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議会審議を前に宇宙軍の拙速創設反対論 [サイバーと宇宙]

米空軍協会機関紙の編集長が反対論を展開

Space Force.jpg6月号の米空軍協会機関「AirForce Magazine」の巻頭言で、Tobias Naegele編集長が今後数か月行われる議会での予算審議を前に、改めてトランプ大統領が進める「宇宙軍創設」が如何に問題をはらんでいるかを論じています

この米空軍協会機関「AirForce Magazine」は米空軍やそのOB・OGが主要な読者で、関連軍需産業や米空軍がたっぷり協力して編集している月刊誌ですから、米空軍の意向に反する主張を展開するはずの無い性格のものです。

要するに、最高指揮官である大統領が決めたことだから正面切って反対はできないが、米空軍人の多くはこう考えているとの主張を展開していると考えてよいと思います

今後の米国内の「宇宙軍創設」に関する法手続きに詳しくありませんが、憲法レベルの法改正が今後必要であると認識しており、まだまだ波乱がありそうな予感もしますので、同編集長のざっくりとした反対論を改めてご紹介しておきます

6月号「AirForce Magazine」の巻頭言によれば
Space Force2.jpg過去25年ほどの米軍の作戦運用を見てきた者ならば、米軍が宇宙に依存していることに疑問を挟むものはいないだろう。そして中国やロシアは、米国の無防備な宇宙アセットを米軍の弱点だと見ていることだろう。北朝鮮やイランもそうだろう
宇宙軍独立に賛成の者は、このような宇宙の重要性にかんがみ、また中国やロシアが2015年に宇宙重視の国防組織改革を行ったことなどを持ち出して、宇宙に特化した軍の創設を訴えている

宇宙軍独立に反対するものは、空軍からの分離により、これまで養ってきたシナジー効果を失い、軍種間対立に油を注ぎ、新たな能力獲得用の限られた資源を分断し、官僚機構を積み上げる事になる独立に反対している
●そして政府が考えた宇宙軍構想が、現在でも60もの下部政府機関に細分化されている縦割りに何ら改善をもたらさないことや、現在米空軍内で宇宙を担当しいる者をそのまま横移動させるだけで、新たなアセットのインプットが実質ない中で、看板だけ架け替えるような改編が何の意味をも持たない事を反対派は訴えている

米空軍創設の歴史を振り返るべき
Space Force3.jpg新たな軍腫創設の歴史を「米空軍誕生の歴史」から考えてみよう、WW1時に出現した航空戦力について、米陸軍航空隊の人々はWW2までの間に深く研究し、様々な議論を重ねながら戦略・戦術構想に落とし込んでいった。そしてWW2の実際の戦場において試し、新たな技術を投入し、戦いながら革新を追求し、新たな軍構想を固めていった
それが1947年の米空軍創設につながったのである。このような広範な基礎検討や実戦の経験の積み上げを経て、米空軍創設時に、その動きに反対する動きはほとんどなかったのである

●翻って、現在の宇宙軍創設案はどうだろうか? 米軍は現在、宇宙に兵器を保有していないし、いつどのように戦いかの戦略やドクトリンさえも固めていない。米軍の宇宙アセットは有用だが、独立軍のアセットと呼べるレベルにもない
統合参謀本部の戦略計画部長であるDavid W. Allvin空軍中将は、統合作戦の中で宇宙やサイバー能力を生かし、この特徴を反映させる任務を帯びているが、今だ道半ばであり、「我々は全てを融合して全ドメイン体制で臨まなければならないし、サイバーや宇宙はその緊要な要素である」と統合の重要性を述べている

しかし宇宙はサイバーより長い歴史があるが、今でもサイバーより未成熟で、なおかつ最近になって宇宙アセットの脆弱性が急激にクローズアップされることになっている中で、宇宙において何を守るのか? 何を攻撃すればよいのかさえ固まっていない
●このような検討には時間が必要なのだ。新たな軍を創設してから、これらコンセプトをほぼ無から構築し、同時に軍としての活動を並行して行っていくことになるが、この点を米議会はよく念頭に置いて、また米陸軍から空軍を創設した経緯や時間をもう一度振り返り、慎重に本件を審議してほしい

段階的に慎重に進むべきではないか
Space Force4.jpg米議会は、まず米空軍内に「Space Corps」又は「Space Force」を創設し、戦略やドクトリン、更に必要な手段を準備し、陸軍や海軍やNRO等から人材を段階的に受け入れ、徐々に国家安全保障の計画や政策立案に組み込んでいく事が適当ではないか

経費面でも問題が多い。米議会予算室CBOの試算によれば、宇宙軍創設による新たな司令部組織等の新設で、年間900億円から1400億円国防省予算が増加し、別に初期費用として1200~3500億円が必要となると見積もっている。上で示した我々の段階的案なら、これら経費を圧縮できる
このような重要なことを拙速に急ぐからいけないのだ私の意見は極めて常識的なものだと思う。政権側が持ち出し案件であるが、議会が議論する時が来た。慎重にリスクの少ない道を、将来の選択肢にも配慮して進むべき
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「宇宙軍創設」に正面切って反対はせず、時間をかけて段階的にと主張することで、宇宙軍創設のモメンタムを削ぐことを狙う作戦でしょうか? 「いったん白紙に戻して、一から議論しなおそう」は、日本の野党の典型的なアプローチの様で気になりますが、トランプ大統領が宇宙軍創設の必要性を誰から吹き込まれたのか? どれほどの信念があるのか疑問も多いので、ご紹介しておきます

Trump cyber.jpg一方で米空軍は戦闘機や爆撃機ばかりに投資するから宇宙アセットに資金がきちんと配分されないとか、戦闘機パイロットが支配している組織だから宇宙への適切な資源配分は期待できない・・・等の疑問に、米空軍側は答える必要があります

資源配分について何も編集長が言及していないのは、「今現在もしっかり公平にやっているから問題視する必要はない」との信念からかもしれませんが・・・

米空軍と宇宙
「宇宙軍で考えるべきこと」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-18
「宇宙攻撃能力を示せ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-11
「宇宙飛行士女性が次期長官?」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-22
「大統領が宇宙軍創設を訴え」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-21

宇宙軍を巡る動向
「宇宙軍宣言に国防省内は冷ややか」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-21
「国防副長官が火消しに」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-29
「トランプの宇宙軍発言に真っ青」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-17
「下院が独立法案承認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-14-1
「下院が宇宙軍独立案を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-22-1
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「GPSが30日間停止したら」民間被害見積レポート [サイバーと宇宙]

米国を対象とした分析
最大計5兆円の損失で最大被害は農業

GPS outage.jpgRTI Internationalなる研究機関が、国立基準技術研究所の委託で、GPSの経済効果「Economic Benefits of the Global Positioning System」なる300ページ強のレポートを発表し、その中で商務省が求めた「30日間GPSが中断した際の損失額」についても見積もりました

1980年代から正確な位置情報、航法情報、時刻情報を提供しているGPSシステムに、これまで1日を超えるような中断が発生したことはない様ですが、この安定性ゆえに広範な民生分野がこの「公共財」的なGPSを当然の存在として活用しており、仮に敵対者の電波妨害や物理的衛星破壊行為により同サービスが中断するようなことになれば、その影響は計り知れません

GPS III.jpg同レポートは前半部分で、GPSの米国民間セクターにもたらしている経済効果を分析していますが、2010年と比較した2017年の経済効果は10倍になっており、その背景にはGPS技術を利用する分野に毎年平均1400億円もの投資が2010年以降なされている事があるようです。

特にワイヤレス通信、船の航法援助、ロジスティック分野への位置情報、スマホなど小型デバイスへの位置情報の経済効果が大きな部分で比較的効果増加に貢献しているようです

そんなGPSが「30日間中断した場合の経済損失」について、同レポートは発電、金融、位置情報、鉱山、海洋、石油、ガス、調査、無線通信、農業などの分野で見積もっています

17日付C4isrnet記事によれば
●上記の分野での被害見積もりを総合すると、「GPS30日間中断」の経済損失額は季節により異なり、米国農業の植え付けのシーズンに中断が発生した場合、約5兆円もの最高の損失が発生し、その他の季節の場合は1.兆8000億円から3兆9000億円までさまざまである
GPS III 2.jpg米国農業の植え付け時期とは4-5月の間を指し、トウモロコシや大豆、大麦、小麦、米、ピーナツ、綿花などを、GPSを活用した自動操縦トラクター等で種まきすることから、GPSが活用できないとこれら種まき車両が使用できず、約17%の収益源を招き大きな打撃を受けると言うものである。なおこの見積もりの誤差は6%である

