhofe議員(共和党)は記者団に、臨時長官にはマティス氏のような「謙虚さ」が欠けていると述べ、更に、臨時長官はあくまで臨時であり、国防省全体の業務をかじ取りする力を供えていないのだから、政権は正規の国防長官を任命することになると明言している
●そして同議員は臨時長官の前職がボーイング社重役であったことに関する点や、軍事問題の経験が浅いことに関しては、ことさらに問題視する姿勢を示さなかったが、「Shanahan氏が正規の朝刊として議会承認を求めてきたなら、超党派の議員間で問題視する声となる可能性がある」と言及した

●また20日頃、共和党の有力上院議員のLindsey Graham氏は、臨時長官からの中東情勢ブリーフィングを受けた後、「臨時長官は私の信頼を失った」と関係者に語り、臨時長官に対しても直接「敵対勢力として行動せざるをえない」と言い放ったと伝えられている
Graham議員と臨時長官とのやり取りは、トランプ大統領のシリア撤退に関する見解を問うもので、大統領を支える立場の臨時長官は難しい立場だったと考えられるが、ものの言い方や態度が、つまり人柄が議会の反発を買っている模様で、信頼回復は難しいと見られている

そんな中22日付Military.com記事は
Wilson6.jpgWilson空軍長官を国防長官に推す声が様々な方面から発せられている。実現すれば初の女性国防長官となるHeather Wilson女史を推す声は、超党派の議員から上がっている
●また政権関係者が、Wilson空軍長官なら国防長官就任に必要な議会承認手続きがスムーズに進むだろうと語ったとも報じられている

下院軍事副委員長は「女性は常に国家安全保障にポジティブな影響を与えてくれる。そして女性の役割やチャンスは最近正しい方向に拡大している」と一般的な表現ながら、Wilson空軍長官を押す発言をしている
●また国防省で次官補代理を務めた経験のあるシンクタンク研究員は、「国防省で現在活躍している上級ポストの女性は、未来志向で、肯定的で、声に出して主張でき、官僚機構での戦いに優れ、意に反する政策でも上層部での決定事項については誠実に遂行する姿勢で評価されている」と表現し、Wilson空軍長官を間接的に押している

ただしトランプ大統領が宇宙軍創設を打ち出した際、空軍が消極的だったため、一時はWilson空軍長官解任の噂が流れホワイトハウスが否定するコメントを出したこともあり、政権側の評価は定かではない

Wilson5.jpg●なおWilson空軍長官は、米空軍士官学校の卒業生(女性で3期目)で7年間の空軍勤務がアリ、その後NSCのスタッフ、サウスダコタ州の児童教育長、下院議員を11年間、それらの合間に今も続く国防関係コンサル企業を設立したほか、複数のエネルギーや国防関連企業の顧問も務めた経験を持つ、3人の子供の母親です
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記事はもう一人、Ellen Lord調達担当次官(女性)を有力な次期長官候補として紹介しています。

Lord次官もボーイングの重役出身で、その点では議会の評価は微妙かもしれませんが、 官僚的で、鈍重で、融通が利かない国防省の調達業務の改革に「剛腕」で取り組む「できる女性」として紹介されています

でも・・・いつもは複数の名前が挙がる米議会から候補者の名前が出ないのは深刻ですねぇ・・・

関連の記事
「臨時長官はB社関連決定できず」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-01-1
「辛辣な承認審議」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-29
「副長官候補にボーイング重役」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-17
「Wilson長官のご経歴など」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-24

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DIAが初の公開版中国軍事力分析 [米国防省高官]

中国軍人が自信をつけてきていることが最も心配
Shanahan臨時長官が “China, China, China.”と連呼

DIA china.jpg15日、DIA(Defense Intelligence Agency)が、初めて公開版の中国軍分析レポートを発表するにあたり記者会見を開き超超音速兵器や新型戦略爆撃機などなどの最新アセットに注目が集まる中、真にDIA分析官が恐れるのは、中国軍人が自信をつけ、地域紛争に対し前のめりになりつつあることだと訴えました

