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国防省監察官が指摘:太平洋軍の演習場不十分 [米国防省高官]

先に紹介した太平洋軍司令官の議会要望と一致

Inspector General3.jpg4月25日付米空軍協会web記事が、米国防省監察官による米太平洋軍に対する監察結果を報じ、同軍担当エリア内の演習場施設や装備が貧弱で、訓練を著しく阻害していることから、国家防衛戦略で対中国を重視する国防省として、早急に対策を採るべきだとの指摘を取り上げています

今、最も脅威に対する準備を迫られている太平洋軍ですが、Davidson太平洋軍司令官が先日議会に提出した「予算を認められていない重要事項一覧」 レターでも訴えていた演習環境整備を、国防省監察官からも同じタイミングで問題提起されたということです。

同軍担当エリアの演習環境が、「WW2当時から全く進歩していない」状況で、新たなアセットを導入してもその能力を使いこなす訓練を出来ない状況にあるとの指摘であり、内部外部からの同時指摘でその問題の重大性を感じ取っていただきたいと思いますし、自衛隊と米軍が狭いエリアを共同使用している日本も、何らかの対応を迫られる可能性があると認識すべきでしょう

4月25日付米空軍協会web記事によれば
F-16KoreaWalk2.jpg国防省監察官(Inspector General)が最近の報告書で、太平洋地域の演習場は特に最新鋭機パイロットの訓練を著しく制約しており、早急に改善する必要があると指摘した
●同監察官は、日本、韓国、ハワイ、アラスカ、ネバダ州、アリゾナ州の演習場をレビューし、演習場や演習空域がWW2や冷戦当時の任務対応の状態からそのままで、太平洋軍に配備されているアセットの即応態勢を維持し鍛える容量も能力も不足していると指摘した

例えば米空軍アセットや同盟国も交えた訓練で頻繁に使用されるアラスカの演習場・演習空域は、現状に即した電子戦システムがなく、パイロットに十分な訓練環境を提供することができない
●また、このアラスカの演習場・演習空域は、それを運営する明確な指揮管理枠組みがない問題も背景にあると指摘している。更に日本や韓国の演習環境は、ホスト国軍との共同使用で使用が制限される状態にある

alaska training range.jpg●このため太平洋軍航空機操縦者は国家防衛戦力が求めるような戦いの訓練ができず、求められる地域の作戦や作戦目的の達成に不可欠な準備が出来ない状態にある
監察官報告書は国防省に対し、各軍種の演習場管理改修計画を再確認し、それが実行可能性のある適切なものなのか国防省全体で確認すべきと指摘している。また更に国防省に対し、最新航空機などに配慮し、訓練環境の地域ギャップを埋めるため、全世界の米軍部隊を見渡しての対策を促している

●すでに太平洋空軍司令官は、実動とVRを効果的に組み合わせた演習環境整備の必要性を主張しており、アラスカ演習空域に新たな訓練装備を導入する方向で検討を行ってると昨年9月に語り、「全てを実環境で模擬して訓練することは困難であり、VR導入が訓練レベルアップに重要だ」と語ってる
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Inspector General2.jpg太平洋軍エリアは、特に西太平洋で作戦拠点となる場所が少ないうえに小さく、米本土からの距離も遠いため各種兵站輸送にも時間が必要で、おまけに多くが中国の各種ミサイル射程内に所在するという弱点を抱えており、中国のA2ADの前に成すすべ無しが現実です

そんな「泣きっ面」に演習訓練環境の不備まで指摘されては気持ちも萎えてしまいますが、ここは米国からの外圧で、電子戦も射撃訓練も自由にできる演習場・演習空域が日本で確保されることを期待いたしましょう

太平洋軍司令官が米議会に請願
ミサイル防衛体制強化や米陸軍クロスドメイン火力の増強を訴えると同時に、演習場の整備支援を要望
https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-29

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如何にShanahan氏はトランプに仕えているか [米国防省高官]

他に成り手がないとの声も聞かれますが・・・

Shahahan.jpg9日、ホワイトハウス報道官は、今年1月1日から空席となっている国防長官の候補に、現在の臨時長官(同じく1月1日から)で前副長官であるPatrick Shanahan氏をトランプ大統領が推挙したと発表しました。

これまで国防長官の空席最長期間は2か月間で、今回はそれをはるかに上回る5か月目に入っていますが、当初は「生意気」とか「軍需産業出身できな臭い」とか「対外政策の素人」とかで評判の良くなかった同氏も、これまでの臨時長官としての仕事ぶりで安定感を見せ、強い支持ではないものの、議会承認は問題なかろうとの雰囲気の様です

本日は信頼するDefense-NewsのAaron Mehta副編集長監修の関連記事から、 Shanahan氏の国防政策への姿勢やトランプ大統領との接し方などについてご紹介します

9日付Defense-News記事によれば
Shanahan2.jpg●現在56歳である Shanahan氏は、数十年に渡りボーイング社で勤務したのち、2017年4月から国防副長官に就任し、Mattis国防長官の下で国防省内の改革の仕切りや国内政策を担ってきた

●今回の長官への推挙は、同氏がボーイング社関連の装備品導入に臨時長官として関与したのではとの疑惑に関し、国防省監察官が「シロ」判定した数日後の9日に行われた
民主党側が大統領選挙を見据えた戦略で、この推挙に異論をはさむ余地がないわけではないが、上院軍事委員会も「熱狂的ではない」ものの、承認に大きな反対はないものとみられる

Shanahan氏は臨時長官就任当初から、Mattis長官の路線を引き継ぐと明言しており、特に国家防衛戦略NDSが示す、対テロから本格紛争への備えへの移行を強く主張し、国防省の高官も Shanahan氏の長官就任で大きな変化はないと語っている
Shanahan4.jpg●そして Shanahan氏が特に明確にしているのは、何にもまして、第一優先が対中国である点である。国防省高官は「毎日毎週、中国を忘れるな、NDSが中国を重視していることを忘れるな」と Shanahan氏が強調していると語っている

●一方、 Shanahan氏を支持する人でも、彼が対外政策のエキスパートでないことを認めている。国防長官の主要業務は諸外国とかかわることでもあるが、従来の国防長官に比して、内政に焦点が当たるのは避けられないとみられている
●例えば、トランプ大統領肝いりの「宇宙軍創設」に積極的に関与していくだろう。臨時長官としての現在も、国防省改革や宇宙軍創設について語るときは、より話しやすそうにしていた

●立ち向かうべき国防上の課題はMattis長官時代と変わることはほとんどないが、ホワイトハウスとの関係や接し方については、Mattis長官とは異なったものになろう
Shanahan6.jpgMattis長官時代には、トランスジェンダー兵士の扱い、メキシコ国境の壁や警備問題、韓国との軍事演習中止など、大統領が迅速な実行を求める問題があったが、持ち帰って検討すると返答し、Mattis長官らが如何に対応するかの協議をしていること自体が大統領の反感を買っていたことをShanahan氏は学んでいる

●そこでShanahan臨時長官は、まず大統領に「YES」と答え、大統領の意図を理解したものとして持ち帰り、後に具体的な遂行オプションや臨時長官の代替案などを大統領に報告するスタイルを取っている。
●言い換えれば、「了解しましたボス。我々は指示を実行します」とまず対応し、しかし後に「より良い、ベストな方法を考えてきました」と切り替えして持ち出す方式である
●具体的にこの手法が功を奏したと言われているのは、大統領がシリア撤退を持ち出した際の国防省の対応と、アフガン対応に関する大統領との調整の場面である

●メディアとの関係では、Shanahan氏はMattis長官と同様に、積極的にメディアやカメラを活用しようとのタイプではないが、Shanahan氏はカメラの前でのブリーフィングを報道陣とは約束しており、新しいメディア担当官を指名している
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Shanahan5.jpg実際に上院軍事委員会で、承認が順調に進むかは保障できません。Aaron Mehta副編集長を信じたいところですが・・・

少なくとも2月の段階では上院軍事委員長のJim Inhofe議員(共和党)が記者団に、臨時長官にはマティス氏のような「謙虚さ」が欠けていると述べ、更に、臨時長官はあくまで臨時であり、国防省全体の業務をかじ取りする力を供えていないのだから、政権は正規の国防長官を任命することになると明言していました。

また共和党有力上院議員のLindsey Graham氏は、臨時長官からの中東情勢ブリーフィングを受けた後、「臨時長官は私の信頼を失った」と関係者に語り、臨時長官に対しても直接「敵対勢力として行動せざるをえない」と言い放っています・・・。どうなることやら