海運業界は約1兆円の損失を生じ、特に港湾運営への影響が6500億円を占める。混雑する港湾の海上交通整理や艦船誘導にGPSが必須となっており、その機能停止は港湾作業の混乱を招くと見積もられている。特にロス港とロングビーチ港の損失がそれぞれ2400億円と2100億円と大きくなる
GPS機能停止の第1日目と10日目では損失額に違いがあるが、農業分野以外の経済損失は、日平均1000億円とざっくり見積もることが出来る
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もう少し突っ込んでご紹介すべきですが、C4isrnet記事以外にも4ページのレポートサマーを確認しましたが、そこまでで得られる情報はここまでです。

ご興味のある方はレポート現物(約3.3MB)をご覧ください
https://www.rti.org/sites/default/files/gps_finalreport.pdf 

もともとDARPAが軍事用に開発したGPSですが、GPS提供の位置情報と時刻情報の活用は、広範な民生分野に拡大しています。民間の通信や物流などロジ分野への浸透も著しく、位置情報の面では農作物の種まき・植え付けが大きく依存しているとの分析に驚かされました

space aware2.jpg宇宙アセットへの妨害や攻撃が、ただ事ではない影響を及ぼすことを肝に銘じる契機といたしましょう

日本ではどうなんでしょうか? 農業や鉱山が大きな影響を受けるとは考えにくいですし、通信とか物流でしょうか? 卒業論文にどなたかいかがですか?

宇宙での戦いに備えて
「代替衛星の24時間以内打ち上げを」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-01
「宇宙攻撃力示して抑止を」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-04-11
「日本が米の宇宙演習に参加」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-11-25
「JSpOCからCSpOCへ 日本も」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-09-3
「同盟国にも訓練を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-21-2
「アジア太平洋での宇宙作戦が困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-10-1

宇宙アセットへの脅威分析
「米高官が露衛星の怪しい動きを」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-15
「別のレポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-15
「CSISレポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-14-3 
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24時間以内の衛星緊急打ち上げを目指して [サイバーと宇宙]

有事の宇宙アセット機能停止に備えて
素人にはICBMを大型にしたらOKのような気がしますが

Falcon 9.jpg5月30日、米空軍が衛星打ち上げ関連企業に対し、有事に重要な宇宙アセットが敵攻撃などで機能停止に陥った場合の代替として要求から24時間以内で衛星などを打ち上げ可能な態勢について提案を求める要求書を発出しました

ULA、Space-X、Blue Origin 、Northrop Grummanの各社の反応は全般に、それほど大きな技術的革新が必要ではなく、検討に値するとの感触で、将来的には2社に絞られるであろう「枠」を巡り、4社がそれぞれに提案書を出す模様です

7月には関係企業を集めて「rapid space launch industry day」なるイベントも計画され、実際の打ち上げデモや集中検討会が行われるようで、ここにも顔を出すお馴染みのWill Roper氏がけん引し、 それなりの勢いを持った取り組みとなっているようです。

31日付米空軍協会web記事によれば
space-based 4.jpg●米空軍が5月30日に発出した技術情報調査告知(sources-sought notice)は、「米空軍は要求から24時間以内に打ち上げ可能な体制確立に向けた第一歩に踏み出す。これは、戦いの推移により迅速に対応可能な体制を目指すもので、従来の打ち上げまでに数週間から数か月必要な状態を有事避けるためであると」記している
●また関連企業が24時間の縛りを困難と感じた場合には、国家的危機状態を仮定した場合に、どの程度なら対応可能かを提案するよう求めている

4月に米空軍調達担当次官補であるWill Roper氏は、「我々は迅速に打ち上げできる体制を確立しなければならない。急に新たな能力のアセットを打ち上げるというよりも、代替機能を持った衛星を打ち上げるイメージである」と語っていたところである
米空軍の情報提供要求によれば、まず小さな220㎏程度の搭載物の迅速な打ち上げ体制の確立から取り組んで可能性をデモンストレーションし、将来的に国家安全保障を支える宇宙アセット規模に能力アップする流れを追及するようである

5月に開催された「Satellite 2019 conference」で、上記4社の幹部がこの米空軍の構想について語り、それほど大きな革新が必要ではないとの感触を語っている
space aware2.jpgULAのCEOは、問題なく可能で、同社では既に打ち上げロケット生産と打ち上げサイクルの短縮に取り組んでいると語り、同社のVulcan rocketが11日で現在準備可能であると述べ、「全てのサイクルを見直す必要があり、現在要望があってから準備するサイクルを見直すことである」と表現している

SpaceXのCOOは現時点で打ち上げ準備に1か月半必要だと述べ、「今でも2-3日で打ち上げは可能な体制は取れるし、空軍の要求に答える技術はある。問題はコストだ」と端的に語っている
Northrop Grumman副社長は、ICBMやSLBMから取り外したロケットエンジンを活用すれば、発射までの時間を短縮できるのではないかとコメントしている

7月29-30日に米空軍は「rapid space launch industry day」開催を加州で計画し、低高度軌道への打ち上げデモを予定しており、併せて検討会や模擬演習なども行われる。
新たに編成される宇宙軍隷下の宇宙開発庁は、超超音速兵器探知や通信用の低高度衛星打ち上げを検討しており、米空軍も強靭性のある衛星網構築を計画している。これら衛星の緊急バックアップのため、24時間以内の打ち上げ態勢確立が検討対象になっている
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Atlas-muos.jpg「空軍の要求に答える技術はある。問題はコストだ」」とのSpaceX幹部の発言が端的に実態を表現していると思いますが、Northrop Grumman副社長の発言にあるICBMやSLBMのロケットエンジンを活用が可能なら、ICBMのように保管しておけばすぐにでも打ち上げ可能じゃないかと思うのですが、素人で専門知識がないのでよくわかりません

4社幹部の発言は、ともに搭載アセットの課題でなく、打ち上げ用ロケット準備について言及しており、ロケット準備のコストなんだろうと想像します。

引き続き宇宙に関しては基礎知識不足です。自衛隊に宇宙専門の職域が誕生するようですが、米空軍長官が述べていた人材育成が最も大きな課題なのかもしれません

宇宙アセットへの脅威分析
「米高官が露衛星の怪しい動きを」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-15
「別のレポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-15
「CSISレポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-14-3 

宇宙での戦いに備えて
「日本が米の宇宙演習に参加」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-11-25
「JSpOCからCSpOCへ 日本も」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-09-3
「同盟国にも訓練を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-21-2
「アジア太平洋での宇宙作戦が困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-10-1

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新たな時代:サイバー攻撃に対し即座に武力で反撃 [サイバーと宇宙]

5月5日、静かに世界は新たな武力行使の歴史を刻む

土屋大洋4.jpg10日付ニューズウィークJapan電子版が、慶応大の土屋大洋教授によるコラム「サイバー攻撃にミサイルで対抗:イスラエルはサイバー・ルビコン川を渡ったか」を掲載し5月5日にイスラエルがパレスチナ武装勢力ハマスが行ったサイバー攻撃に対する反撃として、ハマスのサイバー拠点を同日中に無人機からミサイル攻撃したこと取り上げました。

この攻撃(反撃)はイスラエル国防軍が5日中にツイッターで明らかにしたもので、サイバー攻撃に対して火力を用いて反撃する可能性があることを明確に示した点で、武力紛争史における新たな時代を告げるものとして注目を集めているとコラムは紹介しています

コラムはハマスのサイバー攻撃について
●イスラエルは詳細を明らかにしていないが、「イスラエル市民の生活の質」を損なうことを目的としたサイバー攻撃だったとしている。おそらく重要インフラストラクチャを狙ったのだろう。
●しかし、ハマスのサイバー攻撃はそれほど洗練されたものではなかったためにすぐに阻止された。そして、すぐさまイスラエルがハマスのサイバー拠点にミサイルを撃ち込んでサイバー攻撃ができないようにした。

コラムは本攻撃の注目点として
土屋大洋.jpg●もはやサイバー攻撃は密かに行われるものではなく、米国もイスラム国などにサイバー攻撃を行っていることを公言しているし、程度や質の差はあれ、中国、ロシア、北朝鮮、イランなどはサイバー攻撃の黒幕として見られることが多い。しかし、それへの報復がこれほど短時間で、そしてサイバー攻撃ではなく火力を用いて行われたことが注目を集めた。
●今回のようにサイバー攻撃への反撃として火力を直接的に短時間で用いたことはおそらくなかっただろう。仮にそういうことがあったとしても、政府や軍がそれを明言したことはなかった。その点が今回の事件は新しい