中国軍事力に関する国防省のレポートといえば、毎年議会報告用に国防省として提出する報告書「中国の軍事力」が知られていますが、なぜDIAが「DIA 2019 China Military Power」なる新たなレポートを発表することになったのかは不明です。

しかし最近の国防省レポートの書きぶりが、「米国の手の内を知られたくない」「米国の分析結果を相手に知らせたくない」との観点から、よりぼんやりした書き方になっていることから、軍事情報分析の専門機関として、何か専門的な視点を打ち出したかったのかもしれません

だったら国防省レポートもはっきり書けばいいじゃないかと言われそうですが、その辺りは国防省内部の力学で、大人の事情があるのかもしれませんDIAレポートの表現に、以前の国防省「中国の軍事力」レポートの臭いを感じ、懐かしさを感じるので、そんな風に考えました

15日付Defense-News記事によれば
Taiwan-China.jpg●15日、同レポートの発表に先立ち、匿名のDIA分析官は記者団に対し、最も懸念すべき本レポートの結論は、中国政治指導層が中国軍の台湾進攻能力を間もなく信頼することになる点であると述べた
●この会見の数日前には、Shanahan臨時国防長官が長官として初の会議で、国防省にとって中国の脅威が第一の焦点だと述べ、 “China, China, China.”と3度繰り返したと言われており、タイミング的にも同レポートが注目を集めている

●分析官は「最も大きな懸念は、これまで中国軍は発展途上でまだぜい弱だと考えていた中国指導層が習近平に対し、中国軍には能力が備わってきたと進言する可能性が高くなりつつある点だ」と表現した
●また「多くの軍事技術が成熟し、軍の機構改革が効果を発揮し、中国軍がそれらを使いこなし始めていることが、中国が地域紛争に軍事力を投入する意思決定をより容易にしている点である」とも述べた

何を想定した軍近代化か
共産党中央軍事委員会3.jpg●DIAは中国の公式文献を基にした分析の結果として、中国の軍事力近代化は世界規模の大規模紛争を想定したものではなく、地域紛争の準備であるとし、「この枠組みにおいて、中国の自信と実力の伸びを背景にした中国の強気な姿勢が、時には米国の国益と反することになろう」と述べている
●特に中国軍事力近代化は台湾に焦点を置いており、他の場所で役に立たない短距離弾道ミサイル技術開発はその表れであるとも表現している。

●だた現時点では台湾を静観する姿勢を中国が取り、準備レベルも全面侵攻に備えるものではないが、状況が変われば、中国軍はそのための技術や兵器量を保持している
●分析官は「実際に中国が侵攻を判断する自信をいつ獲得するかはっきり言えないが、今日にでも彼らは命令可能だ。今の時点でそこまで自信を持っていないと思うが・・・」と語り、これは南シナ海や尖閣諸島にも当てはまるとも述べた
●更に中国は、ジブチの基地や外洋航海活動を増やしていることからも、世界にも触手を伸ばしている

軍事技術面からの視点
●中国軍のドクトリン変化は急激ではないが、新たな技術革新への投資は実を結び始めている。初の国産空母の2019年完成、H-20戦略爆撃機の開発、地上戦力のプロ戦力化など、陸海空全ての分野で成果が生まれ始めている
DF-21D 2.jpgいくつかの分野ではすでに米国以上の能力を備えており、その一番が超超音速兵器である。過去2年間で米国防省も同兵器の重要性を訴えてきているが、その背景には中国が同兵器で米国に先んじ、「弾道ミサイルの先端に取り付けて発射する方式で、配備直前の段階にある」ことがある

●また、米国やロシアがINF全廃条約に縛られて中距離弾道ミサイル保有を禁じられている中、中国がこの分野で最先端を走っている。更に対衛星兵器として、衛星妨害装置やビーム兵器だけでなく、運動エネルギー兵器でも足跡を残しており、更に高等な衛星運用を軌道上で実験している模様である
●分析官は「中国は包括的な対衛星能力構築に向け進んでおり、軌道上のすべてのシステムの脅威を構成しつつある。中国は宇宙アセットを米国の弱点とみなし、注力している。一方で中国自身も移駐への依存度を高めているが・・」と語っている
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読みにくい訳になってしまいましたが、雰囲気を感じて頂ければ幸いです