関連の記事
「臨時長官への不満高まる」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-23
「有力次期長官候補が辞任」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-09
「臨時長官はB社関連決定できず」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-01-1
「辛辣な承認審議」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-29
「副長官候補にボーイング重役」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-17
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2019年版「中国の軍事力」レポート会見 [米国防省高官]

全体の体裁は2018年版を引き継いでいます
担当次官補の発表会見でご紹介します

2019ChinaReport.png2日、米国防省が議会報告を義務付けられている報告書「中国の軍事力」を発表し、3日、Randall Schriverインド・アジア太平洋担当次官補が会見を開きましたので、会見の冒頭説明部分をtrannscriptからご紹介します

正確には、議会に報告する「非公開版」から公開可能な部分をまとめた「公開版」が発表されたということです。
昨年は冒頭のサマリー部分が2ページでしたが、今年は5ページに拡大され、より中身を見てもらいたいとの意気込みを感じますが、昨年から始まった政治、経済、文化面からのアプローチも含めた包括的な説明から入る丁寧(?)で、軍事オタクを煙に巻くような構成となっています

台湾が主目的である点は変わらないものの、中国軍事力近代化の目的は「高列度紛争に短期間で勝利:winning of short-duration, high-intensity regional conflicts」であるとの表現は、サマリーからは抜けたままです。

「一帯一路」や「中国2025」構想で、大きな戦略アプローチをとる中国については、軍事的な視点だけではだめだよ・・・とのメッセージなのかもしれません。
そんなことも考えつつ、担当技官補の会見冒頭説明発言をご紹介します

3日のtrannscriptによれば
Schriver.jpg中国は継続して米国の軍的優位を侵食し、影響力を獲得維持しようとしており、2049年までに世界レベルの軍事大国になることを目指して、膨大な資源を投入して能力と量の拡大に努めている
●幾つか軍事近代化の目立つ分野を取り上げると、まず対地及び対艦能力を持ち、西太平洋からインド洋を射程に収める、核兵器も搭載可能なDF-26中距離弾道ミサイルの増強が挙げられる

空母は遼寧に続き、国産第1番空母が2019年には前線艦隊に配属され、2番艦の建造も2018年に開始された
●また空母エスコート役を担う「Renhai級」ミサイル巡洋艦4隻が2017-18年に就航し、更に数艦が建造中である。本クラスの巡洋艦は長射程対艦巡航ミサイルを装備し、今年前線部隊に配備される見込みである
空軍では、第5世代機と考えられるJ-20が昨年10月の航空ショーでデモ飛行を披露した

Liaoning-Dalian.jpg●増備面だけでなく、中国は2018年に軍の訓練と評価に関する新た指針を示し、実戦的な統合訓練を全てのドメインを包括する方式で実施するよう強調し、強力な軍事的大国との紛争に備えるよう求めている
●また引き続き、軍民融合イニシアティブの元、民間分野が軍需分野に参入する動機付けを与えるよう中国指導層は取り組んでいる

サイバーによる窃盗も本報告書の重要なポイントである。本分野に重点投資がなされ諸外国の軍事技術へ中国人がアクセスすることを促進している。2018年には特に航空技術や対潜水艦技術への注力を確認している
●また、海外における軍事拠点設置を追及しており、2018年には中東や東南アジア、西太平洋地域にアクセスポイントや拠点を模索する動きを確認している

●以上のような大きな動戦略的に支えるため、中国指導者は外交力や経済力をてこに、総合力で中国を偉大な国としてインド・アジア太平洋地域に存在させようとしている
●「中国製造2015:Made in 2025」で中国は引き続き、外国企業等が中国の製造能力向上に利するように働きかけており、これには軍事分野も含まれている。また「一帯一路」構想では関連国を巻き込む姿勢を打ち出している
●「中国製造2015」や「一帯一路」に対する各国の警戒が高まったことで、中国指導者は若干アプローチをソフトに見せかける姿勢を示しているが、根本的な狙いは変化していない

DF-26.jpg●本報告書では特別なセクションを設けて、中国「influence operations:影響力作戦」を取り上げ、米国や諸外国のメディア、文化、ビジネス、学会、政策関係者にアプローチする中国の動きに警戒を示している
2018年に中国共産党軍事委員会が、国内治安を担当する人民武装警察を配下に置いた事は注目に値する。そして国内のイスラム教徒を強制収容所送りにしていることにも懸念を持っている

中国の地域諸国との紛争に関する姿勢に変化は見られず、引き続き規範に基づくルールを無視する動きを続け、利害追及のため摩擦を恐れない姿勢を貫いている。グレーゾーンで目的を達成しようとしている
●中国は2015年に習近平が南沙諸島を軍事基地化しないと約束したにも関わらず、2018年、南沙諸島に対艦巡航ミサイル、長射程地対空ミサイル、電子妨害装備を配備している

J-20groundgrew.jpg●中国は経済的手段においても、他国を弱体化させ、自身の利害を追及しており、例えば、豪州やパラオに対する貿易や旅行者を制限し、影響力を行使しようとしている
台湾に関しても、旅行者を制限し、投資を抑える等で硬軟取り混ぜた手法により独立阻止に向けた動きを継続している。昨年はブルキナ・ファッソとエル・サルバドルが台湾との国交を断ち、中国と国交を樹立した
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本報告書に関する報道では、中国の空中発射及び潜水艦発射核ミサイル開発に関して「あいまい過ぎる」とのコメントが出ています。完成しているのか、実配備されているのか・・・

また特別セクションとして「北極圏での活動」も取り上げています

米国防省は相手国に利するような情報公開はしない方針を最近徹底しており、各種レビュー文書も公開版と非公開版と分けられています。いつの間にか中国優位の西太平洋軍事環境を当然の音として受け入れている自分が悲しいです・

136ページの現物へのアクセスは以下より
https://media.defense.gov/2019/May/02/2002127082/-1/-1/1/2019_CHINA_MILITARY_POWER_REPORT.pdf

米国防省「中国の軍事力」レポート関連記事
「2018年版」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-18
「2016年版」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-15
「2015年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-17
「2014年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-06
「2013年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-08
「2012年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-19
「2011年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-25-1

防研の「中国安全保障レポート」紹介記事
1回:中国全般→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-19
2回:中国海軍→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-17-1
3回:軍は党の統制下か?→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-23-1
4回:中国の危機管理→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-01
5回:非伝統的軍事分野→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-22
6回:PLA活動範囲拡大→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-09
7回:中台関係→サボって取り上げてません
8回:米中関係→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-03-2

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調達担当者を守り、挑戦させる文化を [米国防省高官]

調達改革との言葉の煙幕にだまされるな
調達の迅速化とコスト削減には、担当者に権限を与え、かつ失敗のリスクから守ってやる仕組みが必要だ

Roper.jpg12日、米空軍協会のミッチェル研究所で講演したWill Roper次官補は、真の調達改革は調達意思決定系統チャート図を修正して達成されるものでは決してなく、調達の現場をよく知る経験豊富な担当官に「top cover:組織としての保護」を与え、多少のリスクを冒しても迅速に調達を進められる環境を与えることだと訴えました

そして、最新技術が民生分野から生まれてだれでも利用可能な時代には、調達のスピードこそが重要であり、コストの低下は自然と後からついてくるものだとも語りました

「top cover」の意味と、具体的に調達担当官にどんな権限を与えるのか、リスクをどこまで受け入れるのか等の細部は不明ながら、豊富な経験とアイディアを持つ担当官に、ある程度自由にやらせようとの主張で、重要な教訓が得られた場合には、失敗でもを表彰する制度も既に開始したと紹介されています

税金を使う役人の世界で、また特定の企業しか関与していない軍需産業の世界で、調達担当官の自由度を高める事は、業者との癒着や不正を生む可能性をはらんでいるわけですが、それを防止する仕組みが可能であれば傾聴に値する調達刷新につながるかもしれませんので、細部は不明ながら紹介しておきます

12日付米空軍協会web記事によれば
Roper55.jpg●Roper次官補は、世間で一般に言われている「国防調達改革」との言葉が「red herring:問題解決から目をそらすための誤魔化し」だと断罪し、調達の迅速化とコスト削減のためには、経験と能力を持つ調達担当官を守る「top cover」を与えて、彼らが守られていると信じられる環境を与え、リスクを恐れずに行動させることが必要だと語った
●また、調達に関する規則改正も議論されているが、この「top cover」さえがあれば、迅速にリーズナブルな調達を調達担当官は今でも可能なのだと訴え、議会だって迅速な調達を望んでいると説明した