短時間でハマスのサイバー拠点を反撃攻撃したということは、事前にその建物がハマスのサイバー攻撃の拠点であることをつかんでいたと見るべき。サイバー攻撃のアトリビューション(誰がどこからやったのかの特定)は一朝一夕にはできない
●数時間の単位で一気にアトリビューションを行えるとは考えにくい。普段からイスラエル軍は各種のサイバー攻撃グループを特定し、監視下に置いていた。だからこそ素早い措置がとれたのだろう。

サイバー攻撃への対抗措置の経緯について
●米国の例
土屋大洋2.jpg---2014年末にソニーピクチャーズ・エンタテインメントがサイバー攻撃を受けた際、米国政府はすぐに北朝鮮政府に責任があるとアトリビューション(名指し)し、その後、北朝鮮のインターネットが一時不通になったため、米国が報復措置をとったのではと見られたが、米国国務省は「コメントしない」とした
---2015年に米国政府人事局(OPM)から大量の個人情報が盗まれ、経済的なサイバースパイ活動も大規模に行われたことから、オバマ米大統領は習近平に詰め寄り、経済目的のサイバー攻撃を相互に行わないという合意を
---2016年の米国大統領選挙でロシア政府が介入を行ったと判断すると、オバマ大統領は政治的制裁に踏み切り、スパイ活動を行っていたロシアの外交官を追放し、ロシア政府が使っていた米国内の拠点2カ所を没収

国際法上、制裁や報復には均衡性の原則があり、イスラエルの物理反撃を「Too Much」として批判する声も多い。かつてはサイバー攻撃に核兵器との声もあったが、さすがに行き過ぎだろうと多くの国際法学者は考えている。
●しかし、誰がやったのかわかりにくく、攻撃そのものが潜伏型で行われることが多いサイバー攻撃では、何をもって均衡がとれているとするのか、判断がきわめて難しい

「先例になるのか」に関しコラムは
土屋大洋3.jpgこれまでも、サイバー攻撃に対して物理的な攻撃による反撃があることは否定されていなかった。「あらゆる措置をとる」とする政府が多く、サイバー攻撃にはサイバー攻撃で対抗しなければならないとする政府はほとんどない。そこには選択肢を残しておきたいとする気持ちが表れている。
●(ただし、)サイバー攻撃が「武力攻撃」と認められるほど苛烈であることを前提とし、単に個人情報が抜かれたという程度では武力攻撃とはいえない。電力網が広範囲に停止させられたり、何かが爆発したり、あるいは非常に危険な事態になることが明白な場合に限定との考え方が一般的

日本についてコラムは
2018年3月の衆議院安全保障委員会で当時の小野寺五典防衛相が、他国からサイバー攻撃を受けた場合、対抗手段としてサイバー攻撃をすることは可能とする認識を示している。これはサイバー攻撃にはサイバー攻撃で対応することができるという解釈である。
2019年4月25日の参議院外交防衛委員会で岩屋毅防衛相は、さらに踏み込んで、日本が外国からサイバー攻撃を受ければ自衛隊による防衛出動もあり得るとの認識を示し、「武力攻撃の排除のために必要な措置を取るのは当然だ。物理的手段を講ずることが排除されているわけではない」と述べた
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Cyber-new1.jpg土屋教授はコラムの最後で、このような反撃やサイバー対処には、陸海空宇宙サイバーといったドメインの垣根を超えた作戦運用が求められていることを指摘し、昨年12月に決定された新しい防衛計画の大綱が「多次元統合防衛力」をキーワードにした点に期待を寄せ、さらある発展を求めています

サイバー攻撃に即時武力反撃を行ったイスラエルを、「ルビコン川を渡る判断をしたカエサル」に例える論調もあるようですが、人目に触れないように闇夜に紛れて川を渡ったり、その渡り方を検討しているのが中国ロシア米国などなど世界の国々ですから、何でもありを前提に、日ごろから備えに怠りなく・・・があるべき姿勢でしょう。

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米空軍:抑止のため攻撃的宇宙能力を示すべき [サイバーと宇宙]

何か意味深な言いぶりです
安価小型を多数の方向に変化?
数か月後に細部を公表すると

Wilson6.jpg10日、Wilson空軍長官が宇宙関連のシンポジウムで講演し、今年2月に2年ぶりにまとめた「米空軍の宇宙戦略」の内容について「ぼんやりと」語り、敵を抑止するために攻撃的な能力を保有していることを相手に認識させる必要性や、多数の小型衛星を使用して脆弱性を克服する考え方の限界、また民間衛星会社との協力等について触れました

この2年ぶりの分析結果に基づく戦略については、数か月後(同空軍長官が退任後)に詳細を明らかにするとして細部に言及することは避けたようですが、多数のウォーゲームや机上演習での検証・分析を経てまとめられたもののようで、統合参謀本部や地域コマンド、、NROや研究開発機関であるDARPAも強い関心を持っていると空軍長官自らアピールしています

退任直前のWilson長官の表現には微妙な言い回しがあり、どう解釈すべきか悩むところもあるのですが、とりあえず詳細が出回る前の「前振り」として同長官の発言をご紹介しておきます

10日付米空軍協会web記事によれば
space aware2.jpg●10日、Space Foundation主催の宇宙シンポジウムの会場で空軍長官は記者団に、米国は宇宙での攻撃能力をデモンストレーションすることになるだろうと述べ、「敵対的な相手に割れの能力を理解させることが必要だ」と語った
●そして「我々に何ができるかをある程度、少なくとも大まかにでも、相手に知らせることが必要だ。抑止の最後の重要点は不確かさであり、我の能力に関し、相手がどれだけ確信をもっているかにかかっている。なぜなら相手の心には誤解のリスクが存在するからだ」と表現した

●更に同長官は細部に触れることをかけたが、米空軍が2年ぶりに4か月間かけてまとめた宇宙関連文書において、(攻撃的な)能力について検討していると言及した
●その検討文書について、「ミサイル早期警戒から通信・情報収集まで、全ての宇宙関連分野を検討の対象とした」、「脅威と我の行動に反応する仮想敵を可能な限りベストな形で想定して分析した」と説明した

●また、同分析は現在の予算計画の有効性を確信させるもので、統合参謀本部や地域コマンド、NROやDARPAからも関心を寄せられていると長官は説明した
wilson7.jpg特に米空軍は、新しいlSpace Development Agencyも検討している低軌道の低コスト商用衛星システムへの資源投資のやり方について検討し、「単一の答えが全ての状況に当てはまることはなく」、多様な対応が求められており、単に衛星を多数打ち上げて解決するものではないとの結論に至ったと同長官は語った

●更に、商用の低軌道衛星と「not well-aligned」な宇宙任務は、自身を守るための変更が可能な点で実際は優れているのだ、と同長官は表現した ●そして「米空軍は低軌道衛星システムや商用システムに投資している。しかし、数百個の安価な衛星を毎年打ち上げているだけでは、前線兵士を支える複雑なシステムの代替にはならない。分析結果が明確に示している」とも明言した

●また同空軍長官は、民間衛星会社との大きな協力のチャンスが見えていると表現し、米軍全ての軍種で、低コストのマルチバンド衛星通信装置が、全ての装備品に求められていると現状を語った
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これまでまんぐーすは、高コストで多機能の少数の衛星に頼っていいると、敵の衛星兵器や妨害電話で無効化された場合のリスクが大きいので、低コストで小機能の衛星を多数打ち上げる方向に米軍はあると単純に考えていましたが、そんなにシンプルではない・・・との分析結果の様です(たぶん・・)

space-based 2.jpg空軍長官や米空軍が言いたいのは、高機能で高価格な衛星も必要だと言いことなんでしょうか? 攻撃的な能力保有を相手に認知させるとは、どんな能力のことなんでしょうか?