Shanahan臨時国防長官が長官として初の会議で、中国脅威が第一の焦点だとして、 “China, China, China.”と連呼したとか・・・。

優秀なボーイングのビジネスマンだった臨時長官です、トランプ大統領を後ろ盾に、シンプルにその方向に突っ走るのかもしれません。長期勤務になりそうな気もします・・・

関連の記事
「H-20初飛行間近?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-13
「イメージ映像:中国軍島嶼占領」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-06
「仰天:DF-26も空母キラー?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-04
「驚異の対艦ミサイルYJ-18」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-30
「10分野で米軍と中国軍を比較」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-18
「大幅改良J-20が初飛行」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-20

国防省「中国の軍事力」レポート関連記事
「2018年版」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-18
「2016年版」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-15
「2015年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-17
「2014年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-06
「2013年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-08
「2012年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-19
「2011年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-25-1

おまけtwitterより
孫向文‏ @sun_koubun ·
中国の軍事力がアメリカを超えた部分があります
1)5Gネットワークによるサイバー攻撃
2)生体認識人工知能技術
3)長距離超音速巡航ミサイル
4)量子通信技術
5)宇宙兵器

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AIの革新は昆虫に学べ! [米国防省高官]

わずか数百の神経細胞しかないのに昆虫は・・・

Bugs.jpg4日、米国防省国防省高等研究庁DARPAが、「Microscale Bio-Mimetic Robust Artificial Intelligence Networks」と命名された「ハイリスクながら、ハイリターンが期待できる」プロジェクトを行うと発表し、投資額を明示して挑戦者の募集を開始すると明らかにしました

このプロジェクトは文字どおり、小さな昆虫の小さな脳神経システムを学んでヒントを得、飛躍的に発展しつつあるAIに更なる革新を持ち込もうとするもので、約1億円の資金を掛け、18か月間で結論を得ようとするベンチャー的性格を帯びたものです。

募集期間も短く、今年春には開始するスピード感も特徴で、中国やロシアに押されて危機感が募るDARPAが、新たな姿勢で臨む意欲を姿勢を示したプロジェクトです。

このような発想では、既に民間企業でも取り組みがあるのかもしれませんが、DARPAの巻き返しに期待しつつ、概要をご紹介しておきます

8日付米空軍協会web記事によれば
neurotechnology.jpg●4日付DARPA発表では、「過去10年間で、その開発と教育訓練方法で爆発的な進歩を見せたAI分野であるが、今や多くの産業界にその応用が広がっている」とし、AIが急激な進歩を遂げている重要分野であることを強調している
●一方でその課題の一つとして、「Aiがより複雑な課題への応用に投入される中、大きなシステム活動を支える計算能力要求は毎年10倍ペースで急増している」として、飛躍的な処理速度向上を達成するための革新が求められている状況を説明している

●DARPAの発表は、具体的にどの昆虫の脳神経細胞システムをサンプルにプロジェクトを進めるのか明らかにしていないが、数百の脳神経細胞しか持たない昆虫が、自然環境にて適応した昆虫の捕食、生態、生殖等を低エネルギーで支えている仕組みから学んで取り入れようとのプロジェクトである
●募集要項に基づき2月4日から挑戦者を募集し、4月3日から開始するプロジェクトは、18か月間で結果を出すことを求められている

前半の6か月間には約2000万円までの資金が割り当てられ、昆虫システムの応用可能性を情報収集システムと情報信号の交換システムの視点から確認する。
neuron.jpg後半の12か月間では約8000万円までの資金で、具体的なプロトタイプの計算モデルを開発することを目指している

●この昆虫プロジェクトは、2018年7月に始まった「Artificial Intelligence Exploration program」の一環である
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昨年7月発表の「Artificial Intelligence Exploration initiative」は、18か月間の間にハイリスクながらハイリターンが見込めるAI分野を見出し、あらたなAIコンセプトを提示することを目指すもので、併せて迅速な研究資金確保のメカニズムを提示した取り組みです。(受付期間は3か月とのスピード感)

その一つが今回の昆虫プロジェクトです・・

一方で、昨年9月発表の「AI Next initiative」は、より包括的な全体計画の位置づけかと推察いたします

AI関連の記事
「DARPAが新AIプロジェクトを」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-11-1
「中露がAI覇権を狙っている」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-28
「2025年にAIで中国に負ける」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-04
「DARPA:4つの重視事項」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-08

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2020年度米国防費の枠が示されたようですが・・・ [米国防省高官]

750か、730か、700か、複雑な前提条件付きか?