●更に、調達関連の法律や規則改正で、調達の流れのチャート図を改正して改革が達成できると考えるのは大きな間違いであり、そんな改革は機能しないと言い切った
●そして、調達スピードの重要性を強調し、軍事が最新技術を独占していた冷戦期と異なり、民生技術がリードする現代においては、最新技術を導入するスピートが勝負を決めると力説した

●例えば、ある航空機を1500機30年使用する時代ではもはやなく、150機程度を10年で更新していくイメージだと語り、これによって30年間特定企業が事業を独占することもなくなり、新規参入企業にもチャンスが増え、競争原理も働き調達コストの削減につながると説明した。 ●最後にRoper氏は、調達にかかわっている担当官ほどリスクと戦いつつ業務をしている者はいないのだから、その上司がリスクを支える体制を明確にすることで彼らの士気は高まり、彼らの知識と経験が最大限に発揮されるのだと訴えた

Roper.jpg●Roper次官補は維持整備経費の大きさにも触れ、調達経費の7割が維持整備経費だと述べ、また大きな装備品調達にばかり注目が集まるが、調達予算の9割が小口の維持整備用の調達で占められていると語った
●そして、多額の費用が掛かる計画外整備を防止するためのAIによる予防整備の管理や、3Dプリンターによる少数パーツの調達が多額の維持整備費削減につながる可能性にも触れた
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語られている用語や法律名に知識がないため、雰囲気を紹介するような「意訳」でご紹介しましたので、細部についてはご自身でご確認ください

国防関連調達は、不正や癒着との戦いの歴史ですから、また今の法律や規則は、不正や問題が発覚する度に上積みされてきたものですので、「top cover」の提供やリスクを恐れない行動が、変な結果を招かないことを祈ります

ゲーツ長官(当時)が言ってました、「ロシアのセルジュコフ国防相と完全に意見が一致したのは、装備品開発におけるスケジュール遅延と価格高騰の常態化の問題である」と。古今東西の課題ですので、意欲的なRoper氏の手腕に期待したいと思います・・・

調達改革の関連
「議会軍事委員会でも問題視」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-14
「各軍種の調達担当幹部が改革要望」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-08
「調達価格削減戦略」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-01-19

「技術優位確保offset strategy」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-06-1
「Better Buying Power 2.0」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-14
「第1弾:ゲーツの取得改革指針」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-15-1

ロバート・ゲーツ語録100選
https://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19
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今度は国防省高官:軍需産業政策のためF-15Xと [米国防省高官]

国防副長官の関与に疑惑が及ぶ中
戦闘機メーカーを複数残すためとの証言が
F16でなくF-15になった背景を

F-15X.jpg22日付各種軍事メディアは、F-15X導入に関してボーイング幹部出身のShanahanr臨時国防長官の関与疑惑が国防監察官の調査対象になるとの衝撃報道の中F-15X購入決定に関与した匿名の国防省高官が、F-35製造のロッキード社製に戦闘機製造が一極化することを避けるため、同じ4世代機でもロッキード製のF-16ではなく、ボーイング製のF-15Xを選んだと記者団に語ったと報じています

もちろんこれまで空軍長官や空軍参謀総長、更には統合参謀本部議長の発言までご紹介してF-15X導入決定の背景をご紹介してきたように、維持経費高くて機体寿命が短いF-35だけでは「必要な戦闘機数」が確保できないとの、予算枠の理由があります

F-15 upgrades3.jpgまた強固に防御された空域に突入するためステルス性を必要とするF-35に搭載可能な兵器量が限定される中、第4世代機に長射程巡航ミサイルや多数のミサイルを搭載し、当面の間は5世代機と4世代機をミックスして活用しようとの構想において、多量の兵器搭載が可能なF-15Xが選ばれたとの説明も「そのまま」生きています

しかしそれらの理由に加えロッキードマーチン社だけに戦闘機を独占させて良いのか・・・との軍需産業政策を巡る議論が、マティス前国防長官などの国防省関係者の間で行われ、総合的に「米空軍の計画になかった」F-15X導入が決定されたと匿名の高官が語ったということです

更に当該高官は、Shanahan臨時国防長官はF-15X導入の決定に全く関与していないとも語ったようです。

20数年ぶりに、米空軍が旧型機の新造型を購入するということで、様々な関係者の思惑が入り交じり、様々な発言が乱れ飛ぶ戦闘機選びですが、そんなこの世界の様子を描写する一環として、生暖かく見守りたいと思います

22日付Military.com記事によれば
F-15EX.jpg●22日、国防省のCAPE「Cost Assessment and Program Evaluation」室の高官は、健全で強固な軍需産業基盤を維持するため、ロッキードマーチン製のF-16ではなく、ボーイング社が製造するF-15Xに決定したと語った
●そして「考慮要素の一つが、軍需産業企業の多様性を確保するためである」、「多様な国防軍需産業を維持することが、国防省の利害と一致する。より多くの多様性があれば、より競争が促進され、価格面で良い方向に向かう」と語った。

●また当該高官は、当時のマティス国防長官が突破型機とスタンドオフ型をミックスすることを指示し、F-35が突破した後、スタンドオフ型のF-15EXなどが後に続くイメージを選んだとも述べた
●ただし、マティス長官は具体的な機種には言及しなかったとも同高官は付け加えた

●この高官の発言は、F-15X選定にボーイング幹部出身であるShanahan臨時国防長官の関与疑惑を国防監察官が調査開始するとの報道の直後に行われ、当該高官は臨時国防長官はF-15X選定に関与していないと述べ、国防省のCAPEが本件を持ち出したと説明した

●同高官は「我々は単に、兵器を投射できるある程度の機数が必要なのだ。この任務は第4世代機でより費用対効果良く実施可能なのだ」、「第5世代機は高価で、規模の視点から各世代機をミックスして任務に対応しようと考えたのだ」と述べた
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F-15 upgrades4.jpg国防省関係者も、F-15Xの導入がこれだけ話題になろうとは考えなかったのではないでしょうか・・・

米空軍内部だけでなく、米空軍の戦闘機族OBをはじめとする外野からも、「誰が決めたんだ?」の犯人探しが始まり、「その場の空気」で決まったことが今になって掘り返されている状況でしょうか・・・

それでも日本にとっては、F-35の維持費が4世代機の2倍以上で、機体寿命が半分程度だと広く知られるようになったことで良かったのではないでしょうか・・・

関連の記事
「統参議長がF-15EX購入を語る」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-16-2
「F-15EXは空軍の選択ではない」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-02
「参謀総長F-15Xを強く示唆」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-31-1
「空自MSIP機も能力向上改修へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-01
「ボーイングがF-15X宣伝中」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-24-1

「コッソリF-15C電子戦能力向上を中止」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-03
「F-15Cの早期退役やむなし?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-22
「米空軍がF-16延命へ:F-15C退役に弾み?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-13
「衝撃:制空用F-15全廃検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-23

タグ:F-15X F-15EX
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Shanahan臨時国防長官の後任は女性? [米国防省高官]

議会との関係が急速に悪化する臨時長官
一時は解任も噂されたこの女性の下馬評アップ

Shanahan6.jpg22日付Military.comは、マティス前国防長官に代わって1月1日から臨時国防長官を務めているPatrick Shanahan氏と議会との関係が急速に悪化していることを受け、Wilson空軍長官を後任者として推す声が報道や発言が相次いでいると報じています。

ただしShanahan臨時長官の仕事ぶりを讃え、当面このまま臨時長官を務めさせるか、または正規の国防長官に就任させる可能性も示唆し始めているトランプ大統領やホワイトハウスの姿勢とは異なった情報であり、情勢は微妙です

そもそもマティス前長官は、昨年12月に自ら辞任を表明する前から、就任2年となる今年2月に退任する予定だった言われており、多くの後任候補者が政権内部で検討されていた模様です。

しかし突然のシリアからの米軍撤退表明後任候補者が次々と「トランプ大統領には付いていけない」と辞退したことから、Shanahan副長官が臨時長官に急きょ繰り上がったと言われています