数か月後の詳細な発表を待つことといたしましょう。元気があればフォローします

宇宙とサイバー関連の記事150本
https://holyland.blog.so-net.ne.jp/archive/c2302888136-1
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NATOが選挙妨害サイバー演習 なぜか韓国も [サイバーと宇宙]

エストニアという象徴的な場所を中心に
1000人以上が参加という規模の大きさ

Cyber-EX.jpg8日付Fifthdomain.comが、9日から4日間にわたり行われたNATOサイバー演習「Locked Shields 2019」を取り上げ仮想のとある国の総選挙に外部勢力がサイバー攻撃を仕掛ける・・・との如何にもありそうなシナリオで行われた演習を紹介しています

今回が初めてではない「Locked Shields」演習は、複数のチームがサイバー防衛部隊として演習に参加し、サイバー攻撃から如何に国を防衛したかを争い、最終的に優秀チームが表彰される形式の様で、昨年はNATOの「Communications and Information Agency」チームが優勝しているようです

事柄の性質上、どこで開催されたのかもはっきりしない(サイバー空間上で開催か?)など、細部は不明のサイバー演習ですが、なぜか韓国からも参加しているようですのでご紹介しておきます

8日付Fifthdomain.com記事によれば
Cyber-new2.jpg●NATOサイバー演習「Locked Shields 2019」は、9日から4日間、エストニアのタリンに所在するNATOの「Cooperative Cyber Defence Centre of Excellence」による仕切りで行われた。
●演習は、仮想の国「ベリーリア:Berylia」の総選挙に併せて外部勢力が国家全体を対象にした大規模サイバー攻撃を仕掛け、通信、浄水、電源、4Gネットワークや主要社会サービスを麻痺させることで選挙結果に対する国民の受け止めを操作し、社会に混乱をもたらす想定で行われた

演習には6つのサイバー防御チームが競い合う形で参加し、総勢1000名が演習に参加すると見られている。各チームは演習サイバー空間で「ベリーリア:Berylia」国に向けられた様々なサイバー攻撃に対処し、その結果は「実弾演習のように」演習仮想空間上で効果として現れるように準備されている
NATOチームは昨年優勝の「Communications and Information Agency」を中心として編成されており、他にもエストニア国防軍やフィンランド軍、米欧州コマンド、そして韓国国家安全保障研究所も、演習「オーガナイザー」として参加している

Cyber Top4.jpgこのエストニアはITを国家として積極的に導入し、公共機関や社会インフラ、住民サービスにネットワークを活用したIT活用先進国として知られていたが、2007年にロシアからと思われる大規模なサイバー攻撃を受け、国家機能がマヒした経験を持つ
●この経験を踏まえ、国としてのサイバー防衛体制を強化に取り組み、今やサイバー先進国として知られてるが、国際的なサイバー対処規範を目指す「タリンマニュアル」作成にリーダーシップを発揮する等の取り組みでも知られている
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選挙に合わせて政情不安・社会不安をサイバー攻撃で煽る・・・いかにもなシナリオ設定で感心させられますが、EUの足並みが乱れ、難民問題で揺れる欧州諸国にとっては切実な問題でしょうし、大統領選挙を迎える米国にとっても関心の深いシナリオでしょう

cybercrime1-.jpg最近の日本のマスコミの報道具合を見ると、既に外国勢力の工作の餌食になっているのでは・・・と感じてしまいますが、サイバー攻撃をに対する備えも当然怠ってはいけません。

それにしても・・・なぜ韓国が???


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初代格上げサイバー司令官は日系3世 [サイバーと宇宙]

ナカソネ司令官のご活躍に期待
他省庁とのサイバー協力にも力点

Nakasone.jpg14日、格上げされたサイバーコマンド司令官Paul Nakasone陸軍大将(兼ねてNSA長官)が上院軍事委員会で、最近のサイバーコマンドの取組等について語りました。
ナカソネ大将は3代目のサイバーコマンド司令官で、またサイバーコマンドが2018年4月に大統領直属の「Unified Command」に格上げされて最初の司令官です。

この「Unified Command」とは、太平洋軍や中央軍などの地域コマンド6つと、特殊作戦軍や戦略軍など機能コマンド4つの計10コマンドを指し、隷下に4軍の部隊を戦力として運用し、先に述べたようにその司令官は大統領が直接の上司になる作戦単位の最上位部隊単位です

Cyber-new1.jpg言うまでもなくサイバードメインは今最も関心の高い分野ですが、国としての防衛を考える際、敵が狙うのは軍事目標だけでなく、重要な社会インフラである通信、エネルギー、金融、交通インフラなど国防省が管轄していない目標であることから、その仕切りが民主主義国にとっては悩ましい課題となっています

つまり、多くが民間の商業ベースで運営されていたり、また個人のプライバシーにかかわる社会インフラ分野で、「軍の役割は以下にあるべきか?」という難問が、サイバーコマンドの作戦議論の前に立ちはだかっている状態が続いています。

大前提は国防省のネットワークを担当するのが主任務ですが、国家安全保障を考えた場合、そこで立ち止まっていてはすぐに限界に直面する難しさがサイバードメインの宿命です。

日系2世の父親はWW2で情報将校の陸軍大佐として活躍され、自身も同じく陸軍の情報将校としてキャリアを重ね、将官昇任後にサイバー分野に関わるようになったナカソネ司令官のご活躍を祈念し、サイバーコマンドの状況をご紹介します

14日付米空軍協会web記事によれば
Nakasone cyber2.jpg●ナカソネ司令官は上院軍事委員会で、主要な懸念対象である中国、ロシア、北朝鮮、イランやならず者国家に対応するため、133個のサイバー対処チームを統合部隊として編成完了したが、あくまでこれは初期段階に過ぎず、さらに増強する必要があると証言した
●同大将は「様々な脅威対象への即応体制を考えた場合、現有の戦力はその構成要素であるが、これらに戦略的縦深性を増すため、陸軍の予備役や州軍にもサイバー対処チームを編成する取り組みを始めている」と述べた

133の「Cyber Mission Force teams」は計画よりも編成が少し遅れたが、昨年態勢を整えた。なお、このほかに国防省には、別の攻撃と防御作戦を担うサイバー作戦チームが存在する
●「Cyber Mission Force teams」は約6200名で構成されており、以下の4つの任務区分に分かれている
---Cyber national mission teamsは、敵の活動を察知し、攻撃をブロックして撃退する
---Cyber combat mission teamsは、世界中の地域コマンドにサイバー作戦能力を提供する
---Cyber protection teamsは、主に国防省ネットワークの防御に当たりつつ、攻勢的サイバー作戦の準備もする
---Cyber support teamsは、サイバー関連分析を提供し、「national and combat mission teams」の計画支援を行う

いくつかある課題の中で、同司令官は中核となる優秀な人材に触れ、「ソフト開発やマルウェア分析に、通常の兵士の10倍20倍の能力を持つ人材(10 or 20 x type of people):the best of the best」の確保・維持が課題だと述べた
●また司令官は、同司令部幹部が、敵対的行動をとるものに対して官僚機構の制約なくより迅速に対処できるような枠組み整備のため、議会に要望や働きかけを行っているとも説明した

Nakasone cyber.jpg●議会の理解を得て、2019年国家授権法がサイバーコマンドから国土安全保障省に対する支援を迅速に行える枠組みを整えたおかげで、エネルギー関連インフラの安全確保などでの連携が円滑になったと感謝の意を同大将は述べた
●「国防省内に他省庁との協力強化のための先駆的プログラムを立ち上げ、国土安全保障とは定期的な情報共有会議を設け、エネルギー省とは定期的な協議の場を持てるようになった」と進展を説明した

●今後について同司令官は、更なるサイバー関連インフラ、センサー、人材を含む能力強化により、デジタル戦争体制を強化することで米国全体の能力を進展させる必要があるとし、併せて、サイバー衛生環境やソフトセキュリティーの基準設定の重要性についても訴えた
●そして同司令官は「今最も重要なのは、それが米軍内組織であろうと他省庁であろうとも、パートナーを機能できるようにすること(to enable our partners)」で、「国土安全保障省やFBIを例に、near-peer 敵対者に備え、力をつけてもらうことである」と表現した
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まだまだ「定期的な」情報共有なりミーティングレベルと言えばそれまでですが、民主主義国の限界でしょうか・・・。

Cyber-new2.jpg縄張り意識が強く、かつ新たな仕事に消極的な各省庁を動かすのは大統領でありホワイトハウスなんでしょうが、安全保障は「票」になりにくいですから、負担やコストが増しそうな、ややこしそうなサイバーに取り組ませるのは難しいのでしょう。日本などもっと難しそうな気がします・・・

ナカソネ大将のご活躍に期待いたしましょう。日本も巻き込んでくださいね!