Norquist2.jpg9日、新年から臨時の国防副長官に就任している前国防省会計監査官David Norquist氏は記者団に昨年10月から様々な数字が乱れ飛んでいる2020年度国防予算(2019年10月からの予算)について、予算枠が示されたと語った模様です

しかし同臨時副長官は、具体的な額やその条件などについては一切言及せず、3週間以上続いている一部政府機関の閉鎖(shutdown)の影響は不透明ながら、予算の案の細部については、議会に提示する国家予算案全体が明らかになる2月になると述べるにとどまりました

昨年末のクリスマス休暇直前の段階では、マティス国防長官の辞任の混乱の中で、まだ予算枠は示されておらず、2月までに予算案がまとめられるのか疑問視する声もありましたが、何とか期限までにまとめることになるようです

しかしこのモヤモヤ感・・・。例年は明らかになっている予算枠になぜ言及できないのか?・・・。トランプ大統領も議会も刺激せず、何とか必要なものを確保したい国防省と米軍全体の切なる思いの結果でしょうか・・・

以下では、これまでの経緯を振り返ります
Norquist.jpg●今年度国防予算(2019年度予算)は$716 billionで、来年度(2020年度)は $733 billionを国防省は予定して計画を立てていました
しかし10月16日に中間選挙の「風を読んだ」と大統領が突然、来年度予算は各省5%カットで、国防費は「$700 billionだ」と「ちゃぶ台返しの」指示を出し、反発する共和党議員や国防長官等は危機感を訴えてきました

3者は11月末からマスメディアや講演で、「オバマ政権時の国防費カットで傷ついた軍の立て直しに着手したばかりなのに、来年度予算をカットしては、トランプ政権が定めた国家防衛戦略NDSが定めた、中国やロシアを念頭に置いた米軍の体制整備が中断し、米国を危険にさらす」とのキャンペーンやロビー活動を推進していたところでした

●そして昨年12月4日にマティス国防長官(当時)と両院軍事委員長がホワイトハウスを訪問し、国防費削減を見直すようトランプ大統領に直談判しました。
Trump9.jpg●会談後、上院軍事委員長は「国家安全保障目標に関する率直で建設的な意見交換ができた。我々は国家防衛戦略NDSを遂行するため、オバマ時代のダメージを修復し、米軍を再構築する必要があるとの目標を共有した」、「会談を通じて大統領は、我が国を強くし米軍に適切に投資し続ける決意をしたと確信している」とのコメントを出しましたが、細部は不明のままでした

その後12月10日前後に各種メディアが、複数の筋からの情報として、 12月4日の4者協議で、トランプ大統領が「少なくとも$750 billion」にコミットした模様で、この方を受け議会のタカ派や国防省関係者は興奮に包まれたと報じました。
●一方で、既に米国の国防費は既に肥大しすぎ、他の必要な国家予算を圧迫していると主張している民主党関係者が今年1月から下院で多数派であることから、国防費を巡る攻防は簡単には決着しないと見られています
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Norquist3.jpgこの時期に国防省や米軍に勤務している皆様には、ご愁傷様・・・と申しあげるしかありません。

メキシコとの「国境の壁」費用に、国防省の災害対処予算を充てるとか、建設に軍隊を動員するとか、ため息のでそうな話が次々と・・・

トランプ大統領が「あっさり説得され」、「少なくとも$750 billion」にコミットしたなら喜ぶべきなのかもしれませんが、米議会「ねじれ状態」を考えると、また予算の強制削減法もいまだ有効な中、国防費だけ増が簡単に通るとも思えず、色々裏がありそうな予算枠提示です・・・

2020年度国防予算をめぐる記事
「一転、国防費増?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-11
「国防費巡り4者激突」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-05
「トランプが閣議で次年度予算5%カット指示」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-20-2

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