ですから、トランプ政権はShanahan臨時長官で当面乗り切るしかないのが現実かと思いますが、この臨時長官と議会の関係が急速に悪化しています

例えば・・・
Shanahan5.jpg12日に上院軍事委員長のJim Inhofe議員(共和党)は記者団に、臨時長官にはマティス氏のような「謙虚さ」が欠けていると述べ、更に、臨時長官はあくまで臨時であり、国防省全体の業務をかじ取りする力を供えていないのだから、政権は正規の国防長官を任命することになると明言している
●そして同議員は臨時長官の前職がボーイング社重役であったことに関する点や、軍事問題の経験が浅いことに関しては、ことさらに問題視する姿勢を示さなかったが、「Shanahan氏が正規の朝刊として議会承認を求めてきたなら、超党派の議員間で問題視する声となる可能性がある」と言及した

●また20日頃、共和党の有力上院議員のLindsey Graham氏は、臨時長官からの中東情勢ブリーフィングを受けた後、「臨時長官は私の信頼を失った」と関係者に語り、臨時長官に対しても直接「敵対勢力として行動せざるをえない」と言い放ったと伝えられている
Graham議員と臨時長官とのやり取りは、トランプ大統領のシリア撤退に関する見解を問うもので、大統領を支える立場の臨時長官は難しい立場だったと考えられるが、ものの言い方や態度が、つまり人柄が議会の反発を買っている模様で、信頼回復は難しいと見られている

そんな中22日付Military.com記事は
Wilson6.jpgWilson空軍長官を国防長官に推す声が様々な方面から発せられている。実現すれば初の女性国防長官となるHeather Wilson女史を推す声は、超党派の議員から上がっている
●また政権関係者が、Wilson空軍長官なら国防長官就任に必要な議会承認手続きがスムーズに進むだろうと語ったとも報じられている

下院軍事副委員長は「女性は常に国家安全保障にポジティブな影響を与えてくれる。そして女性の役割やチャンスは最近正しい方向に拡大している」と一般的な表現ながら、Wilson空軍長官を押す発言をしている
●また国防省で次官補代理を務めた経験のあるシンクタンク研究員は、「国防省で現在活躍している上級ポストの女性は、未来志向で、肯定的で、声に出して主張でき、官僚機構での戦いに優れ、意に反する政策でも上層部での決定事項については誠実に遂行する姿勢で評価されている」と表現し、Wilson空軍長官を間接的に押している

ただしトランプ大統領が宇宙軍創設を打ち出した際、空軍が消極的だったため、一時はWilson空軍長官解任の噂が流れホワイトハウスが否定するコメントを出したこともあり、政権側の評価は定かではない

Wilson5.jpg●なおWilson空軍長官は、米空軍士官学校の卒業生(女性で3期目)で7年間の空軍勤務がアリ、その後NSCのスタッフ、サウスダコタ州の児童教育長、下院議員を11年間、それらの合間に今も続く国防関係コンサル企業を設立したほか、複数のエネルギーや国防関連企業の顧問も務めた経験を持つ、3人の子供の母親です
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記事はもう一人、Ellen Lord調達担当次官(女性)を有力な次期長官候補として紹介しています。

Lord次官もボーイングの重役出身で、その点では議会の評価は微妙かもしれませんが、 官僚的で、鈍重で、融通が利かない国防省の調達業務の改革に「剛腕」で取り組む「できる女性」として紹介されています

でも・・・いつもは複数の名前が挙がる米議会から候補者の名前が出ないのは深刻ですねぇ・・・

関連の記事
「臨時長官はB社関連決定できず」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-01-1
「辛辣な承認審議」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-29
「副長官候補にボーイング重役」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-17
「Wilson長官のご経歴など」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-24

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DIAが初の公開版中国軍事力分析 [米国防省高官]

中国軍人が自信をつけてきていることが最も心配
Shanahan臨時長官が “China, China, China.”と連呼

DIA china.jpg15日、DIA(Defense Intelligence Agency)が、初めて公開版の中国軍分析レポートを発表するにあたり記者会見を開き超超音速兵器や新型戦略爆撃機などなどの最新アセットに注目が集まる中、真にDIA分析官が恐れるのは、中国軍人が自信をつけ、地域紛争に対し前のめりになりつつあることだと訴えました

中国軍事力に関する国防省のレポートといえば、毎年議会報告用に国防省として提出する報告書「中国の軍事力」が知られていますが、なぜDIAが「DIA 2019 China Military Power」なる新たなレポートを発表することになったのかは不明です。

しかし最近の国防省レポートの書きぶりが、「米国の手の内を知られたくない」「米国の分析結果を相手に知らせたくない」との観点から、よりぼんやりした書き方になっていることから、軍事情報分析の専門機関として、何か専門的な視点を打ち出したかったのかもしれません

だったら国防省レポートもはっきり書けばいいじゃないかと言われそうですが、その辺りは国防省内部の力学で、大人の事情があるのかもしれませんDIAレポートの表現に、以前の国防省「中国の軍事力」レポートの臭いを感じ、懐かしさを感じるので、そんな風に考えました

15日付Defense-News記事によれば
Taiwan-China.jpg●15日、同レポートの発表に先立ち、匿名のDIA分析官は記者団に対し、最も懸念すべき本レポートの結論は、中国政治指導層が中国軍の台湾進攻能力を間もなく信頼することになる点であると述べた
●この会見の数日前には、Shanahan臨時国防長官が長官として初の会議で、国防省にとって中国の脅威が第一の焦点だと述べ、 “China, China, China.”と3度繰り返したと言われており、タイミング的にも同レポートが注目を集めている

●分析官は「最も大きな懸念は、これまで中国軍は発展途上でまだぜい弱だと考えていた中国指導層が習近平に対し、中国軍には能力が備わってきたと進言する可能性が高くなりつつある点だ」と表現した
●また「多くの軍事技術が成熟し、軍の機構改革が効果を発揮し、中国軍がそれらを使いこなし始めていることが、中国が地域紛争に軍事力を投入する意思決定をより容易にしている点である」とも述べた

何を想定した軍近代化か
共産党中央軍事委員会3.jpg●DIAは中国の公式文献を基にした分析の結果として、中国の軍事力近代化は世界規模の大規模紛争を想定したものではなく、地域紛争の準備であるとし、「この枠組みにおいて、中国の自信と実力の伸びを背景にした中国の強気な姿勢が、時には米国の国益と反することになろう」と述べている
●特に中国軍事力近代化は台湾に焦点を置いており、他の場所で役に立たない短距離弾道ミサイル技術開発はその表れであるとも表現している。

●だた現時点では台湾を静観する姿勢を中国が取り、準備レベルも全面侵攻に備えるものではないが、状況が変われば、中国軍はそのための技術や兵器量を保持している
●分析官は「実際に中国が侵攻を判断する自信をいつ獲得するかはっきり言えないが、今日にでも彼らは命令可能だ。今の時点でそこまで自信を持っていないと思うが・・・」と語り、これは南シナ海や尖閣諸島にも当てはまるとも述べた
●更に中国は、ジブチの基地や外洋航海活動を増やしていることからも、世界にも触手を伸ばしている

軍事技術面からの視点
●中国軍のドクトリン変化は急激ではないが、新たな技術革新への投資は実を結び始めている。初の国産空母の2019年完成、H-20戦略爆撃機の開発、地上戦力のプロ戦力化など、陸海空全ての分野で成果が生まれ始めている
DF-21D 2.jpgいくつかの分野ではすでに米国以上の能力を備えており、その一番が超超音速兵器である。過去2年間で米国防省も同兵器の重要性を訴えてきているが、その背景には中国が同兵器で米国に先んじ、「弾道ミサイルの先端に取り付けて発射する方式で、配備直前の段階にある」ことがある

●また、米国やロシアがINF全廃条約に縛られて中距離弾道ミサイル保有を禁じられている中、中国がこの分野で最先端を走っている。更に対衛星兵器として、衛星妨害装置やビーム兵器だけでなく、運動エネルギー兵器でも足跡を残しており、更に高等な衛星運用を軌道上で実験している模様である
●分析官は「中国は包括的な対衛星能力構築に向け進んでおり、軌道上のすべてのシステムの脅威を構成しつつある。中国は宇宙アセットを米国の弱点とみなし、注力している。一方で中国自身も移駐への依存度を高めているが・・」と語っている
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読みにくい訳になってしまいましたが、雰囲気を感じて頂ければ幸いです