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整備員からサイバーに職種転換した兵士が大活躍 [サイバーと宇宙]

米空軍が職種転換でサイバー要員養成を検討
整備員出身者がサイバークラスで他を圧倒

Cyber-EX.jpg17日、米空軍の州空軍幹部がペンタゴンで記者団に対し、輸送機の機種更新に伴い余剰人員となった整備員の一部をサイバー分野に職種転換させたところ、サイバーコマンドから「こんな人材がほしかった!」と言われるほどの優秀なサイバー部隊員になっていると語りました

米軍は民間企業とのサイバー人材確保競争において、給与水準や勤務環境の差から、民間企業に不利な立場にあり、ますます部隊での需要が高まっているサイバー部隊兵士の確保に大変苦労しており、その対策の一環として、現在米軍内に存在する他職種の人材から、必要な資質を持った兵士を探す試みを行っているようです。

必ずしも学生時代にコンピュータ学位を取得した者でなくても、採用時にプログラム技術者経験がなくても、米軍内の他の職種で組織人として仕事をこなしてきた人材が、失礼ながら「オタクぞろい」のサイバー部隊でも頭角を現すとのお話は、何かうれしい話ですのでご紹介します

以下の記事が取り上げる整備員からの転換だけが好成績なのか、他の職種からの転換も試しているのか、その辺りはよくわかりませんが、「灯台下暗し」の例え通り、案外、人は融通が利くのかもしれません

17日付DEfense-News記事によれば
maintainers2.jpg●メリーランド州州空軍第175航空団の副司令官であるJori Robinson大佐は記者団に対し、「我々は一般に物事を直線的に考えがちだ。サイバー部隊にはコンピュータの学位やプログラム経験のある人材が必要だと考えがちで、そのような経歴の背景が良いサイバー戦士を生む要素だと見なしている」と語り始めたが、
米空軍が今、目の当たりにしているのは、「コンピュータやプログラムの学位や経験が、必ずしもサイバー作戦を学ぶに必要な能力とは限らない・・・という事実である」と説明した

●そして、「最近のいくつかの経験や調査から明らかになってきたのは、例えば、過去15年間に渡りペンチやスパナをもって航空機のボルトを扱っていた整備員の例だ。彼らは実際にサイバー分野で優れた能力を持ち、ネットワークを理解して優れた仕事を成し遂げられることを証明しているのである」とも述べ、
●更に、「米空軍が保有する関連人材の中でも、最も熟達して素晴らしいサイバーオペレーターに成長して見せてくれている」、「我々は元整備員をサイバー職に転換させたが、(学位や経験を持つ)同期生を追い抜いている。サイバーコマンドが組織にほしいと探し求めていた人材に、彼らがぴったりだったのだ」とうれしい想定外を興奮した様子で記者団に説明した

maintainers3.jpg●またウエストバージニア州空軍のサイバー担当Jody Ogle中佐も、C-5輸送機からC-17輸送機への機種更新を契機に生じた余剰の整備員を、「民間に教育委託して職種転換を図ったところ、大成功を収めている」と語り、具体的に50名の元整備員をサイバー職に転換させたと付け加えた
●同中佐は、「サイバーは防御だけではない。ドメインを構成するなら、情報技術の側面もあり、ITメンテナンスの側面も当然考えなくてはならないのである」とも表現している
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最後の中佐の発言だけに注目すると、元航空機整備員が職種転換し、サイバー部隊のシステムメンテナンスを担当しているようにも聞こえますが、決してそれだけではないと思います

Cyber College2.jpg最先端のアルゴリズムやプログラム解析を行うポストには学位保有者や経験者が必要でしょうが、根気のいる日常の対応や組織的活動には、現場でチームとして作戦機を扱ってきた人材が必要で、元整備員の中でプログラムやPCにアレルギーが無ければ貴重な戦力になりえるのでしょう・・・

サイバーコマンドの人材募集も狙った記者会見の側面もあるでしょうが、「人の可能性を先入観で狭めてはいけない」典型的な例のような気もします・・・。続報に期待いたしましょう

サイバーと兵器管理
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日本初の宇宙演習Schriever Wargame参加 [サイバーと宇宙]

12回目の演習に日本が初めて参加
FVEYに加え、独仏と日本が・・・

Schriever Wargame6.jpg11月25日付朝日新聞デジタル版が、10月9-19日にアラバマ州の空軍基地で開催されたサイバー宇宙机上演習「Schriever Wargame」に、日本が初めて参加し、自衛官だけでなく、防衛省、外務省、内閣府、内閣衛星情報センター、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などのメンバーがチームとして課題に取り組んだと報じています

このサイバー宇宙机上演習「Schriever Wargame」は、ICBM開発や宇宙活用に貢献したシュリーバー退役空軍大将の名を冠し、官民一体となって宇宙空間での戦いを想定した状況対処に挑むもので、米軍の宇宙関連の部隊や米政府機関からの約350人のほか、日本を含む7か国(米英加豪NZ仏独)が参加しました

Schriever Warg3.jpg本演習が官民一体型で多国間協力を重視するのは、宇宙ドメインのプレーヤーが多岐にわたり、各プレーヤーのアセットや能力を総動員しないと、何が起こっているかの状況把握さえも難しく、更に級の周り全周の宇宙状況を把握するには、地球の裏側の国と協力せざるを得ないからです

また宇宙アセットへの敵の攻撃や我の行動は、衛星通信等を通じて金融やメディア等々の活動への影響も大きく、軍や官だけで作戦判断を下すことが難しいからです。

まぁ演習の性格上、その細部は不明なのですが、日本ではめったに見られなく極めて珍しい複数の政府機関が参加した祈念すべき第1回の参加ですので、ここに至るまでの関係者の努力に敬意を表し、朝日新聞の記事をご紹介いたします(有料記事でさわりだけですが・・・)

11月25日付朝日新聞デジタル版記事によれば
●米アラバマ州マックスウェル空軍基地内の一室。米国、英国など国ごとに仕切られたブースの一つで、日本の防衛省、外務省、内閣府、内閣衛星情報センター、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などの職員が机上のパソコン画面を見つめていた
Schriever Wargame4.jpg●今年で12回目。NATO加盟国の一部が加わった年もあったが、多くは軍事情報収集の世界で「Five Eyes」と呼ばれる米、英、豪州、カナダ、ニュージーランドの5カ国を中心に続けられてきた。そんな「極めて秘匿性が高いインナーサークル」(自衛隊幹部)の演習に日本が招待を受け、今年、初めて参加したのだ。

●演習の内容は「機密」扱いだが、複数の政府関係者によれば、想定はこんなシナリオだったという。
想定シナリオ→→2028年。太平洋からインド洋の東側までを担当する米インド太平洋軍の管内で、米国の偵察衛星や通信衛星が「ある競合国」から攻撃や電波妨害を受け、軍事作戦に欠かせないGPSシステムもダウンした・・・

●演習では、シミュレーションが繰り返されたという。衛星が使えなくなった米軍が作戦を続けるために、欧州の測位衛星システム「ガリレオ」や「日本版GPS」と呼ばれる準天頂衛星「みちびき」では、どんな支援ができるのか
米軍が他国の暗号コードを使うための技術的な課題やそれぞれの国の国内法上の制約は何か。各国で対応を検討し、米国と調整を重ねた。もはや日本も無縁でなくなっている

Schriever Warg.jpg●背景にあるのは、現代戦における「宇宙」の比重の大きさだ。新たな防衛大綱の策定に関わる政府関係者はこう話す。
●「弾道ミサイル発射の兆候も含めて情報収集や警戒監視、通信、測位、気象観測……。陸海空の作戦と装備は、宇宙に深く依存している。相手の宇宙インフラを使えなくすれば、死傷者を出さずに陸海空の戦いで圧倒的に有利になる。だから、現代の戦争は宇宙とサイバーから始まる。宇宙を制する者は現代戦を制すだ

●宇宙政策に詳しい鈴木一人・北海道大学大学院教授は「南シナ海で米中の軍事的衝突の恐れが高まった時、最初に狙われるのは宇宙システム。米国の衛星が攻撃を受けたときに、同盟国と連携して被害を最小限にとどめ、リスクを分散し、機能を維持していけるのかを探るのが演習の狙い」と解説する
●宇宙を舞台に「米VS.中国・ロシア」という対決の構図が鮮明になりつつある。一方、人工衛星やロケット開発で生じた大量の宇宙ゴミは、各国共通のリスクだ。防衛省・自衛隊は、後者の解決への協力を窓口に、宇宙への関わりを深めようとしている

ご参考
米軍のアジア太平洋エリアでの宇宙作戦の問題点
中東戦域での様々な作戦要求に対応するため、運用要領や戦術や人員配置を改革してきたが、その代償としてアジア太平洋地域への対応準備が不十分
Schriever Wargame5.jpgアジア太平洋戦域での宇宙管制任務は、極めて難しいものになる。そして大きな課題の一つが技術的なもので、マルチバンド周波数の必要性関連で、太平洋域の厳しい軍事環境では周波数ホッピングが求められるが、単一バンド周波数対応の現在の受信機にはその能力がない
●更にそのような厳しい環境下で任務遂行するための最先端の訓練が不十分で、また部隊体制も整っていない
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いつまでたっても日本はこの重要な演習に関われないで情けない・・・と、このブログでボヤいていたら、ツイッター上で読者の方から、「まだ公にはなりませんが、着実に前進しています」といった趣旨のアドバイスを頂いたことがあります

「外圧」もあるのかもしれませんが、あまり仲がよさそうとも思えない、防衛省、外務省、内閣府、内閣衛星情報センター、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が共に参加したということですから、素晴らしい1歩とお伝えしておきましょう・・・

防衛省はどんなメンバー編成で参加したのでしょうか? 航空総隊に宇宙空間担当部隊を新編するとの予算要求のニュースも耳にしましたが・・・

宇宙での戦いに備え
「同盟国にも訓練を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-21-2
「アジア太平洋での宇宙作戦が困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-10-1
「米高官が不審な露衛星を」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-15

Schriever Wargame関連の記事
「米国が日本を誘う・・・」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-09-3
「日本は不参加:米軍宇宙サイバー演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-14-1
「欧州を主戦場に大規模演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-11
「Schriever Wargame」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-19
「サイバーと宇宙演習の教訓1」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-01
「サイバーと宇宙演習の教訓2」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-02

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米サイバー戦略がもたらすもの [サイバーと宇宙]

米国内での調整が不十分だと不安視する見方がある中

Trump cyber3.jpg1日付.fifthdomainが、9月末に出た米国のサイバー戦略に関し、サイバー関連情報サイト主催のイベントで有識者たちが語った内容を取り上げつつ、同戦略が攻撃的なサイバー作戦を重視していることから注目されるサイバー攻撃犯特定と必要とされる新たな手法や、議会の動きについて報じています

犯人特定といっても決して簡単なことではなく、膨大な労力が必要なことや、一方で攻撃的な活動を試行する中で必要なチェック機能整備が進んでいないことなど、勇猛果敢だが支離滅裂(どこかで聞いたことがあるフレーズ)な感があるトランプ政権のサイバー戦略発表後の動きを、断片的ながら色々な側面からとらえようとしています

1日付.fifthdomain記事によれば
Cyber-new2.jpgホワイトハウスとペンタゴンからサイバー戦略を発表したことによる「突風」は、一連のサイバー関連の道具や戦術を必要とすると、CyberCon conferenceに参加した政府関係者や専門家は語った
●政権のサイバー戦略はより攻撃的なサイバー作戦を約束するものだったが、そのためには米国は、犯人特定能力を上げ、更にそのために情報収集能力を強化しなければならないと専門家たちは口をそろえた

NSAのサイバー対処作戦リーダーは、同戦略がもたらした最も大きな変化は、犯人特定を重視していることだと語った。

●またシンクタンクのサイバー専門家は、諸外国のハッカー摘発は、他国からのサイバー攻撃を抑止することにつながるとその効用を説明した
●そして犯人摘発が犯人逮捕につなげることは容易ではないが、無秩序なサイバー空間に一定の規範を生み出すことの意義は小さくないと語った

●別の専門家は一方で、犯人特定は一般に考えられているよりはるかに複雑なプロセスで、これを追求していくには、官民一体となって新たな手法や道具を生み出す必要があると訴え、
●「高い精度で犯人特定を行うために必要な情報や基礎資料の量を考えると、それはうんざりするほどのものになる」と現状を表現した

Cyber-new.jpg●また同戦略は、犯人特定より更に一歩進んで「defending forward」、つまり敵がサイバー攻撃作戦を仕掛ける前にその動きを察知することを追求している。そしてこのためにも、何らかの新たな手法や道具が必要になると専門家は語った
●この戦略に対する米議会の動きであるが、米議会の議員は四半期に一度、国防省から攻撃的なサイバー作戦について報告を受けている

●しかし、議会にはトランプ大統領のサイバー作戦に関する権限を制限しようとの動きはほとんどない。むしろ複数の議員たちは、より拡大したサイバー作戦を支持し、サイバー作戦の監視や制限についてはそれほど熱心ではない

●このように同戦略が新たなサイバー作戦の時代を開いたように見え、新たな手法や道具を求めているように思えるが、一方で複数の専門家が、結局はデジタル時代の作戦を支えるのは人間の力だと強調し
●「技術は重要である。しかし、以前の戦略であれ、今回の戦略であれ、さらに将来の戦略であれ、最も重要なのはそれを支える人なのだ」と強調した
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Trump cyber.jpg米国のサイバー戦略が公表された際にスルーしていたので、断片的ながら関連記事で、間接的に取り上げさせていただきました

サイバードメインで、攻撃を重視し、そのために犯人特定を重んじ、そのための情報収集や技術開発に取り組むとの方向性の様です

この方向性は結構リスクを伴うと考えられますが、議会の雰囲気は行政の動きを制約する方向にはなく、「もっとやれ」的な方向にあるようです。あまりにも断片的な記事のご紹介で注意が必要ですが、この話題をフォローする視点としてご活用ください

現物:National Cyber Strategy
https://www.whitehouse.gov/wp-content/uploads/2018/09/National-Cyber-Strategy.pdf#search=%27National+Cyber+Strategy%27

米国防省のサイバー戦略 →https://media.defense.gov/2018/Sep/18/2002041658/-1/-1/1/CYBER_STRATEGY_SUMMARY_FINAL.PDF

サイバーと兵器管理
「サイバー懸念で市販UAV使用禁止」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-07-1
「サイバー時代の核兵器管理」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-02
「米国政府サイバー予算の9割は攻撃用!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-31
「装備品のサイバー脆弱性に対処」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-02
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米国務省高官が怪しげな露衛星を指摘 [サイバーと宇宙]

なぜ外交官が最初に公にしたのか???

Poblete.jpg14日、スイスのジュネーブの国連本部で行われた軍縮会議で米国務省のYleem Poblete軍縮担当次官補が、2017年10月に確認されているロシア衛星の奇妙な行動を取り上げ、「明らかに問題となる展開だ」と発言しました

ペンス副大統領がトランプ大統領の6月18日の指示に従い、8月9日に宇宙軍を2020年に創設すると具体的な計画を発表したばかりのタイミングであることもそうですが、恐らく秘密情報であるはずの具体的なロシア衛星の情報を、外交官である国務省高官が初めて公の国連の場で取り上げたことに注目です

まぁ・・・今後米国防省や米軍幹部がこの発言をどのようにフォローしてゆくかに注目なので、とりあえずご紹介しておきます

14日付C4isrnet記事によれば
Pence.jpg●米国務省のYleem Poblete軍縮担当次官補はジュネーブの「Conference on Disarmament」で、2017年10月にロシア側が偵察衛星と称している複数の衛星が見せ動きを「予期された行動は異なる行動」や「very troubling development」と表現して懸念を表明した
●また同次官補は「その行動が何を意味しているのか実証する手段を有しない」としつつも、「ロシア宇宙軍司令官の主張と比較しても、それら衛星行動の意図不明で疑念を招く動きだ」と非難した

●更に同次官補はロシアが衛星破壊のための対衛星兵器を準備しているとの懸念を強調し、「プーチン大統領が世界に向け3月1日に発表したように、最近ロシア国防省は移動式レーザーシステムを受領したと明らかにしたが、ロシア指導者は宇宙兵器を政治的にも軍事的にも既成事実化しようとしている」と警鐘を鳴らした
●Poblete軍縮担当次官補は、昨年10月のロシア衛星の特異な行動の目的は不明だとしつつも、米国関係者は、ロシア宇宙軍による新型兵器の宇宙配備重視の方針との関連で警戒ししているとも表現した

Poblete2.jpg今年4月には、相次いで2つの米研究機関がロシアと中国の宇宙活動に警戒感を示すレポートを発表しているが、その一つであるCSISレポートは、ロシアの対衛星兵器の脅威と、ロシアが得意とする「RPO:rendezvous and proximity operations」作戦に懸念をしている
●またSecure World Foundationが発表したレポートは、CSISと同様に、他国の衛星に接近するような軌道変化を示すロシア衛星のRPOを警戒感を示しているが、それらの行動が情報収集用の行動とくbつすることは難しく、衛星破壊行動の訓練だとの証拠はないとしている
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とある米議員が宇宙軍の必要を訴え、「中国やロシアは既に宇宙を自分たちのものにしようとしている。是非非公開の情報ブリーフィングを聞きに来てくれ」と危機感を訴えていましたが、軍縮ぢひょう次官補が公にした事実は氷山の一角かもしれません・・・