Shanahan臨時国防長官が長官として初の会議で、中国脅威が第一の焦点だとして、 “China, China, China.”と連呼したとか・・・。

優秀なボーイングのビジネスマンだった臨時長官です、トランプ大統領を後ろ盾に、シンプルにその方向に突っ走るのかもしれません。長期勤務になりそうな気もします・・・

関連の記事
「H-20初飛行間近?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-13
「イメージ映像:中国軍島嶼占領」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-06
「仰天:DF-26も空母キラー?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-04
「驚異の対艦ミサイルYJ-18」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-30
「10分野で米軍と中国軍を比較」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-18
「大幅改良J-20が初飛行」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-20

国防省「中国の軍事力」レポート関連記事
「2018年版」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-18
「2016年版」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-15
「2015年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-17
「2014年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-06
「2013年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-08
「2012年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-19
「2011年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-25-1

おまけtwitterより
孫向文‏ @sun_koubun ·
中国の軍事力がアメリカを超えた部分があります
1)5Gネットワークによるサイバー攻撃
2)生体認識人工知能技術
3)長距離超音速巡航ミサイル
4)量子通信技術
5)宇宙兵器

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AIの革新は昆虫に学べ! [米国防省高官]

わずか数百の神経細胞しかないのに昆虫は・・・

Bugs.jpg4日、米国防省国防省高等研究庁DARPAが、「Microscale Bio-Mimetic Robust Artificial Intelligence Networks」と命名された「ハイリスクながら、ハイリターンが期待できる」プロジェクトを行うと発表し、投資額を明示して挑戦者の募集を開始すると明らかにしました

このプロジェクトは文字どおり、小さな昆虫の小さな脳神経システムを学んでヒントを得、飛躍的に発展しつつあるAIに更なる革新を持ち込もうとするもので、約1億円の資金を掛け、18か月間で結論を得ようとするベンチャー的性格を帯びたものです。

募集期間も短く、今年春には開始するスピード感も特徴で、中国やロシアに押されて危機感が募るDARPAが、新たな姿勢で臨む意欲を姿勢を示したプロジェクトです。

このような発想では、既に民間企業でも取り組みがあるのかもしれませんが、DARPAの巻き返しに期待しつつ、概要をご紹介しておきます

8日付米空軍協会web記事によれば
neurotechnology.jpg●4日付DARPA発表では、「過去10年間で、その開発と教育訓練方法で爆発的な進歩を見せたAI分野であるが、今や多くの産業界にその応用が広がっている」とし、AIが急激な進歩を遂げている重要分野であることを強調している
●一方でその課題の一つとして、「Aiがより複雑な課題への応用に投入される中、大きなシステム活動を支える計算能力要求は毎年10倍ペースで急増している」として、飛躍的な処理速度向上を達成するための革新が求められている状況を説明している

●DARPAの発表は、具体的にどの昆虫の脳神経細胞システムをサンプルにプロジェクトを進めるのか明らかにしていないが、数百の脳神経細胞しか持たない昆虫が、自然環境にて適応した昆虫の捕食、生態、生殖等を低エネルギーで支えている仕組みから学んで取り入れようとのプロジェクトである
●募集要項に基づき2月4日から挑戦者を募集し、4月3日から開始するプロジェクトは、18か月間で結果を出すことを求められている

前半の6か月間には約2000万円までの資金が割り当てられ、昆虫システムの応用可能性を情報収集システムと情報信号の交換システムの視点から確認する。
neuron.jpg後半の12か月間では約8000万円までの資金で、具体的なプロトタイプの計算モデルを開発することを目指している

●この昆虫プロジェクトは、2018年7月に始まった「Artificial Intelligence Exploration program」の一環である
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昨年7月発表の「Artificial Intelligence Exploration initiative」は、18か月間の間にハイリスクながらハイリターンが見込めるAI分野を見出し、あらたなAIコンセプトを提示することを目指すもので、併せて迅速な研究資金確保のメカニズムを提示した取り組みです。(受付期間は3か月とのスピード感)

その一つが今回の昆虫プロジェクトです・・

一方で、昨年9月発表の「AI Next initiative」は、より包括的な全体計画の位置づけかと推察いたします

AI関連の記事
「DARPAが新AIプロジェクトを」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-11-1
「中露がAI覇権を狙っている」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-28
「2025年にAIで中国に負ける」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-04
「DARPA:4つの重視事項」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-08

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2020年度米国防費の枠が示されたようですが・・・ [米国防省高官]

750か、730か、700か、複雑な前提条件付きか?

Norquist2.jpg9日、新年から臨時の国防副長官に就任している前国防省会計監査官David Norquist氏は記者団に昨年10月から様々な数字が乱れ飛んでいる2020年度国防予算(2019年10月からの予算)について、予算枠が示されたと語った模様です

しかし同臨時副長官は、具体的な額やその条件などについては一切言及せず、3週間以上続いている一部政府機関の閉鎖(shutdown)の影響は不透明ながら、予算の案の細部については、議会に提示する国家予算案全体が明らかになる2月になると述べるにとどまりました

昨年末のクリスマス休暇直前の段階では、マティス国防長官の辞任の混乱の中で、まだ予算枠は示されておらず、2月までに予算案がまとめられるのか疑問視する声もありましたが、何とか期限までにまとめることになるようです

しかしこのモヤモヤ感・・・。例年は明らかになっている予算枠になぜ言及できないのか?・・・。トランプ大統領も議会も刺激せず、何とか必要なものを確保したい国防省と米軍全体の切なる思いの結果でしょうか・・・

以下では、これまでの経緯を振り返ります
Norquist.jpg●今年度国防予算(2019年度予算)は$716 billionで、来年度(2020年度)は $733 billionを国防省は予定して計画を立てていました
しかし10月16日に中間選挙の「風を読んだ」と大統領が突然、来年度予算は各省5%カットで、国防費は「$700 billionだ」と「ちゃぶ台返しの」指示を出し、反発する共和党議員や国防長官等は危機感を訴えてきました

3者は11月末からマスメディアや講演で、「オバマ政権時の国防費カットで傷ついた軍の立て直しに着手したばかりなのに、来年度予算をカットしては、トランプ政権が定めた国家防衛戦略NDSが定めた、中国やロシアを念頭に置いた米軍の体制整備が中断し、米国を危険にさらす」とのキャンペーンやロビー活動を推進していたところでした

●そして昨年12月4日にマティス国防長官(当時)と両院軍事委員長がホワイトハウスを訪問し、国防費削減を見直すようトランプ大統領に直談判しました。
Trump9.jpg●会談後、上院軍事委員長は「国家安全保障目標に関する率直で建設的な意見交換ができた。我々は国家防衛戦略NDSを遂行するため、オバマ時代のダメージを修復し、米軍を再構築する必要があるとの目標を共有した」、「会談を通じて大統領は、我が国を強くし米軍に適切に投資し続ける決意をしたと確信している」とのコメントを出しましたが、細部は不明のままでした

その後12月10日前後に各種メディアが、複数の筋からの情報として、 12月4日の4者協議で、トランプ大統領が「少なくとも$750 billion」にコミットした模様で、この方を受け議会のタカ派や国防省関係者は興奮に包まれたと報じました。
●一方で、既に米国の国防費は既に肥大しすぎ、他の必要な国家予算を圧迫していると主張している民主党関係者が今年1月から下院で多数派であることから、国防費を巡る攻防は簡単には決着しないと見られています
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Norquist3.jpgこの時期に国防省や米軍に勤務している皆様には、ご愁傷様・・・と申しあげるしかありません。

メキシコとの「国境の壁」費用に、国防省の災害対処予算を充てるとか、建設に軍隊を動員するとか、ため息のでそうな話が次々と・・・

トランプ大統領が「あっさり説得され」、「少なくとも$750 billion」にコミットしたなら喜ぶべきなのかもしれませんが、米議会「ねじれ状態」を考えると、また予算の強制削減法もいまだ有効な中、国防費だけ増が簡単に通るとも思えず、色々裏がありそうな予算枠提示です・・・

2020年度国防予算をめぐる記事
「一転、国防費増?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-11
「国防費巡り4者激突」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-05
「トランプが閣議で次年度予算5%カット指示」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-20-2

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国防長官代理はボーイング関連決定できず [米国防省高官]

前ボーイング副社長のShanahan臨時長官は規則で・・・

Shanahan5.jpg12月31日付Defense-Newsは、元旦からマティス前国防長官の臨時の後任として国防長官に就任したPatrick Shanahan前国防副長官について、前ボーイング副社長であった経歴から、ボーイング社の製品関する意思決定に関与することが法制上できないと紹介しています

そして喫緊の問題として、マティス前長官の承認サインをもらう直前まで進んでいたKC-46空中給油機の初号機納入について、どのような事務手続きが必要かを検討する必要があると指摘しています

まぁ・・・思い付きのトランプ人事ですので、このような問題が他にも出て来そうですが、後任の臨時でない正式な国防長官候補と考えられていた人物が、ことごとく「シリアからの米軍撤退反対」を表明し、当分はShanahan臨時長官で乗り切らなければならないトランプ政権にとって、やりにくい事態です

Shahahan.jpgトランプ政権下の国防省人事に関しては、共和・民主党の両方の系列のシンクタンクが「反トランプ」姿勢で大統領選に臨んでいたことから、シンクタンクから国防省主要ポストに入る人材が少なく、軍需産業界から多くの人材が政治任用されました

これには故マケイン議員をはじめ多くの議員が不満で、承認のためのヒアリングを行う上院軍事委員会では、露骨に「もうこれ以上軍需産業出身者はいらない」との声が出ていましたが、ここに来てこんな形で問題が顕在化したところです

12月31日付Defense-News記事によれば
12月20日のブルームバーグは、KC-46給油機の初号機納入に関しては、多くの問題を抱えながらも、その手続きについてマティス国防長官の承認を得る直前まで進められており、昨年12月末までの納期を守る努力が続けられていたと報じていた
●しかし、トランプ大統領が2月末までのマティス長官の業務遂行を認めず、昨年末でクビにしてShanahan臨時長官を据えることにしたことで複雑な問題が生じることになっている

KC-46 Boom.jpg突然の国防長官交代で様々な業務処理が山積する中、前職がボーイング社の重役であったShanahan臨時長官がボーイング関連の手続きに関与できないからである
元々KC-46の称号機納入は2017年8月で、様々な問題発生で後れ、ボーイング社自身が3000億円以上を自己負担する形で今日に至っているが、更なる問題が生じたのである

恐らくマティス氏が行う最終手続きは、Wilson空軍長官かEllen Lord調達担当国防次官が行うことになるのだろうが、重大な不具合を抱えた装備品の承認に関することであり、部下に権限を委譲することが適当なのかとの意見も出る可能性がある
ボーイング側は、年末に初号機引き渡しが行われたかについてもコメントせず、引き続き米空軍や国防省と連携していくとのみ報道官はコメントしている。どうなるのか不透明である
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ボーイングと米国防省の関係は、KC-46以外に航空アセットだけでも、空母艦載無人給油機MC-25、FA-18、F-15X、T-Xなど主要装備が並んでおり、いろいろと気になるところです。

Shanahan2.jpgShanahan臨時長官は軍需産業での経験豊富や有能な人物ではありますが、政治が絡む諸外国との関係に対応できるかというと、先方の信頼感を得るという点からして荷が重いでしょう。

もちろん、今やトランプ政権の閣僚として、同盟国等から信頼を得るのは至難の業と言わざるを得ませんが・・・

Shanahan臨時長官の話題
「辛辣な承認審議」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-29
「副長官候補にボーイング重役」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-17
「次期副長官は膨大な業務大丈夫?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-18
「過去の副長官の分類」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-15

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日本に超超音速兵器探知レーダー!? [米国防省高官]

欧米軍事メディがお休みの中、日本の報道で
マティス長官が元旦でクビになるとの悲報の中ですが

Hypersonic4.jpg23日から24日にかけての時事通信が、相次いで中国やロシアの超超音速兵器に危機感を持つ米国防省の動きを報じ弾道ミサイルと異なり低空を飛翔する同兵器を探知追尾への対応の必要性を背景に示唆し、日本にも新型レーダー配備を検討していると伝えています

中国やロシアの超々音速兵器(Hypersonic Weapon)開発に米軍や国防省関係者の危機感が高まっていることを何回かご紹介してきましたが、大気圏外の高高度を飛翔して探知追尾が容易な弾道ミサイルとは異なり、大気圏内の比較的低高度を飛翔することから探知追尾が難しいことが関係者の悩みの種です

LRDR.jpg「関係者」と他人事のように言いましたが、中国が超超音速兵器で狙うのは、西太平洋地域に展開する米軍基地であり、つまり在日米軍基地やそこに配備される最新兵器であり、その同盟国である自衛隊の基地や装備も当然重要目標となるでしょうから、米国防省関係者よりも我々は危機感を持つ必要があるはずです

ミサイル防衛関係の大型レーダー開発については、アラスカに配備予定のロッキード製LRDR開発が順調との報道をご紹介し、同じ原理で縮小版のレーダーがイージスアショア用のレーダーとなることや、同類のハワイ配備のレーダーをロッキードが12月中旬に受注したことをお伝えしたところです

マティス国防長官が2月末まで引き継ぎ等のため頑張るというのに、2018年末でクビだと怒りに任せてツイートしたトランプ大統領の存在に、心中穏やかな年の瀬ではなくなりましたが、重要な新型レーダー配備の報道ですのでフォローしておきます。

23日と24日付時事通信報道によれば
Griffin2.jpg米国防総省が新型のミサイル防衛用「国土防衛レーダー」の日本への配備を検討していることが23日、複数の同省関係者への取材で分かった。米軍は今後数年間でアジア太平洋地域に国土防衛レーダー2基を新たに展開する一方、宇宙空間にもミサイル防衛用センサーを配備する方針だ。
●具体的に米軍は今後数年間でアラスカ州に長距離識別レーダー(LRDR)、日本とハワイに国土防衛レーダーを配備したい考えだ。また、宇宙空間にもセンサーを配備し、対策を進める方針だ。

●「おとぎ話ではない」。国防省ミサイル防衛局のグリーブス局長は、中国とロシアによる極超音速兵器が遠くない将来に運用可能になると警告した。極超音速兵器は最高速度がマッハ5を超えるミサイル弾道ミサイルとは異なり、レーダーに探知されにくい低空を飛行する上、飛行中に方向転換するなど機動性が高いとされる。
●グリフィン国防次官(研究・工学担当)は、中国は極超音速兵器の実験を何度も実施し、ロシアも開発を加速させていると指摘。「米軍には現在、地球上のあらゆる場所を常時監視できる設備がない」と述べ、「中国の極超音速兵器が米国に向けて発射されれば、手遅れになるまで気付くことができない」と懸念を示す。

Hyten7.jpgハイテン戦略軍司令官も「脅威を探知・識別できなければ、どんなに優れた迎撃ミサイルを持っていても無意味だ」とレーダーの重要性を強調する。
日本政府とも既に協議している2024年度予算(米会計年度23年10月~24年9月)中の配備を計画しているが、日本国内のどこに設置するかは未定。青森県と京都府に配備された早期警戒レーダー「TPY2」より強力なレーダーになる見通し

●米国防省は近く公表する「ミサイル防衛見直し(MDR)」で、北朝鮮の弾道ミサイルに加え、中国やロシアが開発する新型の極超音速兵器に対応する必要性を明確に打ち出す。そして地上や宇宙のレーダー・センサーを拡充する方針を示す見通しだ
●宇宙配備型センサーや新たなミサイル防衛用レーダーを日本とハワイに設置することで、太平洋地域の「レーダー網の穴」を埋める計画だ。

●関係者によると、日本配備が検討されている国土防衛レーダーは「長距離弾道ミサイルの精密な追跡に加え、おとり弾頭の識別や迎撃の成否を分析する」。レーダーが収集した情報はアラスカ、カリフォルニア両州に配備された地上発射型迎撃ミサイル(GBI)などによる迎撃に活用される上、日本とも共有される。
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LRDR2.jpg技術的なことに疎いため、日本配備のレーダーが米本土の防衛にも関係しているのか、GBIの運用にも関係しているのか、超超音速兵器と関係しているのかさえも説明ができませんが、そのうち日本のメディアも騒ぎ始めるでしょう

時事通信の報道が「住民の反対等が予期される」と報じたことに対し、ネット上の記事コメント欄には、「歓迎すべきとこではないのか?」、「何でも反対で日本が守れるのか?」といった、極めて常識的な書き込みがあふれ、左翼メディアと国民感覚のずれを感じますが、正しい知識把握と分別ある議論を日本人に期待したいと思います

ところで・・・中国大陸に目を向けるとすると、どこに配備するのでしょうか? 南西諸島でしょうか? それとも九州でしょうか? いやいや・・・米本土を念頭に北海道でしょうか?