宇宙アセットへの脅威分析
「別のレポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-15
「CSISレポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-14-3

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宇宙に物資を保管し必要時に迅速配布 [サイバーと宇宙]

Everhart.jpg2日、米空軍輸送コマンド(AMC)のCarlton Everhart司令官が記者団に対し、 将来のAMCの在り方を考える一環として、必要時に迅速に物資を世界各地に届けるため、宇宙空間に物資を保管して直接提供する方式を関連企業と議論し始めたと語りました。

まだまだ「コンセプト段階」、「infancy stages:0-2歳児段階」の話だと同司令官は強調しているようですが、軍の方から構想や要求事項を先行的に示しておかないと、民間企業の最新技術や柔軟な発想が官僚機構の壁で埋もれてしまう・・・との危機感から表に出して議論しようとの興味深い発想に注目です

Everhart司令官と言えば・・・先日、禁じ手である「幕僚勤務しなくていいよ」操縦者の募集を開始した話題でご紹介したところですが、将来を見据えた取り組みにも目を向けておられるようですのでご紹介します。

3日付米空軍協会web記事によれば
space-based 4.jpg●Everhart大将は記者団に、「もし宇宙空間に物資を事前集積できればどんなに便利だろう。地上で物資輸送の際に必要なものがいらなくなるし、海上を船で輸送することも不必要になる。宇宙空間の保管施設に補給物資を運搬する手段を確保して」と語った
●そして「宇宙に物資を運搬できればそこに人を配置する必要はない。自動で積み下ろし作業などは可能だろう」と説明し、目的は世界各地に可能な限り迅速に物資を運搬するためで、装甲車両から食料水に至るまで宇宙空間で保存可能な期間一杯保管したいとも語った

既に輸送コマンド幹部や司令官自身が打ち上げ企業とのミーティングを開始していると明らかにし、Everhart司令官自身も先週(7月23日の週)SpaceXやVirgin Orbit関係者と面談し、例えば「SpaceX社のBFR super-heavy launch vehicle」 を物資打ち上げに使用したり、関連企業のシステムで必要時に宇宙空間の物資を地上に提供することの可能性を話し合ったと述べた
●同司令官はこの構想の利点について、現在空輸で10時間必要な物資輸送が、宇宙空間からだと30分で可能になると説明した

space aware2.jpg●同大将は今後Blue Origin社幹部とも話し合ってみたいと希望を語り、AMCの将来構想を担当部署の士官も関連企業を訪問する計画だと述べた
●AMCはまた、米空軍宇宙コマンドとも協議を開始しており、相互に交換幹部を差し出して輸送と宇宙の連携要領を深めたいとも語った

関連企業は「Civil Reserve Air Fleet」との位置づけで契約を結ぶことを前提に参画を促し、有事における活躍も期待する方式を考えている模様
●Everhart司令官はまだ計画自体が「infancy stages:よちよち歩き段階」 にあることを強調したが、民間企業の革新的アイディアを国防省官僚機構の壁で埋もれさせることが無きよう、またAMCが空ドメインだけに留まって取り残されないように(become irrelevant)するために必要な取り組みだと説明した
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Everhart4.jpg宇宙空間に大量の重量物を運搬するコストは???・・・と問いたくなる発想ですが、そんなことは承知の上でのEverhart司令官の発想でしょう。

それにしても、宇宙のことを基礎から学ぶ必要性をつくづく感じる次第です・・・数年前からそんなことをつぶやいているような気もしますが・・・

Carlton Everhart大将・・・興味深い人物です。輸送機一筋の経歴で、大佐昇任直後(2003年1月)から横田基地の輸送機部隊指揮官として日本勤務経験があります

米軍輸送関連の記事
「禁じ手:幕僚無し操縦者募集へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-28-1
「民間輸送力依存に危機感」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-03
「今後20年の操縦者不足は深刻」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-29
「タンカー将来計画見直しへ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-22
「渡り鳥に学ぶ輸送機の燃費向上」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-26

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新しい宇宙軍の国防省概要案 [サイバーと宇宙]

8月9日、ペンス副大統領が会見し発表
宇宙軍創設のため専従の次官補を置くとも
https://www.defensenews.com/space/2018/08/09/space-force-will-be-6th-military-branch-by-2020-vice-president-pence-announces/
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国防省独自で可能な宇宙担当メジャーコマンド、調達機関、そして統合部隊の編成に着手か

Shahahan.jpg7月31日付Defense Oneが、国防省が議会と最終調整している「宇宙軍」の概要と今後の動きに関する計画案を入手し2018年末までに議会承認が必要な新たな宇宙軍創設法案準備を行い、それに先立ち国防省独自に可能な宇宙専従の「new combatant command」と「new space-procurement agency」と「new Space Operations Force」 を数か月以内に立ち上げる計画だと報じています

本来、8月1日に国防省が会見して公表する予定だった14ページの計画は、Shanahan国防副長官の下でStephen Kitay宇宙政策担当国防次官補代理が起案したといわれるものですが、議会との最終調整に時間がかかり、発表会見が延期されているようです

7月24日に米議会の上下院軍事委員会が2019年度予算案への宇宙軍関連経費の計上を認めない「ゼロ査定」を決定し、同日退役軍人集会で宇宙軍構想を再び(6月18日に正式宣言)ぶち上げたトランプ大統領との対立構図が際立つ状況ですが、国防省発表案は相当に考えられたもので、特に調達関連で改革志向を垣間見る気がします。

Space domain.jpg冒頭ご紹介したように、1947年に米空軍が創設されて以来の新たな軍「宇宙軍」創設には議会による重い法律改正が必要ですが、宇宙軍の傘下に入ると思われる宇宙担当メジャーコマンド、調達機関、そして統合部隊の編成は国防省独自で可能なようで、「In coming months」に立ち上げるとの勢いです

米国防省の組織編成論についていけない部分があり、またこの記事が出るころには議会と調整した「修正版」なっている可能性もありますが、大きな方向に変化はないと信じ、とりあえずご紹介いたします

新しい宇宙担当Combatant Command
●現在ある米軍特殊作戦コマンド(Special Operations Command)のような、大将がトップの11番目のunified combatant commandで、陸海空軍および海兵隊からの人材で構成され、米軍の宇宙戦力全てを管轄する
●計画案では、2018年末までに新コマンド「U.S. Space Command」を立ち上げ、それまでに必要な追加の人材、責任や権限を整理する事となっている
●新コマンド立ち上げ時の指揮官は、現在のAir Force Space Command司令官が務める

新しいSpace Operations Force
space aware2.jpg●新コマンド「U.S. Space Command」の実動部隊となる「Space Operations Force」を、 陸海空軍および海兵隊、更に予備役や州軍で宇宙関連分野に従事する人材で立ち上げる
特殊作戦コマンドにおける各軍種の特殊部隊の様な位置づけで、米国防省全体で宇宙分野にかかわる人材を、「Space Operations Force」が一元的に管理し育成し運用する
●この「teams of space experts」編成を優先して迅速に進め、来年夏までに欧州コマンドと太平洋コマンド地域専従の組織を編成し活動を開始する

新しいSpace-Procurement Agency
space-based 4.jpg地殻変動的(seismic)な変革を期しているのが宇宙関連の物資調達、打ち上げ業務選定、技術開発研究等を担う新しい「Space-Procurement Agency」で、業務の迅速化や実験的挑戦を強調する改革に挑む。現在の関連機関はコロラド、加州、フロリダ、ハンツビル等にあるが、人材集めや民間企業との連携による技術開発に適した場所が検討される
●このAgencyはまた、民間宇宙企業を官民共通の目的達成にため、要求と規則と法令順守を基礎に向けて、より大きな役割を担う。ミサイル防衛分野を担う「Missile Defense Agency」のように、全軍種に関わる宇宙関連調達を監督する役割を担う