関連の記事
「LRDRレーダー開発が順調」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-12-10
「グリフィン局長の発言」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-08-1
「米空軍が1千億円で」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-21-1
「同兵器は防御不可能」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-21-1
「ロシアが新型核兵器続々開発と」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-03-1
「中国が超超音速兵器で優位」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-27-1

「米ミサイル防衛の目指すべき道」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-12
「戦略国防次官にMD伝道者」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-07-1
「BMDRはMDRに変更し春発表予定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-24-1
「米ミサイル防衛庁の2017年予算」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-12

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米国防省が史上初の会計監査:当然不合格 [米国防省高官]

ちょっと信じられませんが、史上初らしいです
国防副長官「誰も合格するとは思っていなかったし、国防省が監査をやるとさえも思われていなかった」

Pentagon2.jpg15日、昨年12月から開始されていた米国防省始まって以来の会計監査の結果が公表され21個の会計単位のうち、5個が優秀「fully passing」、2個が「OK」で、残り14個は不合格「failed」で、全体で不合格と明らかになりました

それでも国防省や議会関係者は、結果の中身よりも実施されたことが素晴らしいとの評価の様で、大らかなのか、いい加減なのかよくわからない世界です。

例えば国防副長官は「誰も合格するとは思っていなかったし、国防省が監査をやるとさえも本当に信じている人はいなかった」と自画自賛ムードで、国防省の監理監察官も「これは長期的に極めて重要な取り組みであり、これを支援していきたい」とコメントしています

また長らく監査を求めてきた議会の下院軍事委員長(今はまだ共和党議員)は、「予想した通り、監査は多くの問題点を洗い出した。しかし、この結果を見て予算を削減しようと考えてはいけない。ここ数年取り組んできた必要量や質とのギャップを埋め続けなくてはならない」と述べているところです

Norquist2.jpg1150人の監査官(外部監査会社から1000名を派遣)が600以上の国防省・米軍施設を訪問し、4万文書と9万個の部品等をチェックした監査自体に450億円、判明した不備是正に600億円など、約1000億円が既に費やされ、良い点は、汚職や不正が見つからなかった、主要装備品の消失・不明がなかった、給料がきちんと支払われていたの3点だったという、やっぱり信じられないレベルの史上初の米国防省会計監査のさわりをご紹介します

15日付Defense-News記事によれば
米国防省のDavid Norquist首席検査官は、在庫管理の面で多くの問題が発覚したが、より大きな問題はITシステムに関わることだと述べ、ITシステムのセキュリティ措置がなされていない事象が多く指摘されたと述べ、予想していたことだとも説明した
●またこれらの点は、契約業者にも広く見られ、問題の発見数は国防省内機関より契約業者に見つかった確率が高いと明らかにした

Norquist.jpgITシステムに関して言えば、業務が組織変更で分割されて放置、担当者が転出して放置、注意を要するユーザーの放置など、特別な権限を持つ人が、やるべき仕事をやっていない事象が多数見つかっている
在庫管理に関して言えば、使用可能なものが使用不可とデータベース上で入力されていたり、使用不能な建物が使用可能と登録されていたケースが多かった。米空軍のヒル基地では、総額70億円のミサイルモーター71個が、新品にもかかわらず使用不能と登録されていたケースも見つかっている

過去に監査をやってこなかったことから、多くの問題が現在その場所で働いている人に起因するものではなく、過去に起因するものであることが対応上のモチベーションの観点から悩ましい現実である
Norquist3.jpg●現在現場で勤務する人たちには、監査結果を尊重し、改善の機会ととらえてやっていこうと訴えている。それが過去に起因するものであっても、改善が君たちの仕事なんだと・・・。

●Norquist首席検査官は、問題点が明らかになったということであり、次の年の監査ではこれらをフォローしていくことになると語り、約1000億円かけて実施した史上初の監査は、今後の改善で生まれる効率化や損失防止で穴埋めされるだろうと説明した
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何回も読み返して誤解していないか確認したのですが、史上初の会計検査らしいです。「The Pentagon’s first-ever audit discovered major flaws」との書き出しで記事が始まっていますから・・・

本当にこんなに大らかで、「結果は予期していた・・・」と堂々としていてよいのでしょうか? 
在庫管理に予想通り多くの問題が見つかったが、「but the bigger issues are with IT security measures simply not being taken」なんてこのサイバー戦時代に言ってて大丈夫なんでしょうか???

まだまだ奥深い国です・・・アメリカは・・・

こちらは国の会計検査院関連
「GAOがF-22活用法を批判」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-21-2
「再びGAOがF-35に警告」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-10
「不透明な操縦者養成を批判」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-14

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再び米国務省高官がロシア衛星の怪しい行動を [米国防省高官]

再び声を上げた米政府の女性役人・・・

Poblete.jpg10月23日、米国務省のYleem Poblete軍縮担当次官補が8月のジュネーブでの軍縮会議に続いて再び公の場である国連の場で、衛星兵器の疑いが強いロシアの衛星について訴えました。

INF全廃条約の破棄を巡る米露や中国を巻き込んだ応酬が続く一方で、同条約が結ばれた1987年当時とは時代背景は大きく変わり、ロシアの大型爆撃機が巡航ミサイルを搭載し、中国にも地上及び空中発射のアセットが拡散、防御にもミサイル防衛システム導入が始まった現代では、何が論点なのか頭が回りません

しかしサイバーや宇宙が新たなドメインとして、複雑で新たな脅威を呈していることは間違いありません。そん今だからこそ、INF問題に振り回されている感がある時だからこそ、ロシアはこんなところでも抜け目なくやっていることを訴えたかったのでしょうか・・・

基礎知識がないまんぐーすには、ロシア衛星の動きの特異さやその脅威がピンときませんがいつか大きな注目を浴びる可能性が高いので、Take Noteしておきます

26日付米空軍協会web記事によれば
space aware2.jpg●23日にニューヨークの国連本部で行われた宇宙に関するセッションで、米国務省のPoblete軍縮担当次官補が、約1年前にロシアが打ち上げた奇妙な動きをする衛星を再び問題視し、「かつてない奇妙な動きを」と訴えた
●これは、8月にジュネーブの軍縮会議で同次官補が訴えたと内容と同一のもので、その主張は一貫している

●「我々はそれが何であるかをしっかり把握していないし、それを証明する方法もない」と語った
●また、ロシアの意図するところは不明だが、ロシアが宇宙対応部隊に新兵器を導入したと明らかにし、戦闘レーザーシステムを宇宙部隊に提供したとも主張し、更に航空機から発射して米国の衛星を破壊するミサイルを開発中とも述べているロシア声明の重要性を同次官補は改めて訴えた

8月14日にもジュネーブで同次官補は
Space Fence1.jpg2017年10月にロシア側が偵察衛星と称している複数の衛星が見せ動きを「予期された行動は異なる行動」や「very troubling development」と表現して懸念を表明した
●また「その行動が何を意味しているのか実証する手段を有しない」としつつも、「ロシア宇宙軍司令官の主張と比較しても、それら衛星行動の意図不明で疑念を招く動きだ」と非難した

●更にロシアが衛星破壊のための対衛星兵器を準備しているとの懸念を強調し、「プーチン大統領が世界に向け3月1日に発表したように、最近ロシア国防省は移動式レーザーシステムを受領したと明らかにしたが、ロシア指導者は宇宙兵器を政治的にも軍事的にも既成事実化しようとしている」と警鐘を鳴らした
●そして、昨年10月のロシア衛星の特異な行動の目的は不明だとしつつも、米国関係者は、ロシア宇宙軍による新型兵器の宇宙配備重視の方針との関連で警戒ししているとも表現した
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これ以上はご説明のしようもないのですが、不気味です。

ロシアや中国はやりたい放題ですから、既に宇宙でも・・・かもしれません・・・

米国務省高官が怪しげな露衛星を指摘
https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-15 

同次官補の国連での発言とトランスクリプト
https://www.state.gov/t/avc/rls/286845.htm 

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国防副長官が認める国防費カット [米国防省高官]

「making the military great again」終わる

Shanahan1.jpg26日、Patrick Shanahan国防副長官が軍事記者団体の会合で講演し、トランプ大統領が16日の閣議で指示したと伝えられていた2020年度国防予算の前年度比削減と、「およそ$700 billion」 との発言について、政府の予算機関から直接そのように指示されたと明らかにしました