●このAgency組織の中核は「Space Development Agency」で、新型衛星の開発や打ち上げ契約を担う。現在進行中の調達案件は各軍種で引き続き担当し、徐々に新たな案件から新組織が行っていく
●国防省計画案が改革のスタート地点と呼び、新組織立ち上げで最も大きな影響を受けるのは、現在国防省の宇宙調達予算の85%分を担当する6000名規模の米空軍「Space and Missile Systems Center」(在ロス)で、最近組織改革を行い業務迅速化を図ったばかりの組織である。
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サイバーやAI分野と並び、中国やロシアの脅威が急速に顕在化している宇宙ですので、これを契機にこれまでの因習を断ち切る意気込みをこめ、改革志向での取り組みが確認でき喜ばしい限りです。

Shanahan4.jpgトランプ大統領が正式に命令する6月18日までは国防省も大反対論陣を張り、上下院の軍事委員会が予算「ゼロ査定」を決め、この計画案発表に至る議会との下調整段階が早くも難航している「宇宙軍」ですが企業からの転身組Shanahan国防副長官らの柔軟な発想に期待すべきなのでしょう

正式な発表を待ちましょう・・・

宇宙軍を巡る動向
「宇宙軍宣言に国防省内は冷ややか」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-21
「国防副長官が火消しに」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-29
「トランプの宇宙軍発言に真っ青」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-17
「下院が独立法案承認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-14-1

「下院が宇宙軍独立案を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-22-1
「米空軍はA-11設置で対処」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-18
「米空軍が宇宙活動アピール作戦を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-24

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宇宙に特化した世界空軍トップ会議を [サイバーと宇宙]

協力して宇宙ドメインに取り組み姿勢は理解も
負担共有を狙った米軍の戦略着々とも考えられ・・・

Goldfein space.jpg10日、Goldfein米空軍参謀総長がDefense-Newsの単独インタビューに応じ、今年に入り等に活発になって生きている同盟国等の宇宙ドメインへの巻き込み(外交的には「協力強化」と表現)について語り、その一環(まんぐーす邪推)として宇宙ドメインに特化した世界の空軍参謀総長会議の開催を提案しました

米空軍幹部は今年に入り、3月にHyten戦略コマンド司令官が議会で、「共通の敵を抑止するためだけでなく、宇宙システムの開発配備の資金的な負担をシェアするためにも、同盟国を宇宙作戦運用に加えるべき」、「コスト分担合意、外国衛星の打ち上げ、情報共有合意、などなど、多様な同盟国等の協力機会が考えられる」と証言し、ギラギラした狙いを公言

Space Fence1.jpg4月に空軍長官はソフトアプローチで、「同盟国等の要員に対する宇宙関連の訓練を拡大する」と発表し、「宇宙での衝突防止、周回軌道の離脱、大気圏再突入などを学ぶことを通じ、宇宙状況把握の基礎コース」と「国家安全保障の視点から宇宙政策を考える課程で、現在は豪州、カナダと英国のみに開放しているコース。今回の拡大により、本コースにNZ、フランス、ドイツ、日本が」と言及

そして7月18日から、これまで統合レベルまで勤務者を拡大していたJSpOC(Joint Space Operations Center)を、CSpOC(Combined・・・)として民間衛星運用者を含む同盟国関係者まで勤務者を拡大して運用開始すると米空軍が発表しているところです

まぁ、トランプ大統領が米空軍から宇宙軍(Space Force)を独立させ、空軍と並列関係にすると正式発表したドタバタの中ではありますが、宇宙に関する空軍参謀総長会議の開催提案をご紹介しておきます。

12日付Defense-News記事によれば
Goldfein4.jpg●Goldfein米空軍参謀総長の提案は、これまで航空作戦全般をテーマに世界各国で行われてきた空軍参謀総長会議の流れからすると異例なものであるが、同参謀総長は「爆発的に商用分野で宇宙産業が発展する中、この発展を軍事分野でどのように活用し、企業を巻き込んでいくかを考えるタイミングにきている」と提案の背景を語った
●そして同会議の候補として、毎年春に空軍宇宙コマンドのあるコロラドスプリングスで開催されている「Space Symposium」に合わせて開催する方向を考えていると語った

●同大将は「企業の競争により打ち上げコストが低下し、併せてより小型の宇宙アセットが可能になってきている今の時代、巨大なチャンスが目の前にある」、「大型バスサイズがスーツケースレベルに小型化可能で、低コスト打ち上げが可能になってきている2大変化を見逃せない」とも表現した
●同大将は兼ねてから、米空軍と米軍他軍種、そして同盟国等の宇宙アセットの相互運用性を提唱してきた人物であるが、宇宙ドメインを如何に米空軍戦略の中に組み込むかを中心に議論が行われてきた経緯がある

space aware2.jpg●なおGoldfein参謀総長は、7月5-9日の間のイタリア訪問に際し、イタリア空軍参謀総長のEnzo Vecciarelli空軍大将との会談でこの話題を持ち出した模様である。
●米空軍はこのように、かつては固い秘密の壁に覆われ、「NOFORN:no foreign nationals:外国人出入り禁止」の原則で行われてきた宇宙ドメイン活動の方向転換を図っており、4月に空軍長官が宇宙に関する教育訓練への同盟国等兵士の受け入れ を大幅拡大すると発表したところである
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トランプ大統領の独善的な動きに翻弄されている米国防省と米軍ですが、同盟国等に負担の共有や移管を推し進める点では利害がぴったり一致しています

その急激な米国の変化に、この空軍参謀総長会議に集まるであろう世界の空軍トップ同士で、どのような会話が交わされるのでしょうか???

宇宙での戦いに備え
「JSpOCからCSpOCへ 日本も」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-09-3
「同盟国にも訓練を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-21-2
「宇宙脅威論のレポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-15

「CSISの同上レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-14-3
「米国防省宇宙ニュース2つ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-02-20
「日本は不参加:米軍宇宙サイバー演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-14-1
「アジア太平洋での宇宙作戦が困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-10-1

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米軍がサイバー懸念で市販UAV使用禁止 [サイバーと宇宙]

国防副長官の指示で。背景は不明で憶測が

UAS marine.jpg6日付米空軍協会web記事や各種報道によれば、5月23日にShanahan国防副長官が米軍に国防省監察官から市販無人機のサイバーリスクの把握が不十分との指摘を受けたため、対策を行うまで市販無人機の使用を停止せよ」と指示した模様です

これを受け、海兵隊や空軍特殊部隊などが1000機レベルで使用している市販の小型無人機が運用停止になっているようで、海兵隊は前線部隊への影響が大きすぎるとして、特定の機種については運用停止を免除するように要請しているようです

なぜ国防省監察官が「市販無人機のサイバーリスクの把握が不十分」と指摘し、米国製と海外製も含む製品が使用停止になったのか??? その背景について国防副長官のメモは言及しておらず謎です。

断片的情報では5月にChris Murphy上院議員がマティス国防長官に書簡を送り、「中国DII製(Da-Jiang Innovations製)の製品は潜在的に国家安全保障上の脅威である」と警告したと言われていますが、国防省監察官の警告との直接の関係は不明です

6月21日付UASVISIONによれば
UAS marine2.jpg国防長官は5月23日のメモで、「5月14日に国防省監察官は、国防省は市販無人機を使用するにあたり、サイバーリスクを見積もる十分な取り組みを行っていない」と指摘したと述べ、市販無人機の使用を停止した

●運用停止に該当する海兵隊保有の市販無人機は、例えば「800 Mk-2 Gen-3 drones」との4つの小型プロペラで飛行するタイプでは、既に600機が前線の大隊に配分され、さらに200機の追加注文分を待ちわびている状態だった
●海兵隊は同タイプを含む数種類の「使用停止免除」を求めており、国防副長官も「前線の緊急要請に対応し、ケースバイケースで運用停止免除を検討する」と述べている

6日付米空軍協会web記事によれば
UAS marine3.jpg米空軍特殊作戦コマンド報道官は、市販無人機の購入と使用を停止しているとEメールで回答してきた。5月23日の国防副長官指示に基づくものだと説明している
●そして、使用停止措置は「国防省が同リスクに対応する戦略を立てるまで続く」と述べている

米空軍特殊作戦コマンドは、市販小型無人機をISR、地形偵察、飛行場調査などに使用している。広報部門も写真や映像撮影のため市販無人機を使用している
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国防省監察官の5月14日の指摘の背景が気になりますが、米軍の市販無人機全ての使用を禁止するとは相当の危機感の表れです。

直径1m以内程度のドローンをイメージして頂ければよいと思いますが、サイバーの恐ろしさを垣間見た気がいたします・・・。日本は大丈夫か???

サイバーと兵器管理
「サイバー時代の核兵器管理」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-02
「米国政府サイバー予算の9割は攻撃用!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-31
「装備品のサイバー脆弱性に対処」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-02

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