またこの予算レベルが2020年度に限ったことではなく、当面フラットな状態が続く前提で予算編成を行うよう指示されているとも語りました。

折しも、約1年かけて練り上げてきた2020年度予算の最終とりまとめ期限が数週間後に迫る中、$733 billionで計画していたものを$700 billionに4.5%カットしろという無理筋な指示で、副長官は淡々と語ったということですが、中国やロシアに対抗する各種研究開発や新規装備の導入が大きく遅れるのは自明です

Shahahan.jpgそもそも西側主要国の国防費の構造はどこも似たり寄ったりで、人件費や維持整備費や過去の装備品のつけ払いなどの固定費部分が8割程度を占め、残りの僅かな部分で新規装備購入や将来向けの研究開発を行う構造になっており、約5%のカットは固定費以外の部分から捻出せざるを得ません

従って、固定費が8割として、約5%カットの意味するところは、残りの僅かな部分で新規装備購入や研究開発費や演習費を25%カットすることを意味するわけです。また何でも柔軟に25%カットしたり、計画を細く長くできるわけではありませんから、相当のプロジェクトを中断せざるを得ないと思います。それだけダメージが大きいのです

戦闘機の稼働率を1年後に8割にせよとか、飛行部隊を25%増することが必要だとか、海軍艦艇を現290隻から355隻にすべきだとか、核兵器の近代化や部隊立て直しとか、超超音速兵器だとか、F-35フル生産とか、コロンビア級新型SSBNやフォード級新型空母とか、AIへの集中投資だとか・・・すべてが根元から揺さぶられることになるのでしょう

Shanahan5.jpg米国防予算でややこしいのは、OCO(戦時緊急作戦予算:Overseas Contingency Operations)なる戦時の特別予算枠があることで、最近は通常予算「Base Budget」に含むべき経費をOCOに押し込んでごまかす「禁じ手」も常態化する異常さを呈しています

2020年度は、$50 billionをBase Budgetに戻して「正常化」を図ろうとしていましたが、この点に関する質問に、副長官は何も決まっていないと答えるにとどまっています

米国の財政状態に対する正しい理解なしに繰り出されたトランプ発言「making the military great again」に振り回される米国防省と米軍の悲哀ですが、今後徐々に明らかになる「終わりの始まり」の一端をご紹介します

26日付Defense-News記事によれば
Shanahan2.jpg●Shanahan国防副長官は、「2020年度が$700 billionと言われているが、これは単年度の話ではない。このフラットなパターンは、今後の5年計画範囲をも含むものだ」と語った
●予算編成の最終段階におけるこの突然の指示を前に、国防省の予算部署は、マティス長官に「$733 billion」ケースと「$700 billion」ケースの相違を示すための作業を行っている

●「既に契約済みの経費や目に前に支払いの決まった経費は固定されており、選択のオプションとなるのは開発・技術・新規の調達などにならざるを得ない」、「超超音速兵器など、国防省内で優先順位の高いものも、恐らく遅れを覚悟しなければならないだろう
質と量の間のトレードオフについての質問に対しては、既に存在している装備品等の改善や消耗分補填のため、「この予算で量は非常に重要だ」と表現した。またこれまで装備品維持費を犠牲にしてきたことの反省も踏まえ、「FA-18の稼働率向上に強く取り組む姿勢に変わりはない」とも語った
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断片的なことしか副長官は語っていませんが、雰囲気的には、将来の装備への投資よりも、FA-18など現有装備を何とか稼働させ進行中の戦いへの対応を重視せざるを得ない・・・との苦しい台所事情が伺えます。

trump5.jpg今後徐々にどの部分が「trade-offs」や「削減」の対象になるのか明らかになるでしょうが、併せて日本をはじめとする同盟国への、米国を挙げての兵器売り込み圧力が高まることは、火を見るより明らか・・・でしょう。

中国やロシアと対峙する前に、米国への対応で疲弊しそうですね・・・

トランプが閣議で次年度予算5%カット指示
https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-20-2

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露が欧州サイバー攻撃なら米がサイバー反撃も [米国防省高官]

NATO国防相会議に合わせ露をけん制

Hutchson.jpg3日から4日にかけ行われたNATO国防相会議に先立ち、米関係者からロシアをけん制する発言が相次ぎ欧州でロシアへの脅威が深刻に意識されてる事が改めて浮き彫りになりました。

一つは担当国防次官補代理が3日に、「NATO加盟国が攻撃を受けたら、米国は攻防両面で米国のサイバー能力を投入するとマティス国防長官が発表する可能性がある」と発言した件で、もう一つは米国のNATO大使がロシアがINF全廃条約を破って欧州正面に配備している巡航ミサイルを「take out」作戦の発動を示唆するような発言をした件です

実際の国防相会議でのマティス国防相の発言ではなく、その取り巻きが下のレベルでロシアに警告を発し、国防相には直接きわどい発言はさせない「配慮」の様ですが、事態のエスカレートを避けたいマティス長官の姿勢が伺えます

先日ご紹介したように、マティス長官は対中国に関しても、トランプ大統領や副大統領が貿易問題や南シナ海での活動で中国を厳しく非難しても、冷静な対応を強調しているところであり、米メディがホワイトハウスと国防長官の「ずれ」を突っ込んでいるところです

とりあえず、米国からロシアへのコントロールされたと思われる警鐘発言をご紹介しておきます

3日付Fifthdomain記事によれば
Wheelbarger.jpg●3日、米国防省のKatie Wheelbarger国際安保問題担当次官補代理は、NATO国防相会議に先立って同行記者団に対し、ロシアのサイバー作戦が強化されていると危機感を示しつつ、マティス国防長官が会議において、NATO諸国がサイバー攻撃を受けた場合、米国はサイバー防御能力だけでなく、サイバー攻撃能力を提供して対応すると発表するだろうと述べた。
これまでサイバー攻撃使用に慎重だった姿勢からの変化と見られる。NATOは2016年のワルシャワサミットで、加盟国がサイバー空間を戦いのドメインと認識し、加盟国がサイバー攻撃を受けた場合、NATO加盟国の行動を発動すると確認したが、基本的に防御面が主で、サイバー攻撃には慎重だった

●またこのサイバーに関する防御主体の姿勢は、今年7月のNATOサミットでも確認され、加盟国が自主的に対応してネットワークを防御する事に合意していた
●3日にはNATO事務総長のJens Stoltenberg氏も言葉を選びつつも、「サイバードメインにおける攻撃作戦は、強化されたNATO諸国のサイバー防衛の一側面だ」 と発言している

●なお同事務総長は併せて、ISの資金調達やリクルートにおけるネットワーク活用を破砕するため、サイバー能力を活用することが重要だとも述べた

ロシアの条約違反ミサイルを「take out」
Hutchison2.jpg●2日、米国のNATO大使であるKay Bailey Hutchison女史は、NATO国防相会議取材の記者団に対し、米国はロシアが欧州正面に展開しているINF全廃条約違反の長射程巡航ミサイルを「take out」する可能性があると語った
一方で同日遅くになって同大使はツイートで、「私はロシアへの先制攻撃を行う可能性があると発言したのではない。ロシアに対し、INF条約違反状態を改善しないと、米国とNATOも防御のために対抗手段を保有することになると言いたかったのだ。ロシアの条約違反は容認できない」と発信し、若干発言のトーンを後退させた

●同大使は2日別の場所で、「米国は、ロシアによる条約違反のミサイル配備の証拠をつかんでおり、ロシアに提示している」、「マティス国防長官が述べているように米国はINF全廃条約の破棄を望んでおらず、米国が条約を無視することも考えてもいない。ロシアを同条約履行状態に戻す方策をNATOと協議している」とも語っている
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mattis senate2.jpgマティス長官シンパのまんぐーすとしては、マティス長官が軟弱なんではなく、やみくもに世界各所で緊張を高めてもすべてに対応できないのは自明だから、もう少し戦略的に練って、順序立てて、米国内や同盟国との間で共通認識をもって動かないとまずい・・・と考えて慎重な姿勢を貫いていると考えています

報道内容に戻ると、NATOがサイバー「攻撃」にも踏み込んで選択肢を増やす方向にあること、ロシアの条約破り巡航ミサイル配備に対し種々の対応オプションを検討していると言ことでしょう。

ロシアの巡航ミサイル配備については、米軍高官が、発射されたら米国にも欧州諸国にも防御手段はないと断言しているところです

ロシアのINF条約破り
「露を条約に戻すためには・・」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-20
「ハリス司令官がINF条約破棄要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-29
「露がINF破りミサイル欧州配備」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15
「ロシア巡航ミサイルへの防御なし」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-06

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